西欧財閥
概要
2030年代において圧倒的な武力と財力で世界の60%のシェアを管理・運営する巨大財閥であり、EXTRAの世界で最大の規模を誇る勢力。
2032年の時点で48ヶ国が参加する北半球資源機構を主導しており、その48ヶ国で世界経済の67%、全世界の武力の90%を網羅している。そのため事実上『世界』と言った場合は西欧財閥の管理下にある諸国を指す事が多い。
複数の財閥が国家をまたいで結成した巨大な合体企業であり、『EXTRA』での盟主はハーウェイ家。
聖堂教会も名目上は「協調」となっており、『EXTRA』の段階では、特定の人物の指名手配に大きな影響を及ぼす等、西欧財閥に対しても権威を高める後ろ盾としての一定の影響力を持つ。が、神秘は崩壊し、時代が宗教を必要としていないためその組織基盤は弱体化を避けられず、実質的には西欧財閥に取り込まれつつある。
魔術協会は「危険思想を持った反社会的勢力」として駆逐されており、組織は跡形もなく解体され、「貴族」と呼ばれた魔術師の家もほとんど消滅している。
その徹底した管理に反対する声も多く、西欧財閥は常に武装集団によるテロの脅威に晒されている。そのため、彼らの世界支配の打倒を目指すレジスタンスを武力弾圧し、旧き魔術を研究し続けて、研究分野によっては西欧財団より高い技術力を持つアトラス院を警戒している。
カール大帝が創設した神聖ローマ帝国を母体としており、かなり昔から人類規模の経済活動を行っており、世界有数の財力を誇る。また企業でありながら独自の軍隊を保有しており、アメリカ合衆国、ダン・ブラックモアが所属するイングランド王国、インド共和国は西欧財閥と緊密な同盟関係にあり、西欧財閥の軍事力の大部分を担っている。
またユリウス・ベルキスク・ハーウェイが所属している西欧財閥直轄の暗殺・諜報組織が存在し、凶悪なテロ事件を起こす反社会的勢力の掃討・鎮圧を行っている。
来るべき資源枯渇を早い段階から予見、杞憂し、その解決策として北極の管理に専心していた。
その基盤には強い信仰の力があり、ハーウェイの下に多くの資産が集まった理由として、聖堂教会の助けがあったと言われている。
この時代における聖堂教会の事実上の指導者、ラウレンティス枢機卿とハーウェイは懇意の関係にある。
西欧財閥が掲げる理想は全世界の資源、資産の平等配分。彼らの資源管理は独占するための管理ではなく、効率よく配分するための管理である。西欧財閥の支配地域は世界の三割に達し、GDPベースでは世界の富の六割が西欧財閥系企業のものといわれている。
平等を謳いながらも、現在の指導者たちには特権意識があるのも確かな事実であるが、レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイは自分が当主になればそれも消えると信じている。
「北半球資源機構加盟諸国 (NERO)」と、特定の対象物に対するあらゆる接触・調査・分析はもとより発言さえ禁じる「国際協定404」を結んでいる。また検閲ネットワーク「INQ-EXIT」によって人々のあらゆる通信やドキュメントを監視しており、その検閲を受けない通信行為を超法規的な処罰の対象としている。
西欧財閥は「これ以上の技術進化は不必要である」との考えと、ムーンセル到達する手段(宇宙開発)を封じるため、徹底した資源管理により技術革新を封印し、その結果表立った人類の技術は2000年代のそれから停滞し続けている。
そのため西欧財閥の技術は30年前の水準のまま停滞しており、地上のネットワーク経由でのムーンセル・オートマトンへの侵入が可能なレジスタンスに対して、実際に月面に赴いての物理的な接触でしかコンタクトが出来ない。西欧財閥に魔術師クラスの霊子ハッカーはいない。
フォトニック結晶の研究もしているが、いまだ1cm未満の筐体を作るのが限界。
西欧財閥の支配による停滞した平和を覆しかねない聖杯を危険視し、これを入手・処分するため次期当主であるレオとユリウスを聖杯戦争に送り込んだ。
西欧財閥の影響下にある都市は、徹底した秩序と平和が約束された管理都市。
階級に応じた生活が保障されている、不安要素のない平穏な世界。ただしそれは裏を返せばどこにも行けず、未来も希望も幸せも無く人はただ生きているだけ、という見方ができる。
マテリアルによれば、支配階級であろうとその将来は管理されており、支配階級と労働階級は明確に区分けされ能力区別される。また人類全体ではなくそれぞれの民族内部での平等を良しとしている。
