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==概要==
 
==概要==
Lostbelt No.2。[[オフェリア・ファムルソローネ]]の担当地区である北欧の異聞帯。<br>
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Lostbelt No.2。[[オフェリア・ファムルソローネ]]の担当地区である北欧の異聞帯。通称「北欧異聞帯」。<br>
北欧神代が終わらずに続いている、何一つ無駄のない冷酷で残酷な世界。唯一の神に支配された純然たる神の地。神代級の神秘が残されており、文明は発展せず、人間は神を崇め、山嶺を巨人が闊歩している。一面の銀世界で、気温は摂氏3度。しかし風は冷たくなく、空は清々しい程の快晴。夜になると気温は零下数十度まで落ちるとされる。魔力濃度はロシアよりも高いが、かつてスルトが暴れたことで大地が傷ついているため、大地の魔力(マナ)は乏しい。<br>
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北欧神代が終わらずに続いている、唯一の神に支配された純然たる神の地。神代級の神秘が残されており、文明は発達せず、人間は神を崇め、山嶺を巨人が闊歩している。一面の銀世界で、気温は摂氏3度。しかし風は冷たくなく、空は清々しいほどの快晴。夜になると気温はマイナス数十度まで落ちるとされる。魔力濃度はロシアよりも高いが、かつてスルトが暴れたことで大地が傷ついているため、大地の魔力(マナ)は乏しい。<br>
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異聞帯の王は[[スカサハ=スカディ]]。海神ニョルズと結ばれる運命は果たされず、オーディンと結ばれることもなく、狂ったラグナロクを唯一生き延びた神。我が子と認めた、炎の日々を生き延びた北欧に息づくものたちを愛し、神の視点を以て残った人類を庇護している。彼女本人は強大な力を持つ責任として、自らの意向を律していたが、その考え自体が北欧の在り方を決める決め手の一つとなってしまっていた。<br>
 
異聞帯の王は[[スカサハ=スカディ]]。海神ニョルズと結ばれる運命は果たされず、オーディンと結ばれることもなく、狂ったラグナロクを唯一生き延びた神。我が子と認めた、炎の日々を生き延びた北欧に息づくものたちを愛し、神の視点を以て残った人類を庇護している。彼女本人は強大な力を持つ責任として、自らの意向を律していたが、その考え自体が北欧の在り方を決める決め手の一つとなってしまっていた。<br>
汎人類史の人理が抵抗として召喚した[[サーヴァント]]は[[ナポレオン]]、[[ブリュンヒルデ]]、[[シトナイ]]の三騎。[[ナポレオン]]は集落の人々や氷雪の城に単身突撃するなどして情報収集し、ついには[[主人公 (Grand Order)|主人公]]と合流を果たす。[[ナポレオン]]と同時期に召喚された[[シトナイ]]は[[スカサハ=スカディ]]にすぐに見つかってしまい、氷雪の城の深くにある地下牢に捕らえられていた。[[ブリュンヒルデ]]はガルフピッゲン山の山頂の炎の館に封じられていた。<br>
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一柱とはいえ旧き善き神が支配する稀有にして重要な異聞帯で、[[キリシュタリア・ヴォーダイム|キリシュタリア]]の理想に近いため、神の支配地という意味では格好の実験場と呼べるものである。そしてこの異聞帯の行く末はキリシュタリアの異聞帯に関わるともされ、彼は北欧こそが最後に残る異聞帯かもしれないと評価している。[[タマモヴィッチ・コヤンスカヤ|コヤンスカヤ]]は、オフェリアとの会話の中でこの異聞帯を「永遠の水曜日(ウォーデンズデイ)」と形容している。
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汎人類史の人理が抵抗として召喚した[[サーヴァント]]は[[ナポレオン]]、[[ブリュンヒルデ]]、[[シトナイ]]の三騎。<br>
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ナポレオンは集落の人々や氷雪城に単身突撃するなどして情報を集め、ついにカルデア一行と合流を果たす。彼と同時期に召喚されたシトナイは、現界して間もなくスカディに見つかって地下牢に囚われ、ブリュンヒルデはガルフピッゲン山の頂きに佇む炎の館に封じられていた。<br>
