真名
真名は召喚された者の真の名前、いわば「正体」。真名がバレる事は逸話に基づく弱点が看破される事になるので、可能な限り隠そうとするもの、とされている。彼らがクラス名で呼び合うのは、真名を使うことなく互いを呼び合うためである。<br>
相手に正体が知れるということは、英霊の残した伝説・伝承が知られるということであり、その弱点につながる情報をさらすことにもなってしまう。例としては『召喚されたのが[[アキレウス]]であると相手に知られる』=『アキレウスの伝承から、かかとが弱点であることが相手に知られてしまう』など。<br>
……と、言う事になってはいるが、実際には真名の露見が直接的でわかりやすい弱点の露見になったサーヴァントは、ほとんど居なかったりする。それどころか、いずれの戦いでも真名を堂々と名乗った英霊が現われている有様である。
*真名が知られれば、その能力も予測は出来るようになる(例えば、[[メドゥーサ]]の真名を知っていれば、石化の対策を取る事が出来るようになる、など)のだが、それを有効活用した事例はほとんどない。特に[[クー・フーリン]]は様々なゲッシュ(誓い)に縛られており、生前もそれが死因となるなど真名露呈が致命的となるサーヴァントの筈なのだが、『stay night』作中において散々に真名を露呈させており、その癖これを突いた敵は存在しない。
**これは、「相手の弱点を突いて倒そうとするのは、相手がよほど格上でない限り盛り上がりに欠ける」「致命的な弱点を持つサーヴァントを物語に出しにくくなる」と言うメタ的な事情が挙げられるだろう。実際、全員がクー・フーリンの弱点を狙い始めると、名シーンの多くが台無しになってしまう。また、それにも関わらず真名を隠そうとするのも、やはり「サーヴァントの正体を隠して読者の興味を引っ張る」と言うメタ的な事情だろう。
*また、分かるのはあくまで表面上の情報でしかない。例えば[[ヘラクレス]]は登場時に真名を名乗ったサーヴァントであるが、判明した後も当初はその宝具の内容と能力は余り知られておらず、セイバールートにおいて十二の試練の効果を勘違いした凛は絶体絶命の危機に陥った。そもそも能力が生前と異なるケースも非常に多く、よほど特徴的な能力や弱点を持っていない限りは「真名の露呈が致命的である」とは言い難い。
*『EXTRA』ではシステム上、真名の看破が探索に占める比重が大きく、従来の作品以上に真名が重要な意味を持っている。ただこれも「真名の看破がマトリクスの開示につながり、手数の開示率も上げるから」と言う、どちらかというと収集要素的な理由にあり、真名自体を直接攻略の役に立てている訳ではない。
**と言うよりむしろ、「全ての情報を得てからそれを元に真名を確定させる」と言う他作品と比較して正反対の活用法となっている。
*『Apocrypha』には数少ない「真名の露呈がサーヴァントの攻略に繋がった例」があり、[[ケイローン]]は[[アキレウス]]の弱点である踵を宝具で射抜き、[[ウィリアム・シェイクスピア]]は[[フランケンシュタイン]]や[[ジャンヌ・ダルク]]に生前の記憶を利用した精神攻撃を仕掛けた。もっともその露呈の原因は「生前の知り合い同士が出くわした」「シェイクスピアの仲間に[[天草四郎時貞|真名看破スキルの使い手]]がいた」と言う、どうやっても不可避のものであったが。
**一方で、同作では[[ジークフリート]]も「真名の露呈が弱点を晒す」と言われていたが、結局露呈前に退場してしまった上、その力と姿を借りた[[ジーク]]は相手の矜持からか弱点を突かれる事はなかった。また、[[アストルフォ]]は「自分は真名の露呈が致命的にならないサーヴァントだから」と判断した上で、自ら名乗りを上げている。
**ケイローンは生前そのままの姿では簡単に真名が知られてしまうため、幾許かのステータス低下を代償に人間の姿を取って現界している。作中ではアキレウスという生前の知り合いがいたおかげでお互いの真名が看破される結果となったが、外見で真名を看破されやすい英霊に対する救済措置はあるようだ。
*その他の作品でも、真名からの弱点を突く攻防も一応は存在する。
