メモ
*『Apocrypha』の小説化にあたり、ラスボスを「Fate」の源流である「魔界転生」から抜擢するというアイデアと、それなりの知名度を持った歴史上の人物で本家『[[Fate/stay night]]』の主人公[[衛宮士郎]]と下の名前や年齢が偶然一致していたという着想から発生したキャラクター。
*日本人の彼が白髪となっているのは強引に受肉した際の代償、褐色の肌となっているのはセミラミスの触媒と「虚栄の空中庭園」の材料の収集に二十年近く中東に潜伏する必要があったため。しかしメタ的には間違いなく[[エミヤ|あっちのシロウ]]へのミスリードを誘うためだろう。
**『Grand Order』でも相変わらず褐色肌白髪。これは、前の召喚の名残であるため。[[ナーサリー・ライム|彼女]]同様、変えられても困るというメタ的な事情こそあるのだが。
**潜伏した地域の土地柄、褐色肌になった理由がファンの間で'''日焼け'''であるかのように断定的に語られやすいが、「Apocrypha material」では『'''利便性を考慮し肌の色を変えた'''』という、シロウ本人が必要にかられてそうしたかのような記述が為されている。
**なお、アニメ版12話で描かれた聖杯戦争の時の回想では、日本人らしい髪と肌となっている。
*「年若い日本人少年の姿をしたシロウという名前のカトリック教徒」「挿絵によっては大きな飾り襟に見えるフードが付いた赤いマント」「殉教を意味する赤い典礼色のストラ」等、彼の正体を知るヒントは1巻の時点で散りばめられていたが、それ以上にフルネームと容姿のインパクトが強い。
**カトリックの司祭が肩に掛けるストラは色によって意味が違い、シロウが身に着けた赤い典礼色のストラは主が受難を受けた時に流した血の色、殉教者の血の色、炎の色を象徴している。
**赤い陣羽織(赤いマント)と大ぶりの飾り襟は天草四郎の肖像画などのモチーフとして頻繁に採用されるもの。(エリマキトカゲのように首の周囲を囲む蛇腹状の襞襟もモチーフとしてよく使用されるが、81年の映画「魔界転生」や奈須きのこがFateの原点として挙げる石川賢版の「魔界転生」では大ぶりの飾り襟が採用されている)
*外套や陣羽織の胸元に使用されている房の付いた飾り紐が読者の目を惹くが、これは「<RUBY><RB>総角</RB><RT>あげまき</RT></RUBY>結び」と呼ばれる装飾結びの一つ。<br>ご存知[[エミヤ|アーチャー]]の外套にも使われている総角結びだが、房の付いた総角結びは調度品や武具、勿論'''陣羽織の装飾としてもポピュラーな物'''。シロウの生まれた時代や出自から考えても衣服の装飾に総角結びが使用されるのは妥当だろう。
*今でこそ美少年として扱われる天草四郎だが、これは島原の乱から70年以上経過した享保年間に流通した近世軍記「田丸具房物」の影響が強く、実際のところ島原の乱の収束前後数年以内に成立した史料で四郎の容貌に言及されたものは少ない。
**容姿どころか島原の乱に参加する前の経歴や出自についても謎が多く、様々な異説が存在する。特に極端なものは『大阪の陣で死なずに落ち延びた豊臣秀頼の息子』つまり[[豊臣秀吉]]の孫であるという説だろう。秀頼生存説自体が伝説の域を出ないため信憑性はお察しだが、後述の通り乱に豊臣家の残党が多数加わっていたのは事実であるため、このような説が生まれたものと思われる。
*Fate二次創作界隈では昔からあるIFネタで「もし[[衛宮士郎]]が冬木の大火災で[[衛宮切嗣]]ではなく[[言峰綺礼]]に拾われ養子になっていたら」という所謂「'''言峰士郎'''」ネタがそれなりの規模で存在した。並行世界という設定もありこの二次創作ネタの存在も読者から彼の正体を眩ます要因になったかもしれない。
*[[ジャンヌ・ダルク|ルーラー]]とは同じ『キリスト教の信者』であり、『奇跡を起こしたと言われる神童』であり、『同志達のために戦った英雄』でもあった。
