クリシュナ (黒)

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アーチャー
真名 “黒”
読み クリシュナ
外国語表記 Krishna
性別 男性
属性 ??・中庸[注 1]
副属性
一人称 私/俺
二人称 貴方/貴女/おまえ、貴様
声優 島﨑信長
初登場作品 Fate/Grand Order
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概要[編集 | ソースを編集]

アルジュナの中に潜む“闇”そのもの。アルジュナの主観によって「悪」と判定された行為を為す一種の別人格。
なおヴィシュヌの転生、第八化身であるクリシュナはアルジュナの人格とは別個に存在する英雄。

略歴
生前のいつからアルジュナの中にこのような存在が構築されたのかは不明だが、恐らくは幼少の頃には既に心に巣食っていたとされる。
アルジュナはこの裏人格が存在する事実を受けいれることができず、カルナに矢を放った時のようなわずかな悪行は彼が囁いたことにしたり、アルジュナの傍らにいた従者クリシュナがやったこととして無意識に処理してきていた。
幕間の物語「問い掛け続けることにこそ」では、アルジュナの深層心理・地下迷宮の最深部で玉座に腰掛け、邪悪な微笑みを零しながら待ち受けていた。己の存在を知った主人公、および同行してきた「カルナ」を殺害するべく闘いを挑むも、アルジュナが事実を受け入れたことで、その覚悟を受け止めると同時に彼の後悔は己が預かると告げ、夢からの覚醒を促しつつアルジュナ達の前から姿を消した。
人物
かつての友人・クリシュナの名を冠する、もう一人のアルジュナ。誰かを憎み、嘲り、奸計を謀る邪悪。
邪悪と称されるものの、それ自体は誰の心にも在り得る。しかし、アルジュナはこのような悪心が己に存在することに絶望し、事実を受け入れることができなかった。このため自らの傍らにいた従者として、己が醜いと恥じる行動はそちらに振る舞わせるという役割を与えた。
所謂「悪の象徴」ではあるが、同時に「味方」としての側面も併せ持つ。主人格であるアルジュナとは全く異なる思考系統、優先順位、道徳倫理を保有しており、内側から助言していた裏人格。自身の顔を見た者は例外なく、誰であれ、何であれ殺さなければならないと定めており、それを「自身が英雄であるために必要な殺人」であると捉えている。
嘲弄の笑みを零し、戦士としての路を外れることを恐れもしない。『Fate/Grand Order』にて、アルジュナの第四再臨で見られる、黒い笑みを浮かべ哄笑する姿がその現れであると考えられ、アルジュナが見られる事を極度に忌避する「私」そのものである。
しかしながらその実態は「アルジュナのエゴイズムを司る人格」。それも、誰かに勝ちたい・優れた者でありたい・何かを憎み、怒りたい…という程度のものであり、凡そ「邪悪」とは似ても似つかないような感情群である。
インド異聞帯で絶対神として君臨したアルジュナ〔オルタ〕ですらこの人格を消すことは出来ず、皮肉にも残っていたこれらの「人間性」・カルナに対して示した執心がまさに「蟻の一穴」となって、彼を神から人間へと引き戻すことに繋がった。
能力
基本的にはアルジュナと同じだが、ブレイクゲージ破壊後に確定で使用する特殊スキルとして「炎神の咆哮」を所有している。効果は「敵全体にやけど付与(5ターン)&自身の宝具による即死の成功率上昇(永続)」。また再臨段階が第三段階であるため、第三スキル「魔力放出(炎)」を使用することがある。

関連[編集 | ソースを編集]

クリシュナ
インド神話の大英雄。維持神ヴィシュヌの第八化身。アルジュナの従者であり、友人にあたる男性。
『マハーバーラタ』における戦争の際もアルジュナの味方につき、御者を務めたとされる。
原典でアルジュナにカルナを射殺するよう唆したのはクリシュナだが、型月世界では“黒”がアルジュナに囁いたことになっている模様。アルジュナによれば、あの時クリシュナは同じ戦車に乗っていなかったという。
別の人格
幕間の物語でアルジュナに問いを投げ掛ける人物はすべて、アルジュナが自身の記憶をもとに作り出した素体(=人格)に過ぎない。
見方を変えれば彼らもまたアルジュナそのものであり、別人の姿や言葉を借りてアルジュナの感情を代弁させているとも言える。
人格ごとに担う役割は異なる。「カルナ」は敵対者、「ラーマ」は人生に立ち塞がる様々な障害、そして“黒”は味方であり、同時に悪を象徴する存在である。