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一柱とはいえ旧き善なる神が支配する稀有にして重要な異聞帯であり、[[キリシュタリア・ヴォーダイム|キリシュタリア]]の理想に近いため、“神の支配地”という意味では格好の実験場とされる。そしてこの異聞帯の行く末はキリシュタリアの異聞帯に関わるともされ、彼は北欧こそが最後に残る異聞帯かもしれないと評価している。[[タマモヴィッチ・コヤンスカヤ|コヤンスカヤ]]は、オフェリアとの会話の中でこの異聞帯を「永遠の水曜日(ウォーデンズデイ)」と形容している。
    
;歴史
 
;歴史
:分岐点は紀元前1000年頃。神々と巨人の最終戦争が起きたにも関わらず、神代が終わらなかった。スカディが誰とも結ばれていないなど汎人類史の北欧神話とは違う流れを辿り、ラグナロクに於いて[[スルト]]が己に定められた運命に逆らい、星の終わりを望んだことで、定められた順に死がもたらされずに運命が変わり、終末の予言が違う結果に迷い込んでしまい、世界は狂ってしまった。ラグナロクが正しく終わらなかったため、神代北欧が終わるはずの紀元前1000年頃の状況がゆったりと続いている。
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:分岐点は紀元前1000年頃。神々と巨人の最終戦争が起きたにも関わらず、神代が終わらなかった。スカディが誰とも結ばれていないなど、汎人類史の北欧神話とは違う流れを辿り、ラグナロクに於いて[[スルト]]が己に定められた運命に逆らい、地球そのものの終焉を望んだことで、定められた順に死がもたらされずに運命が変わり、終末の予言が本来とは違う結果に迷い込んでしまった。そのため、神代北欧が終わるはずの紀元前1000年頃の状況がゆったりと続いている。
:本来なら、オーディンを滅ぼすはずの魔狼フェンリルが、太陽をテクスチャから呑み込む形で剥ぎ取った直後に油断でスルトに殺され、引き裂かれて喰われてしまう。フェンリルを食ってパワーアップしたスルトは、悪神ロキを始めとする神々と、彼らに敵対する巨人の王たちを殺し尽くし、最後に太陽が消えた穴を通じて己の本体であるムスペルヘイムを空へと繋ぎ、それを大地に叩きつける事によって、北欧を形成する九つの領域だけではなく、惑星さえも灼き尽くそうとした。その結末を回避すべく、生き残った大神オーディンと神々の残党は総力を上げて抵抗したが、奮戦も虚しく敗北。オーディンの最後のルーンによってスルトとムスペルヘイムは地に墜ちる封印され、偽の太陽として空と宇宙の間に固定された。スカディは、オーディンによって源流を同じくする[[スカサハ]]と存在を重ねられ、唯一生き残ることとなった。
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:本来なら、オーディンを滅ぼすはずの魔狼フェンリルが、太陽をテクスチャから呑み込む形で剥ぎ取った直後に油断でスルトに殺され、引き裂かれて喰われてしまう。フェンリルを食ってパワーアップしたスルトは、悪神ロキを始めとする神々と、彼らに敵対する巨人の王たちを殺し尽くし、最後に太陽が消えた穴を通じて己の本体であるムスペルヘイムを空へと繋ぎ、それを大地に叩きつける事によって、北欧を形成する九つの領域だけではなく、惑星全体を灼き尽くそうとした。その結末を回避すべく、生き残った大神オーディンと神々の残党は総力を上げて抵抗したが、奮戦も虚しく敗北。オーディンの最後のルーンによってスルトとムスペルヘイムは地に墜ちる前に封印され、偽の太陽として空と宇宙の間に固定された。スカディは、オーディンによって源流を同じくする[[スカサハ]]の伝承と一体化し、唯一生き残ることとなった。
:スルトの暴虐によって大地の大部分は焼け落ち、神々の攻撃で傷付けられたスルトの血は炎となって多くの命を灼き滅ぼし、それでもなお残り火となって燻っていた。スカサハ=スカディとなったスカディは、真にラグナロクに幕を下ろし、人間を生存させ、人間の時代を導くために、大地を氷で覆って残り火の延焼を抑え、巨人の生き残りが手を出すことができない保護地を作る事で、人間の限定量の存続を試み、巨人には自身の魔力を込めた仮面を被せ、父神スィアチの権能に由来する上位命令権の支配下に置いた<ref group = "注">各集落を襲わないように躾ける程度のもので、目の前に熱源が現れたら自動的に破壊行動に移る。</ref>。さらに、生き延びた三体の戦乙女「オルトリンデ」「ヒルド」「スルーズ」を用いて百数十体の御使いが作られた。そうして平穏を取り戻した北欧は、運命には存在しない新たな時代を歩み始めた。