**しかし死後に名誉回復されて聖人となったジャンヌ・ダルクとは異なり、彼は殉教者としてすら扱われていない(島原の乱には豊臣家残党の反乱という面もあった上、そもそも『右の頬を打たれたら左の頬を差し出せ』と説くキリスト教の見地からすれば、'''自ら反乱を起こした時点でもはや殉教とは認められない'''ため)。
*傀儡とした赤のマスター達に対し、まるで下僕のように振舞っている。彼らの自由意志を完全に奪わずに、そのように振舞っているのは、赤のランサーの真偽感知を誤魔化すためであった。
*冬木の聖杯は、その魔術基盤がアインツベルン由来のものであるため、基本的に「西洋圏由来の英霊」しか喚べないはずである。<br>日本由来の英霊である彼が喚ばれるのは本来あり得ないことだが、アインツべルン自らルール違反を行ったことでこの問題は解決した。<br>(召喚に際して何らかのルール違反が行われた場合、喚ばれる英霊の西洋縛りが解かれるという現象は『stay night』の[[佐々木小次郎]]で既に登場している)<br>だがアインツベルンとしては聖人モドキの東洋の英霊を使う事など本意ではなかったらしく、本来のルーラーを切望していたという。この「本来のルーラー」という表現から分かるように、[[アンリマユ|この世全ての悪]]に汚染されていない冬木の聖杯では特殊クラスでも東洋の英霊は召喚されない事がはっきりした。<br>……それにしても、自分たちで呼びつけおいて酷い話である。
**とはいえ、サーヴァントの選択を誤って三度に渡り失敗したアインツベルンとしては珍しく(と言うか、判明している限り初めての)成功した選択。残念ながら[[ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア|ナチス軍の介入]]によって聖杯戦争が崩壊してしまったものの、シロウが受肉に成功するなど、本来の聖杯戦争自体には勝利している。また、この選択のためApocrypha世界の聖杯は汚染されていないなど、良い事づくめである。
**当人も「ルーラーにすらなりえない三流サーヴァント」「頑張ってキャスターに引っかかるかどうか」とクラス適性が殆どないことを自嘲しており、前述の反則的な行為で召喚されたことでルーラーの資格を得たのはある意味皮肉であろう。そして人理焼却でもない限りは喚ばれる可能性は低く、『Grand Order』の世界で召喚に応じた天草はApocryphaの世界を経た彼自身だと明言されている。
*小説版『Apocrypha』において[[ゲオルギウス]]の登場が見送られた原因の一つが彼の存在。[[ジャンヌ・ダルク]]と彼の思想対立が小説版の柱であり、それ以外に聖人のサーヴァントがいると話が煩雑になるためだとされている。
*元々サーヴァントであるにも拘わらずにマスターとして参戦しただけでなく[[セミラミス|赤のアサシン]]本人を召喚しているが、おそらくこれは[[メディア|裏切りの魔女]]と異なり彼が生前魔術師であると共に聖杯の力で受肉した結果と思われる。
*『Grand Order』にて、宝具の効果が「強化解除後」にダメージを与えるというものであるため、相手が回避・無敵・防御アップ等を使用していても全部無効化して確実に攻撃を通せる。…逆を返せば、敵として出てくると非常に恐ろしい存在となる。
* 宝具がルビが英語となっており、[[主人公 (Grand Order)]]からも「[[風魔小太郎|イモータル・カオス・ブリゲイド]]的な?」と指摘しており、「だいたいそんな感じですね!」と妙にノリのいい一面を見せた。
*「二代目はオルタちゃん」で水子の集合体であるジャックに対してブラックショークを言ったことで「結果授かった者を持て余して堕胎する」ことを仄めかすさらにドス黒い内容なのでは?という解釈があるが、天草四郎が首魁をつとめた島原の乱は、年貢の未進を理由に拷問にかけられ死亡した臨月の妊婦と拷問中に流産した胎児の報復から始まったと記録されている(後述)。
