メモ
*初めて登場した「[[フォーリナー]]」のサーヴァント。そうした事情もあってか、事前の発表では名前もクラスも不明という異例の扱いがなされた。
*Fateシリーズで初めて明確に『'''[[クトゥルフ神話]]'''』が前面に押し出されたサーヴァントである。<br>これまでも[[ジル・ド・レェ|クトゥルフ要素のある]][[フランソワ・プレラーティ|サーヴァント]]はいたが、アビゲイルの登場により型月作品の世界(型月用語としての「世界」ではなく、メタ的な意味での世界)にもクトゥルフ邪神群が実在することが確定した。<br>ただし、型月作品内におけるクトゥルフ神話は「ひとりの夢を見る男が吐き出した創作神話」、すなわち「狂気のような偶然でクトゥルフ邪神群の在り方を言い当てた」創作物として扱われている。<br>ゆえに型月作品の邪神は、厳密に言うと「クトゥルフ邪神群と全く同じ性質を持つ、深淵に潜む名状しがたき冒涜的な何か」である。
**ちなみに、初登場となった『禁忌降臨庭園 セイレム』の舞台となるセイレムは、クトゥルフ神話に登場するアーカムという都市のモデルであり、クトゥルフ神話の原点の一つとされる。
**そういった縁もあってか、H・P・ラヴクラフト作品集『クトゥルーの呼び声』の帯には『Fate/Grand Order』とのコラボという形でアビゲイルとラヴィニアが登場している<ref group ="出">[https://twitter.com/sai_zen_sen/status/952885840216117248 最前線 Twitter 2018年1月15日 21:51]</ref>。
*型月作品内におけるクトゥルフ邪神群は『'''型月宇宙とは異なる「外宇宙」に存在する高次生命'''』と定義されている。<br>「外宇宙」とは平行世界ですらない文字通りの領域外、別次元とされ、この深淵に棲まう神格はこちらの宇宙の属性を持たず、魔術体系などの法則を始めとする地球の枠組みにも一切縛られない。こういった性質から「異端」「異常異質な神」と称され、人理への明確な脅威と認識されている。
**地球上どころかこの宇宙で生まれた存在ですらないため、'''これら深淵の邪神に対しては星の安全装置である[[抑止力]]が働かない'''。<br>事実、作中において、深淵の邪神の完全なる降臨はとりもなおさず人理の破綻を意味するとされている。<br>現時点で示されている邪神の性質や能力(後述)に鑑みても、深淵の邪神を完全に顕現させようと目論んだ魔神柱[[ラウム]]の行為は、一歩間違えれば[[ゼパル]]以上に危険どころの話では済まない暴挙だったと言えるだろう。<br>[[ビースト]]の顕現に対して発動するはずの[[グランドクラス]]サーヴァント召喚すら機能しなかった辺り、その脅威は正に計り知れない。
***元は人間であり、後に深淵の邪神と交わることでフォーリナーのサーヴァントとなったアビゲイルに対して抑止力が働くか否かは現時点では不明。<br>ただし『外なる神』を宿したアビゲイルがこの世界の魔術体系を綻ばせる描写がある、同様にフォーリナーとなった'''[[葛飾北斎]]に対して人類の歴史を観測し裁定する役割を担う[[ギルガメッシュ〔キャスター〕|英雄王]]の「千里眼」が機能していない'''などの描写を見る限り、フォーリナーとなった瞬間に人類ではなく外宇宙の属性を持つ存在と化し、抑止力が働かなくなる可能性が高い。
**『[[Fate/EXTRA CCC]]』の用語集によれば、[[BB]]やアルターエゴ達を吸収し「魔人」と化した[[殺生院キアラ]]の在り方は、''二十世紀に流行したとある創作神話における邪神''、即ち「深淵の邪神」たちのそれに近いとされる。彼女はこれらの神の域に達しながら、些細なミスによってその座から転落した。