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:スルトの暴走によって大地の大部分は焼け爛れ、神々の攻撃で流れたスルトの血は炎となって多くの命を消し炭に変え、それでもなお残り火となって燻っていた。スカサハ=スカディとなったスカディは、真にラグナロクに幕を下ろし、人間の時代を導くために、大地を氷で覆って残り火の延焼を抑え、巨人の生き残りが手を出すことができない保護地を作る事で、人間の限定量の存続を試みた。
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:巨人には自身の魔力を込めた仮面を被せ、父神スィアチの権能に由来する上位命令権の支配下に置いた<ref group = "注">各集落を襲わないように躾ける程度のもので、目の前に熱源が現れたら自動的に破壊行動に移る。</ref>。さらに、生き延びた三体の戦乙女「オルトリンデ」「ヒルド」「スルーズ」を用いて百数十体の御使いが作られた。そうして平穏を取り戻した北欧は、運命には存在しない新たな時代を歩み始めた。
 
;地理
 
;地理
:世界地図で言えば、ロシアの国境から先、スカンジナビア半島全域を嵐の壁が覆っている。空想樹は外からは視認できたが、異聞帯内部からは見えず、余人の手の届かない場所で成長を続けており、土壌が良いためか種子を吐き出し射出するまでに成長している<ref group = "注">種子自体は枯死してしまった。</ref>。空想樹が育ちきれば、人類や自然も息を吹き替えす可能性はあり、さらに[[キリシュタリア・ヴォーダイム|キリシュタリア]]の異聞帯を吸い尽くす可能性があった。汎人類史と比較すると、地図自体が変化しており、海が山になっていたり、湖が雪原になっていたりする。また、雪や氷の下には海や湖があるとされる。また、シャドウ・ボーダーから観測できる範囲には、汎人類史には存在するはずの都市や町が一切ない。
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:世界地図で言えば、ロシアの国境から先、スカンジナビア半島全域を異聞帯特有の嵐の壁が覆っている。空想樹は外からは視認できたが、異聞帯内部からは見えず、余人の手の届かない場所で成長を続けており、土壌が良いためか種子を吐き出し射出するまでに成長している<ref group = "注">種子自体は枯死してしまった。</ref>。空想樹が育ちきれば、人類や自然も息を吹き替えす可能性はあり、さらに[[キリシュタリア・ヴォーダイム|キリシュタリア]]の異聞帯をも吸収する可能性があった。汎人類史と比較すると、地図自体が変化しており、海が山になっていたり、湖が雪原になっていたりしており、一部の雪原の下には海や湖があるとされる。当然、シャドウ・ボーダーから観測できる範囲には、汎人類史には存在するはずの都市や町が一切ない。
:雪に覆われた白い山嶺が長く続いており、山嶺の半ばから北部にかけて、木々がない場所に青色の炎が浮かんでいる。低温下でしか発生しない氷雪と、高温そのものである火炎が同居し、独特かつ神秘的な光景を生み出している。
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:雪に覆われた白い山嶺が長く続いており、山嶺の半ばから北部にかけて、木々がない場所に青色の炎が浮かんでいる。低温下でしか発生しない氷雪と、高温そのものである火炎が同居し、独特かつ神秘的な光景を生み出している。この不自然な青い炎の正体は、火の国ムスペルヘイムから落ちてきた火で、スルトの血痕そのものである。この炎を抑えるため、スカディは大地を氷で覆っている。
:この不自然な青い炎だが、燃焼する物質は存在せず、延焼することなく揺らめき続けている。その正体は、火の国こと火炎領域ムスペルヘイムから落ちた火であり、スルトの燃え盛る血の残り火。この炎を抑えるため、スカディは大地を氷で覆っている。