**更に天草地方自体が隠れキリシタンの教義に従い間引きや新生児殺しを良しとしない風土で、間引きと称して新生児を親が殺す悪習が公然たるものになっていた江戸時代でも特異なペースで人口を増やしたやたら子殺しに厳しい島だったりする。詳しい話は司馬遼太郎『「街道をゆく-島原・天草の諸道』や関西大学 『天草諸島の文化交渉研究』等を参照のこと。
**「わたしたち」である胎児を母の子宮から追い出した医者を嫌っており、『Apocrypha』で自身が生まれたロンドンの地獄をジークに説く程度には無知でもないジャックが四郎の発言を受けて無邪気に喜んでいる会話の流れからも、天草諸島出身のキリシタンである四郎が堕胎の被害者である水子当人を相手に堕胎を茶化す発言をしたとは言い切れない。<del>ただ性なる夜を祝福する気満々なのだとしたら聖職者としてそれはそれでどうなのか。</del>
**むしろ、神父にとって粛清対象の悪霊であるはずのジャックに四郎の対応が甘いのは先述の島原の乱の発端と関連して、「母親の中に居たかった胎児の霊」に思うところがあったからなのかもしれない。
*アニメ版ではカットや改変の影響で、全体的に悪役・ネガティブな印象を与える台詞が増えている。例えば、ジャンヌが危惧する停滞した世界についてそれでもいいと答えるなど。<br>ただし、アニメ版脚本やシリーズ構成も担当している作者のTwitterによるとアニメ版でも「ただし、シロウは与えられたとしてもそうならないと信じています。重要なのは実際にどちらが正しいのかは答えが出せない点です。シロウは犠牲を見過ごせずに第三魔法を選び、ルーラーはそうなることが間違いであり、生者によっていつか人は変革すると信じているのです。」<ref group = "出">[https://twitter.com/Higashide_Yu/status/947160562282020864 東出祐一郎Twitter2017年12月31日2:40]</ref><br>とのことで、先に進まない停滞した生命になることに肯定的なわけではない模様。
*『Fate/Grand Order』では『Fate/Apocrypha』での記憶がきっちり残っており、人類救済の願いを捨てた訳ではないと語る。実際、彼の幕間の物語「世界の救済について話をしよう」では聖杯を手に入れるチャンスがあると判明した際'''主人公を裏切って勝負を吹っかけてきた。'''勝負の後も「同じ機会があったら同じ事をする」ときっちり語っている。
**このため、二次創作等では「何かと聖杯を狙っていて(一応穏当な手段で)横取りしようと目論む」というギャグネタをやっていることが多い。……などと思っていたら、2019年のバレンタインイベントにて「それとなく聖杯の保管場所を聞き出そうとする」という行動をストーリー上で行っていた<ref group="注">とはいえ、言われたセミラミスが指摘しているように、本当に狙っていたら何も言わず自分で探すと思われるので、一種のジョークであろう。</ref>。だがそもそもカルデアで回収・保管されている聖杯はあくまでシステム的にも設定的にもサーヴァント一騎の霊基の強度上昇程度にしか使えないものである為、本編の大聖杯のように彼の「人類救済」を叶えるに値する力があるのかと問われると…。
***ただし若干大量生産気味のある昨今ではあるが第一部では人理焼却の要となっていたり、その後も特異点を生み出す程度のことは難なくこなしている聖杯がそれこそ場合によってはカルデアのどこかに数ダース規模で保管されていることになるのでやはり天草四郎にその保管場所を教えることは避けるべきであろう。人理のためにも。
***後に期間限定イベントとして『聖杯怪盗天草四郎』というこのネタ由来としか思えないイベントが実装され、その怪盗っぷり(とネタっぷり)を盛大に披露してくれた。また、同時実装された強化クエストに至っては[[エミヤ]]や[[アルテラ]]が敵として登場していたため'''とうとうやらかしたか…'''という声も上がったとか。