魔法・青
''「──聴け、万物の霊長」''<br>
''「───告げる」「<ruby><rb>秩序</rb><rt>あお</rt></ruby>を示す我が<ruby><rb>銘</rb><rt>な</rt></ruby>において告げる」''<br>
''「──<ruby><rb>全ては</rb><rt>not.</rt></ruby>、<ruby><rb>正しく</rb><rt>SANE</rt></ruby>」「──<ruby><rb>秩序は</rb><rt>five</rt></ruby>、<ruby><rb>ここに崩れ落ちた</rb><rt>timeless words</rt></ruby>」''
青子が祖父から受け継いだ、詳細不明の第五魔法。作中の描写から「時間」に関するものであることがうかがえ、頻繁に「時間旅行」という言葉が用いられているが、その全貌は明らかになっていない。
作中で使用され、示された効果は以下。
; 青子の成長
: 現在の青子に10年をプラスし、成長し魔術師として完成した未来の青子を作り上げた。代償として、草十郎の過去の10年を一時的に借りることで「時間の等価交換」を行っている。いわば、草十郎の時間を青子に上乗せした、というもの。
: 10年という時間は肉体的なものではなく精神的なもので、青子の外見年齢は変化していない(ただし、どのような作用が働いたかは不明だが、髪が赤く、目が青くなり、服装も変わっている)。同時に、10年を奪われた草十郎も外見年齢は変化しておらず、若返ったりはしていない。また、草十郎が奪われた時間は「過去の記憶」であり、現在の草十郎が記憶を10年前に後退させたということはなく、過去のある期間の10年分を記憶喪失しているといった状態。
: この状態の青子は草十郎から借りた10年の記憶を保持している。そのため若干、精神的に草十郎の過去にひきずられている。魔法が終了し、青子が時間を草十郎に返せば、草十郎の失われた記憶は戻り、青子も借りていた草十郎の過去の記憶を忘れる。
: 魔法の効果が現れ、維持されている状態で、青子と草十郎だけでなく周囲の風景も書き換わっている。白い花が一面に咲き乱れる春の草原で、「草十郎の一番だった過去」らしい。
: 有珠によると、これは「まっとうな時間旅行」であるらしい。矛盾は修正される。だが、草十郎を巻き込まず青子一人の時間を操作した場合は、時間軸の矛盾も含めて青子の経験になるとも述べている。
; 草十郎の蘇生
: 橙子に殺された草十郎を生き返らせた。正確には「死からの蘇生」ではなく、「死の回避」。「草十郎が死んでいた5分間」を無かったことにした。古来、死者の「完全な」蘇生は魔法ですら叶えていないという。
: これが「時間の逆行による肉体の復元」であった場合、草十郎の蘇生は魔法の効果が続く間だけの一時的な現象となり、魔法が切れた途端、世界からの修正力によって草十郎はもう一度死という運命を繰り返すだけである。そうでなければ時間の総量に矛盾が生じる。しかし青子が行ったのは、草十郎の死んでいた5分間という時間そのものを、現在という時間軸から放逐することであり、その矛盾を修正力の及ばない形として容認させること。ただし、青子が行ったのは「時間の消滅」ではない。何かを消滅させるには、その何かと同等のエネルギーが必要で、5分間、限定空間だけとはいえ、青子には「世界」を消すだけの力はない。青子が行ったのは、そのエネルギーを遥かな未来へと押し付けただけ。言うなれば、いつかくる世界滅亡を、そのエネルギーの分だけ早める行為。問題の棚上げであって、解決ではない。滅亡の負債。橙子いわく「タイムパラドックスの方がまだ人道的だ」「この星の頭上に隕石を作っているようなものだぞ!?」。それに対し青子は「責任なんて、私が生きてる間になんとかするわよ!」だそうで、負債を払う方法は今の時点で考えていない(「その時はその時で、負債を過去に送ってやるわよ!」とも言っている)。
; 橙子の攻撃からの回避
: 橙子の攻撃を、何らかの手段で回避した。詳細は語られておらず、あくまで橙子の推測として、秒単位で時間旅行を繰り返し、現在の時間軸に存在しない、という現象を起こしたらしい。攻撃を他の時間へ逸らしたのか、自分自身という「盾」を何千と纏っていたのか、といくつか予想している。
以上のことから、第五魔法は「時間旅行」「時間操作」に類するものであることがうかがえるが、それらは橙子によって「魔法ではない」と否定されてもいる。
「時間旅行」の概念は、第二魔法「並行世界の運営」に含まれる、というのがその理由。世界の改竄や事象の書き換えは既に第二魔法によって実現しており、「ただの時間旅行」は「新しい魔法」として認められないのだという。
このため、青子が橙子に見せた諸々の力は、「第五魔法の本質ではない」とされている。また、橙子は青子によって繰り返し行われた魔法の行使に対し、いったいどこからそんな莫大な魔力を持ってきたのか疑問視している。