概要
[[魔眼]]と呼称される異能の中でも最上級のもの。異能の中の異能、希少品の中の希少品。<br>無機、有機問わず、“活きている”ものの死の要因を読み取り、干渉可能な現象として視認する能力。
直死の魔眼から視た世界は“死の線”で満ちた終末の風景であり、まっとうな精神構造ではこれと向き合っての日常生活は難しい。
ここで言う死期とは生命活動の終焉ではなく、「存在の寿命」。意味や存在が、その始まりの時から内包している「いつか来る終わり」のこと。誕生という大元の原因から、死という最終結果を読み取っているとも表現される。物理的な破壊ではなく、概念的な死であるため、治療や蘇生、接合や再生・復元も無効化する。[[死徒]]などを相手にする場合は非常に有効。
「魔眼」と表記されるが、厳密には[[超能力]]であり、魔眼と淨眼のハイブリッド。死期の情報は「線」と「点」で示される。
; 死の線
: モノの死にやすい部分。
: 線に沿って切ることでその箇所を死に至らしめることができ、「線」をもって切られた部分は本体の生死関係なく行動、治療、接合、再生不能。厳密に言えば、線をなぞって物を解体する、ではなく、線状に物を殺している、という事になる。
: 一方で切られた部位は再生する事は不可能だが、「新たに作り直す事」は可能という抜け道自体は存在する。
: 例えば[[アルクェイド・ブリュンスタッド|アルクェイド]]が蘇生出来たのは自身の体の組織を再構成する事で再度分割された肉体を接合することに成功したため。一方でこの再構成自体もアルクェイドの力の8割の消耗と発狂しそうなほどの激痛。また重度の後遺症が残る等、再構成する事自体も高難易度かつ大きな代償を払わなければならない事となる。
: 切断に腕力は必要なく、強度も無力化される。たとえ鋼鉄であっても、線がある場所ならば容易に切り裂いてしまえる。
: 素手でもなぞれば切断できる。
: [[玄霧皐月]]や死徒の[[使い魔]]である死者など、死にやすい存在には線が多く現れる。
: [[月姫 -A piece of blue glass moon-|リメイク版月姫]]では飛んでいる物体の線を切ってその慣性を停止させた事が確認された。
: [[月姫|原作版月姫]]では黒で描写されるが、『[[真月譚 月姫]]』などでは赤白く描かれる場合がある。リメイク版月姫では色に関する描写は削除され、ビジュアル的には場面によって色が変わる。
; 死の点
: 寿命そのものであり、死の線の根源。
: 突くことで対象の死期を発現させる。線と同様、突くのに腕力を必要とせず、強度も無視して貫く。ただし、能力が高まっている、極度に集中している状態でないと点を視ることは出来ない。
: 斬られてもある程度の対処方法が存在する死の線と違い、死の点を突かれる事は問答無用で確実に死に至る事とほぼ同義となる。
: 原作版月姫では黒で描写される。リメイク版月姫では色に関する描写は削除され、ビジュアル的には場面によって色が変わる。
: また点のみに見られる現象として、毒や患部など体内に存在するものを点で突いた際、その肉体は刃物等で貫通されてるにも関わらず傷が付かず突いた部分だけ殺されるということが起きている。
通常、「死に到る原因」があって「死期という結果」になるのだが、直死の魔眼の前ではその常識が通用しない。死期という結果を、線や点へ干渉することで強制的に発現させている。具体的に言うなら人間は通常切断されたら後に失血なりで死ぬという順番になるが、
直死の魔眼の場合は線や点を干渉された場合既にその死は確定しておりその結果への過程を埋めるかの如く切断という現象が発生する。
つまり通常切断された部位であっても即座に適切に保存するなり接合するなり死なせない方法は存在するが、直死の魔眼で切られた部位もはや何をしようが死んでるので手遅れ、という形になる。
そして、この「死」は生命活動の終焉ではなく「存在の寿命」であるため、殺せる対象は生命体に留まらない。端的に言えば、相手が何であっても寿命があるなら殺せる。
欠点
; 能力者が「死」を認識できない対象には効果が及ばない
: 直死の能力者にとって死を理解できないモノ、その時代において壊す(殺す)ことが不可能なモノ、そもそもいつか来る終わり(死期、存在限界)の無いモノは、その死も理解できないので線も点も視えず、殺すことはできない。
: その時点で対象の死が理解できない場合、殺すことは出来ないのである。例えば、夜の[[アルクェイド・ブリュンスタッド]]は星からのバックアップによって死の要因がまるで無くなる為、線や点が見えない。また、『[[空の境界]]』第五章「矛盾螺旋」にて[[荒耶宗蓮]]が左手に仏舎利を入れていたように、相手が聖遺物など直死の能力者が「死」を認識できない物を体内に取り込んでいると、線や点が注視して辛うじて見えるほど細くなってしまう。
: 「TYPE-MOON Fes」パンフレットの一問一答では、荒耶のケースは仏舎利が『生きながら入滅した』[[覚者]]ものであり、死の線で殺すには通常の死の概念よりも何段階も高度な『死の線』を読み解く必要があったためと説明されている。
: 他にも、死の概念そのものがない[[ORT]]にも無効と語られている<ref group ="注">逆に、対象に死の概念さえあれば死を視る事は可能らしく、『[[Fate/Grand Order]]』第2部第7章『[[黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン]]』では、[[朱瑞鳥・紅閻魔]]が[[ORT〔亜種〕]]に死の概念を付与した結果、[[テペウ]]が直死の魔眼を用いてその命を一回殺す事に成功している。</ref>。