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:この炎を食い止めている雪は<ref group = "注">汎人類史のノルウェーは一部を除くと、北欧は豪雪地帯ではない。</ref>、スカディの魔力で作られたもので、魔術師でも相当な腕前がなければ判別できない微小単位の魔力が分子レベルで絡みついている。その一粒一粒がスカディの一部であり、彼女はその上で起きた出来事をすべて知っている。手に取るように見る事ができれば、音を聞くこともでき、あらゆる息づかい、鳴き声、羽ばたき、風、葉と葉の重なり合う響きまで聞き取れる。止まっていれば感知をごまかせるが、動き出すと感知されてしまう。この雪が邪魔をして、単純な魔力探知すらできず、霊脈を感知できない<ref group="注">これが一因となって、サーヴァントの常時召喚が困難になっている。</ref>。さらに、遠距離通信にも障害が発生し、数キロ圏内に接近しなければ通信は成立しない。ただし、スカディが雪に調整を加えれば、観測機器類は稼働できる。雪の魔力が完全にマナと人類史の双方をコントロールしている可能性もある。魔力の波長はとても静かで落ち着いており、感覚的には「優しい」とすら表現できるほど。
:この炎を食い止めている雪は<ref group = "注">汎人類史のノルウェーは一部を除くと、北欧は豪雪地帯ではない。</ref>、スカディの魔力で作られたもので、魔術師でも相当な腕前がなければ判別できない微小な単位の魔力が分子レベルで絡みついている。その一粒一粒がスカディの一部であり、彼女はその上で起きた出来事をすべて知っている。手に取るように見る事ができれば、音を聞くこともでき、あらゆる息づかい、鳴き声、羽ばたき、風、葉と葉の重なり合う響きまで聞き取れる。止まっていれば感知をごまかせるが、動き出すと感知されてしまう。この雪が邪魔をして、単純な魔力探知すらできず、霊脈を感知できない<ref group="注">これが一因となって、サーヴァントの常時召喚が困難になっている。</ref>。さらに、遠距離通信にも障害が発生し、数キロ圏内に接近しなければ通信は成り立たない。ただし、スカディが雪に調整を加えれば、観測機器類は稼働できる。氷雪の魔力が完全にマナと人類史の双方をコントロールしている可能性もある。魔力の波長はとても静かで落ち着いており、感覚的には「優しい」とすら表現できるほど。
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:氷雪に覆われた地域の木々は、針葉樹の形をしただけの氷であり、多くの生物は生息できないが、巨人は多数棲息している。汎人類史ではスウェーデンの南部のヴェッテルン湖の上には雪に覆われた山間部がある。
:氷雪に覆われた地域の木々は、針葉樹の形をした氷であり、多くの生物は生息できないが、巨人は多数棲息している。汎人類史ではスウェーデンの南部のヴェッテルン湖の上には雪に覆われた山間部がある。
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:炎の山と氷の山が隣り合っている土地の高所、炎と氷の境界地には、見渡す限りの花園が存在する。比較的炎に近い高所であるためにできた雪融け水と温かい空気、雪融けによって露出した土壌のおかげで草本が生育できる状態になっているのである。ここにはどんな病気も治し、特に発熱によく効くとされる薬草が生えている。ただし、ときどき巨人種が歩いたり昼寝をしたりしているため、完全な安全地帯とは言い難い。この場所は、集落では昔話として伝わっている。
:炎の山と氷の山が隣り合っている土地の高所、炎と氷の境界地には、見渡す限りの花園が存在する。比較的炎に近い高所であるためにできた雪融け水と温かい空気、雪融けによって露出した土壌などのおかげで草本が生育できる状態になっているのである。ここには、どんな病気も治し、特に熱に良く効くとされる薬草が生えている。ただし、ときどき巨人種が歩いたり昼寝をしたりしているため、完全な安全地帯とは言い難い。この場所は、集落では昔話として伝わっている。
