ロード・エルメロイⅡ世の事件簿

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ロード・エルメロイⅡ世の事件簿[編集]

著者、三田誠
イラスト、坂本みねぢ


Fateシリーズに幾度となく登場する魔術師ウェイバー・ベルベット、又の名をロード・エルメロイⅡ世。

その生涯で星を得る事は無くとも、誰よりも星を知る彼を主人公として、魔術と神秘、幻想と謎が交錯する世界を描くミステリー作品。


世界観としては正史に近く、時系列的には第四次聖杯戦争から10年後、第五次聖杯戦争開始の少し前頃。

2014年12月に第1巻が発売。

登場人物[編集]

ロード・エルメロイⅡ世
主人公であり「探偵役」。
アーチボルト家再興のため、そして第四次聖杯戦争後に自ら決めた「誓い」を果たすため、多くの謎に関わっていく。
本作では第四次聖杯戦争後、「ロード・エルメロイⅡ世」として彼がどのように過ごしていたのか、戦いを終えてどのような思いを抱いていたのかが語られていく。
グレイ
ロード・エルメロイⅡ世の内弟子であり、この物語の「助手役」と呼べる存在。
灰色のフードで銀髪を、マントで身体を隠した謎多き少女。師と共に事件に飛び込んでいくが、推理は苦手。
彼女本人は純粋な魔術師ではなく、「さる英雄が眠りし地」と言われる霊園からロード・エルメロイⅡ世が見出したとの事だが……。
ライネス・エルメロイ・アーチゾルテ
ロード・エルメロイⅡ世の義理の妹であり、アーチボルト家現当主。
御家再興のため、そして義兄の願いを叶えるため、彼の元に謎や事件を持ち込む。
フラット・エスカルドス
ロード・エルメロイⅡ世の弟子の一人。『天才馬鹿』の異名を恣としている。
スヴィン・グラシュエート
ロード・エルメロイⅡ世の弟子の一人。フラットからは「ル・シアン(仏語で「犬」)」という不本意なあだ名で呼ばれる。
グレイのことを「グレイたん」と呼び衆目も気にせず追い求めたり、犬並みに匂いだけで存在を探り当てたりとどこから見ても立派な変態ではあるが、顔と血統は良いので今のうちにつばをつけておこうと目論む女子学生もそれなりにいるもよう。
なお、『Bloodborne(ブラッドボーン)』というコンピューターゲームに登場する「聖職者の獣」に犬っぽい雰囲気が似ているらしい。

case.剥離城アドラ[編集]

――天使の名を問う

問われて答えられなかったものは、すべからく天使を剥ぎ取られる

私の天使をつかまえたものを、遺産の相続者とする


ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト
これまでのコメディチックなキャラクターで通していたイメージから一旦離れ、彼女の「魔術師」としての面が描かれる。
フリューガー
中近東で活動する魔術使いの傭兵。いかつい顔つきと狡猾さ、子供の様なあどけなさと不思議な爽やかさを併せ持つ男。
ルヴィアやハイネも認める優れた占星術の使い手だが、『師父殺し』という後ろ暗い異名を持つ。
オルロック・シザームンド
「蝶魔術(パピリオ・マギア)」と呼ばれる魔術を操る老魔術師。ゲリュオン・アッシュボーンの旧友とされる。
非常に厳格な人物で魔術師の血統や歴史を重んじ、ロード・エルメロイⅡ世やルヴィアには厳しい言葉を投げかける。
老齢のため自分で歩けず、弟子と思しき少年に車椅子を引かせている。
ハイネ・イスタリ
純白のスーツを着た金髪碧眼の美青年。錬金術の名門イスタリ家の出身者で、時計塔でも有名な人物。己の名声を鼻に掛けず誰に対しても礼節を失わない人格者だが、かつて一族から出奔して聖堂教会に籍を置き、後に引き戻そうとした代行者を返り討ちにしながら魔術師に戻ったという異質な経歴を持つ。
ロザリンド・イスタリ
ハイネの妹。恥ずかしがり屋で、フランス人形を思わせる幼い少女。
魔術師の家では珍しい事に兄との仲は良く、常に彼の側にいる。
時任次郎坊清玄
右眼に眼帯をした山伏の青年。兜巾に法衣、法螺貝と非常に目立つ格好をしている。
修験道を修めているが美人に弱く、グレイやロザリンドに粉をかけようとするなど、剽軽な男性。
化野菱理
時計塔・法政科から派遣された、ゲリュオン・アッシュボーンの遺産管理人。
友禅の振袖を着た美しい女性だが、眼鏡の奥に蛇を思わせる爬虫類的な冷たさと光沢を持つ。
クラウン
ルヴィアの第二従僕。2メートル近い身長に、上下を黒のフォーマルスーツで固めた強面な男。
ゲリュオン・アッシュボーン
故人。天使像で満たされた奇怪な古城、「剥離城アドラ」の城主。「魔術刻印の修復」という特殊な技術を持ち、施術を受けた魔術師達から「修復師」と呼ばれ続けてきた高位の魔術師。妻と息子がいたが既に死去した後で後継者もなく、集められた魔術師達に遺産の相続者を決めるための謎を残す。

case.双貌塔イゼルマ[編集]

