Fate/Zero
;「<ruby>それは許されることではない<rb></rb><rt>・・・・・・・・・・・・・</rt></ruby>!」<br>「英雄王、貴様のようなヒトならざる魔性なら、他者の辛苦を蜜の味とするのも頷ける。<br> だが、それは罪人の魂だ。罰せられるべき悪徳だ。わけても、この言峰綺礼が生きる信仰の道に於いてはな!」
:ギルガメッシュに自身の本性を指摘されて反発する綺礼。しかし、直後に再び、聖杯は令呪をもって綺礼を戦いの舞台にいざなう。
;「……主よ……御名を祟めさせ賜え。御国を来たらせ賜え。天に御心の成るが如くに、地にもまた成させたまえ……」
:父の遺骸を前にして、かつて掴んだ答えを思いだしかけた。心の内に居座った紅い双眸に邪笑とともに囁きかけられる。
:バラバラになりかけた心を聖職者としての本分に立ち戻ることで緊縛した。
;「異存はない。英雄王、お前もせいぜい愉しむことだ。望む答えを得るその瞬間まで、この身は道化に甘んじるとも」
:紅い瞳と黒い瞳は互いに了解を交わしあい新たな一組が生まれた。
;「酒の味とは、思いの外化けるものだ」
:すぐ下で繰り広げられていた駒同士による愛憎劇をギルガメッシュと共に鑑賞した後に酒を飲んだ感想。
:初めて自らが書いた台本はギルガメッシュが言うように本人も認める三文芝居だった。が、時臣の死体という舞台装置でそれを取り巻く役者は言峰の描いた台本通りに演じてくれた。それをつまみにして飲んだ酒は以前と同じ銘柄だが、かつて飲んだ時よりも美酒と感じた。正に、人の苦しみや絶望こそが彼にとって酒をより極上にしてくれるつまみであった。
:聖職者でありながら、悪辣である自らの本質を悟り始めていた。
;「闘争は人間の本性だ。それを根絶するというなら、人間を根絶するのも同然だ。これが無意味でなくて何なのだ?<br> 衛宮切嗣の理想とは──そもそも理想として成り立っていない。まるで子供の戯れ言だ!」
:衛宮切嗣の願望を知り同類と思っていた男は自分と違うのだとアイリスフィールとの問答で認識を改める。
;「……ははッ」<br>「何なんだ? はははッ、何なんだ私は!?」<br>「こんな歪みが? こんな汚物が? よりにもよって言峰璃正の胤から産まれたと?<br> ははははっ、有り得ん! 有り得んだろうッ? 何だソレは!? 我が父は狗でも孕ませたというのか!?」
:「この世全ての悪」による火災を見て。初めて識った、己と世界との繋がりを実感し、歓喜と絶望を込めての言葉。
;「<RUBY><RB>この世全ての、悪</RB><RT>アンリ、マユ</RT></RUBY>──」
:焦がれるような想いを込めその名を口にした。次こそ、その誕生と存在価値を見届けなければならないとそんな考えを彼は懐いた。