概要
「[[ランサー|槍兵]]」の[[サーヴァント]]。
;略歴
:『Fate/Apocrypha』では赤のサーヴァントとして現界した。規格外の力を持つ破格の大英雄であり、赤陣営においては[[アキレウス|赤のライダー]]と双璧を成す二枚看板と称されると同時に、マスターの命令に忠実に従う性格から[[天草四郎時貞|シロウ]]達に便利な駒として重宝されている。
:彼らから聖杯戦争を司る[[ジャンヌ・ダルク|ルーラー]]の抹殺を命令され、ルーラーと相対したところで[[ジークフリート|黒のセイバー]]と邂逅。夜明けまで撃ち合うが決着はつかず、お互いを称えながら、再戦を誓い別れを告げる。
:“黒”と“赤”の全面対決では、黒陣営の首魁である[[ヴラド三世 (Apocrypha)|黒のランサー]]と対峙する。知名度補正とスキル『護国の鬼将』によりトップクラスのサーヴァントすら凌駕する力を得た黒のランサーから地の利を生かした猛攻を受けるが、マスターの負担を慮って鎧以外の宝具を封じた状態でもその比類なき武練と精神力で圧倒し、あと一歩まで追い込む。だが黒のランサーが[[ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア|ダーニック]]によって吸血鬼化し、ルーラーの討伐命令によって黒のサーヴァントと共闘する事となる。
:そして、ダーニックを追った先で自らのマスターがシロウ達に傀儡とされていた事を知る。そこで憤慨する[[アタランテ|赤のアーチャー]]や[[アキレウス|赤のライダー]]と異なり、シロウを守り彼に協力する姿勢を見せる。だが「施しの英雄」である彼にとって「マスター」とは、例え顔も名前も分からなくても、自分の力を必要とし助力を乞おうと決意した召喚者に他ならず、シロウに協力するのも「マスターのため」に過ぎなかった。
:また黒のセイバーに乞われた「再戦の約束」にも応える為、自分が利用されていると知りながらも彼らの敵対者である赤のサーヴァントとして全霊を以て戦うことを決意する。
:『[[Fate/Grand Order]]』の第五特異点『[[北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム]]』では西暦1783年のアメリカに召喚され、大統王[[トーマス・エジソン|エジソン]]に頼まれて西軍側の将となった。
:当初は理念の違いで[[主人公 (Grand Order)|主人公]]達と敵対する事になるも、最終的には同盟を組む。同じく召喚され敵陣に付いた宿敵[[アルジュナ]]を討ち取るべく先陣を切り、いざ迎えた一騎打ちではアルジュナを勝利目前まで追い詰めたが、文字通り横槍を入れる形で出現した[[クー・フーリン〔オルタ〕|狂王クー・フーリン]]の不意打ちを受け致命傷を負う。その後は最後の力で不完全な状態ながら『日輪よ、死に随え』を発動、消滅と引き換えに狂王に大火傷を負わせ撤退に追い込むことに成功した。
:終局特異点『[[冠位時間神殿 ソロモン]]』では冠位時間神殿に召喚され、アルジュナをはじめとする他のサーヴァント達と共にⅤの座を統括する[[ハルファス|兵装舎ハルファス]]と交戦する。
:第四異聞帯『[[創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ]]』ではカルデア側の戦力として、インド異聞帯にて現地召喚される。そこで迎えた最初のカリ・ユガの際、自身らの前に姿を現した人物を一目でアルジュナだと見抜いて断定するが、異聞帯の絶対神となった[[アルジュナ〔オルタ〕|神たるアルジュナ]]からは「不出来、不要」と見なされ、その視線は黙殺される。彼の圧倒的な力と迫り来る裁きを前に憤慨しつつも撤退するほかなかったが、彼の裁きから唯一逃れる手段となっていた虚数潜航が僅かな時間差で間に合わないことがわかるとその身を挺して『日輪よ、具足となれ』を展開、一瞬だがスーリヤの光となって『帰滅を裁定せし廻剣』の衝撃波を数秒間受け止めた後、そのまま消滅する。
:その後はアルジュナが「不出来で不要」と認識したものが消し飛ばされた後に送られる「果て」にて実体のない意識のみの状態で漂っており、そこへ降りてきた[[アシュヴァッターマン]]の協力を受けて、相当の苦艱と苦行に苛まれながらも神の領域へと至ったアルジュナに見合うだけの力を以て相対するべく修行を積む。打ち合いの果てに十分に力が馴染んだところで彼の霊核とシヴァ神の力を借り受けて再度現界を果たし、[[ラーマ]]からもヴィシュヌ神の力を借り受けたことでさらなる強化を受けた。
