Fate/Apocrypha
; 「たす、けて」
: ライダーに願いを問われて生まれてから初めて口にした言葉。
: 彼にとっては余りにも分不相応な願いだったが、ライダーはこれを受け入れ、彼の信頼できるのかと疑う事すら馬鹿馬鹿しいと思わせる無邪気さに心の滲むような感動を受ける。そして──この日、運命が歩き出す。
; 「──ああ、俺は誰も救えない」
: 夢の中で同胞たちの声を聴いて。
: 誰にも聞こえない彼らの嘆きに応えようと考えるが、明日も知れぬ非力な自分では、誰かの手を取ることなど出来ず、助けを求める声を振り払うしかないと自分を無理矢理納得させた。その時は……
; 「“望み、俺の望み、俺の夢は……救うこと。<br> このままでは死ぬはずの、かつての俺を……仲間を救うこと。<br> 腐汁に浸かり、ただ怯えるしかない。未来の確定事項として死が存在しているのは万物に共通であるが、<br> そこに至るまでに何を為すことも出来ない事が確定しているのは、余りに理不尽で、余りに悲しい。<br> 俺がライダーに救われたように、彼らを救う。<br> そうすれば、俺はライダーに再会しても胸を張れる気がする。俺は自由を求めた皆を助けたのだと──<br> 助けて欲しい、と彼らは願っている。その声を聞いてしまった。聞かなかったふりをする事も、逃げ出すことも、俺には出来ない。<br> 英雄から託された、この<RUBY><RB>心臓</RB><RT>ほこり</RT></RUBY>に懸けて、それだけは決して”」
: 多くの助けを受けてジークが遂に見出した、『自らの願い』。
: この答えを聞いたルーラーは声の対象こそ違えど、彼が生前の自分と同じ決意をしたことを認め、同行する事を決心する。
;「……前途が不安だな」
: 仲間達を救うという目的を定め、いざミレニア城塞へ、と意気込んでいたところでいきなり空腹により倒れたルーラーに対して。食べ物を恵んでもらうため、彼女を背負って麓の村に降りる事になってしまった。
: ちなみに体が成長し、知識はあっても彼はまだ子供なので、'''背中の触感'''に対する反応は一切ない。
; 「……いや、そうとは限らない。<br> この家の息子が悪逆非道で、父であるセルジュ殿を完全に隷属させており、<br> 出立してからも部屋の掃除を毎日行うよう強制労働させているという可能性は──」
: セルジュに貸してもらった息子の部屋が、持ち主が長期に渡って不在なのに管理が行き届いていて、セルジュの息子への愛が感じられると言うルーラーへの反論。彼自身、可能性は極わずかと考えていたが、ルーラーは即座にバッサリ。
; ジーク「貴女を護れとはどういう意味だったのだろう……」<br>ルーラー「ジーク君、あれはただの勘違いです。深く考えない方が良いと思いますよ」<br>ジーク「そうだな。貴女の方が強いのだから」
: 別れ際のセルジュの言葉に対して。相変わらずの天然である。
; 「死にたいか、生きたいか。……俺たちは、どちらかを決めるべきだ」
: 戦場で出会ったホムンクルス達への説得。彼の言葉にあるホムンクルスは「生きるため」城塞へ、もう一人のホムンクルスは「死ぬため」戦場に戻っていった。
: 選択肢を与えるだけでジークはそれ以上の事は言わない。彼らの命は、彼らの物なのだから。
; 「これは……俺が選んだ道だ!」
: アニメ版で追加されたオリジナルシーンにて、精神世界でジークフリートと対話しながら、「誰かの力になりたい」と地面に刺さった剣を引き抜いて。
: かくして、己の心で進むべき道を選定したことで剣は抜かれ、'''地上に伝説の英雄──“竜殺し”が帰還した'''。