登場作品と役柄[編集 | ソースを編集]

Fateシリーズ[編集 | ソースを編集]

Fate/Grand Order
アルジュナの幕間の物語「問い掛け続けることにこそ」にて、彼の深層心理の中で登場した。
同クエストにおけるラスボスでもあり、エネミー名もそのまま「黒」となっている。

人間関係[編集 | ソースを編集]

Fate/Grand Order[編集 | ソースを編集]

主人公 (Grand Order)
様子のおかしかったアルジュナをただ心配して夢への呼び出しに応じ、結果的に邂逅。己の存在を知られることになる。
そのためカルナだけでなく彼/彼女も殺害対象となっていたが、最終的には無事に生還した。
“黒”にとっては己の正体を見た者に深淵まで踏み込まれたのは初めてらしく、傍らで様子を見ていた「カルナ」からは「いつになく騒々しい、焦っているのだろう」と指摘されている。

生前[編集 | ソースを編集]

アルジュナ
自分自身であり、“黒”からしてみれば主人格。
“黒”は「カルナ」[注 2]によればアルジュナが幼い時からその心にあったとされ、アルジュナはその事実を受け入れられず苦しみ続けた。
しかしながら、その一方で“黒”は彼にとってある種の防衛機構でもあったと言える。
アルジュナ〔オルタ〕
異聞帯の特殊事象の中で神へと成り果てた、もう一人のアルジュナ。
彼もまた“黒”を消すことはできず、図らずもその貪欲性が彼を孤独なる神の座から戦士へと呼び落とす最後の鍵となった。
彼がサーヴァントとなった後も、“黒”は彼を人間たらしめる「魂の灯火」としてその内側で輝き続けている。
カルナ
宿敵にして、恐らくは唯一アルジュナの本質、“黒”の存在があることを見抜いていたと推測される。
『創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ』での台詞によれば、「あの時、自身に向けられた矢の向こうにいた存在」として認識されていることが窺える。

名台詞[編集 | ソースを編集]

Fate/Grand Order[編集 | ソースを編集]

「アルジュナのご帰還か。否、あるいは遠征か? 闇を打ち払い、光を求めて此処に来たのか?」
「度し難いな、我が友よ!
 “輝く王冠”キリーティとすら呼ばれた私が救われるのは、最奥の暗黒だけ。
 ──何て皮肉。何て無様。強くなり、絆を結べば結ぶほどに───。
 私は、どうしようもなく。結んだ相手を殺さねばならなくなる。
 となればほら、そこに殺すべき相手が二人いるな?」
アルジュナの夢、その深淵にてついに邂逅した、アルジュナの抱える「闇そのもの」。
それこそが「黒」、かつての親友「クリシュナ」の名を与えられた、もう一人のアルジュナ自身である。
「その通り、この男が醜いと恥じることを為す。それが、この私の役割だ。
 故に、私はあなたを殺戮しよう。速やかに、静かに、穏やかに。」
アルジュナが受け入れられなかった「影」の部分である“黒”。
自身の心に踏み込む者、即ち「顔」を見た者にもたらすべき死を、“黒”は厭わない。
「その通りだ、アルジュナ!
 私の、この顔を見た者に例外はない。誰であれ、何であれ、殺さなくてはならない。
 そうでなければ、私は英雄でいられない。私が英雄であるために、必要な殺人だ……!」
「悪心なんて誰にでもある」と言った主人公に対しての返答。
その誰にでもある「悪心」すら己には本来存在してはいけない、それがあるのは英雄に相応しくない……彼が幼い頃より抱え続け、隠し続けていた悲痛な叫び。
例えそれが宿敵であっても、マスターであっても、“黒”を見た者は手に掛けなければならない。そうしなければ、己は恥辱で死に絶えるのだから。
「黙れ……黙れ、黙れ、黙れ! 恥を知れ、カルナ! 俺と同じように、貴様も邪悪そのもの。それ故に討ち滅ぼされたのだ……!!」
「くっ……! まだだ、手を貸せアルジュナ! 我らは共に立ち上がり、邪悪と戦わねばならない!」
カルナに対しては激しい憎悪をぶつける“黒”。同時に、己と同様にカルナを「邪悪」と定めることでアルジュナを守ろうとしているのかもしれない。
「言うな、アルジュナ! 言えば、数千年の呪いが掛かる!」
「……おまえは自らの悪性を認めることになる。生前であっても、死後であっても英霊である以上、変わらない。
 一生涯、後悔し続けることになるぞ。」
「そうか……ならば、その後悔はこちらで預かろう。」
「もしかすると、もしかすると。俺という存在が、蟻の一穴となるやもしれん。」
自らの悪性を認めようとするアルジュナを止めようとした“黒”だが、「カルナ」の進言もあり、アルジュナはついに闇を受け入れる。
“黒”もアルジュナの覚悟を受け止め、最後に意味深長な言葉を残して姿を消すのだった。

