言峰綺礼

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言峰綺礼
読み ことみね きれい
性別 男性
誕生日 12月28日
血液型 B型
身長 185cm(Zero)
193cm(stay night)
体重 82kg(Zero、stay night共通)
特技 鍛錬(Zero)
特になし(stay night)
好きな物 鍛錬(Zero)
悲運(stay night)
苦手な物 独り酒(Zero)
信頼(stay night)
天敵 衛宮切嗣
声優 中田譲治
イメージカラー
初登場作品 Fate/stay night
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概要

冬木教会の神父。第五次聖杯戦争の監督役であり、第四次聖杯戦争の参加者。

略歴
持って生まれた己が性に懊悩し、苦しんだ青年時代を送る。父・言峰璃正から八極拳を習い、神の教えに帰依し、聖堂教会の代行者として活動した時期もある。聖遺物の管理・回収を任務とする第八秘蹟会に席を置いていた。またこの頃、妻を迎えたが死別。
晴れることのない懊悩を抱えたまま、第四次聖杯戦争の開始に先立ち、父と親交のあった遠坂時臣を聖杯戦争の勝者とすべく、教会から派遣されるという体裁で魔術師として弟子入りする。
第四次聖杯戦争において、アサシンを召喚。表向きは師から離反・敵対したよう装いつつ、裏では時臣の補助に回って活動。諜報に秀でたサーヴァントを使って、情報収集と監視に徹していた。
だが後に時臣のサーヴァントであったギルガメッシュによって、己が迷いと決別。
聖杯戦争終盤、アインツベルン陣営との取引の結果、時臣の命令で海外へ出されることが決定するが、修了の証として受け取ったアゾット剣で師を殺害。密約に従ってアーチャーと再契約し、聖杯戦争を影から操る。
聖杯戦争開始当初から衛宮切嗣の存在に注目していた。彼が自分と同じく「心の虚無を埋める為に、あえて苛烈な人生を選んだ人物」と推測し、彼の聖杯にかける願いを知れば自分の悩みにも答えを見出せるのではないか、と固執するようになる。
しかしそれは全くの見当外れであり、切嗣は叶わない理想のために生きてきた人間だった。期待を裏切られた怒りと恨み、そして彼が願っても得られなかった幸福を手にしながら、それを切り捨てて生きてきた切嗣を妬み、その願いを砕くために戦うことを決意する。
切嗣との最終決戦で死亡するが、アーチャーを通して聖杯の泥を浴び、それが心臓となって蘇生。
その後10年、第四次聖杯戦争の真実を隠し、時臣の娘・遠坂凛の後見人を務めるなどをしている。
第五次聖杯戦争に際しては、聖堂教会と魔術協会の双方に顔が利くことも手伝い、正式に監督役に就任。
代行者時代に面識があり、魔術協会から派遣されてきたバゼット・フラガ・マクレミッツに騙し討ちをかけ、令呪サーヴァントを奪い、第五次聖杯戦争の裏で暗躍を始める。その目的は生まれ出るであろう「この世全ての悪」の誕生を見届け、それを祝福することにある。
人物
万人が「美しい」と感じるものを美しいと思えない破綻者。生まれながらにして善よりも悪を愛し、他者の苦痛に愉悦を感じる。悪党ではないが悪人。非道ではないが外道。
若い頃は自身の本質を理解しておらず、この世には自分が捧げるに足る理念も目的もないと考え、「目的を見つけるのが目的」という生き方をしていた。あらゆることを他人の数倍の努力をもって身につけ、しかしそこに情熱はなく、時が来ればあっさりとそれを捨てて次に挑む、という繰り返し。この頃の綺礼にとっての信仰とは、自身で見出した理想ではなく、ただ不完全な自身を痛めつける場であるという意識の方が強かった。
第四次聖杯戦争の頃までは、そういった自身の在り方に懊悩していたが、聖杯戦争で出会ったギルガメッシュとの出会いをきっかけに吹っ切れた。その後は、ある種の悟りと余裕のある態度で生きている。
紅洲宴歳館・泰山特製の激辛麻婆豆腐を好む。その辛さ、『殺人』『外道』の冠詞を要するほど。
また、若い頃は酒の蒐集をしていた。
能力
優秀な代行者であり、代行者特有の投擲剣「黒鍵」の使い手。また、八極拳の達人でもある。ただし、実戦で鍛えられた綺礼のそれは、彼が理想とする父の正当な八極拳とは異なり、綺礼独自の人体破壊術となってしまっている。
魔術師の家系の生まれではないが父・璃正が長年の信仰によって得た秘蹟の恩恵で「秘蹟を再現する資格」(要は魔術回路)を持って生まれたため魔術を行使できる。といっても魔術師としての腕は「見習いの修了」レベルでたいていの魔術に通ずるが、どれも平凡の域を出ない。ただし、「傷を開く」ことに特化した魔術特性であるため、治癒魔術は師・時臣のそれを凌駕する。また、教会の洗礼詠唱も習得しており、霊体に対する攻撃力は突出している。歪んではいるが信仰心は本物。
総合的な戦闘能力は非常に高く、並みの死徒以上のものがあるが、それでも第五次の時点では埋葬機関七位には及ばないという。しかし全盛期とも言える第四次の時では話が違ってくる。最終決戦時にはその鍛えに鍛えた八極拳で切嗣を追い込み、「まさに怪物」と思わせた程の戦いぶりを見せた。

バリエーション

言峰綺礼 (EXTRA)

