真名:ガイウス・ユリウス・カエサル
:英語名はシーザー。「皇帝」の語源となった、古代ローマ最大の英雄の1人。紀元前一世紀の人物。
:ガリア戦争やブリタニア遠征などで名を馳せた将軍であるが、同時に統治者として有名あり、帝政の基礎を作っていた。女神ヴィーナスの末裔とも言われ、人ならぬ妖精の女の間に子を成した。
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: 戦乱と権力闘争に明け暮れたローマにおいて彼は自ら権謀術数の渦中へ飛び込むことを選び、民衆へと向けて行われる「昼の政治」と自身の命を守り敵を殺す「夜の陰謀」、この二つを繰り返して順調に出世してローマ執務官となり、第一回三頭政治は始まった。その後はガリア戦争やブリタニア遠征に趣いて、ガリア人やブリタニア人といった敵対勢力に対して撃破と鎮圧を繰り返し、叩き伏せて数年もかけてガリアを平定したのだ。
:統治者であった彼がガリア戦争やブリタニア遠征に趣いたのは、単に若かっただけでなく、ローマに渦巻く権謀術数から逃避し、剣の勲に没頭したほうが幾分かは気が楽だったから。美貌と知の冴え、裏切りと陰謀を重ねて権力の階段を駆け上ったが、同時に、陰謀で政敵を幾度も死に追いやっていくたびに、何かが穢れ、何かが病んでいくのを感じていた。
:ともあれ、最強の将軍として民衆から絶大な支持を勝ち取り、三頭の一人であるクラックスの死後、敵対し、袂を分かつ事になったポンペイウスも暗殺され、名実ともにローマ最高の実力者となった。
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:政争に明け暮れ、それを乗り越える為ならば離婚も結婚も自在におこない、戯れに幾多の女に手を出したカエサルが四十歳になった頃───彼は運命と出会った。エジプト首都アレクサンドリアに趣いた彼は、プトレマイオス13世の形式上の妻にして共同統治者である女王、[[クレオパトラ]]に一目惚れをしたのだ。
:二十も年が離れた若い娘でありながら、自分を恐れずに忍び込んだ鉄の覚悟と自国と民とを想う誇り高さ、それを形になったかの如き独特の美貌を持った女王は、心から愛する相手でありこの手で守るとカエサルは誓った。彼女と共に、かつて征服王が成し遂げた「ローマ・エジプト帝国」を夢見たカエサルはプトレマイオス13世を排除してエジプトを平定し、周辺各王国へと侵攻してそこに潜む元老院派を制圧、ヒスパニア制圧を得てローマを平定することができた。
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:初の終身独裁官として君臨したカエサルを阻むものはもういない。ローマの全てを掌握した。パルティア王国遠征が成功した暁には、必ずクレオパトラを正式に妻として迎え、カエサリオンを自分の息子として広く世界へ告げて見せよう。愛する女王クレオパトラにそう約束したのに、それは果たされることはなかった。
:愛と安寧の日々は続くことはない、それを知らしめるかのように、元老院派残党の走狗となった忠臣プルートゥスが隠し持ったひと振りの刃によってカエサルはあっけなく崩れ落ちてしまったのであった。