神秘
今の時代の一般常識から外れた、巷に流布してはいない、秘匿された知識とその成果。魔術師は「根源」へ至る手段として「神秘」を学び、その「魔術師の学ぶ神秘」を言い換えると、それが「魔術」と呼ばれる。
魔術師にとって魔術とは、根源に至るための手段である。言い換えれば、根源へ至る可能性と価値があるからこそ、魔術師は魔術を学んでいる。もし魔術が根源へと至る手段ではないものに成り下がったら、魔術師にとって意味が無い。
魔術がその価値を無くすとは、即ち既に述べた「一般に知られる」ということが現実に起こった場合。「神秘」という「事象の太い流れ」が、一般に知られることで「細い流れ」へと姿を変え、前述したように根源から遠ざかる。それを、魔術師は最も忌避する。分かりやすく言えば、1人の人間しか知らなかった魔術を誰か1人に教えると、その性能は二分の一、さらにもう1人に教えてしまうと三分の一に、とどんどん劣化していく。<br>
一例として、「人体模造はとうに衰退した概念」という記述がしばしば出てくるが、これは科学・医学の発達により人体の構造が詳細に解き明かされ、世界中に広く知れ渡って神秘が薄れたため。もっとも人体の神秘が完全に解明されつくしたわけではないため、[[蒼崎橙子]]のような天才的な魔術師ならば魔術として使用できる余地がある。
魔術師の学ぶ魔術とは、根源に至る可能性を持つ「太い流れ」=「神秘」でなければ、学ぶ価値が無い。<br>それと共に、「神秘」は大勢に知られてはならない。大勢に知られては、その意味と意義を失う。
ゆえに、魔術とは神秘であり、神秘であり続けるから魔術として存在できる。
魔術師は己の研究を公開しない。公開しては「神秘」たりえなくなる。<br>公開しては「神秘」たりえなくなるため、魔術師同士が研究の成果を持ち寄って意見を交換し、互いによりよく発展させようなどということはありえない。<br>そのため、魔術師の自治組織である[[魔術協会]]は、その第一義が他を差し置いて「神秘の秘匿」とされている。
魔術協会は、別に魔術師が新しい魔術師を育てるための学び舎でもないし、互いに切磋琢磨しあう研究の場でもない。ようするに、「他の魔術師が下手を打って神秘を漏らして、自分に迷惑がふりかかってこないよう、互いに監視し合うための組織」として機能している。
歴史を積み重ねた武器はそれだけで魔術に対抗する神秘となる。神秘性が備わる為、魔術を込められた武器同様にサーヴァントに傷を与えることは可能だが、サーヴァントや宝具に比べればその神秘性は無いにも等しく、蚊の止まるようなダメージしか与えられない。<br>
[[両儀式|式]]の持つ古刀『九字兼定』(約500年前の日本刀)は橙子の事務所の結界を丸ごと斬れるとされている。