ジーク

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ジーク

  • スペル:Sieg
  • 誕生日:月日/血液型:型
  • 身長:165cm/体重:53kg(物語開始当初)

Fate/Apocrypha』における、もう一人の主人公。
ユグドミレニアに造られた、儚げなホムンクルスの少年。

略歴
ユグドミレニア一族により、アインツベルンの技術を流用して作り出されたホムンクルス。彼を含むホムンクルスたちは元々、サーヴァントの宝具や自己治癒、魔術行使などによる魔力供給を肩代わりさせられるために生み出された、ただ消費されるだけの自我無き生命だった。だが、奇跡的な確率で自我に目覚めた彼は死への恐怖から魔術回路を駆動させ、魔力供給槽からの脱出に成功する。
しかし、歩くことすら設計されていない欠陥を抱えた体では城の外までは逃げられず、命運が尽きようとしていたその時、黒のライダーに助けられる。
その後、赤のバーサーカー襲撃の混乱に乗じ、ライダーの助けを借りて脱走を試みるも、ダーニックの命で捕縛に現れたゴルドに暴行を受け、瀕死の重傷を負う。
だがライダーに英雄としての誇りを問い質されたジークフリートによって、彼の心臓を与えられ、蘇生に成功。サーヴァントの心臓を取り込んだことで肉体が変化し、錬金術の永い歴史の中でも例のない存在となる。
それまでは無銘のホムンクルスだったが、恩人であるジークフリートへの感謝の念を込めて、この時から「ジーク」と名乗るようになった。
ライダーと互いに別れを惜しみながら別々の道を行くこととなるが、事情を確認するために現れたルーラーと出会い、同胞を救う手段を求めて彼女と行動を共にするようになる。
その後、戦場でホムンクルス達を説得しながらライダーを探し、赤のセイバーの前に絶体絶命の窮地に陥っていた彼を救うため剣を取り、その戦いの中で特殊な令呪「竜告令呪(デッドカウント・シェイプシフター)」を左手に発現させ「黒のセイバー」として復活を遂げる。
人物
その中性的な容姿とは裏腹に、一人称は「俺」。
完全な魔力供給用として設計されたため肉体は非常に脆く、当初は少し歩いただけでも体力を使い果たし、発声器官を使用すれば苦痛が伴いまともに喋れず、黒のアーチャーの診療を受けた時点では、あと三年ほどしか生きられないと判断されていた。
元より魔術回路を基盤として鋳造されたがゆえに情報を理解する能力には秀でており、この聖杯大戦や魔術についての知識も完璧に把握している。それでも、我を持った生命として生きていること自体が奇跡に近いこともあり、「どうやって生きていくのか」という問いに明確な答えを出せず煩悶する事となる。
黒のセイバーの心臓を与えられて蘇生した後は身長が大きく伸び、声を出すことに苦痛を感じなくなるなど身体能力も大幅に向上し、ただの人としてならば充分に長生きできるだろう生命力を得た。しかし『自由』を得ても自らの願いが分からずに思い悩んでいた中、ルーラーとの邂逅を経て、黒のサーヴァント達が自分を助けてくれたように、自分の捜索を命じられながら見逃してくれた同胞たちを救う事を決心する。
肉体が逞しく成長しても論理的、理知的な性格は全く変わっていないが、余りにも無垢なため、人間の感情の機微や男女の関係には酷く疎く、かなり天然な発言やルーラーを混乱させるような行動をつい意図せず行ってしまう。
また一旦物事を決めたら、『とことんまでやりきる』性格をしていて、ルーラーからは「頑固者」と評されている。
能力
生まれた時から、一流と呼ばれる魔術師ですら及ばない一級品の魔術回路を持ち、手で触れた物体の組成を瞬時に解析し、魔力を変質・同調させ、最適な破壊を行う「理導/開通(シュトラセ/ゲーエン)」と呼ばれるアインツベルンの錬金術を元にした強力な攻撃魔術を行使する。
当初は肉体が虚弱だったため、この魔術を行使すれば大きな反動が発生し死の危険さえも伴っていたが、ジークフリートの心臓によって竜種の血が混じったこともあり、実戦での使用に耐えられるまでに肉体が成長した。
黒のライダーから細身の剣を譲渡されている。剣自体は宝具でもないただの武器にすぎないが、曲りなりにもサーヴァントの武装であり神秘を帯びているため、サーヴァントを傷つけることも可能。
赤のセイバーに討たれた後に黒のバーサーカーの宝具の余波により再度蘇生した際、黒のセイバーの心臓が触媒となり、悪竜の呪いから通常の令呪とは完全に異なる黒き紋様「竜告令呪(デッドカウント・シェイプシフター)」を発現させた。
この令呪一画につき3分間限定で自らの体に「英霊ジークフリートそのもの」を憑依させ、その身体能力、戦闘経験値、宝具を含む保存能力を完全具現化する。彼がこのような荒業を身に着ける事ができたのは、彼の魂が純粋で何物にも染まっておらず、ホムンクルスとして生まれた事で肉体にも年月の蓄積がなく、憑依の際の急激な変化にも適応することが可能だったためである。
ただし、これは使用する度に己の命を削る諸刃の剣で、彼自身剣を振るうことと与えられた力に戸惑っており、今の時点では十全に力を発揮させることが出来ないでいる。