*作中の台詞や設定描写から、彼女と関連するクトゥルフ神話の神格は『外なる神』にして『全にして一、一にして全なる者』こと『'''ヨグ=ソトース'''』であると推測される。<br>所謂現実においてのラヴクラフトのクトゥルフ神話でのヨグ=ソトースは時空の制限を一切受けない神性にして、全ての時と共に存在しあらゆる空間に接する存在とされ、全ての時空間を内包し支配する力を持つ。<br>アビゲイルが「あらゆる時間と空間に門を開き、行き来する」という規格外の能力を持つのは、彼女がこの神格の限定的な依り代となり、時空の深奥に繋がるという「窮極の門」を開く「銀の鍵」としての性質を得たためである。<br>アビゲイルはいずれ自ら「窮極の門」へと至り、かの『外なる神』と一体となる可能性があるとされるが、その際は時空の門を守護し、高次元の移動や自在な歴史の改鋳・再編をも可能とする「神」に等しい存在と化すという。
**彼女の親友である[[ラヴィニア・ウェイトリー]]の出典である「ダニッチの怪」では、ヨグ=ソトースとラヴィニア・ウェイトリーが成した双子の怪物が登場する。アビゲイルに『外なる神』降臨の儀式を教えた(アビゲイル自身は唯のまじないだと思っていたが)のはラヴィニアであるため、ある意味では直接的な元ネタである。
**同じく「空間を接続する」事で機能する宝具としては[[ギルガメッシュ]]の『王の財宝』が存在する。ただしギルガメッシュのそれが「宝物庫に接続し物体を出し入れする」ものであるのに対し、アビゲイルのそれは時間と空間を超越し、過去や未来、外宇宙への接続と移動をも可能とする代物であるため、王の財宝と比較すると遥かに応用が利く。
**存在的に完成した場合時空間の移動は自由自在という規格外のアビゲイルであるが幕間「千の星と百の夜の夢」を見る限り現在は条件付きの様子で、とくに虚数空間は完全に手が出せないらしい。
*アビゲイルが深淵の邪神の依り代に選ばれたのは、魔神柱ラウムによって純粋な巫術者としての才覚を見出されたことに加え、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが編んだクトゥルフ神話の原点の一つである狂気の街「セイレム」にあって、あらゆる意味で中心的な役割を担っていたことによる。この条件に加え、彼女が親友としてセイレムに招いたラヴィニア・ウェイトリーが図らずも『外なる神』に纏わる魔導書『象牙の書』を所有しており、その書に記されていたまじないをアビゲイルに教えたことで、かの神格のアビゲイルへの降臨が決定的なものとなった。
**『外なる神』降臨を悲願とし、代々それに纏わる錬金術を継承してきたウェイトリー家の娘をも遥かに上回る巫術者としての才覚はラウムにとっても驚嘆に値するものであったらしく、ラウムはこれを以って「外なる神」の顕現および人類の救済を確信したとされる。
*幕間の物語「千の星と百の夜の夢」では、外宇宙へと旅立った彼女の実体が「ある惑星の大きな、古い図書館」に滞在していることが明かされるが、これはクトゥルフ神話にてプレアデス星団に存在するとされる恒星「'''セラエノ'''」の第四惑星に存在する大図書館のことを指すと思われる。その大図書館には様々な星に関する本のほか、『外なる神』やその敵対者に関する秘密の知識や呪文が刻まれた禁断の石板が存在している。如何なる経緯かは不明だが、地球にはラバン・シュリュズベリイ博士が石板の内容の一部を翻訳して残した「セラエノ断章」という自筆写本が存在するという。
*偽りのセイレムにおいては、カルデアが干渉するまでに六度の「セイレムという現象」が繰り返されていたが、魔神柱ラウムによればアビゲイルはその中で六つの罪を犯したという。