; 「俺は確かに、お前の言う通り偽物だが。<br> この剣と力は紛れもない本物だ。<br> お前の相手をするのに、不足は無い。<br> 不足があるとすれば、それは俺の心だけだ」
: 「紛い物」と呼んだ赤のセイバーに対して。戦場にいた全ての者が無視できないほどの衝撃と共に再誕し、歴戦の勇者そのままの威風と共に、セイバー同士の死闘の幕が開く。
;「ライダー。 俺は生まれて一年にも満たぬ子供かもしれない。 知識はあっても、それを活用する術を知らぬ小僧かもしれない。<br> それでも今、ここでやるべきことくらいは分かる。 俺は君と契約する」<br>「俺が死ねば、君も死ぬ。心中みたいなものだ、償う必要は無い。<br> ……キミを見殺しにするくらいなら、死んだ方がいい」
:死の間際にセレニケが残した「ジークを殺せ」という呪いに耐え、「彼を殺すくらいなら自分が魔力の枯渇によって消滅しても構わない」と言い放ったライダーに。これによってジークは正式な聖杯戦争に参加する資格を得たのだが、傍から見ると'''愛の告白'''にしか見えない。
;「……俺は、貴女の祈りを美しいと思った。<br> 貴女の微笑みを美しいと思った。<br> 魅力、という言葉が心を奪われる様を意味するならば、まちがいなくジャンヌは魅力的だと思う」
:ルーラー(というより[[レティシア]]?)が聞いた「自分をどう思うか」という質問に対する答え。
:余りに気障なセリフだがジーク自身に疚しい気持ちはなく、率直な意見を素直に話しているだけ。その上彼自身成長した事で、こんなセリフを言っても誰にも笑う事すら出来ない位の風格を既に身に着けているため、何の違和感もない。
:因みにこの返答を聞いたルーラーの口からは「'''ひゃぁぁぁぁぁぁぁ'''」というヘンな声が漏れていた。
;「貴女は、まだ諦めていないのか」
:人間の邪悪さを知りながら、それでも人間を愛し信じる聖女に、少年は問う。
:聖女の答えを聞いて、少年は人間についてより悩み考え、答えを見つけようとする。
; 「起きるが良い、ダメサーヴァント」
:いつまでたっても起きないライダーに対しての辛辣な一言。
;「俺は、自分の名をジークと名付けた。俺に命を与えて、『生きろ』と無言で伝えてくれた男の名だ。<br> だから、貴方にもその名で呼んで欲しい。そして───」
:"赤"のランサーと戦う前に乞うた頼み。そして、その対価として自分でも愚かと思う選択を提示する。
;「その見返りとして俺も全力で戦おう。たった三分だが、本来貴方と戦うはずだった男のように」
:"赤"のランサーすら微かに目を見開く全く愚かな選択。そう思うのに何故だか少年の胸には涼しい風が流れ込んでいた。
;「邪悪なる竜は失墜する」<br>「全てが果つる光と影に」<br>「世界は今、落陽に至る」<br>「撃ち落とす──『<RUBY><RB>幻想大剣・天魔失墜</RB><RT>バルムンク</RT></RUBY>』!!」
:最強の敵が放つ神殺しの槍に対抗するため、最大威力の幻想大剣を解放する。太陽の英雄に向けて放たれたのは、落陽を象徴する黄昏の剣気であった。
;「ジークフリートの力はこんなものじゃない!押されている理由は…俺だ。<br> これでランサーを倒さなければ、ルーラーが死にライダーも死ぬ!当たり前の事実から目を逸らすな!<br> 令呪を以て我が肉体に命ずる───俺に自由なる勝利の輝きを!」
:アニメ版において。神殺しの槍に押される事実に目を逸らさず、最後の令呪を使用。英雄から『自由』を与えられ、自らを『<RUBY><RB>勝利</RB><RT>ジーク</RT></RUBY>』と名付けた少年は高らかに叫ぶ。
;「君に、会いたかった。」
