概要
;略歴
:月の裏側に召喚されたマスターの1人。月の聖杯戦争には「人々を救うという自身の欲望のため」に参加したと公言している。
:地上にて細々と長らえていた[[真言立川詠天流]]の宗主の娘として山奥のコミュニティで生まれ育ったが、生来病弱で幼少期は不治の病に冒されていたため、14歳の春は迎えられないと言われており、ほぼ寝たきりでいた。この頃に父の信者が見舞いの品として置いていった絵本を唯一の支えとしていた<ref group="出" name="『Fate/EXTRA material』p.196">「Fate/EXTRA用語辞典-殺生院キアラ」『Fate/EXTRA material』p.196。</ref>。
:雪の降る夜、酬われないまま死を迎えた少女の物語に感じ入り、地上と月ほどの差がありながら、違う世界の異性に一目惚れし、自らの声と引き換えに陸に上がった少女の物語に憧れたという<ref group="出" name="『Fate/EXTRA material』p.196"/>。
:14歳のとき信者から霊子ハッキングを教えられ、床についたままでも外界を知れるようになり、得た知識によってみるみるうちに病気は回復する<ref group = "注">元々キアラの病気は外界では普通に治せるものであったらしい</ref>。自由に動けるようになってからは彼女の中で、絵本の思い出は記憶の隅に追いやられた<ref group="出" name="『Fate/EXTRA material』p.196"/>。
:それにより戒律に囚われ、自分の事を「可哀想」と言うだけで救おうともしなかった周囲の人々の姿から、書物にある清い人間像が消え失せた。そして「もしや人間と呼べるものは、もうこの世にはいないのではないか?いたとしても自分唯一人なのではないか」という思いに憑かれることとなる。
:その後閉鎖的だった詠天流を改革し、ネット経由で信者を急激に増やしていった。しかしそれに伴い行方不明者や死者が激増。異変に気付いた父親を存在レベルで完全否定した彼女は、「女であるにもかかわらず、女と一体になろうとする」「悟りそのものを否定する」という立川流の禁忌を二つ犯したという名目で破門される。
:その翌日、彼女は父親の髑髏本尊を持ち去って「師の術具を奪う」最後の禁忌を破り、信者同士を殺し合わせ、自分以外全て死者となった教団を立ち去った。
:その後、成人した彼女は立川流の理念に基づいて信者を救ったが、彼女を慕った信者は次々と自殺していったという。更に電脳史上最大の禁忌といわれるコードキャスト・万色悠滞を開発したことで[[西欧財閥]]に指名手配される。
:その最中、彼女本来の身体は彼女を手放すことを恐れ、独占しようと私欲にかられた信者の手にかかり殺された。その頃には万色悠滞によって自身を疑似霊子化させていたため、地上の肉体が死滅しても何の問題もなく、己のフィールドを電脳空間に移行し、一層、悩める欲望を救う道に没入した<ref group="出" name="『Fate/EXTRA material』p.196"/>。
:「[[BB]]に逆らわない限り命は保証する」という約定に則って、生徒会に参加することはないが、月の裏側からの脱出のためサクラ迷宮の踏破を目指す主人公達を部外者としての立場を保ちつつもサポートする。
:その実態は自身の快楽のためには他人を省みない破戒僧であり、悦楽を追及するあまりに神になることを目指してムーンセルを手に入れようとしていた。
:第五章終盤、主人公に自らを追わせるなど不可解な行動をとり、隙を突かれ[[メルトリリス]]に胸を刺し抜かれて殺害される。だがCCCルートでは主人公が[[パッションリップ]]と[[メルトリリス]]を見逃した事で、キアラは『自らの欲望を果たす機会』を得る事となる。
;人物
:本名は殺生院祈荒。二十代後半の日本人。穏やかな眼差しと清楚な佇まいが特徴の尼僧。尼僧服の天然でエロイお姉さん。尼僧服を着ているものの、服の上からでもわかる体のラインは絶世の美女のもので、髪は剃髪しておらず頭巾の中に納めている。
:物静かかつ蟲惑的な女性。基本的には清楚な女性口調。柔らかで貞淑な価値観、言葉遣いでありながら、言葉の端々に妙な色っぽさを持つ。
:性格は内向的、弱気、能動的で、温厚だが積極的。病弱そうに見えて活発。人情に弱く慈悲に深い。ものの通りをとらえ、万人の心情を読み解り、彼らの立場や苦悩を正しく理解する思慮深さを持っている。物腰が柔らかく、自身のサーヴァントであるキャスターの毒舌を窘めるなど理性的。
:ただ、普段は楚々としているが耳年増なのか、時折聞いたことから(主に性的な意味で)あらぬ方向へ想像を働かせてしまったり、真面目な話の途中で(主に性的な意味で)興奮し始め主人公やキャスターに呆れられるなどの言動も目立ち、「けっこうアレかもしれない」と主人公に評価されている。
:一見すると聖職者然としている彼女だが、その正体は『CCC』の事件の黒幕であり、BBのプログラムを改変し、彼女の「主人公を消滅の未来から救う」という目的に「人類の欲望の解放による破滅」という破綻した意識を植え付けた張本人である。ムーンセルを乗っ取り、神になろうとしたのは「自分が気持ちよくなる」ためだけ。