ムーンセルが過去に生きた人間の中から再現したNPCであり、監督役の上級AI。

詳細は「言峰綺礼 (EXTRA)」を参照。

ラーメン屋の店主

Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』に登場。平行世界でイリヤたちが出会ったラーメン屋店主。

詳細は「言峰綺礼 (美遊世界)」を参照。

グレゴリー・ラスプーチン

Fate/Grand Order』では疑似サーヴァントという形で登場している。クラスは第二部第一章時点では不明。

詳細は「グレゴリー・ラスプーチン」を参照。

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/stay night
聖杯戦争の監督者。聖杯戦争を記録する傍らで何やら暗躍している様子。主人公の影を抉る存在。
Fate/Zero
聖杯戦争監督者の息子であり、アサシンのマスター。自身の在り方に深く懊悩する求道者。
Fate/ゼロカフェ~Fate/Zero Cafeに集う英霊達~‎‎
「ゼロカフェ」にたびたび現れては激辛麻婆で周囲を苦しめる。切嗣をストーキングし、雁夜やアサシンの不幸を満喫し、凛をいじり倒して遊ぶなど、実に活き活きと愉悦している。
フェイト/タイガーころしあむフェイト/タイガーころしあむ アッパー
記憶を失った綺礼。何も分からぬまま、聖杯戦争の渦中にある町へとさ迷い出る。
アッパーでは出番はあるものの個別のシナリオモードはなし。

Fate関連作品

Fate/unlimited codes
「代行者」。アーケード版では隠しキャラだった。
カプセルさーばんと
敵マスターの一人。拠点は山のような大盛り麻婆(正確には麻婆丼。よく見たらちゃんと白米の部分もある)。
大体いつも悪いことを企んでいるが、今回は何もしていない。しかし何もしないというのは暇なのでリンの邪魔をして暇つぶしをしている。

その他

TMitter2015
髪をオールバックにした検事役。発生した事件を巡り、弁護士役の士郎と法廷戦を繰り広げるはずであったが……
ちびちゅき!
『stay night』の綺礼と『Zero』時代の若い綺礼が登場。
『stay night』の方はいつも通りだが、若い綺礼は「愉悦部」という名の同人クラブに無理矢理入会させられたり、未来の自分と自分の落差に苦悩したり、気苦労が絶えない。
アーネンエルベの一日
ネコアルク・カオスのペンフレンドその2。ウェイター代理。本編stay nightではなく、Zero仕様の若い頃の姿で登場。
最後は八極拳士の伝統にのっとり、毒を盛られて退場。
花のみやこ!
ギラ・ギルガメッシュの執事として、切嗣と共に登場。外見は『Fate/Zero』時代のものに似ている。
割と感情的になりやすいギルガメッシュに冷静にツッコんで弄ったり、色々と人間的にアレな切嗣を淡々と問いつめたりとマイペース。

人間関係

冬木

言峰璃正
父。第四次聖杯戦争の最中に死去。
遠坂時臣
魔術の師匠。第四次聖杯戦争の終盤に自らの手で殺害する。
アサシン
第四次聖杯戦争で得たサーヴァント。
ギルガメッシュ
第四次聖杯戦争後半で契約したサーヴァント。
遠坂凛
妹弟子。時臣が亡くなったあとは遺言に従って後見人となる。
アヴェンジャー
自分の生きる意味の答えを得る為に追い求めた相手。残念ながら本編・Hollowでは出会うことは無かった。
衛宮切嗣
第四次聖杯戦争の参加者。その生き方に興味を持つ。
衛宮士郎
第五次聖杯戦争の参加者。ルートによっては共闘する。
バゼット・フラガ・マクレミッツ
第五次聖杯戦争参加者。旧知の間柄で、代行者としての任務の途中、仕事がバッティングした縁で知り合った。
第五次聖杯戦争開始に際し、協力を持ちかけるように見せて、騙し討ちにする。
なお、知り合ったのは第四次聖杯戦争の後の話である。
ランサー
バゼットから奪ったサーヴァント。
間桐雁夜
第四次聖杯戦争の参加者。瀕死の彼を助け、令呪まで回復させて支援を行うがこれには隠された理由が…
間桐臓硯
出遭った回数は数えるほどだが第四次聖杯戦争からの縁。いちいち言峰の内心の葛藤を抉り出す不快極まりない存在。
カレン・オルテンシア
綺礼の死後、教会にやってきた人物。
ネコアルク・カオス
ペンフレンド。
中の人?何のことだ?

Fate/Apocrypha

シロウ・コトミネ
平行世界における義兄。四郎が何者であるかは父の璃正に聞いていたが、義兄には避けられていたようで交流はほとんどなく、なるべく距離をとった付き合いに終始された。
四郎が彼を意識的に忌避しているのは、綺礼が生まれ持つ「歪み」に気づき、それを解放した上に肯定するような出来事が訪れれば、まず自分が狙われるのではないか、という疑いが強かったため。四郎としては苦悩から解放してやりたいのは山々だったが、どう考えてもろくなことにはならない。結果、手紙のやり取りすらろくに交わさなかった模様。
天寿を全うした璃正の葬式が彼らが顔を合わせた最後だった。
ちなみに聖杯大戦時での外見年齢は義弟の方が10は年上。

花のみやこ!