:赤のランサーとの戦いを終えた後、ルーラーの後を追ってきたジークの偽らざる想い。既に黒のセイバーとしての力を失い、足手まといなのも分かっていたが、只純粋に彼女を想いそこまでやって来た。この時のジークは機械的に動くホムンクルスなどではなく、不安定な感情のままに動く一人の人間であった。
;「無論だ。……俺は知らないことだらけだからな。<br> もしかすると、これは一生掛かっても解き明かせない難問かもしれないけれど、それでも考えたい。<br> 少しだけ、少しだけ<RUBY><RB>理解</RB><RT>わか</RT></RUBY>ってきたから」
:ルーラーからまだ人の善性と悪性を。人間そのものについて考えているかと問われて、生まれたてだった少年は、答えが未だ見つからずとも真正面から受け止め考えている。この答えにルーラーは天草四郎時貞は明白に誤っていることを悟る。
;「それは違う。<br> 短い間だったが色々な物を見た。<RUBY><RB>機構</RB><RT>システム</RT></RUBY>としての悪、人一人の力ではどうしようもない存在も確かにあった。善が悪に裏返ることさえも…それは事実だ。<br> でも大抵の人間は善き者で在ろうとしている。在り方を間違えることは罪じゃない、悲しいだけだ。<br> 俺も弱い。いつか間違えるかも知れない。だけどそれでも、救ってくれた皆が誇りに思ってくれるような自分で在りたい。<br> 善性などないとそんな悲しいことを言わないでくれ!」
:アニメ版24話で[[ジル・ド・レェ〔セイバー〕|ジル]]が「この世に善性など存在しない」と吐き捨てる中、名も無き少年は否と答える。短く拙い生の中で少年は答えを模索し希望を信じた。その事実にルーラーは落涙し己を取り戻す。
;「此処に至るまで、様々なサーヴァントが、マスターが敗れて散ってきた。敵対していた者も、味方だった者も、誰も彼もが戦い果てた。<br> だから……俺も、戦いから逃げないことだけは決めていたんだ」
:宿敵との最終決戦を前にして。
:黒のライダーへの恩返し。フィオレとの契約。ジークが聖杯大戦に身を投じる理由は確かにあった。しかし彼自身の意志で戦い続けた理由も、それらとは別にあった。
:ルーラーから戦場から離れるように言われても、最強の敵である赤のランサーとの一騎打ちを前にしてもジークが逃げなかった理由。それは、彼の中に彼自身の誇りが芽生えていたからだった。
;「ああ……!俺はお前が許せない!必ず殺す!!」
:アニメ版の最終決戦の最中での叫び。完全な存在であったホムンクルスは愛する女性を奪われた憎悪という人間の中でも最も単純で俗悪な感情に墜ち、完全な存在を目指して憎悪を捨てた人間はそれを許せず、互いの存在を否定する為に激突する。
;「天草四郎……俺は…お前をどこにも行かせは…しない!」
:最後の力で黒のバーサーカーの宝具を発動したジークの怒り。救済を否定し、それがなった後の世界へ行かせまいとした。
:ただし、聖人の救済と未来を奪ったとしてもジークと触れ合ったルーラーは戻ってこない。ならばこの行為に意味は無いのかもしれない。それでも[[ゲーティア|己が夢見た存在を奪った者を決して許すことが出来ない故に、その勝利を完膚無きまでに砕く]]という究極の悪の完遂をジークは今この時だけ望んだ。
;「なら行こう。だって、待つ必要はもうないんだろう?」
:アニメ版における最後のジークの台詞。
:ジャンヌが約束を果たし、世界の裏側に辿りついたということは、人類から不死を奪うという竜の役割は終わったということを意味していた。
:遠い昔、笑顔を求められても上手く笑えなかった少年は今度こそ晴れやかな笑みを見せ、そして二人は星を巡る旅へと歩き出す。