遠坂凛によれば、「 資源は西欧財閥に管理され、人間の生死、人生、寿命に至るまで管理される。赤ん坊でさえ管理に従い平気で飢え死にさせている」とのこと。
しかし、これはあくまで凛やレジスタンス側の考え方で、西欧財閥の管理下にない国や地域は全て荒廃しており、無政府状態の地域が多く、略奪や暴行など犯罪行為は勿論、数万人を超える人間が一斉に死亡するような大規模なテロや事件が発生している。
そのため都市の外に出たいと思う人間は皆無で、不満を言う人間も存在せず、「管理都市」という呼び方やイメージはレジスタンス側の偏見や憎しみによるところが大きい。
レジスタンス側には魔術協会の再興を目指す腕利きの魔術師が何人もいるが、利害の一致から西欧財閥に手を貸す魔術師もいるらしい。そうした魔術師達が障害になっているので、レジスタンスはなかなか戦いの突破口を開けずにいる。
北半球資源機構
North Earth Resource Organization。略称NERO。
西欧財閥の呼びかけによって2015年に誕生した、45ヶ国の加盟国からなる組織。主に地球上及び月面の資源採掘及び利用を厳しく制限することを目的としており、宇宙開発の徹底的な制限を掲げていることでも知られている。
北半球の主要国がすべて加入していることから、地球上の資源採掘活動は事実上、北半球資源機構の管理下に置かれていると言える。
これに反対する国も多く、反NERO同盟には68ヶ国が参加しているほか多数の民間機関も反対の立場を表明している。しかしNERO諸国はこれら反対活動を無視、封殺、通商規制などの制裁を科すなど徹底している。
国連は2032年においても存在し、電脳捜査官などの公的機関も存在するが、実質的にその効力を失っている。
国際協定404
封印指定と通称される。西欧財閥が対象物を指定し、北半球資源機構加盟国の同意と承認を以って効力を発揮する協定。
宇宙開発技術やクローン製造など、特定の対象物に対するあらゆる接触・調査・分析はもとよりプライベートな発言さえ禁じている。また、この協定によって「INQ-EXIT」による検閲を受けない通信行為は処罰の対象とされている。
この協定による罰則は超法規的に規定されており、違反者に対する処罰は制裁金などではなく、裁判など公的手続きを一切無視した投獄あるいは極刑が言い渡される。違反した存在が国家・組織の場合、速やかな武力介入による殲滅及び解体が行われる。
ただ西欧財閥の資源への考え方から、国家規模でこれに違反していても、その国家が資源採掘権を放棄していれば西欧財閥による武力介入の対象にはなりえない。
INQ-EXIT
西欧財閥によるネットワーク検閲システム。
事実上EXTRAの世界では、INQ-NETを介さないネットワーク接続は不可能となっている。
2032年7月ごろ、ムーンセル・オートマトンと地上システムとの通信径路が確立された直後に基本OSのバージョンアップと併せてINQ-NETの強制バージョンアップも行われた。
これによってINQ-NETを介さない例外的アクセスの追跡機能が搭載された。
人物
- レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ
- EXTRAにおける次期当主。
- ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ
- 諜報機関所属。
関連組織
- レジスタンス
- 敵対勢力。
- 聖堂教会
- 傘下に存在する下部組織。
言及作品
メモ
- 世界が停滞しているのは西欧財閥のせいではあるが、EXTRA世界の人類がそれ以外の確かな選択を生んでいないのも事実だとマテリアルに記されている。
- レオ曰く「答えのない変動を繰り返したところで、人類は消耗するだけです。世界が完全に停滞する前に新たな変化の道を模索する事が、この後の僕の課題でしょう」
- レオは「アジアの六割は人類の発展に不要」と言っていたが、救いを求められれば受け入れるつもりだった。だが『CCC』でのアーチャーENDでは、主人公が彼に勝利してしまったことで、西欧財閥は中枢の特権意識が増し、「白色人種による支配」を唱え人種選別を行い始めたらしい。
凛は聖杯が西欧財閥の手に渡れば現在の支配状況が覆らなくなるという考えから、レオを打倒することで西欧財閥に聖杯を渡さないことを目的としていたが、実際のところレオの死それ自体が別の形で状況の悪化を招くことになる。彼と分かり合う努力をすればまた違ったかも知れないが、聖杯戦争という状況がそれを許すはずもなかった。何とも皮肉な結末である。