:自身の欲を追求した結果人類が滅びたとしてもかまわないと考えており、自分の欲のために人を救う、あるいは滅ぼすことにためらいを持たない。
:''他人の人生を台無しにすることでしか絶頂することができない異常者''で、彼女が菩薩として崇め奉られたのも単に逸脱しすぎた人間性を解脱と見紛われたに過ぎない。<br>その人格は人間として破綻しきっており、他人を虫同然と見做し、己の快楽のための道具として扱うことに何の抵抗もない。しかしその上で、全ての人間を真に「愛している」ことが彼女の特筆すべき異常性である。
:「魔人化」による変生後には姿が変貌し、頭部に2本の巨大な角を生やし、周囲には彼女に取り込まれた多くの人間の魂が怨霊のような姿で現れ、背後には巨大な髑髏が現れる。正式名称は'''随喜自在第三外法快楽天'''。新たな天であり、貪欲な地母神の末裔。便宜上のクラス表記は「'''ヘブンズホール'''」。
:…が、CCCルートで彼女との闘いの後、行動によってはキアラの「愛」に対する歪んだ捉え方の根底にあるものと、彼女の暴走(迷走)していた「愛」の終着点を見付ける事が出来る。
;能力
:心の解析、治療に秀でたウィザード。最悪の破戒僧だが法力は本物であり、旧校舎まで侵入してきたリップをダキニ天法で撃退する活躍をした。我欲を縛る我執封じの五蘊黒縄は隙さえあればサーヴァントでさえ拘束することができる。ゲーム内で使用するシーンは無いが、使い魔としていずなを使役できる。本人はちょっとした買い物ぐらいにしか使わないと言っているが、隣にいたアンデルセンに「地獄でエンマに舌を抜かれるがいい」と突っ込まれていることからこちらの脅威度も十分だと思われる。
:[[ウィザード]]としての実力も天才的で、SGを摘出する目的でも使える、五停心観等の精神医療用のコードキャストを究め、それらを発展させ電脳体への侵入及び吸収を可能にする万色悠滞を開発した。
:若いころは病弱であったが、外界の進んだ医療技術により健康になってからは詠天流の武術や法術を会得しており、魔人となって後は神話礼装を解放したサーヴァントですら捉える事ができない神速の連撃「'''四念回峰行'''」や逆に神話礼装状態のサーヴァントを捕縛しカウンターを叩き込む「'''金剛界智拳印'''」を使用する。
:生まれつきフェロモンによって"愛されやすい"特殊体質を得ている。フェロモンとは動物の体内から分泌・放出され、同種の他個体の行動や生理状態に影響を与える物質の総称のことで、理性では抗いがたい本能的誘惑である。
:終盤ではマスター達の魂と喰らった桜やBB、メルトリリス、パッションリップのおよそ数百体以上のサーヴァントや女神の力を吸収し、アンデルセンの宝具『貴方のための物語』により「魔人」となる。ムーンセルの力を使う事で文字通り、任意的な物であるがムーンセルの力である「全能」を手に入れており、菩薩<ref group = "注">現実の仏教における尺度では菩薩は軽く太陽系を管理できる神格。</ref><ref group = "注">現実の仏教の世界観の広大さは他の宗教とはレベルが違う。那由多だの無量大数といった数の概念があるのは、ひとえに仏の大きさを示すために作られた物。現実の仏教において宇宙は畑の国であり、その広さも三千大千世界と呼ばれる。銀河系が三千世界、それが千集まった物が三千大世界、更にそれが千集まった物が三千大千世界。まさに銀河、銀河団、超銀河団の尺度といえ、現実においての古代インドの価値観を現代に当てはめた場合は菩薩とは宇宙レベルのスケールをもち、太陽系ぐらいは軽く管理している。『EXTRA material』では「二千年以上も前からこの解釈持ってるって、インドどんだけー」とコメントしている。</ref>の位階に達している。<ref group = "注">ただし何でも出来る全能というものでなく、ヴェルバー本体はムーンセルはどうすることできず、「全人類を自分の妹に」等という願いを実現する場合、10年後くらいには全人類が妹化されるというもの。</ref>
:「人間が彼女に勝てる道理など無い」と[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン|アンデルセン]]は語ったが、BBや[[間桐桜|桜]]、アルターエゴ達を取り込んだために唯一、力を行使出来ない存在である主人公に対し、その事に気づかず挑んだ事が原因で敗北した<ref group = "注">これは主人公に想いを寄せた『桜』達が抵抗したためであり、もしそれに気づいていたなら、闘わずに主人公を違う空間に飛ばし、その空間を潰していたという。</ref>。本作のタイトルである「CCC」(例外処理)はこの出来事に掛かっていると思われる。
:[[主人公 (EXTRA)]]が言うにはムーンセルにやってきた段階ですでに「人」ではなくなっていたらしい(後述)。
:本来ならば、「奥義・性欲完全オフ」を体得しているセイヴァーぐらいしか諫められない女の化身。