**『Grand Order』の[[神聖円卓領域 キャメロット|第六特異点]]にも、生前に毒で死んだ逸話を持つ[[トリスタン]]を攻略するために毒を中心に用いる戦法を立てるシーンが有る。ギフト「反転」によって完全に阻まれてしまったものの、「反転」によって得た耐性自体が相当なもので、サーヴァントや幻想種すら殺し得る[[ハサン・サッバーハ〔静謐のハサン〕|静謐のハサン]]の毒を受けても全く効果が無かった。
**イベント『デスジェイル・サマーエスケイプ』でのギャグ混じりの時空ではあるが、[[女王メイヴ|チーズの直撃を受けて死んだ英霊]]を攻略するために投石機でチーズ砲弾の投射を試みるシーンが存在する。こちらはこちらで'''飛んでくるチーズ限定の反射神経を特訓で身につける'''という文字通りの力技の前に打ち砕かれたが、やはりそんな"努力"をしてまで対策するほどの弱点だという事だろう。
**本編とは別設定のスピンオフではあるが、『[[Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ|プリズマ☆イリヤ]]』の対[[ベアトリス・フラワーチャイルド]]戦では「敵の真名の看破と対策」が物語の焦点になっており、雷槌ミョルニルを使用する事からベアトリスのバーサーカーの真名を「トール」だと推定し「[[メドゥーサ|蛇]]の英霊を用意し毒を食らわせて九歩後退させて生前の死因を再現する」という周到な作戦を立てていた。結局、正体がその息子である「マグニ」だったために作戦は失敗に終わってしまったが。
***ただ、こうしたシーンがあるにも関わらず、実際有効活用した例がほとんど存在しない、という不自然さにも繋がるのだが。上記の例も物語の盛り上がりを考慮してか、全て失敗に終わっている。話の都合でクローズアップされたり無視されたりする、都合の良いものとして扱われているのが現状である。
**そもそも「死因がサーヴァントの弱点になる」と言う設定自体も、その英霊次第、その時次第で如何様にも変わる。分かりやすい所では、戦場でありふれた武器によって殺された英霊が、その武器を弱点としているような例は存在しない。[[海賊]]系の英霊は生前船の上で死んだ者が多いが、だからといって船の上で弱体化すると言う事は当然有り得ない。そもそも自分の武器や宝具にして召喚されているサーヴァント(毒酒で討ち取られ、その毒酒を宝具としている[[酒呑童子]]など)すらいる。
***実際に死因=弱点が描写された上記のトリスタンですら、「反転」がない状態ではDランクの「弱体化(毒)」という毒への耐性が若干低くなるデバフスキルを持っている程度でしかなく(しかもFGOのシステム上は実装されていない)、言うほど致命的な弱点かと言うと微妙な所である。
*冬木の聖杯戦争において「暗殺者」のクラスの真名自体は開戦当初で確定しているといってよい(ルール違反の[[佐々木小次郎|例外]]はある)。だが、その真名から能力を判別する事が不可能に近いので、ある意味では最も深く秘匿された英霊とも言える。
**『Apocrypha』では世界各地で小規模な聖杯戦争が多発しているため、19人の[[ハサン・サッバーハ]]全員の宝具を含めた能力が魔術師に知れ渡ってしまい、マスターのハサン対策は当たり前になっている。
***ただ、この設定が公開された後に、[[“山の翁”]]という「当たり前の対策など本当に出来るのか?」「そもそも小規模な聖杯戦争で召喚出来るような存在なのか?」と言う別格クラスのハサンや、そもそも19人に含まれない番外ハサンである[[ハサン・サッバーハ〔幽弋のハサン〕|幽弋のハサン]]などが登場しているため、今も生きている設定かどうかは若干怪しい。そもそも、『Apocrypha』の登場人物達は(ハサンが登場しないので結局は無意味になる、登場後に設定されたハサンは対策しようがない、等の事情も有るにせよ)特にハサン対策を行っているようには見えない。
*真名は必ずしも'''その英霊の生前の本名と一致しているとは限らない'''。
**[[ハサン・サッバーハ]]の例にあるように代々その名前を継承している場合や、[[ロビンフッド]]のように複数人の伝承が一人の英霊の真名として集約されたなどの理由で、複数人が一つの真名を共有していることがある。
**[[ファントム・オブ・ジ・オペラ|異名]]・[[マタ・ハリ|芸名]]・[[シュヴァリエ・デオン|称号]]など本名ではない呼び名が定着して真名にされていたり、架空の英霊の技術を再現できるが故に召喚された[[佐々木小次郎]]、生前の名前が失われた[[無銘]]や[[アンリマユ]]、[[ジャック・ザ・リッパー (Apocrypha)|ジャック・]][[ジャック・ザ・リッパー (Fake)|ザ・リッパー]]など様々な例がある。