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:空にはあまりにも大きすぎる太陽が宇宙空間の手前に浮かんでいる<ref group = "注">北欧やゲルマンの伝承には「太陽の様に見えるが、太陽ではないもの」という話はない。</ref>。サイズは汎人類史の記録にも存在しないほど<ref group = "注">通常よりも巨大だが、実際に太陽が膨張するのは数十億年後。仮に異聞帯が環境を変質させ、宇宙に存在する太陽を赤色恒星へ変えたとすると、地表は雪原どころか砂漠になり、人間はおろか神ですら生存できない環境となる。</ref>。この偽なる太陽の正体は神々によって実体化させられた火炎領域ムスペルヘイムであり、スルトの肉体そのものである。それをオーディンの秘術によって封印しており、封じられたスルトは神霊の如き希薄な状態で世界にピン留めされていた。[[スルト]]が融合した[[シグルド]]の霊核をブリュンヒルデが破壊した事でスルトの魂は解放され、大神の牢獄を外側から破り、偽の太陽を穴として[[スルト]]の肉体は復活を遂げる。その瞬間、異聞帯各地に棲まう巨人種の全ては一斉に空を見上げて咆哮し、女王からもたらされた支配の枷である顔を覆っていた無貌の仮面礼装が砕け散った。それにより仮面の消滅と共に巨人種たちは真に覚醒し、人類には理解できない言語で終焉をもたらす王の名を讃えた。
:空にはあまりにも大きすぎる太陽が宇宙空間の手前に浮かんでいる<ref group = "注">北欧やゲルマンの伝承には「太陽の様に見えるが、太陽ではないもの」という話はない。</ref>。サイズは汎人類史の記録にも存在しないほど<ref group = "注">通常よりも巨大だが、実際に太陽が膨張するのは数十億年後。仮に異聞帯が環境を変質させ、宇宙に存在する太陽を赤色恒星へ変えたのであれば、雪や氷どころか地表は砂漠になり、[[主人公 (Grand Order)|主人公]]はまず生存できない環境となっている。</ref>。この偽なる太陽の正体は神々によって具象化された火炎領域ムスペルヘイムであり、スルトの肉体そのものである。それをオーディンの秘術によって封印されたもので、封じられたスルトは神霊の如き希薄な状態で世界にピン留めされていた。[[スルト]]が融合した[[シグルド]]の霊核を[[ブリュンヒルデ]]が破壊した事で[[スルト]]の魂が解放され、大神の牢獄を外側から解き放たれると、ぐねぐねと胎動を始め、炎によって形成された濁流が蠢き、偽なる太陽を穴として[[スルト]]の肉体が落ちた。この落ちる刹那、異聞帯各地に棲まう巨人種の全ては一斉に空を見上げて咆哮し、女王からもたらされた支配の枷である顔を覆っていた無貌の仮面礼装が砕け散った。それにより仮面の消滅と共に巨人種たちは真に覚醒し、人類には理解できない言語で終焉をもたらす王の名を讃えた。
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:旧ヨートゥンハイメン山地に存在するガルフピッゲン山は、北欧異聞帯でも延々と連なった雪と氷の山嶺の果てで一本道になっている。山頂には燃焼の対象物がないまま空間に固定された魔術の炎の壁が取り囲む、氷の建造物が存在する。これは[[ブリュンヒルデ]]が封じられていた“炎の館”の神話の再演、見立てによる類感魔術を用いた大規模魔術儀式による結界。オーディンの結界を模した館。この館の近くによるだけで高熱が届き、空気が熱くなる。何処かに灼熱のルーンが刻まれているとされる。雪と炎の魔力でサーヴァントの感覚は鈍ってしまう。炎の中にはムスペル巨人種が鎖で足が繋がれた状態で複数体が番犬代わりにされている。内部には[[ブリュンヒルデ]]が封じ込められていた。
:旧ヨートゥンハイメン山地に存在するガルフピッゲン山は、北欧異聞帯でも延々と連なった雪と氷の山嶺の果てで一本道。山頂には燃焼の対象物がないまま空間に固定された魔術の炎の壁が取り囲む、氷の建造物が存在する。これは[[ブリュンヒルデ]]が封じられていた“炎の館”の神話の再演、見立てによる類感魔術を用いた大規模魔術儀式による結界。オーディンの結界を模した館。この館の近くによるだけで高熱が届き、空気が熱くなる。何処かに灼熱のルーンが刻まれているとされる。雪や炎の魔力でサーヴァントの感覚は鈍ってしまう。炎の中にはムスペル巨人種が鎖で足が繋がれた状態で複数体が番犬代わりにされている。内部には[[ブリュンヒルデ]]が封じ込められていた。
   
:旧スカゲラク海峡は汎人類史では海上だが、異聞帯では凍り付き、降雪した山と見紛う状態の領域になっている。オスロからガルフピッゲン山までは延々と続く氷の山嶺だったため、ヨートゥンハイメンのあたりと比べると比較的気温は高く、暖かい。
 