** 一つ目は「銃の暴発と馬車の転倒の引き金となり、結果としてウィリアムズ夫妻が死亡したこと」。ラウムの言やアビゲイルの反応からすると故意ではなく偶発的なものだと推測されるが、ラウムはこれを第一の罪状と定義した。ただし「ウィリアムズ夫妻は先住民に襲われ死亡した」という作中証言と食い違っており、またその先住民はラウムによって使役されていたことが確実視されているため、そもそもが濡れ衣の可能性もある。
**二つ目は「本来の使用人であるティテュバを(恐らく最初の)食屍鬼へと変えたこと」。言及に割かれた台詞が極めて少ないため経緯などは不明だが、アビゲイルは食屍鬼を「死者の想いを食べて一つになるもの」と認識していたようである。
**三つ目は「親友を求め、ラヴィニア・ウェイトリーとその一家をセイレムに招いたこと」。招かれたウェイトリー家はラウムによって「外なる神」降臨の引き金となる役割を期待された。なおこの段階でセイレムは六度目の現象となっており、これを維持する魔力と時間が枯渇を始めていた。
**四つ目は「死してなお贖罪を乞うた罪人の魂を、慈悲を以てセイレムに招いたこと」。その魂の中にはマシュー・ホプキンスなど人類史の魔女狩りに加担した者も含まれていた。
**五つ目は「無垢であるが故に人を信じ続け、罪人への呵責を行わなかったこと」。その信仰の厚さは魔女狩りに加担した人物にすら救済を見出させるものであったが、同時にセイレムを罪人が救われず処断されない煉獄へと創り変えてしまう結果となった。
**そして六つ目にして最後の罪は「人の心と言葉、希望を捨て去ること」。この罪のみ過去形ではなく未来形であるが、これは第七のセイレムにてアビゲイル自身が人であることを捨て、深淵の邪神をその身に降臨させることを指すものと思われる。
**一つ目の罪と三つ目の罪を除けば、アビゲイル自身は彼女の信じる救済と赦しに則ってセイレムに干渉している。第七のセイレムである本編中において、アビゲイルは一貫して魔女裁判にかけられる人々の無罪を主張し続け、精神の深層で邪神の降臨が始まった後は自らが魔女であることを半ば肯定してすらいる。
**ラウムの独白によれば、罪を犯した者でも別け隔てなく救おうとするアビゲイルの姿には、魔神柱仲間から切り捨てられたラウム自身も救われたとのこと。当初はアビゲイルに深淵の邪神の依り代としての役割を期待するのみだったラウムが、最終盤では「姪(アビゲイル)を救う」とまで言い切った理由はこのあたりにある。
**ラウムはアビゲイルが生前の罪の意識に縛られており、セイレムから離れられないことを知っていた。六つの罪状を仕立て上げ、アビゲイルを法廷で「魔女」として裁くという経緯は、「自身が魔女である」という認識を受け入れさせてアビゲイルの自責の念を解くこと、それと同時に時空を超越する力を持つ『外なる神』をアビゲイルの身に降臨させることで、物理的にセイレムから離れられるようにすることを期したものでもあった。<br>尤も魔女裁判を経てなおアビーの自責の念は解かれず、『銀の鍵』となったアビーはセイレムからの解放ではなく「世界をセイレムと繋げ一体化させる」ことを望んだため、彼女をカルデア勢に鎮められるまでその目的は完全には達成できなかった。
*『禁忌降臨庭園 セイレム』は2017年においてあまり前面に出なかった[[マシュ・キリエライト]]が本編に介入した唯一のシナリオである事もあってか、そのキーキャラクターであるアビゲイルはシナリオ中でもマシュとの関係が良好。アビゲイルは「マシュさんみたいな素敵な人」と語り、またマシュ自身も自分の境遇を重ね合わせた結果「アビーを一人にしてはいけない」と決心を固めており、アビゲイルが「外なる神」の影響で半ば暴走状態に陥った後も彼女の善性を信じ続けた。
