本編
;「……自ら首を斬るとは……これでは、私も<ruby><rb>約定</rb><rt>やくじょう</rt></ruby>を守るしかありません。」
;「お見事。お見事です。───ですが。」
: 自らの命を犠牲にした煙酔のハサンに感嘆した直後、紡いだ言の刃は逃げ延びようとする難民たちを一人残らず無残に葬る……。
: 何故円卓の騎士の一員たる彼がこんな目を疑う所業を平然と行うのか……。
;「───嗚呼。それは、実に悲しい───」<br>「ふ……ふふ、ふふふふ!ははははははは!<br> いえ、失礼。あまりにも悲しい話でしたので、つい。」
;「貴方がたに、私の<ruby><rb>祝福</rb><rt>ギフト</rt></ruby>を語ってはいませんでしたね。」
;「私に与えられた<ruby><rb>祝福</rb><rt>ギフト</rt></ruby>は‘‘反転’’。これは私が一切の迷いなく獣である為のものでしたが……<br> その特性は、あらゆるものを逆にするのです。ですので今の私には、<ruby><rb>毒だけは絶対に効かない</rb><rt>・・・・・・・・・・・</rt></ruby>。貴方がたの決死の策は、まさに無駄骨と言えましょう。」
: トリスタンのギフト「反転」。
: あらゆるものが逆になる───彼は慈悲深く人情味がある人物であるからこそ、人格は完全に外道じみたものへと変貌し、毒は生前の死因であるからこそ、それによる害を通さない。
: サーヴァント共通の弱点である生前の死因を突いた攻撃で彼の首を狙ったハサン達の作戦はあっけなく破られたが……。
;「……腕がひとりでに!?いえ、これは……!?」
;「ぬぅううううう……!なぜ離れない───離れなさい!<br> つう、こんな、馬鹿な───私たちの<ruby><rb>霊基</rb><rt>からだ</rt></ruby>を、エサにしているのですか!?」
;「わた、私が、死ぬというのですか……!このような醜い怪物に食われて!?<br> いいえ、死ぬのは貴方も同じだ!この苦しみは同じものだ!ならば、なぜそこまで!貴方は<ruby><rb>祝福</rb><rt>ギフト</rt></ruby>で縛られてもいないというのに!」
: 呪腕のハサンの起死回生の一手───魔神の呪腕の制御を解き、共に腕に食わせるという捨て身の策。ハサンに捕まってそのまま右腕に喰い付かれてしまったトリスタンの<ruby><rb>霊基</rb><rt>からだ</rt></ruby>は魔神の糧と化していく。
;「右手を自由にしたのは、失策ですね……指一本あれば、フェイルノートは射れるのですよ……」
;「……さて。なんとか……山の翁を、切り離せは、しましたが───<br> ……私は、手遅れですか……もう半分、魔神に食べられています、からね……」
;「───しかし。怖ろしいまでの、執念……いえ、信仰、と言うべきか……異教徒など……本来、私には、どうでもよいのですが……技に生きた、などと言われては……<br> ……はは。その<ruby><rb>信仰</rb><rt>ものいい</rt></ruby>は、反則というものです……」
: まだ自由が利いていた右手で呪腕のハサンの腕を切り離したが、既にこの身は手遅れであった。そして……。
;「……窓に映っているのは、私、ですか……<br> かくして、悪逆の騎士は見るもおぞましい、怪物に成りはてる───」
;「……ふ。この地に来てから、悲しい事、ばかりでしたが。最期に、愉快なものを、見たようで───」
: 第1部第6章における最期。かつての後悔を払拭しようとするあまり、道から外れて悪鬼に堕ちたかなしみの子は、犯した非道に則した末路を迎える事に自嘲しながら魔神の腕に食われた。
;「私の事はイゾルデダイスキ……いえ違いますね……」
:Lostbelt No.6「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」にて、主人公と共に名無しの森にある村へ運ばれた後、自身の名前を思い出そうとして。
:どうやら記憶を失ってもイゾルデの名は覚えていたようだが、結局は葉で出来た名札に書かれていた「トリストラム」という名前に落ち着いた。
;「いいえ。その上で、私は貴女を止めるのです、妖精騎士ガウェイン。」<br>「……かつて、弱きに走った私と戦っておきながら、なお私を“騎士”として信頼した者のために。」<br>「私は貴女がたの事情を知り得ず、また、貴女がたの正義に関心はありません。」<br>「私は私が愛する者のために命を使う。このように、誰よりも、冷酷に。」
:同上、妖精騎士ガウェインと相対した際の台詞。騎士として信用してくれた主人公たちを逃すために、彼は自ら犠牲になることを選ぶ。かの王への忠義のために、彼は妖弦を奏でる。
;「お覚悟を、異邦の騎士。我が渾身の空気撃ち、受けていただく!」
:同上。生前に培われたであろう自らの技術、技巧、信念、想い──それら全てを今この一撃に収縮し、文字通り捨て身の必殺となる一矢を報いらんとする。