:旧スカゲラク海峡は汎人類史では海上だが、異聞帯では凍り付き、降雪した山と見紛う状態の領域になっている。オスロからガルフピッゲン山までは延々と続く氷の山嶺だったため、ヨートゥンハイメンのあたりと比べると比較的気温は高く、暖かい。
:[[スカサハ=スカディ]]はオスロ・フィヨルド北部、汎人類史ではオスロだった場所にある雪と氷で出来た城に住んでいる。この城は北欧異聞帯でも最大の建造物<ref group = "注">そもそも建物自体が少ない。</ref>。一目見ただけ柄高貴な者のための城だと分かる、支配者に相応しい外観。王が座るためだけに造られた城。実在する神がおわす一種の神殿。人に恩恵を与えるものではなく、[[スカサハ=スカディ]]の為の城<ref group = "注">[[スカサハ=スカディ]]曰く、オーディンは人の来訪については考えて城を与えたりはしない。</ref>。要塞としての機能は考えられておらず、外観の荘厳さを優先して設計されたものと思われる。汎人類であれば近代以降のヨーロッパ様式の城郭を思わせる建築意匠を行われている。[[スカサハ=スカディ]]が魔力を以て編み上げたもので、北欧に降り積もる雪を固めたもの。そのために城そのものが魔力を発し<ref group = "注">城の中にいる事は、[[スカサハ=スカディ]]の胎の中に立っているようなものとされる。</ref>、雪原よりも濃い魔力が渦巻いており、城全域に意識を失ってしまう程の濃厚な[[スカサハ=スカディ]]の魔力が充満しており、通常の生態系の生物であれば即死しかねない<ref group = "注">[[マシュ・キリエライト]]曰く、第七特異点を思わせる大気の魔力。</ref>。魔力によって感知の類は困難になり、隣にいるサーヴァントの気配すら感じられない。城の内部は礼装がなければ霜だらけになるほどの寒さで、常人は魔術的な防御が切れると凍死するため、美しいが人は住めない。人間たちの憧れでありながら、決して人間の手が届かない魔女の城。[[スカサハ=スカディ]]曰く、この城は自分の趣味ではない<ref group = "注">逆に[[タマモヴィッチ・コヤンスカヤ|コヤンスカヤ]]は城のデザインや材質は好み。</ref>。巨大な主塔に繋がる大橋が一つだけあり、渡ろうとすると御使いや巨人種が山ほど寄ってくる。城の地下には主塔に続く地下通路があり、上のホールらしき広い空間ににあがる階段が存在する。地下通路は警備は緩いが氷獣が棲み着いている。ホールには氷で出来た玉座がある。ホールの床は開いて、地下から仮面を被って鎖で拘束されたムスペル巨人種がせり上がってくる。地下通路には巨人種は居なかったため、思ったより面白い構造になっている模様。地下牢は鍵が神鉄で出来ていて、蝋燭からベッド、鉄球付きの足枷まですべて氷で出来ている。主人公たちが閉じ込められた地下牢より更に深いところに[[シトナイ]]が閉じ込められた地下牢がある。
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:[[スカサハ=スカディ]]はオスロ・フィヨルド北部、汎人類史ではオスロだった場所にある雪と氷でできた城に住んでいる。この城は北欧異聞帯でも最大の建造物<ref group = "注">そもそも建物自体が少ない。</ref>。一目見ただけで高貴な者のための城だと分かる、支配者に相応しい外観を有する。王が座るためだけに造られた城。実在する神がおわす一種の神殿。人に恩恵を与えるものではなく、[[スカサハ=スカディ]]の為の城<ref group = "注">[[スカサハ=スカディ]]曰く、オーディンは人の来訪については考えて城を与えたりはしない。</ref>。要塞としての機能は考えられておらず、外観の荘厳さを優先して設計されたものと思われる。汎人類であれば近代以降のヨーロッパ様式の城郭を思わせる建築意匠を行われている。[[スカサハ=スカディ]]が魔力を以て編み上げたもので、北欧に降り積もる雪を固めたもの。そのために城そのものが魔力を発し<ref group = "注">城の中にいる事は、[[スカサハ=スカディ]]の胎の中に立っているようなものとされる。</ref>、雪原よりも濃い魔力が渦巻いており、城全域に意識を失ってしまう程の濃厚な[[スカサハ=スカディ]]の魔力が充満しており、通常の生態系の生物であれば即死しかねない<ref group = "注">[[マシュ・キリエライト]]曰く、第七特異点を思わせる大気の魔力。</ref>。