アストルフォ

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ライダー (Apocrypha・黒)

  • 真名:アストルフォ
  • 身長:164cm / 体重:56kg
  • スリーサイズ:B71/W59/H73
  • 属性:混沌・善

騎兵」のクラスのサーヴァント聖杯大戦において、セレニケ・アイスコル・ユグドミレニアによって召喚された。
美少女と見紛う、派手に着飾った中性的な美少年。

略歴
真名はアストルフォ。イングランド王の息子にして、シャルルマーニュ十二勇士の一人である。ユグドミレニアの黒魔術師であるセレニケによって召喚されたサーヴァントで、触媒は中に液状のものが入っていたと思われる染みのついたガラス瓶。
実体化を好み、マスターの制止にも関らず、城下にホムンクルス用の簡素な衣装を着て、頻繁に遊びに繰り出している。偶然出会ったホムンクルスの少年を助け、彼の友人となり、脱走の手助けをするようになった。その後、蘇生したホムンクルスが「ジーク」と名乗り、彼が一人でやっていけるのを見届け、別れを告げる。
ユグドミレニアに帰還後セイバー消滅の責を問われ、ランサーに両手両足に杭を打ち込まれ、キャスターの流体ゴーレムによって身動き一つ取れなくさせられるなど厳しい処罰を受けるが、シロウ達の総攻撃の際、解放され戦場に赴く。だがホムンクルス達への負い目から、宝具を使用を控えたせいで赤のアサシンとの空中戦で後れを取り、更に乱入してきた赤のセイバーとの格と技量の差から窮地に立たされてしまう。そして彼を助けに現れたジークのセイバー化、異形化した赤のバーサーカーの暴走という混迷の戦場の中、大聖杯の奪還よりジークの傍にいることを選択する。
人物
純真無垢で明朗快活な少年。非常に前向きな性格で、かつて多くの失敗や敗北を重ねたにも関らず、それらを「挫折」とは考えない。常人なら絶望するはずの樹木にされた経験も彼にとってはいい思い出である。
「理性が蒸発している」と例えられるほどのお調子者で、ホムンクルスとの会話でうっかりアーチャーの真名を漏らしたり、自身の宝具の名前を忘れてしまうなど、非常にうっかりした性格をしている。だが助けを求めるものは決して見捨てず、体躯も筋力も圧倒的に上回る赤のバーサーカーに一歩も怯まない純正の英雄。彼が女性のような格好をしているのは、かつて戦友であり、「狂えるオルランド」と呼ばれたローランを静めるため、と主張している。
能力
世界中を飛び回って様々な伝説を打ちたてた英雄である彼は角笛、本、幻馬(ヒポグリフ)、黄金の馬上槍など多種多様な宝具、魔術礼装を所有している。その為、真名が知られても問題がないタイプの英霊。
ヒポグリフに騎乗せずとも電光石火の速さで戦場を駆け、魔術をメインの攻撃手段とする者や肉体のタフさが売りの相手には宝具を用いて有利に立ち回れるが、逆に言えば宝具に特化した能力のために、セイバーのようなステータスの高いサーヴァントには簡単に押さえ込まれてしまう。
細身の剣を持っていたが、ジークに譲渡してしまっている。また、ジークの件でホムンクルスが魔力供給用の電池として使い捨てられている状態を憂うようになり、宝具の真名を解放するなど魔力消費が激しい行動を「やりたくないこと」として自ら制限をかけてしまっている。

宝具

触れれば転倒!(トラップ・オブ・アルガリア!)
カタイの王子・アルガリアが愛用した装飾も見事な黄金の馬上槍(ランス)。
ランスとしての攻撃力は備えているが殺傷することを前提にした武器ではなく、真名を解放することで触れたものを転倒させることができる。宝具としてサーヴァントに使用すると、肉体のどこに触れようとも、膝から下が一時的に強制的に霊体化し、立ち上がれなくなる。この効果は魔力で形成された鎧の上からでも適用され、肉体の損傷ではないため治癒魔術や再生能力を用いても、効果が失われるまで脚部の異常を回復できない。
赤のバーサーカーのような驚異的なタフネスを持つ敵には非常に有効な宝具で、どのような英霊でも脚部を奪われれば戦力の大幅な低下は免れない。
分厚い皮装丁の書物
基本的には持っているだけであらゆる魔術を打ち破ることができる。ただし、ライダーはこの宝具の真名を忘れてしまっている。うろ覚えの範囲では「魔法万能攻略書(ルナ・ブレイクマニュアル)」のような感じの名前らしい。
装備しているだけで効果があり、Aランクの対魔力を彼に付加している。
この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)
ライダーの愛馬。グリフォンと雌馬の間に生まれる幻獣であり、上半身は鷲、下半身は馬。
かなりの速度で飛行することが可能らしく、ライダーによれば、「びゅーん」って感じ。飛ぶだけなら魔力消費も大したことはないらしい。
恐慌呼起こせし魔笛(ラ・ブラック・ルナ)
由来:音色を聞いた妖鳥が恐怖で逃げ出すという角笛。
大きく吸い込んだ息を角笛に向けて吐き出す事で、龍の咆哮・巨鳥の雄たけび、神馬の嘶きに比肩するほどの魔音を発生させる。純粋な音波による広域破壊兵器であり、周囲のいる100体以上の竜翼兵を一瞬で消し飛ばすほどの破壊力がある。
企画段階では由来通り敵を怯えさせる効果で、「魔術に抵抗のある英霊ならば留まることができるが、通常の魔術師が耐えることは難しい」とここまで物騒な代物ではなかった。