:再び顔を合わせたアルジュナとの問答の末に、アルジュナの中でごく僅かながら燻っていた「人間性」を呼び覚ましたことで彼の持っていた「神としての完全性」を意図せずとも突き崩すことに成功し、お互いへの執心を露わにする。空前絶後の大決戦を辛うじて制した後は悔しさを滲ませるアルジュナへ言葉を掛け、「不完全でありながら完全を目指そうとする」その姿こそが正しかったのだと諭し、その最期を見届けた。しかしながら彼との戦闘で力を使い果たして限界が近づいていたこともあり、最後はラーマとアシュヴァッターマンに借り受けていた力と霊核を返却すると同時に主人公達へ後を託して消滅した。
:2024年夏イベント『BBプレゼンツ☆セレブサマー・エクスペリエンス!』ではカルデアの同行者として登場し、続く奏章Ⅲ『[[新霊長後継戦 アーキタイプ・インセプション]]』では主人公らと離れ離れになって[[殺生院キアラ〔ムーンキャンサー〕|キアラ]]の護衛に就くも、後に離反してカルデアと合流している。
:『[[Fate/EXTRA CCC]]』ではムーンセルの聖杯戦争に参加していたサーヴァントの一人。[[ジナコ=カリギリ|ジナコ]]は黙っていたが、気付いていた[[間桐桜 (EXTRA)|桜]]の言葉で存在が発覚し、[[主人公 (EXTRA)|主人公]]に協力を求められるが、事情あって断る。後に[[BB]]の手に落ちたジナコのサーヴァントとして主人公の前に立ちはだかる。
:『[[Fate/EXTELLA]]』では『CCC』の聖杯戦争後、ムーンセルによって召喚されている。玉藻の前の副官として迎え入れられているが「道を踏み外せば臣下として討つ」と明言しており、基本的には放任主義を貫いている。
:『[[Fate/EXTELLA LINK]]』では[[カール大帝]]の“天声同化”を受けたことで彼の側につき、序盤から主人公たちと敵対。ローマを強襲した際に[[シャルルマーニュ]]と一戦交えたあと、一旦勝負を預けて撤退する。
:第一ルートではシャルルマーニュ、そして主人公たちに助力していたアルジュナと終盤に対峙。機動聖都からの魔力供給を受けて盤石以上の力を振るい、一時は二人を圧倒するも、シャルルマーニュとの一騎打ちを経てついにアルジュナとの一騎打ちに発展。最終的には相討ちとなり、宝具が炸裂したことで発生した光に飲み込まれるように消えていった。
:第三ルートでは機動聖都に訪れていた[[アルテラ (EXTELLA)|アルテラ]]の依頼を受けて彼女に付き添い、主人公たちとの戦いに挑む。その後、“天声同化”が解けたことで今度は主人公たちに協力し、最終決戦時には再びアルテラを守るために戦った。このルートでは終盤にかけてアルジュナと共闘しており、決闘でも競争でもない、彼らにとって「初めての」共同戦線が実現している。
;人物
:肉体と一体化した黄金の鎧と胸元に埋め込まれた赤石が目を引く青年。
:全ての物事を「それも有り」と解釈し、下された命令の好悪は考えず、その命令がどういう事態を引き起こすのかも敢えて思考を止めている。彼にとっての第一義は自らを召喚したマスターに仕えることであり、命令に逆らう事はまず無い。そもそも逆らうという考え自体が存在しないように振舞っている。
:絶世の美男子だが、目付きは鋭く、他人を寄せ付けないものがあり、幽鬼のような白い肌といつも表情を崩さないため冷酷な人物に見られがち。敵には容赦なく、言動も余分なものが無いため、一見すると人間性を感じさせないが、本当は思慮深く義理堅い人物。顔の知らないマスターであろうとも、その安否や負担を忘れる事は無く、戦闘中は常に自らの能力に制限を用いて戦っている。
:彼は万人に対して平等であり、また、万人を“それぞれの花”として敬う。その徳を積んだ人柄と生前の生き方から「'''施しの英雄'''」と称され、他者の頼みは道理さえ通っていれば大抵は断らず、それは敵対する者であっても例外ではない。多くの偏見から決して公には認められなかった武術の技量と高潔な精神を併せ持つ。
:我欲が薄く、快楽とは遠い人物ではあるが、自らの力を振るえる戦場は唯一の例外であり、闘いによって心を踊らせる生粋の戦士としての性格を露わにする。特に強敵であればある程にその喜びは増し、初戦において自身と対等に渡り合った黒のセイバーの武練を賞賛している。
