紅閻魔

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紅閻魔
真名 舌切り雀の紅閻魔
紅閻魔
読み したきりすずめのべにえんま
べにえんま
性別 女性
身長 130cm
体重 ??kg
好きな物 稲(白いお米のご飯)
苦手な物 弱い者いじめ
出典 日本民話、宇治拾遺物語等
地域 日本
属性 秩序・善
声優 久野美咲
デザイン 原田たけひと
レア度 ☆5
初登場作品 Fate/Grand Order
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概要

剣士」のサーヴァント

略歴
期間限定イベント『雀のお宿の活動日誌~閻魔亭繁盛記~』にて登場。
山の中に佇み、人ならざるものが休まるために訪れ、人は迷わない限り辿り着く事ができないとされる旅館「閻魔亭」を取り仕切る女将。手伝いの雀たちを従え旅館を切り盛りしていたが、大多数の施設を閉鎖するほど旅館は寂れており、そこに慰安目的でレイシフトしてきた主人公一行と出会う。
当初はあくまで客としてもてなしていただけだが、ゴルドルフらが奉納殿の賽銭箱を勝手に開けてしまいそのままでは天罰が下ってしまう事になったため、主人公らカルデア一行を旅館の下働きとして迎え入れる事になる。
旅館が寂れてしまっていた理由は別に存在していたのだが、主人公らにはそれを隠しており、主人公たちが天罰を逃れるに足る働きを終えたらそのまま送り出し、自身は閻魔亭と共に運命を終える気でいた。しかし周囲から噂を手掛かりに元凶の出来事を知った主人公たちに本心を聞かれ、共に元凶を退治する。
そうして閻魔亭が賑わいを取り戻した後は、確かに結ばれた縁に従い、主人公たちが自分を呼ぶならば力になると約束して別れた。
人物
「紅」の名前の通り赤い髪を持ち、愛らしい外見であるが、少女というより剣士、お役人としての性質を持つ。
能動的、内向的な性格。やや舌っ足らずで子供っぽいような印象を与えるが、閻魔の名代を任されているだけあるしっかりもの。小言も多い。
生真面目で思慮深くどんな相手にも真摯に対応し、自分の責務を投げ出す事がなく、玉藻の前などのような自由奔放な人物とは真逆の性質と言えるが、そのような奔放な性格の相手も拒否することなく受け入れる(小言は言う)。また、受けた恩を宝物のように大事にして決して忘れない忠義を持ち合わせる。
料理についてはかなりうるさく、英霊の座では「ヘルズキッチン」と称して多数の英霊をシゴいているらしい。「料理は政治[注 1]」「料理は物理[注 2]」「料理は努力[注 3]」という確固たる方針を持ち、彼女の授業を完遂できれば誰でも料理の達人になれるのだが、最後まで完遂できた者がいるのかは不明。玉藻の前でも5日目までだったらしい。
なお閻魔の名代だけあり嘘をつくことを嫌うが、清姫と違って「周りに迷惑をかけない嘘」ならば仕方がないものとして許容する。その根底には「変わり者のおじいさん」の存在がある。
能力
閻魔仕込みの居合「閻雀裁縫抜刀術」を用いる。その腕前は薄皮一枚を狙って切断する事ができるほど。
「舌切り雀」の伝承を背景に持ち、閻魔の名代を務める事もあって、悪人を裁く時に彼女の居合術は最大の力を発揮する。
また、生前舌を切られて喋る事も物を食べる事もできないまま死んだためか、その後特訓によって舌を切られたままでも喋る技術を身に着けている。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
セイバー 主人公 (Grand Order) D E A++ B B B 対魔力:A
単独行動:A
気配遮断:A
お宿作成:B
腹話術:EX
心眼(偽):A
星の籠(大):EX
星の籠(小):EX
幸運は本来はCだが、
不運の中におじいさんとの出会いがあったため
「差し引きでもプラスに違いない」と
本人が信じているためBになっている。

宝具

十王判決・葛籠の道行(じゅうおうはんけつ・つづらのみちゆき)
ランク:A
種別:対人宝具
レンジ:1
最大補足:1人
閻雀裁縫(抜刀)術、奥義の三。
禍を呼ぶ葛籠を召喚し、これを開封。中から現れた百鬼夜行(正体は雀たち)は敵を混乱させ、葛籠の中に封印する。
その後、葛籠ごと雀のお宿に運ばれた敵は地獄の十王(死者を裁定する十人の王。閻魔大王はこのひとり)に扮した雀たちのお座敷にて、紅閻魔の裁きの一刀を受ける。
『混沌』『悪』属性に特攻を持つ。
『Grand Order』では「自身に〔混沌〕特攻状態を付与&自身に〔悪〕特攻状態を付与[注 4]&敵単体に超強力な攻撃」という効果のArts属性の宝具。