宝具

幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)
柄に青い宝玉が埋め込まれた黄金の大剣。
「竜告令呪(デッドカウント・シェイプシフター)」発動中のみ使用可能で、普段の彼はライダーから別れの際に貰った剣を武器としている。
聖剣のカテゴリーに属し、真名を解放することで、大剣を中心とした半円状に拡散する黄昏色の光の波を放つ。
悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)
竜の血を浴びることで得た常時発動型の宝具。
同じく、「竜告令呪(デッドカウント・シェイプシフター)」発動中のみ効果が適用される。
Bランク以下の攻撃を完全に無効化し、更にAランクの攻撃でもその威力を大幅に減少させ、竜種由来の肉体強度と治癒能力が合わさり、Aランク以上の対軍宝具による一撃を耐えるほどの強固な肉体を誇る。
但し、伝承の通り「背中の一部分のみ」その効力は発揮されない。

登場作品と役柄

Fate/Apocrypha
主人公の一人として登場。

人間関係

ライダー
最初の友人であり、全ての始まりの切っ掛けを作った最大の恩人。別れ際に彼の佩剣をもらっている。
理性では迷惑でしかないと分かっているのに、「ただ会いたいから」と戦場で彼の姿を探してしまうほどに大切な友人。
ルーラー
恩人の一人。「ジーク君」と呼ばれ先輩風、というよりお姉さん風を吹かされている。
知り合って間もないが、互いに誠実な性格をしているため非常に相性が良く、目的が違っても信頼し合っている。
アーチャー
恩人の一人。匿って治療してくれた事に深く感謝している。
また短い間ながら彼から教えを授かり、彼の「どうやって、生きていくのか」という問いはジークの命題にもなっている。
セイバー
恩人の一人。見ず知らずの自分を助けてくれた彼への感謝の念は溢れて留まる所を知らず、感謝と敬意から彼の真名を元にした名を名乗るようになった。
バーサーカー
直接の関わりは持たなかったが、彼女の自爆宝具発動による末期の雷撃を受けたことで、再蘇生とセイバーの憑依能力を発現させることができた。間接的な恩人。
キャスター
彼が作成中の、最高の宝具たるゴーレムの炉心としてロシェにたまたま選び出されたことが、生まれるはずのない自我を目覚めさせるきっかけとなった。
赤のセイバー
戦場でまみえた因縁の相手。
ジークから見れば一度殺された相手であり、彼女の方も「父の名を冠する宝具」を真名開放したにもかかわらずジークを殺しきれなかった事に怒りと屈辱を感じているため、必ず自らの手で討ち果たすことを心に誓っている。
シロウ・コトミネ
聖杯大戦に参加した全ての存在は己の掌の上にあると思っていた彼は、頭では短命なホムンクルスなど脅威ではないと分かっているのに、突然現れたイレギュラーな存在であるジークに言いようのない不快感と悪寒を感じている。
ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア
自分を追ってきた魔術師。ゴルドは彼の無機質な瞳を嫌悪しており、内心、恐怖を抱いている。
能力的にも相性が悪く、彼の「理導/開通(シュトラセ/ゲーエン)」は錬金術を会得しているゴルドには非常に効果が薄い。
セレニケ・アイスコル・ユグドミレニア
ライダーを奪った憎むべき相手として、激しい嫉妬と殺意を向けられている。
セルジュ
お腹のすいたルーラーを連れていた時、食事だけでなく一泊までさせてくれた農村の老人。
彼とルーラーが恋人同士と誤解しており、ベッドも一人分しか用意しないなど、気が利くんだか気が利かないんだか良く分からない人物。因みに、ジークは彼の思惑に全く気付いていないがルーラーは……。

