ゼパル

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ゼパル
所属 溶鉱炉
序列 十六位
デザイン 山中虎鉄
初登場作品 Fate/Grand Order
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概要

魔術王ソロモン使い魔である七十二柱の魔神柱の一柱。特使五柱の一人。

略歴
最初の登場である『冠位時間神殿 ソロモン』では、Ⅰの座においてオルレアンに登場したサーヴァント達と決戦を繰り広げた。
時間神殿崩壊時には自身の中に芽生えた「人間の可能性への期待」という命題を探求する為に逃亡。戦いにおいて肉体を失い、一時的に傷を癒す為に海洋油田基地セラフィックスに潜伏した。そこで遭遇した殺生院キアラの精神に寄生するが、「不要だからと良心を封印する」「ムーンセルの裏側にあったキアラのデータと彼女を同期させる」など余計な事をしたために、ただの善良な女性で終わるはずだったこの世界のキアラを魔性菩薩に覚醒させてしまった[出 1]
自身も彼女の肉体を通して人間の快楽を体験するうちに堕落してしまい、彼女に教えを請ううちに次第に立場を逆転されてしまう。最終的には肉体の主導権もほぼ失い、怯えながら記述していた日記にも触れなくなり、彼女から離れようとするも分離したら自身が消滅する事を教えられ発狂。隷属してでも生き延びようとするものの彼女に切り離され、見捨てられることに怯えながら幼児退行しつつ消滅するという、自業自得とはいえ悲惨な最期を遂げた[出 1]
人物
基本的には「独立稼働する受肉した魔術式」という存在のため、独立した人格は持たなかった。
自我が芽生えた他の魔神柱と比べると性格は慎重かつ狡猾。カルデアの手から逃れるため、セラフィックスでは徹底して自身の存在を表に出さないように立ち回っていた。
一方で独立前から自らの設計を間違えたのではないかとゲーティアへの弾劾を叫んだり[出 2]、時間神殿から逃亡したラウムの考えに対してゲーティアに変わって決を下す形で「否定」していた[出 3]
時間神殿崩壊後は自分たちを打倒した人間の可能性に期待を抱き始めていたが、その着目点は「人間の知性活動が大きなエネルギーを生み出す事」のみであり「個体のスペックはどれでもほぼ同じだから自分が管理して良い方向に導こう」と目論んでいるため、未だ人間を不出来な存在と侮っている節がある[出 4]。それこそが、自身に悲惨な末路をもたらす引き金となった。
能力
魔神柱として非常に強力な力を持ち、サーヴァント数騎に匹敵する実力を持つ。
伝承にあるゼパル本来の権能故か、人間の精神に取り憑き精神操作したり、並行世界の記録を読み取って宿主に上書きしたりと、精神に関する能力を発揮する機会が多いが、それが自分の首を絞める結果になってしまった。
その後抜け殻のような状態でセラフィックス管制室で戦闘するが他の魔神柱と比べ細く小さく目玉が少ない状態(ガウェイン曰くハクがない)であった。使用スキルは「虚ろ目」のみ。

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/Grand Order
終局特異点で主人公たちと対決する。
時間神殿崩壊後は逃亡し、海底油田基地セラフィックスに潜伏するが……

人間関係

Fate/Grand Order

ゲーティア
自分達魔神柱を統括する存在。
終局特異点での決戦時には自分たちが弱すぎる事を彼の設計ミスとして弾劾を叫んでいた。
殺生院キアラ
『Fate/EXTRA CCC』とのコラボイベントの際、ゼパルが寄生先に選んだ人間。
偶然彼女に発見されたことで精神寄生する相手に選ぶが、その先には彼には到底想像し得ない末路が待っていたのである。
バアルアンドラスフェニクスラウム
特使五柱を構成する他の魔神たち。
時間神殿からは一緒に逃亡し、アンドラスの死を見届け、残りの魔神たちが己に課した命題について聞いていた。