:天涯孤独の身から弱きものの生と価値を問う機会に恵まれた彼は、相手の属性や性格を看破し、自らを偽る言動、取り繕う態度や信念などを全て暴き出す。また彼の言葉は非常に率直で、あらゆる欺瞞、虚飾を切り捨てる鋭さがある。これが『悪』と勘違いされる最大の原因で、相手が言われたくない事やその本質を語るのみならず、その余りの率直さによって相手の怒りを買い、大抵の相手に嫌われて戦闘を余儀なくされてしまう<ref group="出" name="『Fate EXTRA material』p.172">「Fate/EXTRA用語辞典-カルナ」『Fate EXTRA material』p.172。</ref>。
:しかし、彼の言動は他者の短所を嫌悪してのものでない。彼に取って、相容れぬ信念も理解出来ない美醜も尊ぶもの。人それぞれの立ち位置を肯定する彼にとって、相容れぬ信念も理解できない美醜も嫌悪の対象にはならず、「それもまた良しだ。…いや。正直、少しばかり羨ましい」と内心では感心している<ref group="出" name="『Fate EXTRA material』p.172" />。
:だが彼は無口で激昂した相手を宥められるほど器用ではなく、“本当に伝えるべき感想”を表だって出さないため、結果として“あらゆるものを嫌っている”人物であると誤解されてしまう。サーヴァントとしてこれ以上ないほどの人物だが、敵どころか自分のマスターにすら嫌われやすいのは、この口下手さが原因である<ref group="出" name="『Fate EXTRA material』p.172" />。
:『Fate/EXTRA CCC』でもそのスタンスは変わらず、寡黙な武人であり、たいていのことを「それもあり」と認める度量を持つ。マスターに仕えることのみが彼の願いであり、それゆえに主の命令がどのようなものであれ忠実に従う。しかし、その行動がマスターに取って最も必要な事だと判断したならば、例えマスターの命令だろうと刃向かう意志を見せる。彼に取って全ての人間は等価値であり、ソレは強大な力を持つ自身も含まれている。故に自身を求める声があるなら無条件で召喚に応じるし、どのようなマスターであれ仕えるのは変わらない。
:そして、主である以上は自らの命がある限り守るのは変わらないという。ジナコの不健全な生活習慣については良い印象を持っておらず、時に苦言を洩らすこともあるが無理に改善させようとはしない。本人の意思で変わらなければ意味は無いと思っており、あくまで彼女自身の意思を尊重させる。
:物静かで冷静な態度を崩さないが、言葉の端々から気遣いや優しさのようなものが見え、主人公には良い印象を抱かれている。また、やや天然の一面があり、素でボケている場面がしばしば見られる。
:ジナコにはやや口うるさいことが災いして嫌われているが、カルナ本人がジナコを尊重しているため、険悪なムードには見えない。その態度はこちらのサーヴァントにも同様で、的確な評価をしているが悪意をもって悪し様に言うことはない。
:『施しの英霊』としての在り方も変わっておらず、主人公に頼み事をされた際、ある事情から断ったものの、ジナコはその時のカルナが本心では「力になりたくてたまらなかった」のだろうと考えている。
:位置的には中庸だが、本人が善であることを良しとしているので性格は善<ref group="出" name="『Fate EXTRA material』p.171">「Fate/EXTRA用語辞典-カルナ」『Fate EXTRA material』p.171。</ref>。
:『Fate/EXTELLA』での彼はマスターのいないサーヴァントのため、玉藻の前陣営に所属しているものの「請われて」参戦しているだけにすぎない。そのため『CCC』と比べるとかなり淡白な印象を受けるが、彼が主役となるサブストーリーにおいてはマイペースぶりが伺える。
:『Fate/EXTELLA LINK』では一転して敵方へ回っているが、これはカルナが相手の在り方を肯定して「それもあり」とする性質が災いし、[[カール大帝]]の“天声同化”にかかってしまったものと思われる。
:『Fate/Grand Order』でも概ね上記の性質から変わらないが、生前からのライバルである[[アルジュナ]]にのみ例外とも言える執心を垣間見せている。インド異聞帯においてはそれが特に顕著に表れており、[[アルジュナ〔オルタ〕|異聞帯における彼]]がカルナへ視線すら向けずに黙殺したことに対して不愉快さを募らせているほか、想像を絶する程の苦痛や苦難を飲み込んでついには孤独な神へと成り果てた彼に対し、宿敵として(そして兄としても)並び立つに相応しい存在となるべく「果て」で修行を積むなど、カルナなりの礼節や誠意も見られる。