; 能力者が直接死の線・点を眼で捉えた状態でないと効果が発生しない
: 死の線・点は「常人には認識できないが、常にそこにあって誰にでも殺せるもの」ではなく、直死の効果が現れるのは魔眼保持者が眼で捉えた場合のみ。直死の能力を持たない他者が直死の能力者がいない場で「ここに線がある」と線を切っても効果は発生しない。『[[空の境界]]』では[[臙条巴]]が[[両儀式|式]]の行動を元に式が居ない場面で[[荒耶宗蓮]]の点を突こうとしたが、眼で捉えた上でないと意味がないと一蹴されている。
; 死の線・点が見えたとして、それを切る事ができるかは別問題
: 直死の魔眼の能力は死の線・点を「視る」事と、「なぞる事で切れる状態にする」所までで、そこに刃を突き立てるのは能力者本人の身体能力次第である。
: 動くことも反撃する事もない無機物相手なら話は簡単だが、超スピード・超パワーで飛び回り攻撃してくる[[死徒]]など相手に死の線を切りに行けるかというと話が変わってくる。魔眼の能力それだけで人外のバケモノ相手に切った張ったができるようになる訳ではない。
: [[両儀式]]、[[遠野志貴]]共に、戦闘における体術などの単純な性能・技能は、魔眼の能力とは直接的な関係はない。この為、平均的な[[サーヴァント]]と戦った場合は式、志貴共に及ばないと発言されているが、刀を装備した式ならば防衛戦までは出来るという。(尚、終末録音においては、[[蒼崎橙子]]が残した射影機の作りだした世界(夢の出来事・[[瀬尾静音]]による脚色有り)とはいえ、刀を装備した式はエクスカリバーを装備した[[アルトリア・ペンドラゴン|アーサー王]]に匹敵すると言及されている)
; 死の線・点が存在する部位にしか効果がない
: 日常では「カッターなどで硬いものをぶった切れる程度の能力」にしか過ぎない。しかも、切りたい場所に線がなければあまり役に立たない。
能力者
; [[遠野志貴]]
: 『[[月姫]]』シリーズ主人公。
: 幼少時に経た二度の臨死体験から、脳が死を理解できるようになってしまう。眼はもともと持っていた「淨眼」が変質したもののため、制御がきかず、魔眼殺しを使わないと抑制できない。式の魔眼には見えない「死の点」を視ることができ、死を深く視る場合、眼球の色が青白く輝く。
: より深く死を理解しようとすれば「鉱物の死の点」や「[[魔術]]などの概念」や「空間や地球の一部」さえも殺せるようになるが、ただでさえ使用に際し脳に多大な負荷をかけてしまうため、濫用はできない。
: 一方で作中で酷使するほど魔眼の効果が成長しているかのような描写も見せており、シーンによっては一時的に魔眼殺しの眼鏡をかけても死の線が見えてしまうなどの状況まで陥っていた。あるいは死を視る事に慣れていってるとも歯止めが効かなくなり暴走しているとも表現できるかもしれない。
: 将来的な可能性の一つとして「殺人貴」に至る際は魔眼の力が成長しすぎて遂に魔眼殺しの眼鏡だけでは常時抑えられなくなり、常に魔眼殺しの包帯を巻いて封印するまでになっている。
: リメイク版『月姫 -A piece of blue glass moon-』においては「校舎の渡り廊下の点を突くことで遠距離の[[ミハイル・ロア・バルダムヨォン]]の足を廊下ごと殺す」という今までの直死の魔眼では存在しなかった現象が描写されている。
: 奈須きのこ氏へのインタビューによるとそれにも意味はちゃんとある、とのこと。
; [[両儀式]]
: 『[[空の境界]]』主人公。
: 二年間の昏睡により、もともと『 』に繋がっている式の体の機能の一部が解放されたもの。「TYPE-MOON Fes」パンフレットの一問一答によると、彼女もまた「淨眼」が変化したモノだという。死を視る際は、眼球の色が青赤く輝く。
: 持って生まれた能力であり、肉体のスペックが異なるため、志貴と違って脳に負担がかからない為に使い手としては彼女の方が数段上との事。普段は、焦点をズラして物事を俯瞰することで異様な視界と折り合いをつけている。「少し気を許しただけで視えてしまっていた」とされており、制御が難しい事が示唆されている。作中では橙子に魔眼殺しの作製を打診されているが、「必要ない」とにべもなく断っている。
: ただし、[[荒耶宗蓮]]のような通常では死が見えない対象の死を無理矢理見ようとするのは、式でさえそれなりの負担がかかるらしく、意識の大半が真っ白になり「脳が過熱でもしているのか」と描写されている。
: 上記の通り「死の点」は視えない。
: また、「概念」として存在するものも「殺せる」という特性がある。仮に目を潰したとしても、「死を知覚できる」という能力そのものは失われることはない。
; [[テペウ]]
: 『[[Fate/Grand Order]]』の[[黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン|南米異聞帯]]に在住する[[ディノス]]。
: どのような経緯で眼を持つに至ったのかは不明だが、能力として微弱なためかディノスという種族自体が心身ともに健全なためか日常生活に支障はない模様。
: それでも他のディノスとずれを感じることはあるようで、若干厭世的な性格になっている。また、死の線を「見てはいけないもの」としており、普段は自作した魔眼殺しの眼鏡を掛けている。