ギラ・ギルガメッシュ
執事として仕えるお嬢様。
感情的になりやすい彼女を時に弄りながら、クールに支えている。

その他

クラウディア
亡き妻。死ぬ寸前にも、「愛せなかった」と告白するが……

名台詞

Fate/stay night

「喜べ少年。君の望みはようやく叶う」
衛宮士郎がもつ「歪み」を察し、聖杯戦争を戦うことを決めた彼の背中に声をかける。
プレイヤーがこの意味がわかるのはもっと後になる。
「その傷を切開する。さあ、懺悔の時だ」
「Fate」ルートにて、士郎の持つ過去を暴く。
「命を賭けろ。あるいは、この身に届くかもしれん」
「Fate」ルート最終決戦。正義の味方「衛宮切嗣」の理想を継ぐ衛宮士郎と対峙する。
「では命じよう。自害しろ、ランサー」
「UBW」ルートより。ランサーに凛を始末するよう命じるもランサーは「俺にやらせたいなら令呪でも使うんだな」と拒否する。すでに令呪は1画しか残っていなかったため、ランサーを用済みとして切り捨てる。しかし、この命令は自分の首を絞めることとなった。
「食うか――――?」
泰山にて。目の前には例の麻婆、手にはレンゲ。そして士郎を見て一言。
聞かれた士郎は 「食うか――――!」 と断言。
「無論だ。今のおまえは衛宮切嗣だ。それが勝てない筈がない」
HFルートにおけるイリヤとの夜の公園の会話で「正義の味方」であり続ける事を選んだBADENDより。
理想のために親しい少数を見限ってでも多くを救う決意を固めた士郎の姿に言峰はかつての宿敵の姿を重ね、桜や臓硯だけでなくやがて凛やイリヤも葬り去った士郎が勝者となり、そして士郎が聖杯を破壊する事によって第五次聖杯戦争は終結するであろうと予言する。
「おまえには自分という概念がない。
 だがそのおまえが、まさか一つの命に拘るとはな。いや、それとも――
 多くの命に拘る、のではなく。一つの命に拘るが如く、全ての命に拘ったのか」
HFルートにおけるイリヤとの夜の公園の会話で「桜の味方」となる事を決めた後の会話より。
思い出を切り捨てる事ができず、切嗣とは違う道を取ったことに若干失望しつつも、自分と同じく破綻者と見ていた士郎が信念を捨て去ってまで桜一人の命に執着したのは言峰にとっても意外だったようだ。
しかし、自分が分からなかったものを同類の破綻者が理解し始めているその抜け駆けに対して言峰自身、若干の羨望も抱いていた。
「私が殺す。私が生かす。私が傷つけ私が癒す。我が手を逃れうる者は一人もいない。我が目の届かぬ者は一人もいない」
「打ち砕かれよ。
 敗れた者、老いた者を私が招く。私に委ね、私に学び、私に従え。
 休息を。唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる」
「装うなかれ。
 許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには闇を、生あるものには暗い死を」
「休息は私の手に。貴方の罪に油を注ぎ印を記そう。
 永遠の命は、死の中でこそ与えられる。
 ――――許しはここに。受肉した私が誓う」
「――――“この魂に憐れみをキリエ・エレイソン”」
洗礼詠唱。臓硯を無へと還す。
「……ふん。それにな、告白すれば八つ当たりでもある。
 以前からよもや、とは思っていたが、事ここに至ってようやく気が付いた。
 ―――私は、おまえたちを羨んでいる。求めても得られなかったもの。手に入れたというのに手に入らなかったもの。
 どのような戒律をもってしても、指の隙間から零れ落ちた無数の澱。
 その鬱積を、ここで帳消しにするのみだ」
HFルート終盤より。ついに桜を開放し、汚染された大聖杯の前に立った士郎とそれを守るように現れた言峰。元より相容れない目的の為に共闘していた両者が最後まで生き残っていたならばこうなる事は必然。満身創痍の体で対峙する中で言峰はついに自分でも自覚しきれていなかったアンリマユ誕生を渇望していた理由に気が付いた。ちなみにPC版で「八つ当たり」の部分はPS2版では「感傷」と書き換えられている。
「だがいい条件ハンデだ。つまるところ、私とおまえの戦いは
 外敵との戦いではなく、自身を賭ける戦いという事だ―――!」
HFルート終盤より。大聖杯の前で互いに満身創痍の体を押した最終決戦。格闘技術で圧倒する言峰であったが固有結界の暴走によって体中から剣が生えてくる士郎の体は殴る度に言峰の拳も傷付ける。どちらが息絶えるのが先か……長かったHFルートを締めくくる最後の泥仕合に空虚であった言峰も己の存在を賭けて叫ぶ。