;能力
:[[ギルガメッシュ|英雄王]]と同等の力を持った破格の大英雄。宝具とスキルの使用に制限を課した状態でなお最強クラスのサーヴァントと互角以上に渡り合う、桁外れの戦闘力を誇る。
:人が扱うものとは思えないほどの大槍を並ぶものなき技量で操り、七十を超える回数の刺突を瞬く間に急所に直撃させる正確無比にして神速の槍撃を放つ。卓越した業と凄まじい膂力からなる槍撃は一撃一撃がAランク相当という凄絶なまでの威力を有し、その全てがサーヴァントに致命傷を負わせうる。とりわけ槍の技量は正しく神域に到達しており、神槍の異名を持つ[[李書文]]をして賞賛の念を抱かせるほど。その近接能力は破格の防御宝具を有する黒のセイバーに匹敵し、技の卓越性において僅かに上回る。
:最高ランクで所有する[[スキル (サーヴァント)|スキル]]『魔力放出(炎)』から、戦闘においては燃え盛る炎を様々な形で応用し攻防一体の武器として用いる。太陽神としての性質を持つカルナの場合、この『魔力放出(炎)』ですら宝具級の規模と威力を持ち、さながら太陽の如く焔を纏うことで外敵のみならず宝具をも焼却するほか、指向性の太陽熱として地上を灼き尽くす勢いで放射することも可能。魔力放出を乗せた槍の一閃は、ランクA+に相当する宝具の一撃すらも真正面から切り裂き無力化する。
:『魔力放出(炎)』の応用の一環として、炎を翼のように広げつつジェットの如く噴射することで、ジャンボジェットと同等以上の速度と瞬間的な次元跳躍能力という驚異的な飛行能力を持つヒポグリフにぴったり喰らいつける速度で自在に飛行可能。ただし、マスターにかける負担が大きいため、彼自身最大出力での使用は自重しており、10秒未満に限っている。
:また「[[アーチャー]]」の適性も持っているため、夜間において数キロ離れた先にいる車のナンバープレートを確認することが出来るほどの超視力を有している。
:だが彼の最大の武器とは神々から与えられた宝具でも、生まれ持った異能でもなく、“意志”の強さである。彼はあらゆる不幸を受け入れながら誰一人として恨まず、誰よりも特別な物を与えられても、それによって己を他者とは違う「特別」としなかった「施しの英雄」である。故に臓腑を抉られ、腕の神経を断たれ、体内に炎を循環させるという荒行でも彼に膝をつけさせることは出来ず、例え致命傷を負おうと、その強靭な意志の強さで瀕死の状態のまま存命する事が可能。
:太陽神の血を引く存在として特殊な神霊適性を所有しており、『神性』B以下の太陽神系の英霊に対しては更に高い防御力を発揮する。
:『Fate/EXTRA CCC』でも最上級の英霊とされ、最強クラスのサーヴァントである[[ギルガメッシュ]]や、十全の状態の[[ガウェイン]]と同格とまで目される程の存在感とそれに違わぬ強大な力を持つ。
:だが、ジナコが魔術師として平均以下なためにその能力を十全に発揮できておらず、火力もマスター差でガウェインには及ばないと評されている。また宝具の一つである「黄金の鎧」も耳輪を除いて失っており、この影響で宝具『日輪よ、死に随え』のランクも下がっているなど、全体的に大きく弱体化している。
:ただ、「黄金の鎧」を所持していないのはとある場所に置いて来てきたためであり、終盤にその所在が判明する。
:『Fate/EXTRA CCC』においては魔力供給が不足しているせいか拳による殴打を主体とし、槍は一瞬だけ実体化させて闘う。それでも強大なサーヴァントであることには変わりなく、中盤における壁として主人公達の前に立ちはだかる。
:『Fate/EXTELLA』でも相変わらず「黄金の鎧」は所持していないが、魔力面が改善されたためか実体化させた槍を振るって戦う。槍の形状は『Fate/EXTRA CCC』同様に『日輪よ、死に随え』発動時の巨大な神槍となっている。
:インストールスキルのスロットは4+4と非常に優秀。さらに攻撃の多くに火炎ないし雷撃の追加効果を持っているため、単純な火力だけではなく状態異常を狙った器用な戦い方もできる強力なサーヴァントになっている。
:「黄金の鎧」を所持していないのは、『Fate/EXTELLA』に登場するAIや人、サーヴァントが聖杯戦争終了時の状態そのままにSE.RA.PH内の新天地に送られてくるため。要約すると、鎧によってジナコを救った時そのままの状態で送られてきているためである。