遠野槙久

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遠野槙久
読み とおの まきひさ
声優 有本欽隆(真月譚 月姫)
初登場作品 月姫
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概要

遠野家前当主。四季秋葉らの実父。遠野志貴の養父。妻は他界している。

略歴
三咲町という地区の名士として君臨する混血の一族、遠野家の前当主。財閥の当主として四季や秋葉を厳格に育てた。
格式ある混血の一族ではあるが、新世代と呼ばれる混血の中でも日和見的な人物であり、血統の力を誇示する旧世代的な混血達・斎木家等とはそりが合わず、そんなものより身内の安寧を優先しようと旧世代達混血を退魔組織に売り保身を計ろうとした。邪魔な斎木が消えた後の権力もそのまま頂こうとする若い野心もあり、この頃反転して暴走していた斎木の監視役となり情報を細かく組織に売り続けた。
遠野の情報を買った組織は、斎木暗殺に七夜の当主・七夜黄理を送り出した。実行の夜、そこで槙久は初めて七夜と出会い、七夜の仕事を目の当たりにしてしまう。
最初から七夜というものをあまり信用していなかった槙久だが、斎木が目の前で殺された有様に衝撃を受けてしまう。恐怖に震え、七夜黄理をでたらめだと指さし狂ったように笑い続けた結果、「うるさい」と黄理に胸を穿たれてしまった。黄理はこの夜に冷静さを欠く出来事に遭遇していたが、その所為で槙久が完全に死んだかどうか確認せずに立ち去った。槙久は混血の生命力故に一命を取り留める。(メモにて追記する)
この時刻み込まれた恐怖を忘れることが出来ず、六年後、槙久は磐石の態勢を整え、斎木の屋敷から連れ帰った軋間紅摩をも使い七夜の里を襲撃。七夜を一族郎党皆殺しにした。この時、七夜黄理の長男であった志貴を、自分の長男である遠野四季と同じ音の名前である、という理由で戯れに連れ帰り、養子とする。これに前後した時期に、琥珀翡翠の双子の姉妹も、自らの反転衝動を抑える道具として屋敷に引き取った。
数年後幼い四季が反転、志貴を殺害すると、これをやむなく処断。しかし、二人は様々な理由から蘇生。だが四季は反転したままであったため表に出すことは叶わなくなり幽閉。以後、志貴を長男として扱う。
もっとも、槙久としては緊急避難的な措置であり、四季の状態が改善されればまたもとに戻す腹積もりであり、志貴も彼の退魔の衝動が四季に悪影響を与えないように分家に預け家に近づけなかった。だが、結局四季の復帰はかなわずに終わることになる。
月姫本編の開始直前に死去。秋葉が家督を継ぐ。
人物
もともとは大した野心などは持たず、身内(血族)に対する保護欲だけは人並み以上にあっただけの小心な人物。
作品中では、奇行を繰り返し凶暴性を持つ父権的絶対者、という印象で描かれている(琥珀に対する暴行、猫を買ってきては惨たらしい方法で殺して捨てる、四季を長い間幽閉、等)
だが、これは混血としての反転衝動と、それを何としても軽減させ家族を害さないようにするために手段を選べなかったこと、志貴、秋葉、琥珀といった彼の被害者の立場である人物の目線から見て描かれているため。(逆に言ってしまえばそのようなフォローしかできない)
ただ単に被害者意識が強くて自分自身に甘い、常に逃げ道と言い訳を用意するような矮小で平凡な人物。人らしさを持ち、混血の当主として生きるには小市民なだけであったが間違いなく加害者であったため、その報いを受けた。遠野家の悲劇の元凶。
けっこう手記を残しており、筆まめだったらしい。四季や秋葉をとても大事に想っていることや、混血としての反転衝動で自分がケモノに成り果てる時は自ら命を断つことも覚悟していることなども書かれているが、そのためには手段を選ばなかった利己的な内面も包み隠さず書かれている。これらは月姫裏ルートで志貴が真相に辿りつくのに実に役に立っている。
能力
混血の一族の当主として、それなりの能力を持っていたと思われるが、実際にどんなものであったかは不明。原作中では四季が自分と同じように内界を操る能力であったと語っており、漫画版・真月譚 月姫では四季同様「血刀」らしきものを使って志貴の胸を穿っている描写があり、志貴の臨死体験の一回目とされている。
志貴が槙久の洗脳を受け、七夜一族の記憶を殆どなくしているので、記憶を弄くる能力もあったらしい。
ちなみに、七夜を襲ったときは財力で後腐れのない私兵を組み、七夜の土地を管理する組織の者まで抱き込むなど全力を持って挑んだ。作戦自体は穴があるようなものであったが、これは軋間紅摩を使いやすい場であったことなども考えられるあたり、策略家であったようだ。
原作での様々な場面や、遠野志貴の秋葉がどれだけ優秀でも鍛える火が弱ければ無意味、とのセリフからも、槙久は混血としてはあまり強力ではなく、権力人としての知略の方に重きがあると読みとれる。
また、娘の秋葉が高度な異能を持つことがわかった時には「秋葉が成長していれば、軋間の手など借りなくても済んだ」との後悔も残している。

