神稚児
朔月家の伝承として不可解な点として「その家で生まれた娘を、七歳になるまで誰も見た事が無い」ということがある。<br/>
あるとき「別宅から引っ越してきた」「養子を取った」「病弱で人前に出せなかった」などの理由で、七歳の娘が突然人前に現れるのである。<br/>
「七つまでは神のうち」という言葉があるように、乳幼児の死亡率が高かった時代は「子供は神と人の中間にあるもの」ととらえ、人前に出さない習慣もあり、[[衛宮切嗣]]はこれを「神稚児信仰の生き残り」と捉えていた。<br/>
その真相は、一族に代々生まれる赤い瞳の女の子。<br/>
発端は朔月家が三代目のとき、冬木に記録的な飢饉があり、その代で生まれた女の子が赤い瞳を持って生まれてきたことで生き神様と敬われ、豊作を祈願された。<br/>
結果としてその年は類を見ない豊作になり、それが三年間続いたが、娘は三歳を迎えられずに亡くなってしまった。<br/>
以降は代々赤い瞳の女の子が生まれ、全員が「願いを叶える」力を持っていたこと、力を使えば使う程死期が早まること、七歳を迎えたら力が失われることなどを数代かけて突き止めた。<br/>
そして、力を安易に利用される事がないように、女の子が生まれたら結界の中に隔離し、母親以外とは接触させないようにして育て、七歳になったら外界に出すようになった。<br/>
教育方針としては母親がつきっきりになり、「望まず、喋らず、動かない」のを理想として育てるようである。
要するに、朔月家の存在意義とは、'''「神の子を人間にする」'''ことであり、これが四百年間、一度の例外も無く続いたのである。<br/>
なお、母親の「健やかに育ってほしい」という願いを神稚児である娘が受けるためか、代々の神稚児には七歳を超えてからもハイスペックな人間が多く輩出されているとか。