**「故郷(カルデア/セイレム)に愛着はあるが外の世界にも関心が強い」「魔神柱([[フラウロス (Grand Order)|フラウロス]]/[[ラウム]])が個人的に救おうとした少女」「主人公によって色彩を見出したマシュと、色彩を失いかけつつもラヴィニアとの友情で色彩を取り戻すアビゲイル」<s>「ともにバーサーカークラスから痛打を受けない」</s>など共通点も多い。
*カルデアに召喚されたアビゲイルがラヴィニアの事を記憶しているかは2018年年始においては明確ではないが、[[シバの女王]]については『禁忌降臨庭園 セイレム』時代でのティテュバの印象を持ち合わせている事から、ラヴィニアの事も大切な友人であると記憶している可能性は十分考えられる。
*マテリアルでは清教徒(ピューリタン)としての厳格な戒律もセイレム魔女事件の原因の一つではないかと指摘している。アビゲイル自身は巫女としての才能が強い事を除けば信仰心が厚い少女であり、これがスキル「信仰の祈り」の由来となっている。
**神を信仰するが故に罪人である己を許せない所などは[[ジル・ド・レェ]]に近い部分もあるのかもしれない。
*ラウムは「魔術協会における伝承科」「我らの王の弟子のひとり、ブリシサンが預かった禁忌の中の禁忌」を迷信と掛け合わせる事で人類を救済しようとしていた事から、伝承科とアビゲイルひいてはクトゥルフ邪神群などは何らかの関係があるかもしれない。
**余談だが、カルデアAチームの[[デイビット・ゼム・ヴォイド]]は、伝承科から追放された人物でありダヴィンチからは「危険人物」とされている。
*再臨段階によって戦闘モーションや宝具演出が大きく変わる珍しいサーヴァントのひとり。
**再臨後は帽子とマントに'''パンイチの少女'''(しかも尋常じゃないローライズ)という際どすぎる格好となる。しかもこれですらゲーム媒体を意識して手心が加えられているのか、コミカライズ版では帽子とマント以外は'''全裸'''になっている。
*『禁忌降臨庭園 セイレム』にて敵として登場した当時、ゲーム上で相性有利を取れる[[アルターエゴ]]は尽くが期間限定ガチャでの入手に限られ、確実な入手が見込めた配布サーヴァントは直前の開催であった『ハロウィン・ストライク!』における[[メカエリチャン]][[メカエリチャンⅡ号機|(Ⅱ号機)]]であった。そのため新たなる某'''魔を断つ剣'''が誕生するカルデアが続出した。
*彼女、ひいてはフォーリナークラスの登場により、本作からクトゥルフ要素がある程度表立って登場する機会が生まれることとなった。となると、クトゥルフの邪神群がどこまで人理と世界に関わっているか気になる所ではある。
**クトゥルフ邪神群の化身とされる存在は多岐に渡るが、日本絡みではある邪神の化身の一つが織田信長の姿を取って現れるという一説が存在している。
*彼女のバレンタインシナリオでは「セイレムではクリスマスのお祝いはしなかった」とされているが、これは清教徒(ピューリタン)が1647年から1660年にかけてクリスマスを荒れたお祝いと禁止して間もない事も大きいのだろう。セイレム魔女裁判が起きた頃のマサチューセッツではクリスマスは法律で禁止されていなかったものの、信仰のためにクリスマスを祭りとして祝う風習はまだなかったと思われる。
**ただしアビゲイル自体はセイレムの外の文化に関心を示しているので、実際クリスマスのイベントに参加したら楽しんでいることは確実だろう。事実、後には彼女自身が[[サンタサーヴァント]]となっている。
*第一再臨で持っているクマのぬいぐるみの名前は「ユーゴ」。
**『禁忌降臨庭園 セイレム』では双子のクマ「ミーゴ」をラヴィニアへと贈っており、[[指令紋章]]「お揃いの仔グマ」の解説でもその事が触れられている。
**名称の元ネタはクトゥルフ神話における架空の惑星「ユゴス」からと思われる。「ミーゴ」の方は、ユゴスからやってくる生命体「ミ=ゴ」からか。