メモ[編集 | ソースを編集]

  • 主人格との相違など、以下のような特徴がある。
    • 出会い頭からいきなりニタリとした笑みを見せるほか、「玉座に座り、嘲弄の笑みを零す。戦士としての路を外れることを恐れもしない」と言及されている。これは最終再臨のセイントグラフにも当てはまる特徴であるため、最終再臨での突然の高笑いや何かを企むような笑みを零しているのも“黒”が発露しているからではないか、ともとれる。
    • 一人称は「私」のほかに「俺」が存在する。アルジュナも「俺」と言うことがあるものの、こちらの方が使用回数は多い。また口調も丁寧ではあるものの、主人格と違って敬語は完全に外れている。
    • 姿はアルジュナと同じだが、使用されている立ち絵の再臨段階が異なる。アルジュナは第二段階、“黒”は第三段階で表示されている。
    • 戦闘時のボイスやグラフィックはアルジュナと共通(再臨段階のみ変化)であり、丑御前などのように専用のものはない。
  • アルジュナ役・島﨑信長氏によると、CV収録時には設定メモが渡されるが、この時点で既にアルジュナだけでなく“黒”についても書かれていたという。
  • 大多数のサーヴァントは「特定の章やイベントをクリアする」または「幕間の物語で最初の1節をクリアする」ことでプロフィールの最後のマテリアルが開示されるようになっている。しかし、アルジュナは2016年3月23日に1節「神弓の真価」が実装されていたにも関わらず長らく開放されず、2017年7月5日に2節「問い掛け続けることにこそ」が実装されたことでようやくプロフィールの全貌が明らかになった[注 3]。先行実装からは実に1年6か月が経過しており、それまで謎の多かった「アルジュナ」というキャラクターの一面が明かされた大きな出来事であると言えるだろう。
  • “黒”の登場より『Fate/Grand Order materialⅢ』発行の方が半年ほど早かったため、同書では詳細・存在ともに明記はされていない。ただしアルジュナの項目には幾つもの不穏な要素を含む記述がなされており[注 4][出 1]、幕間中の独白で登場する「私の心には、『黒(クリシュナ)』が住んでいる」[注 5]という言葉の記載もあった。登場以前からそれとなく真相を匂わされていたことは間違いない。
  • Fate/EXTELLA LINK』では登場しない。ただしそちらでも絆レベルが上昇するとサーヴァントとしての在り方に疑問を抱き始め、心に踏み込ませないためにマスターに対して警告するようになり、最終的には一定の場所で静止をかけてしまうので、やはりアルジュナの内側には“黒”が存在しているということが台詞から窺える。
  • Fate/Grand Order』では上述のとおり、アルジュナの幕間にて直接登場。また『創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ』では直接登場しているわけではないが、その存在についてカルナが言及している場面が存在する。
    • アルジュナ〔オルタ〕のマテリアル情報においても、“黒”のことと推測される人格の性質が開示されている。また固有スキル「魂の灯火」はテキストによれば「彼が辛うじて守り通した、人間としての人格」である。つまり……。

話題まとめ[編集 | ソースを編集]

脚注[編集 | ソースを編集]

注釈[編集 | ソースを編集]

  1. マスターミッションのクリア条件で「中庸属性」にカウントされる。
  2. 一応はカルナの姿、言葉を借りているが、厳密に言えばこれもアルジュナの別人格であり、そこにカルナの姿が当てはめられている状態。そのためカルナ本人が実際にそう発言したわけではない。
  3. マテリアルの内容が2節に関するものなので、不具合ではなく仕様である。また現時点でこのように開示条件が2節のクリアに設定されているサーヴァントはアルジュナのみとなっている。
  4. 性格、マスターへの態度、人物像それぞれで闇を抱えていることが窺える。また台詞例の中には「気にする方がよくないさ。君と私は、やるべきことをやるだけだ。いいね?」といった、アルジュナの台詞としては不自然さがあるものも掲載されている。
  5. 幕間では「棲んでいる」となっている。意味合いは同じである

出典[編集 | ソースを編集]

  1. 「アルジュナ」『Fate/Grand Order materialⅢ』p.94-95

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