真名:メディア
:ギリシャ世界において東の果てと言われたコルキス国の王、アイエテスの娘。「裏切りの魔女」の烙印を押された女。
:魔術の女神ヘカテに教えを受ける巫女であり、王の娘として蝶よ花よと周囲に愛でられ育ったが、栄光を求める英雄たちが到来した事でその運命は狂うこととなる。
:ある日外界から、コルキスの宝「金羊の皮」を求めてアルゴー船の船長イアソンが現れた。
:女神アフロディーテの呪いによってイアソンに妄信的なまでの恋を抱いたメディアは父を裏切り、自国の宝である「金羊の皮」をイアソンに与えてコルキスを脱出、その過程に追手の一人である弟を魔術で八つ裂きにしてしまう。
:外敵こそ振り切ったが、その非道な行いはアルゴー船に集った英雄達からも非難・中傷を受け、イアソンも彼女に対するねぎらいの言葉をかけることはなかった。
:イアソンはメディアを自国イオルコスに連れ帰り「誓約の品である「金羊の皮」を手に持ち帰れば王位を認める」と約束したペリアス王の元へと凱旋するが、両親は死に約束も反故にされてしまう。
:「約束をただの言葉遊びと一蹴したペリアスを、その後継者である三人の王女を殺せ」と命令されたメディアはそれを実行した。
:イアソンを愛している、それだけの理由で。そしてこの時に呪いは解けた。
:イアソンは王座についたが、その悪行も民に知られてしまい結局追放され、ギリシャを彷徨った果てにコリントスに辿り着く。
:彼を気に入ったコリントス王から、その娘であるグライア<ref group="注">『Fate/hollow ataraxia』での表記。現実の神話においてはグラウケー、またはクレウサ。グライアは別に存在するが、メディアとの接点は無い。</ref>との婚姻を持ちかけられたイアソンは、その苛烈さを疎んでいたメディアとその子供二人を迷いもなく捨ててグライアの元に走る。
::'''「貴方の為に国を捨てたのに。貴方のために、何もかも捨てたのに────」'''
:そう泣きすがるメディアをイアソンは切り捨てた。国を失ったのはお前のせいだと。お前を愛したことなど一度もないと。
:正気を失った虚ろな心のまま多くの非道を働かされたことで、周囲からは「裏切りの魔女」として憎まれ、そこまでして尽くしたイアソンにも一度も労われることなく裏切られた少女は、ついに人を裏切る魔女へ堕ちてしまった。
:彼女はイアソンに復讐するために、国あげての祭りの中、グライアを焼き殺し、コリントスを滅亡に追いやった後、ギリシャの地を彷徨い続けたという。
:しかし彼女がイアソンに手を下すことは無かった。それは恋の呪いの残滓か、はたまた偶然か、それとも情か。