名台詞

Fate/Grand Order

「聞いていない―――このような予測は聞いていない!
 統括局は何をしていた! 弾劾せよ! 弾劾せよ! 弾劾せよ!
 侵入を許した不手際ではない!
 我ら九柱が凡百の英霊に圧されるなど、明らかな設計ミスである―――!」
『冠位時間神殿 ソロモン』にて、駆けつけた幾多の英霊たちに九柱の魔神柱が押さえ込まれるという鉄火場な状況での言動。
本物の「悪魔」とも言えるレベルの常軌を逸した能力を持ち、たかが英霊、サーヴァントごときに遅れをとるなどありえなかったはずの「魔神柱」である自分たちが圧倒されているという事実に、統括局に対して自分たちの「設計」が間違っていたのではないかと叫ぶ。
交戦している清姫やエリザベートからは、その姿を「見苦しい」と切り捨てられた。
キアラは抵抗せず、私に体の使用権を差し出した。彼女の献身と感動、そして私に向けられた尊敬は本物だ。
私は(魔神でありながら!)気を良くし、キアラの知識と立場を使い、効率良く油田基地を支配していった。
『深海電脳楽土 SE.RA.PH』にて、キアラの良心を消し去った後、彼女から協力を申し出されて。括弧内含めて原文ママ。
キアラの善性を自身が封印したとは思えないほどに、彼女への評価が異様なことになっている。その有様は後に彼女に煽られて閉鎖コミュニティの王になった人物と大差が無く、この時点で彼女の影響を受けつつあったことが伺える文となっていた。
一応断っておくと、これはセラフィックスの教会内に残された「日記」に書かれた言葉であり、ゼパルが当初(キアラの肉体を乗っ取って活動を始めたあたり)を振り返り、後悔と自責、恐怖と絶望を抱きながら書いた文章であると推測される。括弧書きが入っているのも「文章」として残されていたものゆえの文字表現であると言える。
人間の欲望を侮っていた。
手に負えない、とようやく理解した。
同上。キアラがセラフィックスの生存者を自らに依存させ、その後次々に破滅させていく光景に困惑しながらも魔神が命題には特異点が必要であることを語った後、キアラから憐れむように否定され、「自分が特異点になった方が気持ちがいいでしょう?」と返された際に。
ここに至って、キアラが自身の手に負える存在ではない事を自覚し、キアラから分離を試みるが既に彼女に主導権を奪われてしまっており、分離はおろか体の自由すら聞かないまま、キアラへの分離の嘆願も聞き入れて貰えず、ゼパルの生命が宿る箇所は小指の先になってしまった。
後にもう一度、解放して欲しいと嘆願するが……。
ああ、きえる、きえる、うすれていく。たもてない、じぶん をたもてない、
なんでこんな、こんなことに、わるいことなんかなにもしてこなかったのに、なんで―――
やだ……いやだよぅ……こんなのひどい……あんまりだ……ころさないで……すてないで……すてないで……
わたしを みすてないで キアラさま―――
同上。何もかもキアラに奪い尽くされ、彼女に隷属してでも生き延びようとした彼に対して、吐き気を催すような慈愛とともに「解放」された結果。
当初の超然とした態度や命題はどこへやら消え失せ、魔神柱としての誇りを投げ捨ててまで求めた救いを無残に潰されて発狂し、自我の崩壊とともに幼児退行、そしてキアラからの愛を受けられなくなる事に恐怖しながらの消滅と、これまでのセラフィックスの職員達、ひいては並行世界での彼女の信徒たちとまったく同じ死に様であった。
「―――愚かな。時間神殿での戦いは、我らの中から脱落者を生み出した。
 魔神ラウム。今は無き統括局ゲーティアに代わっておまえに決を下す。
 “―――その妄想に滅びあれ。汝の回答は、一万四千年前に失敗した”と」
『禁忌降臨庭園 セイレム』にて、他の特使五柱が逃亡する中、ラウムが人類を救済するために外界から降臨者を召喚しようとするやり方に対して。
ゼパルは傷を癒すために自らの園を作ろうとするが、その最期を考えると余りにも皮肉としか言いようがない。
統括局に代わってラウムに決を下しているが、そもそも統括局の弾劾を叫んだのは他ならぬゼパルであるのがまた輪をかけて皮肉である。

