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| == 真名:アンリマユ == | | == 真名:アンリマユ == |
− | :アンリマユ。「この世全ての悪」なるものを肯定する反英雄の極地。人類最古の善悪二元論といわれる拝火教に伝わる、悪魔の王。<br>―――しかし実際はそうではなく、とある村において、何の罪も犯さず、さりとて大きな功績も持たなかった普通の人間。<br>平凡な「青年」はその役割を一身に背負わされ、「この世全ての悪」になってしまった。生まれ育った村の呪いによって、人間であった頃の名前は世界から喪失している。 | + | :アンリマユ。「この世全ての悪」なるものを肯定する反英雄の極地。人類最古の善悪二元論といわれる拝火教に伝わる、悪魔の王。 |
| + | :―――しかし実際はそうではなく、とある村において、何の罪も犯さず、さりとて大きな功績も持たなかった普通の人間。 |
| + | :平凡な「青年」はその役割を一身に背負わされ、「この世全ての悪」になってしまった。 |
| + | :生まれ育った村の呪いによって、人間であった頃の名前は世界から喪失している。 |
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| :村に起きた一つの教えとは悪を定める教えであり、その村では日々の苦しさ、貧しさに耐えるために教えを必要とした。 | | :村に起きた一つの教えとは悪を定める教えであり、その村では日々の苦しさ、貧しさに耐えるために教えを必要とした。 |
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| ::'''『私たちの生活がいっこうに楽にならないのは、原因となる悪がいるからだ』''' | | ::'''『私たちの生活がいっこうに楽にならないのは、原因となる悪がいるからだ』''' |
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− | :解決のできない問題。救われることのない人々の心は、この理不尽を叩きつけられる必要悪―――生贄を必要とした。そうすれば救われると。<br>そういった何処にでもあるような取り決めから、「青年」は「村人たちの善を脅かす悪」「物事がうまくいかない元凶」「無条件で貶めてよい何か」として選ばれ、山の頂に幽閉され、この世の地獄に落とされた。 | + | :解決のできない問題。救われることのない人々の心は、この理不尽を叩きつけられる必要悪―――生贄を必要とした。そうすれば救われると。 |
| + | :そういった何処にでもあるような取り決めから、「青年」は「村人たちの善を脅かす悪」「物事がうまくいかない元凶」「無条件で貶めてよい何か」として選ばれ、山の頂に幽閉され、この世の地獄に落とされた。 |
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| :延々と蔑まれ、疎まれ続けて人間として扱われないだけでなく、片目や喉を潰され、四肢は指を全て切り落とされ、残った目も閉じないように目蓋を固定されるというヒトが体験できる責め苦のすべてを味わった「青年」は、当然のように果ててしまった。 | | :延々と蔑まれ、疎まれ続けて人間として扱われないだけでなく、片目や喉を潰され、四肢は指を全て切り落とされ、残った目も閉じないように目蓋を固定されるというヒトが体験できる責め苦のすべてを味わった「青年」は、当然のように果ててしまった。 |
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− | :だが理不尽に対する憎しみは岩牢に焼きつき、彼は名もない亡霊になり、反英雄となった。青年が消えた後も、憎み続けた村人がいなくなった後も、村そのものが消え去った後でさえも。<br>彼は山の頂に縛られたまま、人間の営み、人間の醜さ、人間の喜びを眺め続ける。 | + | :だが理不尽に対する憎しみは岩牢に焼きつき、彼は名もない亡霊になり、反英雄となった。青年が消えた後も、憎み続けた村人がいなくなった後も、村そのものが消え去った後でさえも。 |
| + | :彼は山の頂に縛られたまま、人間の営み、人間の醜さ、人間の喜びを眺め続ける。 |
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| :温かな光―――自分には与えられなかった“当たり前の日々”を思う、賢者のように。 | | :温かな光―――自分には与えられなかった“当たり前の日々”を思う、賢者のように。 |