名台詞

「たす、けて」
ライダーに願いを問われて。
生まれてから初めて口にした言葉。彼にとっては余りにも分不相応な願いだったが、ライダーはこれを受け入れ、彼の信頼できるのかと疑う事すら馬鹿馬鹿しいと思わせる無邪気さに心の滲むような感動を受ける。
そして——この日、運命が歩き出す。
「――ああ、俺は誰も救えない」
夢の中で同胞たちの声を聴いて。
誰にも聞こえない彼らの嘆きに応えようと考えるが、明日も知れぬ非力な自分では、誰かの手を取ることなど出来ず、助けを求める声を振り払うしかないと自分を無理矢理納得させた。その時は……
「“望み、俺の望み、俺の夢は……救うこと。 このままでは死ぬはずの、かつての俺を……仲間を救うこと。
 腐汁に浸かり、ただ怯えるしかない。未来の確定事項として死が存在しているのは万物に共通であるが、
 そこに至るまでに何を為すことも出来ない事が確定しているのは、余りに理不尽で、余りに悲しい。
 俺がライダーに救われたように、彼らを救う。
 そうすれば、俺はライダーに再開しても胸を張れる気がする。俺は自由を求めた皆を助けたのだと――
 助けて欲しい、と彼らは願っている。その声を聞いてしまった。聞かなかったふりをする事も、逃げ出すことも、俺には出来ない。
 英雄から託された、この心臓ほこりに懸けて、それだけは決して”。
多くの助けを受けてジークが遂に見出した、『自らの願い』。
この答えを聞いたルーラーは声の対象こそ違えど、彼が生前の自分と同じ決意をしたことを認め、同行する事を決心する。
「……前途が不安だな。」
仲間達を救うという目的を定め、いざミレニア城塞へ、と意気込んでいたところでいきなり空腹により倒れたルーラーに対して。
食べ物を恵んでもらうため、彼女を背負って麓の村に降りる事になってしまった。
ちなみに体が成長し、知識はあっても彼はまだ子供なので、背中の触感に対する反応は一切ない。
「……いや、そうとは限らない。<br >この家の息子が悪逆非道で、父であるセルジュ殿を完全に隷属させており、
 出立してからも部屋の掃除を毎日行うよう強制労働させているという可能性は――」
セルジュに貸してもらった息子の部屋が、持ち主が長期に渡って不在なのに管理が行き届いていて、セルジュの息子への愛が感じられると言うルーラーへの反論。彼自身、可能性は極わずかと考えていたが、ルーラーは即座にバッサリ。
ジーク「貴女を護れとはどういう意味だったのだろう……」
ルーラー「ジーク君、あれはただの勘違いです。深く考えない方が良いと思いますよ。」
ジーク「そうだな。貴女の方が強いのだから」
別れ際のセルジュの言葉に対して。
相変わらずの天然である。
「死にたいか、生きたいか。……俺たちは、どちらかを決めるべきだ」
戦場で出会ったホムンクルス達への説得。彼の言葉にあるホムンクルスは「生きるため」城塞へ、もう一人のホムンクルスは「死ぬため」戦場に戻っていった。
選択肢を与えるだけでジークはそれ以上の事は言わない。彼らの命は、彼らの物なのだから。
「俺は確かに、お前の言う通り偽物だが。
 この剣と力は紛れもない本物だ。
 お前の相手をするのに、不足は無い。
 不足があるとすれば、それは俺の心だけだ」
「紛い物」と呼んだ赤のセイバーに対して。
戦場にいた全ての者が無視できないほどの衝撃と共に再誕し、歴戦の勇者そのままの威風と共に、セイバー同士の死闘の幕が開く。
かくして、地上に伝説の英雄“竜殺し”は帰還した

メモ

  • 1巻では儚げな美少年といった感じだったが、2巻では短期間でルーラーアストルフォのダブルヒロインと親密な関係となるなど、TYPE-MOON作品の主人公らしさを存分に発揮した。
    片方のヒロインの性別がオカシイ? 細かいことである
    • また「常人では理解できないほどの信念や理屈で動く」、「何故か同性にもモテる」、「ヤンデレな人たちに追い掛け回される羽目になる」、「『本物と偽物』という問題に関わりがある」など、見事に伝統を順守している。
  • 生まれた時から知識は完成しているため、高等数学位はあっという間に解ける。
  • サーヴァントの心臓を取り込んだことが原因で変質した存在としては、『stay night』の真アサシンという前例がある。

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