Fate/Zero

それは許される事ではない・・・・・・・・・・・・!」
「英雄王、貴様のようなヒトならざる魔性なら、他者の辛苦を蜜の味とするのも頷ける。
 だが、それは罪人の魂だ。罰せられるべき悪徳だ。わけても、この言峰綺礼が生きる信仰の道に於いてはな!」
ギルガメッシュに自身の本性を指摘されて反発する綺礼。しかし、直後に再び、聖杯は令呪をもって綺礼を戦いの舞台にいざなう。
「……主よ……御名を祟めさせ賜え。御国を来たら賜え。天に御心の成るが如くに、地にもまた成させたまえ……」
父の遺骸を前にして、かつて掴んだ答えを思いだしかけた。心の内に居座った紅い双眸に邪笑とともに囁きかけられる。
バラバラになりかけた心を聖職者としての本分に立ち戻ることで緊縛した。
「異存はない。英雄王、お前もせいぜい愉しむことだ。望む答えを得るその瞬間まで、この身は道化に甘んじるとも」
紅い瞳と黒い瞳は互いに了解を交わしあい新たな一組が生まれた。
「闘争は人間の本性だ。それを根絶するというなら、人間を根絶するのも同然だ。
 これが無意味でなくて何なのだ?
 衛宮切嗣の理想とは――そもそも理想として成り立っていない。 まるで子供の戯れ言だ!」
衛宮切嗣の願望を知り同類と思っていた男は自分と違うのだとアイリスフィールとの問答で認識を改める。
「……ははッ」
「何なんだ? はははッ、何なんだ私は!?」
「こんな歪みが? こんな汚物が? よりにもよって言峰璃正の胤から産まれたと?
 ははははっ、有り得ん! 有り得んだろうッ? 何だソレは!? 我が父は狗でも孕ませたというのか!?」
「この世全ての悪」による火災を見て。初めて識った、己と世界との繋がりを実感し、歓喜と絶望を込めての言葉。
この世全ての、悪アンリ、マユ――」
焦がれるような想いを込めその名を口にした。次こそ、その誕生と存在価値を見届けなければならないとそんな考えを彼は懐いた。

トラぶる花札道中記

「ははは。はははは。はははははははははは」
「――お嬢さん。未婚の女性が、冗談でもそんな事を口にしてはいけないな」
ストーリーモード本編にて。タイガの無神経な言葉に落ち着いた口調ながらも爆発寸前。握りしめた拳から血が滴っている。それにしても、タイガをお嬢さんと呼ぶのは言峰くらいだろう。
「なんというねじ曲がった子供だ。 妻帯者として悲しいよ。いや、父親の顔が見てみたいものだ」
カレンチーム最終戦にて。とりあえず「鏡見ろ」とツッコミたくなる台詞である。
「父親」と限定している辺り、絶対わかってて言ってるだろオマエ。
「いや、運命とは皮肉な回りをするのだと噛み締めていてね」
バゼットチーム最終戦にて。自分が殺した人間が自分が追い求めた存在を連れて現れたら、そう言いたくもなるだろう。
「よろしい。では――不毛な与え合いを始めよう。ブラックサンタ」
「舞台からはじき出されたお前たちが何者になりえたのか。それを、私に教えてくれ――」
同上。世界の倫理からはじき出された神父は、世界から悪とされたモノとその相棒に問いを投げかける。
この最終戦は花札とは思えないほどのガチシリアスで、一緒にいるはずのランサーとギルガメッシュは一言も喋らず、顔すら見せない。
まあ、中ボスがカレンチームなので、ゲームシステム上はともかくキャラクターとしての槍と金はいなくてもおかしくはないのだが。

フェイト/タイガーころしあむ

「……まったく
 面影以外は何も似ていないな」
カレンルートで最後に贈った言葉。ただの独り言だというが……。
「いや、お気になさらぬよう。人として当然のことをしたまでです。」
言峰ルートにて。記憶を消され、ただのいい人となって登場した。
「なんですって!…この姿や作法は…間違い…。」
同上。凛や間桐桜キャスターに嘘を吹き込まれてきたが、やっと間違ってると指摘してもらえた。
「おお!おおおおおおおお!!!!!思い出した!私が何者なのか思い出したぞ!」
同上。「まぁまぁ、坊や」という言葉から「まぁ、坊や→まあぼう→麻婆」と脳内展開し記憶を取り戻した。どんだけ麻婆好きなんだ。
「我が教会、とは面白いことを言う。ここはいつから安酒場の借宿になったのだ。」
同上。教会を乗っ取ったカレンに対して。同族嫌悪から皮肉を言うのはいつものことだが、その中でも超ド級。
ニュアンス的には金で買った異性を連れ込む先であり……要するに娼婦呼ばわりしているも同然である。
「掃除させられたのは後ろにいる犬と猿か。するとお前は雉といったところか修道女。皆まとめてお供に加えてやろう。」
同上。つまり桃太郎は言峰なのでだんごの代わりに泰山の麻婆をご馳走してくれるらしい。
「おお…お前は…なるほど…そうか、私の消したい過去とは、心の底で願っていたものとは…。」
「お前との決着だったということか!!くっはっはっはっはっ!!」
同上。中断されていた衛宮切嗣との決着が、今、ここで!という所でEND。続きは無い。
「いや、違う。ただ、お前が街中走り回って苦労している様が見たかっただけだ……
 願いは、絶望するおまえの眼前で叶えねば意味がない。」
ランサールート。ランサーが来るまで願いを叶えなかった理由。これは本当に良い趣向だとカレンも楽しんでいた。
「仲良いなぁおい!!」とランサーが突っ込むのも当然である。
「私ならもっと最後まで上手くやってみせるのだが……ええい、もどかしい!!」
タイころアッパーのセイバーライオンルートにて。カレンの詰めの甘さが見るに堪えないし、ナレーター役も飽きたし。と出て来てカレンに加勢する。
「さて、最凶タッグここに再びか……行くぞシスター、遅れをとるな!!」
同上の続き。この神父、ノリノリである。
「いや失礼、お前の背が低くて丁度付いてしまうのだよ……まぁお前の髪も白いし、別に目立たないだろう?」
同上。カレンの髪に米をつけるという、しょうもない嫌がらせをしていた。どちらが先に手を出したか定かではないがカレンの方も言峰の腹を肘でドスドスしてるのでお互い様といえるかもしれない。
「ビューテホー。背伸びをしたがる子供のようで痛々しいが、それもじき消えよう。今のお前はそう、100点満点でいうなら――」
「1000点――だ。」
黒桜シナリオで、今の桜(黒桜)は100点満点でいうなら1000点と大絶賛。
元ネタは『超獣戦隊ライブマン』の大教授ビアス。要は中の人ネタである。
「はっはっは、人は皆迷うものだ。神父だってある!そーいう時もある!お前も迷ってここに来たのだろう?衛宮切嗣よ……」
「アッパー」アイリシナリオで、リーマン姿を掘り起こされまるで自身に言い聞かせるように話す。