イノライ・バリュエレータ・アトロホルム
魔術協会の十二人の君主(ロード)の一人、ロード・バリュエレータ。創造科の学部長。快活な老婆。
バイロン・バリュエレータ・イゼルマ
「美」の探求により根源に至らんとするイゼルマ家の当主。黄金姫と白銀姫の父親。
ディアドラ・バリュエレータ・イゼルマ
黄金姫。極限の美を持つイゼルマの最高傑作。
エステラ・バリュエレータ・イゼルマ
白銀姫。ディアドラの妹。
カリーナ
黄金姫に仕えるメイド。
レジーナ
白銀姫に仕えるメイド。カリーナとは瓜二つの容姿をしている。
蒼崎橙子
黄金姫と白銀姫のお披露目会に参加していた魔術師の一人。幻の「冠位(グランド)」にして元封印指定の魔術師。
ミック・グラジリエ
お披露目会に参加していた魔術師の一人。スパイを自称する怪しい男。所属は呪詛科。
マイオ・ブリシサン・クライネルス
お披露目会に参加していた魔術師の一人。伝承科に所属する薬師の青年。
イスロー・セブナン
黄金姫と白銀姫のドレスを仕立てた魔術師。
アトラム・ガリアスタ
事件の裏で何かを企む男。

case.魔眼蒐集列車[編集]

オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィア
天体科アニムスフィアのロードの娘。11歳。
「『虹』の魔眼」を入手するという目的のために魔眼蒐集列車に乗り込み、聖杯戦争の一件をもちらつかせながらエルメロイⅡ世に対しオークションでの共闘を持ちかける。
トリシャ・フェローズ
オルガマリーの従者。予測の未来視の魔眼を持つ。
化野菱理
時計塔・法政科に属する魔術師。今回、魔眼蒐集列車に乗り込んだのは個人的な理由によるものらしい。
カウレス・フォルヴェッジ
物語の前月にエルメロイ教室に迎え入れられた学生。眼鏡をかけ、どこか風采の上がらない感じの少年だが、派手な問題児の多い周囲からは逆に浮き上がって見える。
『Fate/Apocrypha』に登場する黒のバーサーカーのマスターとほぼ同一人物だが、この世界ではユグドミレニアが存在せず、衰退の一途をたどるフォルヴェッジ家にあって将来を嘱望されていた姉が魔術の道を捨て出奔したため、代わりに魔術刻印を受け継ぎ時計塔に入学することとなった。姉の出奔にかかわる騒動の中で命の危機も潜り抜けてきたため、穏やかそうに見えて意外と胆力があり、機転も利く。
これまで学んできた降霊系の魔術は素質が合わず身に付かなかったが、エルメロイⅡ世の指導により電気魔術の才能を開花させつつある。
イヴェット・L・レーマン
魔眼の大家・レーマン家の娘。派手な星形の眼帯を右目に着け、ピンクに染めた髪と真っ白なロリータファッションに身を包んだやけにテンションの高い少女。
鉱石科キシュアの所属だったが申請が通ってエルメロイ教室も受講することになる。中立主義のメルアステア派のスパイであることを朗らかに公言していたり、エルメロイⅡ世の愛人を志望したりとしばしば奇矯な言動を取っている。
眼帯の下には魔眼として加工された宝石が嵌め込まれており、他者の感情を読み取ったり魔術のサポートを行ったりなど、宝石の種類を変えることで様々な機能を発揮できる。
ジャンマリオ・スピネッラ
魔術師でありながら、芸能人としてテレビに出演している賑やかな洒落男。二丁拳銃でゾンビを倒しながら料理をする『ジャンマリオのゾンビクッキング』という冠番組を持っている。
使い魔として多数の小さな蜘蛛を操り、情報収集や監視を行わせることができる。
カラボー・フランプトン
70歳は優に超えているように見える黒色人種の男性。眉のあたりに古い切り傷があるのがどこかマフィアめいた印象を与えもする寡黙な老人。
聖堂教会に所属し、黒鍵を使いこなすが代行者であるかどうかは明らかにされていない。過去視の魔眼を持っており、それを手放すために魔眼蒐集列車に乗り込んだものと目されている。
ロダン
魔眼蒐集列車の車掌を務める痩せぎすの男。かつての魔眼蒐集列車支配人の意志に従い、列車の運行及びオークションを滞りなく行うことを第一としている。
レアンドラ
魔眼蒐集列車のオークショナーを務める華やかな女。すらりとしたモデル体型に毛皮のコートを纏い、革の目隠しで両目を覆った非常に目立つ姿をしている。かつての魔眼蒐集列車支配人の意志に従い、列車の運行及びオークションを滞りなく行うことを第一としている。
支配人代行
当初はグレイの目にのみ映っていた幻のごとき女性。深紅の薔薇に囲まれた白い女。かつて魔眼蒐集列車の支配人が残していった影であり、ロダンをはじめとする魔眼蒐集列車スタッフの前に現れる事さえ稀である。
心霊手術にも似た技術で、至難とも言われる魔眼の摘出を行える唯一の存在。
メルヴィン・ウェインズ
創造科バリュエに所属する「調律師」。バイオリンのように見える調律器を用いて魔術刻印の稼働効率を格段に向上させる技を持つ。三大貴族の一角、トランベリオの分家の出という血筋と色素の薄い整った容姿を具えながら、生来の体の弱さから少し動いたり喋ったりしただけで血を吐いて死にかける奇怪な生き物と化している。
ウェイバー・ベルベットの古くからの友人であり、第四次聖杯戦争に参加する以前より彼を知る数少ない人物。
ヘファイスティオン
魔眼蒐集列車に現れた、聖杯戦争以外の状況では召喚が不可能なはずの存在であるサーヴァント。黒髪に金銀妖眼ヘテロクロミアという容貌を持つ女性で、イスカンダルの第一の臣下、ヘファイスティオンを名乗る。
ドクター・ハートレス
現代魔術科の先代学部長。燃えるような赤い髪と白い肌を持った長身で年齢不詳の男。
かつて、妖精に心臓を盗まれたがゆえにその二つ名で呼ばれる。
メイン十二科の学部長でありながら唯一君主ロードではない。しかしながら、その神秘を侮るべからずと評判されている。