メモ

  • TYPE-MOON史上に残るレベルで「やらかしてしまった」キャラクター。
    • 具体的に言うと『Fate/Grand Order』のキアラが奇跡的な出会いによってまっとうなセラピストとして活動していたことと、ゼパルがキアラの善性を平然と消してしまったこと、ムーンセルのキアラの経歴を知って大変有効なので同期したこと、その結果キアラはビーストⅢに変貌し、最終的にはキアラもゼパルもセラフィックスの職員も破滅してしまった。事の顛末を聞いたBBからはゼパルの最期を因果応報と結論付けている[出 5]
      • 『深海電脳楽土 SE.RA.PH』の事件を虚数事象としてなかった事にし、セラフィックスの職員を全員助けたものの、事件の元凶であるゼパルとビーストⅢ/Rとして顕現したキアラはてめーらはだめだと言わんばかりに除外させた[出 6]。後に『禁忌降臨庭園 セイレム』で再登場しており、同じく特使であるラウムとのやり取りがあったが、これまでの行動に対する皮肉へと捉えられてしまうのがなんとも。
    • これらの浅慮と、地球上に数十億人×21世紀以上いるであろう人間からよりにもよって「殺生院キアラ」と出会ってしまうという天文学的なガチャ運のなさ、人間の快楽を教え込まれて(魔神でありながら!)堕落し、発狂しながら幼児退行するという末路の悲惨さ、消滅後にはキアラに「ゼパ…なんでしたっけ?」と言われる扱いの悪さから強烈なネタ性を獲得する羽目に。一方で、セラフィックスでの所業によって彼に対する心象が悪いものとなってしまった上に、名誉回復の可能性も潰えてしまったのだが、これも彼への罰……ということだろうか。
      • キアラに名前を忘れられるくだりから「ゼパなんとかさん」という渾名をユーザーおよび奈須氏からも贈られたどこの禁書目録だお前は。
      • おまけにアルターエゴ版のキアラが魔神柱を召喚して攻撃しているため、人理救済のためにキアラにこき使われているのではないかという説も。
  • 原典におけるゼパルの能力は、「女性を不妊にする」「人間の形を変える」「異性間の愛情を増幅させる」など、精神・恋愛関係に特化している。キアラがマーブル・マッキントッシュの皮を被っていたのも、ゼパルから奪い取った二番目の能力であろうか?
  • このCCCイベを契機に、「丁度キアラピックアップ召喚/福袋召喚をやっていた時期にFGOを始めて幸か不幸かキアラを引いた」、「CCC原作とかやってなくて良く知らないけど綺麗な尼のお姉さんが欲しくなった」、「外道で淫乱なところひっくるめてキアラが好きになった」といった人たちのことを「ゼパる(動詞)」と呼ぶ風潮が出来た。
    • 特に最初のケースのユーザーにとってはこれからキアラと共に人理修復の旅に出る事になるわけであるが、アルターエゴの特性と固有のルーラー特攻で一章のワイバーン達やジャンヌ・オルタを蹂躙し、そして終章で未だセラフィックスで出会う前からゼパルなど魔神柱やビースト共をボコることにもなりうる。なんともはや。
    • さらに、2017年8月9日から行われた「Fate/GrandOrder Fes2017 〜2nd Anniversary 福袋召喚」において、星5サーヴァントの対象51騎から不幸にも見事に殺生院キアラを引き当てたマスター達のことは、皆が「終身名誉ゼパル」と賞賛した。
      • また、この時の福袋を目当てにFGOのプレイを開始したマスターも少なくなかったものの、長続きせずにやめてしまう人もまた少なくなかった。その中で明らかに福袋から引いたであろうキアラをオール枠のサポートサーヴァントに設定したまま最終ログイン日が延びていくフレンドを見たマスター達はきっとキアラに堕落させられて人理救済に失敗したに違いないと哀しみに暮れた。
  • 彼が抱いた「人類を情報として管理する」という命題は、彼およびキアラの消滅後、ビーストたちの影響を受けていたBB/GOによって一時的ではあるものの引き継がれていた。

脚注

注釈


出典

  1. 1.0 1.1 『深海電脳楽土 SE.RA.PH』 -閉幕-、竹箒日記2017/5/12
  2. 『冠位時間神殿 ソロモン』第2節「Ⅰ/溶鉱炉ナベリウス」。
  3. 『禁忌降臨庭園 セイレム』第8節「最後の結び目」。
  4. 『深海電脳楽土 SE.RA.PH』第三幕「ナッツ・クラッカーをもう一度(3/3)」。
  5. 『深海電脳楽土 SE.RA.PH』 -閉幕-。
  6. 竹箒日記2017/5/12

リンク