登場作品

Fate/Apocrypha
「黒」のサーヴァントとして登場。

人間関係

Fate/Apocrypha

セレニケ・アイスコル・ユグドミレニア
マスター。実体化し続けることを許可してくれたのには感謝しているが、彼女の偏執的な愛撫にうんざりしている。
ジーク
彼が蹲っているのを偶然発見し、自身の気持ちに従い、彼を助けることを選択する。以後彼を友人として扱い、彼を導いていく。
ルーラー
ジークを助けようとする者同士。
アーチャー
召喚された時から、親しくしている。ホムンクルスの少年を助けた際も真っ先に彼に相談するほど、彼の人格を信頼している。アーチャーも彼のテンションには少々面食らうこともあるが、弱者を見捨てない英雄の本分に忠実なライダーを信頼し、弟か教え子の一人のように扱っている。
バーサーカー
微妙に相性の悪い相手。召喚時、彼にマスターであるカウレスが簡単に自らの真名を教えてしまったことが原因で、ライダーに悪気は無かったのだが、話しかけられても不機嫌そうにあしらわれている。
セイバー
自己紹介の際、ゴルドに邪魔されてから、互いに気まずい雰囲気となってしまった。彼が口を開くことを禁じられたこともあり、「むっつりしてる、堅物で退屈な奴」と思っていた。後に彼が自分の命を擲ってまでジークを助けたことで誤解は解け、「もっと彼と話しておけば良かった」と考えるようになった。
赤のセイバー
相性のかなり悪い相手。必殺のアルガリアは「直感」によって脅威を見抜かれてしまい、技量やステータスにもかなりの差がある。赤雷という飛び道具と魔力放出によるほとんど飛行に近い跳躍によってヒポグリフも不用意には使えず、戦えば確実な死のビジョンが見えるほど。
性格的な相性もノリが近いためか会話自体はスムーズなのだが、彼女がセイバーを侮辱し、戦場では当然の事とはいえジークを一度殺しているため、明確な敵愾心を抱いている。

生前

ローラン
かつての戦友。正気を失った彼を元に戻すため、月に向かって大冒険をする。聖剣「デュランダル」の担い手。
なおローランはフランス語読み、オルランド(オルランドゥ)はイタリア語読み。ちなみに英語読みだとローランド。
シャルルマーニュ
かつての主君。

名台詞

「分かった。助けるよ」
助けを求めたホムンクルスに間髪入れずに答えた軽い言葉。天衣無縫の英雄であるライダーであるからこその即答であり、本気の言葉であった。
「――だけどまあ、ボクはこの為に召喚されたんだし。
 しょうがないったらしょうがない、ようし、やってやるかっ!」
「遠からん者は音にも聞け!近くば寄って目にも見よ!
 我が名はシャルルマーニュが十二勇士アストルフォ!
 いざ尋常に―――勝負ッ!!」
赤のバーサーカーとの戦いにおける口上。圧倒的に能力差がある相手にも勇敢に立ち向かう。秘匿すべき真名をさらりと告げてしまっているのも彼らしいが。
「ボク達は願いを叶えるために現界した!だからって、何もかもが許されるのか!?
 英雄たる振る舞いを忘れたか!? ボクは嫌だぞ!
 ボクは確かにライダーだけど、それ以前にシャルルマーニュが十二勇士、アストルフォだ!
 ボクはあの子を見捨てない、見捨てないぞ!」
逃がそうとしたホムンクルスの危機に、黒のセイバーに向かって叫んだ言葉。理性が蒸発していると言われ、普段何も考えていないようなライダーが間違いなく英雄であり、その誇りを持っていることを示した台詞である。

メモ

  • キャラクターデザイン原案は近衛乙嗣氏。設定制作を担当したのは近衛乙嗣氏と星空めてお氏。
  • 『Fate/Apocrypha』におけるヒロインの一人。企画段階では色物キャラとも思える設定だったが、ジークが主人公らしさを発揮するとともにヒロインとしての地位を固めた。
    • 今までのTYPE-MOON作品にはあまりいなかったタイプのキャラだが、「主人公を救い、導き、救われ、そして共に歩む」と、ヒロインとしては王道を突き進んでいる。オカシイところは何もない。
  • 触媒はおそらく「オルランドの液状の理性を詰めた薬瓶」。
  • 自分の容姿を褒めてくれた人間は、相手が男であれ女であれ喜んで抱き締めることもやぶさかではないらしい。
    ………もしかして赤い王様と同じ趣味?

企画段階でのステータス

筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 備考
不定 D D B C A+ C 

保有スキル:対魔力:A、騎乗:?、単独行動:?