真名:紅閻魔

舌切り雀の紅閻魔。閻魔亭を取り仕切る獄卒(鬼)。
日本民話に名高い『舌切り雀』の名を冠する少女剣士にして、閻魔亭を預かるしっかり者の若女将。
『山中にて人を助ける生き物』が民間伝承になったもの。鎌倉初期の物語集『宇治拾遺物語』の中でもその原型は語られている。
本来なら召喚されるべき英霊ではないが「子供達の願いを受け止める代表」としてサーヴァントとなった。
英霊としての彼女の存在は色々特殊で、彼女は生まれながらにして鬼だった存在でもなく、生前に功績を残して死と共に英霊になった訳でもない。
彼女の生前は年端も行かないうちに山中で迷い死んだ禿(かむろ)[注 5]であった。
生前は生まれてから何の幸せも無く虐げられ続けて生きてきたが、ある時命からがら逃げだし、山中に迷い込み、後に閻魔亭と呼ばれる迷い家にたどり着く。しかし衰弱に衰弱を重ねていた事に加え、遊郭にいた時に舌を切られ喉を潰されていたため、ごちそうの山を目の前にしても手を付ける事ができず、ただ「死ぬ前に綺麗なものを見せてくれてありがとう」と感謝だけを残し、そのままそこで息絶えた。
閻魔亭は迷いこんだ人物をまず試し、ごちそうに手を付けてしまった人物は神隠しにしてしまうのだが、ごちそうに手を付けずそのままそこで死んだ少女は地獄に行った後裁きを受けるのではなく、奪衣婆の養女として賽の河原で働く事になる。
そこでも奪衣婆のドケチのせいで不憫な目にあっていたのを見た閻魔大王は、正式に自分の養女とする事で閻魔の名代の地位を与え、かつて自分が息を引き取った場所である「閻魔亭」の管理をする事になる。
閻魔亭の管理をするようになってからしばらくは閻魔亭の「迷い込んだ人間を試す」事に従事していたが、ある時彼女は人里が恋しくなり、雀の姿で人里に降りて行ってしまい「喋る雀」として捕まえられてしまう。
しかしそこで変わり者の人間に助けられた事で、彼女は「善き人間」を支持する存在として固まり、現在の舌切り雀の姿になった。

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/Grand Order
『雀のお宿の活動日誌~閻魔亭繁盛記~』の開催に伴い期間限定サーヴァントとして実装。

