真名:マックスウェル
:とある根源に挑んだ数学者。しかしこのサーヴァントはマックスウェルによる思考実験で生み出された架空の存在。
:この概念上の存在に「無限のエネルギー」を求める人間の欲望が集まり、サーヴァントとしての霊基を得た。
:この悪魔は「熱力学第二法則を否定する悪魔」と定められているため、撃破する為には単純な攻撃力よりも、いかに否定する概念・理論をぶつけられるかが勝負になる。
:そして、『帝都聖杯奇譚』の時代(1940年代)にはこの悪魔の概念を否定する理論がまだ確立されていない。これが、先述した「どうやっても殺せない」能力の正体である。
:目的達成のためなら如何なる手段をも講じ、マスターさえ出し抜く表裏者。
:悪役じみたムーブも多いが、これは本来人間のあくなき願いから生まれたサーヴァントであるため。その最終到達点は真の永久機関による'''「人類の幸福」'''である。
:例え目的の実現に到達したとしても、'''外法による贋物には憤りを顕わにする'''高潔さはある。
:当人の目的はあくまで「自身の論証を完全にする」こと。
:つまり'''「永遠を実現する悪魔は世界に“確実に”存在すると“立証する”こと」'''であり、万一にもその論理が破綻し、尚且つそれに「人類の幸福」と天秤にかけて負債が大きい場合、自死さえ厭わない潔癖さを見せる。
:『ぐだぐだファイナル本能寺』では黒幕のような動きを見せていたが、本懐は「人命を燃料に動く自身の贋物の破壊」であり、実際にはプレイヤー側の味方であった。
:それは自身をあくまで「幸福をもたらす存在」と定義するが故の矜持。
:幸福をもたらすものが、人類に破綻と堕落をもたらすものであってはならないという、「科学の悪魔」としての誇りがこの悪魔の行動原理なのかもしれない。
関連
; 熱力学第二法則
: エネルギーの移動の方向とエネルギーの質に関する法則。
: 一言で言ってしまうなら、コップに熱湯と冷水を混ぜて入れた場合、そのまま放っておけば均一な中間の温度のぬるま湯になるが、ぬるま湯をコップに入れて置いておいたとしても、何もせずにコップの湯が「右半分は熱湯に、左半分は冷水に分かれる」なんて事は起こらない、という法則。
; マックスウェルの悪魔
: 上記のような法則はあるものの、熱力学上温度とは「分子の運動の激しさ」である事を考えた場合、「自由に開け閉めできる窓がついた仕切りで左右に仕切られた容器」にぬるま湯を入れたとして、水のそれぞれの分子を見分ける事ができ、この窓を開け閉めできる"悪魔"がいたとしたら…?という思考実験で仮定された存在。
: この悪魔が運動量の高い=熱を持っている水分子が右から左に行こうとする時は窓を開け、左から右へ行こうとするときは窓を閉める。運動量が低い=熱を持っていない水分子に対してはその逆、という一方通行を敷いた場合、水そのものに直接熱エネルギーを与えたりする等の仕事をせずにぬるま湯が熱湯と冷水に分かれていく事になるため、上記の熱力学第二法則が否定されてしまう。これが、1860年代にジェームズ・クラーク・マックスウェルが提唱した「マックスウェルの悪魔」である。
: この「悪魔」を打倒する為に多くの学者が研究を重ね、最終的には、「運動量の高低を見分けるための情報もエネルギーであり、一度観測した情報を再利用する為に消去する過程でエネルギーが必要になるため、永久機関は作れない」という結論が1980年代に出され、実質的にとどめを刺された。
; 悪魔の証明
: 法律用語で、簡単に言うと「いないことの証明はいることの証明よりずっと難しい」ということ。
: この場合、「マックスウェルの悪魔はいる」という証明には実例を示せばよいが、「マックスウェルの悪魔はいない」という証明には完全な理論が必要となる。
: おそらく、同名のスキルが「いないと証明されていないから消えない」という論理で不死能力の源になっていると思われる。