話題まとめ

男の娘人気
Apocrypha企画段階時から突出した人気を持つキャラクター。小説版が発売した際の特典にも、男性であるのにも関わらず、何事もなかったかのように女性陣に混じっていた。その人気は主人公が焦りを覚える余りに魔法少女になるほど。
  • 男性であるにもかかわらず、スリーサイズが設定されていたり、ルーラーからは「貴女」、赤のアサシンからは「戦乙女」、赤のセイバーからは「雌犬」と呼ばわりされるなど、作中では女性として扱われる機会が非常に多い。しかも性別を間違えているのは皆、女性である。……彼が「男」と知った際、彼女達の反応はどのようなものになるだろうか。
    • それにしても、後ろの二者はともかくとして、ルーラーは「真名看破」で彼の真名を知っている筈なのだが…。まぁ、どっかの騎士王みたいな例もあるので、真名だけでは判断できなかったのかもしれないが。
逸話
アストルフォの騎馬はヒポグリフだけではなく、グリフォンや名馬ラビカンなども乗りこなして様々な冒険譚を打ち立てている。
史実的な彼を一言で表すなら、お調子者のナルシスト。十二勇士の中でも実力は中堅ぐらいのものだが、どんなに便利な道具を使おうともそれが自分の実力と信じて疑わない。その上とんでもない強運の持ち主であり、どのような修羅場でも切り抜け、たとえピンチになっても最終的には傷一つ負わず生還することが多い。その経験が彼の行動にますます拍車をかけている。
生前から多くの宝具を有しているが、いずれもアストルフォの手元を離れている。「黄金の馬上槍」は魔法が掛かっていることを知らず盟友であったブラダマンテに譲渡し、月への旅行後には「角笛」は音がならなくなり、「ヒポグリフ」も解放してしまっている。
角笛はマテリアルでは妖鳥を追い払ったことにしか触れられないが、原典では様々な場面で活躍しており巨人から魔術師や騎士や獅子や蛇まで何でも怯えさせて追い払ってしまう頼れる切り札として描写される。あまりにも強力すぎた(かつアストルフォが調子に乗りすぎた)ことで、長時間吹き鳴らして気がついたら味方さえ遥か海の向こうに逃げてしまっていた、なんてうっかりエピソードもある。
狂えるオルランド
彼の戦友ローランが正気を失った経緯は以下の通り。
フランク王国にカタイからアンジェリカという美姫がやってくる。ローランはアンジェリカに一目惚れし、どこへともなく立ち去った彼女を求め、国の守りをほったらかして旅に出てしまう。その間にもフランク王国はセリカンやスペインなどのイスラム国家によって、度々危機に陥っていたのだが、ローランは帰還命令を無視し、アンジェリカを探し続ける。結局アンジェリカには振られ、それによってローランは発狂し、全裸のまま放浪を始め、素手で猛獣を殴り殺すなど超人的な力で暴れ回り人々から恐れられてしまう。
要するに、彼は女性に振られたショックでおかしくなった友達を慰めるために女装した、ということ。アストルフォも大概だが振られたショックの余り、裸で暴れ回ったローランも頭のネジが外れていると言うほか無い。
ただし聖ヨハネいわく、異教徒の女に懸想した罰で理性を抜き取られたということらしい。なおアストルフォは世界一の美貌だったとされる。そんな彼の女性とのエピソードは、通りすがりの恋人連れの騎士に女性を賭けた決闘を申し込むが勝ったら欲しかったのは名誉だけと女性は放棄したり、王女アンジェリカに助太刀するが敵軍に友人がいると見るや寝返ったりと、女性に興味が無いわけではないが男性の友人優先だったり、過剰にモテることも本気の恋愛もなかったりとフリーダムで他者に縛られない人物として描かれる(例外的に魔女アルシナに入れ込むが、これはアルシナが強力な魅了の魔術で気に入った男を片っ端から操れるため)。
ちなみに『狂えるオルランド』二十八章で語られるエピソードでロンゴバルド王アストルフォが出てくるが、同名の別人で関係ない。
月世界旅行
伝承でアストルフォがヨハネ・エリヤ・エノクら聖人に送られて月に行ったのは、地上から失われたあらゆるモノが月に存在するということになっているため。月では失われた理性が瓶詰めの液体として保管されている。
TYPE-MOON世界だと、ここで言う月が天体の月なのか、異界の地をそう呼んでいるだけなのか解釈の別れるところではある。平行世界によっては月に異星文明由来の地球観測機が仕込まれていたりすることも。
人物の項にある「理性が蒸発している」というのは比喩ではない。彼は月でついでに自分の理性が入った瓶を見つけておりそれを吸い込んでいる。オルランドゥの瓶には満タンの理性、アストルフォの瓶には半分の理性が入っていた。月から戻ってきたとき彼は理知的で聡明な性格になっていた。以前の彼は物理的(?)に、理性が半分失われていたのである(全て失うとオルランドのように狂人となる)。そしてしばらくすると元に戻った。つまり理性が蒸発した

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