人間関係

Fate/Grand Order

主人公
閻魔亭の客であり、500年に渡る問題の解決に尽力してくれた恩人。
マシュ・キリエライト
主人公と同じく客であり恩人。
ヘルズキッチンの受講生でもあり、同期生が軽い気持ちで受けに来た半端者ばかりだった中、第一日目の授業を初見でクリアした。
この初見クリアは玉藻の前も驚愕するほどの偉業らしい。
玉藻の前
教え子。後述の二者と違い、料理の腕はある程度認めてはいるが、「愛情過剰すぎて旦那様を肥えさせる気か」とやりすぎを諫めている。
玉藻の方はヘルズキッチンでの修行が軽いトラウマになっているらしく、頭が全く上がらない。
清姫巴御前
教え子。玉藻の前と違い、ヘルズキッチンを受講しておきながらまだまだ料理の腕前は認められるレベルではないらしい。
清姫はとりあえず食べられてそれなりの味のものは作れるらしいが、火と油による豪快な料理ばっかりでパターンが無いらしい。
巴の方はそれ以前の問題で「おにぎりの中におにぎりが入っている」「皮を剥いていない生大根をそのままかじらせる」など料理の概念が崩壊している。
彼女らの方は玉藻と同じく軽いトラウマになっており頭は全く上がらない。
鈴鹿御前刑部姫
教え子。日本出身のサーヴァントはほぼ全員彼女のヘルズキッチンの受講生であるらしく、イベントストーリー内では登場しなかった彼女らも一応教え子らしく、マイルーム会話で言及がある。
鈴鹿御前は「どうやっても細やかな料理に向かない者はいる」としつつも「味と栄養が揃っていればいい」と、妥協半分で一応の及第点を与えている模様。
刑部姫は「いっぺん殺して生まれ変わらせないと無理(意訳)」という、巴御前よりも酷い評価。一体何があったのだろうか…?
彼女らからの反応は不明だが、上述三者を見るに、似たようなものだと思われる。
滝夜叉姫
『Grand Order』には登場していないが、彼女も上述の日本系サーヴァントと同様に英霊の座でヘルズキッチンで扱かれた教え子の一人らしい。
天宇受賣命
『Grand Order』には登場していないが、教え子の一人にしてヘルズキッチンの卒業生。通称「ウズメちゃん」。
ちなみに彼女もヘルズキッチンとは別にお料理教室を開いているらしく、玉藻の前に和食を仕込んだのも彼女である。
虞美人
閻魔亭には度々訪れているらしく、古くからの知り合いで常連。閻魔亭の雀が施術するエステコースを好んでいる。
彼女は紅閻魔の事を「えんまちゃん」、雀たちは虞美人の事を「ぐっちゃん」とお互いかなり気安く呼んでおり、長く親密な付き合いがある模様。
酒呑童子茨木童子
現世と地獄とで住まう世界は違うものの、同じ「鬼」と呼ばれる存在。
酒呑童子は「やんごとなき血を感じる」とするが、茨木童子は「自分と同じ匂いを感じる」とする。自分と同じ、というのは「元は人間だった」という事らしいが…?
佐々木小次郎
因縁の相手。
と言っても生前に関係があったというものではなく、燕を斬る「程度」で奥義を開眼した小次郎は剣士としてなんだか気に入らないらしく、「インチキ侍」と呼んでいる。ついでに彼と同じスキル(心眼(偽))を持っているのも何だか気に入らない。
しかしその「インチキ」が魔法の域に達した魔技であると知ると「ヘンタイでちー!」と叫んで逃げ出してしまった。
俵藤太
伝説の勇士として最大限リスペクトしており、カルデアで本人に会った時は感激している。彼の矢を破魔矢として飾らせて欲しいと頼んでいる。
宮本武蔵
閻魔亭の出禁対象。
温泉に居座っていた怨念の発生源だろう。そりゃ出禁にもなる。
葛飾北斎
舌切り雀を題材にした絵を残している。
変わり者のおじいさん
他人の幸福を望み、そのためなら自身が嘘つき呼ばわりされてもかまわないという優しい人間。結果的に変わり者呼ばわりされ、村では半ば孤立して暮らしていた。
人里で捕まってしまった紅閻魔を助けた時も、紅閻魔を開放させるために自身の蓄えをポンと差し出しておきながら、お礼として受け取った小さな葛籠からあふれ出る幸せは村人に全て分け与え、閻魔亭での出来事も閻魔亭に迷惑が及ばないように肝心な部分を隠した上でホラ話として村人を楽しませるために語って聞かせ、自身は相変わらず「変わり者」扱いのままで最後まで暮らした。
そんな生き方に紅閻魔は「おじいさん自身が幸せになれなければ意味がないのではないか」と一度疑問を呈したが、おじいさんはただ笑うだけで変わらなかった。
彼の存在は紅閻魔の在り方の根底を成しており、紅閻魔は彼に対する恩義を忘れる事は永遠に無いだろう。
奪衣婆
死後、賽の河原で下働きをする事になってからの養母兼上司。ドケチ。
奪衣婆とは、三途の川を渡りに来た死者の衣服を剥ぎ取り、三途の川の渡し賃を徴収する役目の存在。閻魔大王の妻でもある。
身寄りのない紅閻魔を養女にすると言っていたが、その本心は「雇った部下だと賃金を払わなければならないが、自分の娘なら払う必要が無いだろう」といものであって紅閻魔に情があった訳でも何でもないので、養女にするとは単なる口約束に過ぎず、体のいい奴隷として扱っていた。
それを見かねた閻魔大王が正式な養女にしたわけだが、上記の通り奪衣婆は元々閻魔大王の妻なので、口約束を閻魔大王が強引に実現させただけとも言える。