Fate/unlimited codes

「――何を言う。泥に飲まれ、暴力に酔うおまえもまた間桐桜だ。
 異なる人格を用意し、間桐桜は悪くない、などと言い訳をする必要はない」
言峰ルート冒頭。ランサーとギルを飲み込み、「自分は生まれ変わった」と称する黒桜への一言。
Heavens Feelにて凛も行った「怪物としての桜を肯定する」という特大の地雷を容赦なく踏み抜く。開幕から本性全開である。
「ほう――これは惜しいな。その真実はぜひ私の口から告げたかったというのに。ギルガメッシュめ、余計な真似をしてくれた」
「当然だろう。恩師であったからな。騙まし討ちは容易かった」
「とうに覚悟を決めてきたわけか。つねづね惜しいぞ凛よ。真相を知った瞬間のお前の顔を見過ごしたのは」
凛から時臣の最期について問われ、一切悪びれもせず堂々と打ち明ける。相変わらずのド外道である。
「貴様……。聖杯を手に入れる気はないのか? 願望機に託す悲願はどうした?」
ランサールートのラストバトル前会話にて。「『破戒すべき全ての符』で文字通り契約をブレイクしてもらう」という裏技中の裏技で出し抜かれ、万策尽きた綺礼はランサーに問いかける。
しかし、聖杯にかける願いが無かったランサーにはこの問いかけすら一蹴される。どの道、この時点で綺礼に勝利のチャンスなど無かったのだ。

カーニバル・ファンタズム

「正直事後処理がめんどくさい」
「学校の生徒全員が衰弱しているなんて事態、どうやったって誤魔化しきれん」
第1話でいきなりぶっちゃけた弱音(しかも泣きながら)。彼だって人の子です。
「だっておまえ、ルール守らないジャン」
第9話の聖杯レースで飛び入りしてきたギルガメッシュにレースのことを教えていなかったことを責められて。こちらでは真っ当な主催者としての発言が多い。まあ、注意したところで聞くマスターもサーヴァントもいなかったのだが。
「TYPE-MOON10周年記念作品、その最終巻だと。なんたる狂気、なんたる狂演。この存在自体がまさに悪ではないか
 だが、私は誕生するものを祝福する。孵りたがっている命なら孵化させてやるのが愛ではないか」
「それでいい。元より答えなどない」
第3巻CMより。元ネタは『stay night』HFルートでの自分のセリフ。
これ以外にも、
「まあ今更なんだけどこのアニメ悪乗りしすぎじゃね」
「俺様の美酒に酔いな」
「切嗣君にも全然会えないし」
「イケメンじゃないほうのランサーも必死だ」
などカオスなセリフがオンパレードなものになっている。

とびたて!超時空トラぶる花札大作戦

「馬鹿を言うな。あのような愚かで不幸で破滅的な人間関係など見るに堪えぬ」
「いずれ遠からず最悪に無惨で嘆かわしい末路を辿るのは歴然……べつに見届けたいなんて、これっぽっちも思ってないぞ。私は」
ランサー陣営を見て嬉しそうにしてるとギルガメッシュに問われ否定するが、なんとも説得力のない言葉だった。
「これは……たまらぬ。あれをオカズに麻婆三杯はいけるかもしれん」
雁夜のあれさで麻婆がすすむ。
なお、ここで愉悦に完全に傾倒してしまった為に、ギルガメッシュからは人間性の底を見切られ、二人称が「言峰」になってしまった。
「もしもし!?お前、衛宮切嗣だろう!そこにいるのは解ってるんだぞ!」
セイバー陣営シナリオの最終決戦でアイリから携帯を奪い取り話しかけた。
その有様はストーカーそのものであり、アイリも「何この人怖い」とドン引いていた。これには切嗣も本気で相手にしたくなかったらしく、新手の居留守ともいえる手口でスルー。
「マスターをいとめたいギャル系サーヴァントのアナタ。
 机に向かいすぎで岩石のような肩をほぐしたいそこのワダアルコ」
「いまが旬だよ、入っていきな~」
EXTRAのシナリオで番台として最後に登場。
「はーい、ありがとうございまーす。アーチャー君。
 あちらのお美しいお嬢さんにドリンクを。そのあと薪割りね」
同上。赤セイバーキャス狐には陽気で気さくな対応しつつアーチャーはこき使われていた。

ちびちゅき!