登場作品と役柄

月姫
遠野家ルートの元凶。既に故人であるため、過去の人物として描かれる。
月姫 -A piece of blue glass moon-
リメイク前同様、直接登場はしないがたびたび言及される。
また、面識があると思われる関係者も増えている。
歌月十夜
やはり故人であるため、過去の人物として描かれる。
夢十夜「赤い鬼神」で登場。ゲーム内では槙久と説明されておらず、月姫プレイヤーに「もしかして」と思わせるだけの登場であったが、後に黄理にやられたあの混血青年は槙久であると明かされた。

人間関係

遠野四季
息子。
遠野秋葉
娘。
七夜志貴遠野志貴
表向きは戯れに引き取った七夜の遺児だが、翡翠や琥珀と違い、最初から正式な養子縁組をしている。七夜の血が四季・秋葉らの暴走を抑えるのではという期待もあった。また、黄理の子と理解して引き取っており「ヤツの子を飼っているが、怨念は断ち切れなかったのか」としていた。ほんのわずかだが、罪滅ぼしの意味もあったらしい。
琥珀翡翠
自らの反転衝動を抑えるために強引に屋敷に引き取る。
七夜黄理
トラウマを刻み付けられる。殺した後も執着していた。
軋間紅摩
七夜殲滅の切り札。
斎木業人
月姫リメイクの登場人物。
「遠野家のビジネスパートナー」である斎木家の一員であり、おそらく面識があったと思われる。
阿良句寧子
月姫リメイクの登場人物。
大学時代の後輩とのことで、その縁もあって遺言を送っており、結果遠野家を頻繁に訪れている。

メモ

  • 槙久が事前に細々と退魔に売り渡していたとされる、斎木の屋敷の情報が大分間違っており、お陰で七夜黄理が「過剰殺人になった」と言う場面がある。
  • 赤い鬼神を読むに、斎木暗殺時に屋敷にいた魔は殺されても文句が言えない状況にあったようだ。つまり、槙久が殺されかけたのは黄理がおかしくなっていたからではなく、『黄理がおかしくなっていた』から、『槙久を確実に殺すのを忘れた』というのが作中の実際の内容であり、黄理が普段の通り冷静であったなら、発狂して騒いだ槙久は確実に殺されていたと読みとれる。
    槙久が助かったのは混血の生命力故だけであるとの理由も述べられている。あの場で最初から助かる可能性があったと読解できるのは子供であった軋間紅摩のみである。黄理は「自身の暗殺の邪魔にならない路傍の石であれば殺さない」とある。槙久が黄理に脅えて騒ぐことなく退魔の協力者として振る舞っていたら助かっていたかも。
  • 漫画版月姫の書き下ろしにおいて七夜襲撃時の槙久が描かれており、「これは粛正だ」とひきつった笑みを浮かべるシーンがある。それでなくとも斎木家達旧世代も目の上の瘤として消し去った槙久である。七夜が暗殺を辞めていたのを知っていたとはいえ、影響を持ち続ける七夜の一族を根絶やしにすることは、人に紛れて暮らす混血や家族を守ることと意識をすり替えたようだ。また、漫画版では志貴の母(黄理の妻)を殺したのは槙久ということになっている。
  • 槙久の反転衝動は七夜を滅ぼしてからさらに酷くなったらしく、「七夜の呪い」と滅ぼした筈の七夜に拘っていた。秋葉達がこれを吸い取らないよう教育しなければともある。実際は呪いなどではなく、槙久の罪の意識の度合いが強い。
  • 秋葉が家督を継いだあとに追い出したようだが、槙久が存命の頃の屋敷はけっこう色々な人間が住んでいたらしい。軋間紅摩や久我峰斗波など。
  • アニメ『真月譚 月姫』の第8話で、遠野家の家系図が映し出されるシーンがある。槙久が長男と記されている右横に、長女として「緋沙耶」という名前が記されている。これが原作にも共通する公式の設定かどうかは不明。なお、コミック版の『真月譚 月姫』の第22話でも遠野家の家系図が僅かに描かれているが、同じく右隣に兄弟姉妹を表す線が伸びているものの、名前は台詞の吹き出しで隠されていて読み取れない(見方によっては「耳へん」らしきものがあるように見えなくも無い)。
    • ちなみに、槙久の配偶者であり四季と秋葉の母にあたる人物の名前は塗り潰されている。
  • 秋葉が巨大化することになった謎の薬「まききゅ〜X」の名前の元ネタ。
  • 琥珀翡翠に関してはあくまで反転衝動を抑えるための道具として見ていたが当人なりに罪悪感はあったらしく、仮に姉妹が遠野家を離れて暮らすことになっても生活していけるように彼女らの口座にかなりの額の財産を残しているらしい。無論それで罪が消えるわけではないが、志貴の件も含めてその弱さ故に完全に悪として割り切れる性格ではなかったようだ。
  • 『月姫 -A piece of blue glass moon-』においては、志貴があるルートで槙久の部屋を調査することになる。部屋の窓には鉄格子が打ち付けられており、まるで部屋の中のものを外へと出させないという強迫観念が見てとられた。

脚注

注釈


出典


リンク