case.アトラスの契約[編集]

ベルサック・ブラックモア
逞しく大柄な体に黒衣を纏った初老の男。ウェールズの険しい山中に存在する小さな村で「ブラックモアの墓守」を務める。
グレイが村を出る9年と少し前、彼女を己の次代の墓守として選んだ。
フェルナンド・クローズ
でっぷりとした肥満体型の中年男性。黒い聖母像を祀る小さな教会の司祭として赴任している。
シスター・イルミア
フェルナンド司祭の補佐を務める尼僧。うら若くチャーミングな容姿だが、何か裏の顔を持っているらしいことを匂わせる。
グレイの母
三十代半ばほどの、穏やかな風貌の女性。
アーサー王の写し身として変貌してしまった娘を「神子」と敬い、そのことを心から喜んでいる。
ズェピア・エルトナム・アトラシア
丘の上の風車小屋に滞在していたアトラス院の院長。事象の演算を繰り返し、派生しうるあらゆる可能性を「脚本」として俯瞰的に語る。
このFate正史世界においては死徒ではあるものの、「ワラキアの夜」へと成り果てる道は選択しなかった。
白銀の騎士
グレイの窮地に出現した騎士。イレギュラーな降霊のせいか霊基が不完全なものとなっており、その姿は霞がかったように朧で曖昧としている。
それでいて振るう剣技は巧み、軽口を叩きながらも数多の敵を斬り伏せていく。

メモ[編集]

  • 一見して探偵物のような体裁をとっているが、推理出来る要素はほとんど存在しない『魔術伝奇物』と言うべき作品。なお、広義のミステリ小説には、こういった物も多く存在する。
    • 他のTYPE-MOON作品では『空の境界』が近いか。
  • 類別的にはFateシリーズに連なり、サーヴァントも聖杯戦争も本筋には関わらないが、確たる繋がりがあるという一風変わった作品。奈須氏は「(stay nightと)完全に同じ世界、ただし三田誠スパイスにより大気濃度がちょい違う濃密魔術もの」と発言している(小説版『strange Fake』1巻解説)。
  • 奈須氏の竹箒日記でのコメントでは、
    Fateは色々な派生作品に恵まれましたが、事件簿はfateのゲームライターの奈須きのことしてではなく、ミステリ好き(つーか館好き)の読者・奈須きのこにとって予想外のご馳走になりました。
    派手ではないけどシックでロイヤルな読み応え。こういう番外編を書いてもらえる事は、原作世界を預かるものにとって最高の喜びです。

    との事。
  • 作者の三田誠氏の代表作に魔術を扱った『レンタルマギカ』が有るが、この作品の設定や雰囲気と良く似ていると言われている。様々な魔術が出て来てその特性が語られる点や、あちらのヒロインの1人とルヴィアが似ている、など。
    • また、『Fate/stay night』移植版のゲール語考証や『Fate/EXTRA』のサーヴァント考証を行っている三輪清宗氏が『レンタルマギカ』のアニメ版で魔術考証を行っていると言う関連性が有ったり、『レンタルマギカ』のヒロインの一人が植田佳奈で、諏訪部順一と行動を共にしたりすると言う妙な符号も存在する。
  • 執筆中、『Fate/strange Fake』の小説版を進める成田良悟と意見交換をしており、そのためか小説版『strange Fake』には、かなり早い時期に本作のキャラクターや設定が登場している。

書誌情報[編集]

リンク[編集]