名台詞

Fate/Grand Order

メモ

  • ユーザーからの愛称は主に「紅ちゃん」「えんまちゃん」と作中準拠のものであるが、語尾に「でち」を付ける口癖からそのまま「でち」と呼ばれる事も多い。
    • 「です」が「でちゅ」に訛りさらに「でち」となった口癖のキャラクターは昔の漫画等にも良く見られるが、最近では某『艦これ』のキャラクターを思い出すユーザーも多いのか、そこからそのまま「でち公」と呼ばれる事もある。
      軽んじている相手を呼ぶ際に使われることもある「公」という接尾語だが、もちろん紅閻魔をそういう意図で呼んでいるわけではなく、あくまで「ハチ公」のような愛称としての「公」のようである。
    • 因みに向こうのでち公は別人(現状型月系作品未出演の中島愛氏)が担当しているのだが、こちらのでち公役の久野美咲氏自身と虞美人役の伊瀬茉莉也氏も『艦これ』に出演しており、一部のプレイヤーからは「長い付き合いってもしやそれなのか」とも。
    • 正式名の「閻魔」ではなく「えんまちゃん」と平仮名表記となっているのは、舞台のモデルとなったと思われる磯部温泉の所在地である群馬県の公式キャラクター「ぐんまちゃん」のもじりであろうか。
      • この磯部温泉、舌切り雀伝承の原点としてのみならず「温泉マーク」発祥の地としても知られている。
  • 一応元ネタは「舌切り雀」という事になっているが、元人間剣の達人地獄の獄卒閻魔様の養子であるといった設定の数々は大半が元になった伝承すら存在しない完全型月オリジナルである。
    というかそもそも元ネタ(?)の雀の逸話が「舌を切られた」「雀の宿で客をもてなした」「客の帰り際に大小のつづらを用意した」ぐらいしか無いのである意味しかたがない事ではあるが。

話題まとめ

迷い家
主に東北地方や関東地方に伝わる民話・伝承の一つ。「マヨイガ」「マヨヒガ」と表記されることも多い。
山中に突如として現れる幻の家であり、訪れた者に富や幸運をもたらすとされている。
民俗学者である柳田國男が発表した、岩手県の遠野地方に伝わる逸話・伝承などを記した説話集『遠野物語』で有名になる。遠野出身の作家である佐々木喜善が語る民話を纏めたこの作品は、日本民俗学の先駆けとなった。
『Fate/Grand Order』では紅閻魔が女将を務めている『閻魔亭』も迷い家の一つであり、そこへ日本に根付く地獄信仰や『宇治拾遺物語』などに見られる民間伝承の要素を加えた型月独自のオリジナル設定の迷い家になっている。
ちなみにイベント内では「迷い家は人間の欲望を試す怪異」と称され、無欲であると幸福が訪れるが、欲に負ければ命を失うという「教訓物語」めいた内容になっている。
しかし、『遠野物語』における迷い家に限っていえば、別に不幸になるとか命を失うといった類のものではない。下記するのは迷い家についての説明をしている箇所を抜粋したもの(※現代語訳)。
「迷い家に行き着いた者は、その家の道具でも家畜でもなんでもいいから必ず持って帰るべきである。その人に授けようとして迷い家はそこに招いているのだから。女は無欲にも何も盗んでこなかったから、この椀が自ら女のところまで流れてきたのだと云われている」
この記述から分かる通り、迷い家の物品に手を出しても何ら問題はない。むしろ迷い家に招かれたのだから土産代わりに何か持っていけ(盗っていけ)とまで書かれている。何も盗まなかったものに対しては、わざわざ川上から椀を流して届けるというアフターサービス付き。気前が良すぎる。
ちなみに『遠野物語』の迷い家の説話は成功談と失敗談が一つずつ収録されているが、どちらも話の経緯自体はかなり似ており、大きな違いは「当人以外の他者が迷い家を探そうとするか」の一点に絞られる。ゆえに迷い家のタブーは欲望の有無ではなく、「招かれざる者が迷い家に来ようとするかどうか」となる。奇しくも猿長者の語った「客は呼ぶものではなく、自ら迷い込むもの」というのが『迷い家』の本質と言えるか。

脚注

注釈

  1. 良い食材はなんでも金で買えるとは限らない。良い食材を卸してくれる農家などとの付き合い(コネ)無くして素晴らしい料理はできない。
  2. 「できたらいいな」ではぼんやりとした曖昧な料理しか作れない。料理とはしっかりとした計画、計量、作業をもって作り上げられる作品である。
  3. 美味しい料理は面倒くさいものという法則は絶対不変。ありもしないショートカットを目論んで下ごしらえを端折った挙句「才能がない」「レシピ通りに作ってもダメ」などという言い訳は許されない。
  4. ともに1ターン、オーバーチャージで効果UP
  5. 遊郭にて遊女の手伝いをする下働き兼遊女見習いの少女のこと。

出典


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