「おかしいのは貴様だ! マーボーが主役でなくてどうする!!」
3時限目。「マーボーカレー」か「カレーマーボー」つまりどっちが先かでシエルと揉め即同盟解消であった。
「よりによって食堂であのような醜態を晒しているだと…!?」
4限目。食堂で麻婆屋台を出している未来の自分にイライラしていた。
「これは…イケる…!!」
8時限目。稼ぎ時なのに麻婆の売れ行きが芳しくないと相談した結果、ギルガメッシュ発案「団子に麻婆をかける」という新メニューに言峰は活路を見出した。
が、その後の結果は変わらずで落ち込む。そしてそんな『stay night』言峰を『Zero』言峰は複雑そうに眺めていた。

カプセルさーばんと

「まずは地方巡業だ、いくがいい」
エリザベート召喚時。プロデューサー(愉悦P)、はじめました。
「破壊工作とは趣味が合うな」
ロビンフッド召喚時。趣味が合いそうなのは綺礼の天敵のような気もするが。

その他

「それは、ただ唐辛子が山のようにぶち込まれた一見雑な料理にも見えるが、豆腐を口に含んだ瞬間舌を焼く刺激がたまらない味覚をもたらす。
 そう、辛さこそ至高、辛さこそ究極の味覚」
「マグマのような辛さが全身に染み渡るのを感じる。口にするたび脳を焼くこの辛さこそ価値ある刺激だ
 だがまだだ。まだ腹は満たされない。刺激がまるで足りていない。店主、おかわりだ」
アンソロジードラマCD『イートイン泰山』より。「紅洲宴歳館・泰山」の麻婆豆腐の感想。もはや料理といえるのだろうか。ちなみに、辛味は痛覚である。
「おまえたち全員バーサーカーなんじゃないの」
「Fate/mahjong night 聖牌戦争」にて。
ここでの綺礼は、ほとんど被害者根性である。

メモ

  • 初期のキャラクターコンセプトは、「会った瞬間黒幕と判るヤツ」。
  • 魔術師としては平凡にもかかわらず、サーヴァント2騎への魔力供給に支障は無かった。これはギルガメッシュは半ば受肉していたために魔力がさほど必要なく、ランサーの方は令呪で能力を制限して魔力の消費量を抑えていたためである。
  • 『stay night』の時点では、「代行者としての実力は埋葬機関の七位に及ばない」と言われたものの、「最盛期(『Zero』で切嗣と対決した瞬間)の綺礼ならばシエルに勝てる。この時の綺礼は異常な数の令呪を所有していた事と切嗣に対する妄執が要因で人生で一番輝いていた瞬間だった」と奈須きのこ氏は言っている。
  • 第四次で持ち前の八極拳のみならず、璃正から受け継いだ預託令呪をバンバン使って切嗣を苦しめた綺礼。最終決戦終了際で、預託令呪は残り八画となった。
    第四次終了後、聖杯が回収した第四次の残りの令呪が再び綺礼に託されたはずだが、第五次の時点での正確な残存数は判らない。
  • 第五次で綺礼は間桐桜の治療ために、「父から譲り受けた魔術刻印を使い切った」「もともと魔術師の家系ではないので、刻印は消費型で、格の劣る令呪のようなもの」と述べている。これは預託令呪のこととも思われるのだが、この後にアインツベルンの森でアサシンと戦う際、綺礼は前回の聖杯戦争から使い残した令呪を戦力として数えており、預託令呪を残していることがわかる。
    • これに関し、『Zero』の時点で綺礼は魔術刻印を持っていないことが明言されている。魔術師でもない聖堂教会の神父だった父から令呪ではない魔術刻印を譲り受けた、というのも、発言者が綺礼だけに、非常に嘘くさい話である。
  • 迷い苦しみ、後に悟った破綻者ではあるが、信仰心は本物で、凛曰く「聖職者としては完璧だった」。『Fate/EXTRA』でも言峰を再現したNPCが「根は聖職者だったようだ」と再現元の人物を評している。
    • 実際、冬木教会の神父となってからの十年間は地元民からの受けも良く、神父としても好かれていたようである。行く年来る年を一日で台無しにできるから大晦日のミサが大好きだったそうであるが、自分自身を見つめ直すきっかけになることから参加者は全員「参加してよかった」と思うそうである。また、この教会で結婚式を挙げたカップルも同じ理由で概ね満足しているそうである。
  • 『Fate/Apocrypha』での綺礼はこの世界では第四次聖杯戦争が起きなかったことで、己の資質に目を向けることがなかった彼は今も冬木で極めて真っ当な神父として暮らしているが、同時に己の存在意義や業に苦悶中となっている。
    • 亜種聖杯戦争にでも参加していれば話は変わっただろうが、冬木にいる限りその機会は訪れることはまずない。