魔力によって感知の類は困難になり、隣にいるサーヴァントの気配すら感じられない。城の内部は礼装がなければ霜だらけになるほどの寒さで、常人は魔術的な防御が切れると凍死するため、美しいが人は住めない。人間たちの憧れでありながら、決して人間の手が届かない魔女の城。[[スカサハ=スカディ]]曰く、この城は自分の趣味ではない<ref group = "注">逆に[[タマモヴィッチ・コヤンスカヤ|コヤンスカヤ]]は城のデザインや材質は好み。</ref>。巨大な主塔に繋がる大橋が一つだけあり、渡ろうとすると御使いや巨人種が山ほど寄ってくる。城の地下には主塔に続く地下通路があり、上のホールらしき広い空間ににあがる階段が存在する。地下通路は警備は緩いが氷獣が棲み着いている。ホールには氷で出来た玉座がある。ホールの床は開いて、地下から仮面を被って鎖で拘束されたムスペル巨人種がせり上がってくる。地下通路には巨人種は居なかったため、思ったより面白い構造になっている模様。地下牢は鍵が神鉄で出来ていて、蝋燭からベッド、鉄球付きの足枷まですべて氷で出来ている。主人公たちが閉じ込められた地下牢より更に深いところに[[シトナイ]]が閉じ込められた地下牢がある。
 
:神様と御使いが作った第1から第100までの村・集落が存在しており、汎人類史でいうヴェッテルン湖の北西にあるヴェーネルン湖上にある。それぞれの集落の人口は約100人。広範囲にわたって木製の壁に囲まれており、家の数は50戸未満。北欧にか細く残っていた霊脈の上に在り、それを利用して生存可能圏を維持している。第23集落と第67集落を比べると、ディティールは異なっているが基本的な構造は何もかも同じ<ref group = "注">数字にすると80%の一致。</ref>。
 
:神様と御使いが作った第1から第100までの村・集落が存在しており、汎人類史でいうヴェッテルン湖の北西にあるヴェーネルン湖上にある。それぞれの集落の人口は約100人。広範囲にわたって木製の壁に囲まれており、家の数は50戸未満。北欧にか細く残っていた霊脈の上に在り、それを利用して生存可能圏を維持している。第23集落と第67集落を比べると、ディティールは異なっているが基本的な構造は何もかも同じ<ref group = "注">数字にすると80%の一致。</ref>。
 
:唯一の出入り口である大きな扉は独特の雰囲気の意匠で、大人が何人も集まって引かないと開かない重さ。閂が閉まっている<ref group = "注">サーヴァントの膂力で押せば、閂ごと砕いて開ける程度。</ref>。この大扉は集落から出るための出口で、定めの日に大人が外に出るための場所。集落の近くにはぽつぽつとだが巨人がいる。大扉を基点として集落を[[スカサハ=スカディ]]が施した巨人種や獣、魔術的な存在を弾き、冷気を避ける結界で覆われているが<ref group = "注">デミ・サーヴァントであるマシュにも少しとはいえ負荷がかかる。</ref>、氷雪に混ざる魔力と結界の性質が似ている事により、集落の中に入るまで結界にマシュは気付けなかった。後に『カルデアの者』を名乗る人物によって、柵と扉にルーン以外の神代の域に達した魔術で新しく、大盾や堅牢の要塞と称されるあらゆる外敵から身を守るための強力な結界を付与された。結界の強度は神代に近しい力を取り戻した巨人種から半日保つ程度。
 
:唯一の出入り口である大きな扉は独特の雰囲気の意匠で、大人が何人も集まって引かないと開かない重さ。閂が閉まっている<ref group = "注">サーヴァントの膂力で押せば、閂ごと砕いて開ける程度。</ref>。この大扉は集落から出るための出口で、定めの日に大人が外に出るための場所。集落の近くにはぽつぽつとだが巨人がいる。大扉を基点として集落を[[スカサハ=スカディ]]が施した巨人種や獣、魔術的な存在を弾き、冷気を避ける結界で覆われているが<ref group = "注">デミ・サーヴァントであるマシュにも少しとはいえ負荷がかかる。</ref>、氷雪に混ざる魔力と結界の性質が似ている事により、集落の中に入るまで結界にマシュは気付けなかった。後に『カルデアの者』を名乗る人物によって、柵と扉にルーン以外の神代の域に達した魔術で新しく、大盾や堅牢の要塞と称されるあらゆる外敵から身を守るための強力な結界を付与された。結界の強度は神代に近しい力を取り戻した巨人種から半日保つ程度。
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