  • 第五次における彼の目的は「この世全ての悪」の誕生を見届け、それを祝福することであるが、皮肉にも「この世全ての悪」はその誕生を見届けるための手段として自身がサーヴァントと令呪を奪った相手であるバゼットと契約してしまった。
  • 士郎に対する聖杯戦争のルール説明、時臣の遺産管理、凛への誕生日プレゼントなど、非常に大雑把で適当な処理を行うことがままある。
  • 第四次から第五次聖杯戦争までの10年間で成人してから8cmも身長が伸びた。しかも体重は全く変わっていない。
    ファンからはよく「聖杯の泥を被ったからか?」と言われる。内実はイメージ調整による副産物である。
    虚淵氏が『Zero』第一稿において193cmという第五次での身長を意識したあまり、「巨漢」「雲を衝くような」といった表現をヤング綺礼に対し用いたことで「イメージじゃないよね……」とTYPE-MOON首脳会議が開かれ、さりげなく身長の方が変更に。すごく伸びたというより、すごく縮んだ。
  • コンプエース2009年2月号付録ドラマCD「迷わぬ人々」(現在はアンソロジードラマCDvol.1に収録)における、幼少時の凛の評によれば、第四次の頃の私服姿はイヤリングもしていたりと「ずいぶんとおしゃれ」。ただし「あなた修道服以外に服を持っていたのね」とのことで、本人からすれば私服姿は身バレを避ける目的の「変装」であるらしい
    • ソフトウェア流通版Zero1巻表紙のヤング綺礼の耳には本来、十字架のイヤリング(ピアス?)が描かれている。その綺礼の姿を虚淵氏はいたく気に入り、以後描かれなかったことを惜しんで「(イヤリングは)礼装ってことにすればよかった」と宣ったほど。
    • なお、修道服の下は鋼鉄のように鍛え上げられた肉体が隠されている事が『Zero』の漫画版で明らかとなった。
  • 「もしかして美味いのか。あのラー油と唐辛子を百年間ぐらい煮込んで合体事故のあげくオレ外道マーボー今後トモヨロシクみたいな料理が美味いというのか。」士郎の抱いた外道マーボーに対する評価。作る勿れ。
    • 余談だが、アニメ『Fate/Zero』放送終了後主要都市と徳島県で開催された『第四次聖杯戦争展』にて、綺礼イチ押しの『泰山の激辛麻婆豆腐』が販売された。怖いもの見たさからか、来場者のみならず出演声優陣も注目していた。味は確かに辛いが、外道というほどではない。ネタ的な意味でも、普通に食べられるという意味でも美味しい商品……と言えるかもしれない。ただし、辛いものが苦手な人はやはりやめておいた方が無難。
    • 『Fate/unlimited codes』のPS2版には、「衝撃のマーボー」というミニゲームが新録されている。言峰を操作して制限時間内に麻婆豆腐を完食するというものだが、この麻婆、食べるごとライフが減っていく。もし完食できなかった場合、言峰は「くっ!」と言ってテーブルを叩き本気で悔しがる。
  • TYPE-MOON10周年記念オールキャラクター人気投票では『stay night』版が27位(2752ポイント)、『Zero』版が21位(3517ポイント)。ちなみに双方のポイントを合算すれば切嗣(6154ポイント)を上回り11位となる。
    • 3人のキャラに投票方式で、言峰は『stay night』と『Zero』で二つ枠が用意されており(ギルガメッシュも二つ枠だがセイバーは『stay night』のみ)、両方に入れた層も当然それなりにいるだろう。そのため単純計算して「別枠扱いでなかったら切嗣より上」という確信はないと思われる。
  • 本来は聖職者だが、近年ではスピンオフ作品で接客業・販売業・飲食業などの商売人としての活躍も目立つ。どれもこれも胡散臭さは付きまとうものの、これだけ手広くやっているとなると意外にも性に合っている……のかもしれない。
  • 『Fate/Zero』の裏主人公で、ギルガメッシュと並んで虚淵玄氏の最愛キャラ。ぶっちゃけ『Zero』書きたい欲求の7割は言峰だったかもしれないらしい。
    『stay night』の言峰が持ってる「悟りと余裕」を剥奪し「迷いと葛藤」を付加したのが『Zero』における言峰のキャラ設定。
  • 『氷室の天地』には直接登場しないが、設定自体は存在する。やったことは遠坂家の財産を本筋より若干多めに売り払った程度なのだが、その事が巡り巡って世界の有りようを大きく変える(具体的には犠牲者が大幅に減る)ことにつながる。

話題まとめ

綺礼の妻
まだ迷い悩む渦中にあった綺礼が、「人並みの幸福のカタチ」を得る試みとして迎えた妻。死病を患っていて、余命のない女性だった。「そんな女だから選んだのか、その女しか選べなかったのか。その基準だけは、こうして思い返しても判らない」と綺礼は述べている。
共に暮らしたのは2年ほど。その間に子供を儲けている。
病弱だが信心深く、男の憤怒を理解し愛して癒そうとした女性で綺礼からすれば「聖女」だった。
最期は、「私にはおまえを愛せなかった」と告げる綺礼に対し、「――いいえ。貴方は私を愛しています」と告げ、微笑みながら自害した。綺礼が人を愛せることを証明するために。
女には、最期に綺礼が泣いているように見えた。女には。
確かに綺礼は女の死を悲しんだ。だが、悲しんだのは「どうせ死ぬのなら、私の手で殺したかった」からだ、と綺礼は述懐する。
――その、自分の手で殺したかったという願望が、ただの「快楽」のためであったのか、「愛したものだからこその悲哀」なのか、綺礼は考えることに蓋をした。女の死は「無意味」だったと断じながらも、「無価値」にはしたくないと、考えることを止めた。
なお、この影響かどうかは不明だが、『stay night』の桜ルートにて、士郎と共にアインツベルンの森でイリヤを逃がそうとした際に、「助けた者が女なら殺すな。目の前で死なれるのは、中々に応えるぞ」と士郎に漏らしている。
  • 以上は『stay night』での綺礼。
    『Zero』での綺礼は未だ悟りを得ていないため、妻に関する記憶をねじ曲げて、この時覚えたはずの「どうせ死ぬのなら、私の手で殺したかった」という思いを封じ込めた。
  • 後に同様の思いを父・璃正の死に際しても懐いたが、当時の綺礼はまだ自身の本質を理解したくなかった。認めたくなかった。それゆえに妻の時と同様にその思いを封じ込めた。
    また、後に間桐臓硯が父の死を弄ぶような発言をした際には、悟りを得た後だったもののまだ直後だったゆえか、臓硯に反発している。
  • 『stay night』では妻の死の時泣いてないとされているが『Zero』だと妻の時も父の時も涙を流しているとされている。
  • 奈須氏は綺礼の妻を「アルビノで、免疫機能が欠如した人でした。なので些細な傷でも死に繋がるし体もボロボロでした」と説明している。なお、綺礼は妻を娶ったため、神学校を自己退職している
  • TYPE-MOONエース VOL.8の質問コーナーにて、クラウディアという名前と判明。
  • 『Zero』当時24歳と推測されていたが、Q&Aにて28歳に変更された模様。
綺礼の懊悩と悟り
『Zero』と『stay night』で第四次聖杯戦争以前のことについての回想が異なるが、『Fate/Zero material』によると、『Zero』当時はまだ『stay night』の時のような悟りと余裕がなく、迷いと葛藤から自らを内省するにあたって、かなり過去の記憶や事実関係(奥さんに関する記憶はその最たるもの)をねじ曲げて語っており、そのため10年後の達観した自己分析のほうが的を射ている、とされる。
実際『Zero』の作中で死別した奥さんのことを思い出そうとすると立ち眩みのような感覚に陥り靄がかかるように思考が散漫になるなど、明らかに異常な反応を示しているシーンもある。
これらを踏まえて言峰の内面の経歴を辿るなら――
1. 生まれてから健やかに成長し、父の語る「美しいもの」がなんであるかわからず父を愛せないながらも、父の期待に答えるために道徳と良識を学ぶ。
2. ある日の朝、父が美しくあれと祈って付けた綺礼という名を一度たりとも美しく感じたことがないと気付いたことで、自分が美しいと感じるもののと周囲との齟齬を理解し、人並みの事柄で幸福を得られない自分を人並みに戻し救おうと、神への信仰や様々な功徳や苦行を行う。
3. 10年に渡る試みの中で得られたのは自分には生まれつき「人並みの幸福実感」がなく、「他者の苦しみ」に勝る悦びが見いだせないという結論と、それに伴う自分のような人間が存在することへの「なぜ」という疑問だけ。
4. 「生まれながら欠陥している」という事実を受け入れた後、それを克服するためのあらゆる努力の中で最後の試みとして人並みの幸福を得ようと、一人の女を愛そうと考えた。
5. 妻との生活は二年に渡り、子もできたが言峰にとっての幸福は女の苦しみ、我が子の絶望だった。愛そうとすればするほど愛する者の苦しみだけが救いであり、そんな自分を女が癒そうとすればするほどこの女の嘆きが見たいと思う自分がいるだけだった。妻ほど自分を理解し癒そうとする人間はこの先現れないだろう、そんな妻でも癒せないなら、もはや生きて是非を問うまでもないと、自分の誕生は間違いだったとして自害を決める。
6. 自分の試みのために妻とした義務として命を断つ前に別れを告げに行くが、妻は言峰が人を愛せ生きる価値があると証明するために自ら命を断つ。その時言峰が思ったのは女の死を愉しめなかった、という損得の悲しみだけだった。
7. この妻の死の際に懐いた感情を当時の言峰は直視できず、受け止められなかった。妻に関する記憶を「妻も自分の人格の欠落を理解していなかった」ことにする、妻にも感じてしまっていた「他者の苦しみの悦び」とする自身の性質を忘れるなど、自分の本性から意識的・無意識的両面で目を背け遠ざけるようになる。
8. その少し後に令呪が現れたことで『Zero』における「人並みの幸福実感」を得られないか試行錯誤しつつも父の要請に従っての第四次聖杯戦争と、その経歴から空虚な徒労を繰り返した果てに答えを得たと予想した衛宮切嗣ならば、自分が抱き続ける「なぜ」という疑問への答えを出せるのではないかと期待する。
9. その中で英雄王ギルガメッシュと出会い、彼から自分が他人の不幸を愉悦としていることを指摘され、そしてその悦を自ら進んで行うことを教唆されたことで、目を背け忘れていた己の悪性と、改めようとするだけだったかつてとは違った形で再び対峙することになる。
10. 自分から意欲的に人の不幸を作り味わうというこれまでの人生で始めての経験と満足感、衛宮切嗣が自分が求めていた人並みの幸せを無価値とする男だったことへの憎悪、冬木大火災の地獄絵図の光景を見たことで感じた至上の幸福感を味わうことで開花、単に「他者の苦しみ」だけにしか幸福感を得られないというだけでなく、それを至福と感じる自分の本性を完全に自覚し、『stay night』のような悟りと余裕を得ると共に何故自分のような存在が生まれたかという過程への問いも明確化する。
11. 人並みに愛情は持てずとも、物事を美しいと感じる事はできる。基準は違うが、愛情という物がある事に変わりはないとして、周囲との齟齬がある自分を許す必要がなくなったことで自分への達観した自己分析も行えるようになり、過去も正確に受け止められるようになるが、妻の死が無意味であっても無価値にすることを嫌い妻の死の際に感じたモノが快楽によるものか悲哀なのかだけは意識的に答えを出すことを止めている。
――のような感じになると思われる。
迷いながらもそれ相応に淡々と進んでいた人生が妻の死の辺りで大きく変動する辺り、言峰の妻への複雑な想いが見て取れる。

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脚注


リンク