真名:ソロモン
:旧約聖書に登場する、魔術の祖と謳われイスラエルを最も発展させた古代イスラエルの第三代王。紀元前1011年~931年の人物。
:七十二柱の魔神を使役し、初めてイスラエル神殿を築き、人類に魔術をもたらした人物。王として優れた政策を行ったが、それ以外にも魔術師としての逸話が多い。
:彼は人理を守るために喚ばれるあらゆる英霊の頂点に立つ者であった。
:霊長の世を阻む大災害、築き上げられた文明を滅ぼす終わりの化身、文明より生まれた文明を食らうもの───その害敵、自業自得の<ruby><rb>死の要因</rb><rt>アポトーシス</rt></ruby>、即ち[[ビースト]]に対し、人理を守護する守護者として遣わされる天の御使い。人理を護る、その時代最高峰の七騎。英霊の頂点たる始まりの七つ。
:その英霊達の頂点に立つ七騎において、冠位の魔術師の座に君臨する者。それこそが<ruby><rb>冠位</rb><rt>グランド</rt></ruby>の器を持つキャスター、ソロモンである。
;ソロモン七十二柱
:ソロモン王が召喚したとされる魔神の集団。いずれも爵位を持ち、軍団を率いている。
:『Grand Order』では伝承の姿ではなく[[魔神柱]]として登場しており、ある計画のために受肉・新生した。
:そも、七十二柱の魔神とは魔術の祖ソロモンが作り出した“正しい道理を効率良く進める”システムにすぎなかった。
;ソロモンの指輪
:神よりソロモン王に授けられた十の指輪。これを用いて天使や悪魔を使役している。
:十の指輪がすべて揃っている場合、人類が行うあらゆる魔術を無効化し、また配下に納めるとされる。
:ソロモン王が亡くなる際、遥かな未来に贈ったものである十個目の指輪を触媒としてマリスビリーに召喚された。
;ソロモン王の小鍵
:19世紀に発見された魔道書。
:書は五部からなり、そのうち最も有名なものが魔神の目録である第一部「ゲーティア」。
:第五部「アルス・ノヴァ」はその最後の締めくくり、古きを捨てる新しい術を表す。
:ちなみに残りは第二部「テウルギア・ゲーティア」、第三部「アルス・パウリナ」、第四部「アルス・アルマデル・サロモニス」。
:ソロモンの宝具名はいずれもここから取られている。
略歴
;生前
:エジプトのファラオの娘を娶った後、ある日夢枕に神が現れ「汝に資格あり。望みを口にせよ。願うものを与えよう」と告げたという。
:これに対しソロモンは黄金や権力ではなく知恵を求め、この返答こそが「真の叡智」に至る資格の証左であるとして満足した神から十の指輪を与えられた。
:これこそが神に認められた知恵者の証であり、後にソロモンの指輪と呼ばれる、天使や悪魔を使役する魔術の源泉であった。
:魔術の王と呼ばれる存在ではあるが、その賢明さから奇跡を見せたのはただの一度きり。その一度のみの奇蹟により「民は王の加護を得ている」と知らしめ、その後は民から恐怖される、民が堕落するといった事態を防ぐために奇蹟は起こさなかった。
:ソロモンは魔術を使わないまま魔術の王として近隣諸国に名を広め、賢王のままこの世を去った。ソロモン王の死によって世界からは加速度的に神代の神秘が失われていき、西暦を迎えて完全に人の世に塗り替わったという。
:だが、生前において過去と未来を見通す千里眼を持ち、この世全ての悲劇、悲しみを把握していながら、何もしなかった。ソロモンは何も感じなかったとしても、「配下」はこの仕打ちに耐えられなかった。貴方は何も感じないのか。この悲劇を正そうとは思わないのか。そう述べるも───
::『特に何も。神は人を戒めるためのもので、王は人を整理するだけのものだからね <br> 他人が悲しもうが己に実害はない。人間とは皆、そのように判断する生き物だ』
:人間の救われなさ、醜さを知ったうえでこれを正す事なく、ソロモン王は死を受け入れた。[[ゲーティア|しかし…────]]
;人となった王
:ソロモン王の死から遥かな未来である西暦2004年。冬木の聖杯戦争で勝利を収めたのはマリスビリー・アニムスフィア、そして秘密裏に召喚され、『カルデアの英霊召喚での成功例第一号』となったソロモン。
:ソロモンが聖杯にかけた願いは『英霊として受肉する』のではなく、『人間になる』というもの。全能の力を持つ『英霊としての力』を全て捨て、何の変哲もない[[ロマニ・アーキマン|『ごく普通の青年』]]として生きようと願った。
:そして願いが果たされる瞬間に、その全ての能力を失った。それだけなら良かったが、ただの人間になる刹那に人類の終焉を視てしまった。
:誰がなんの目的でソレを引き起こしたのか、どうすればこれを防げるのか、それらを知る術は失ってしまったが、そのまま無視することもできなかった。この事件は自分に関わる事だけは分かっていたから。
:人となったソロモンは文字通り「一から、人間として学び直す工程」より旅を始めた。敵が誰かも、何が引き金かも分からない。彼にできるのは耐える事、そのときに備える事だけ。
:ソロモンと同様にこの青年からあらゆる自由が奪われたのはあまりにも皮肉としか言いようがなかったが、多くの偶然にも助けられたのだ。[[主人公 (Grand Order)|人類最後のマスター]]には初めて出逢った日から、グランドオーダーにおいても。
:最終決戦の固有結界「冠位時間神殿」において、人理焼却の首謀者であるゲーティアと人類最後のマスターの前に現れ、本来の姿を晒した彼は、遙かなる過去・神代の終焉の時代において、自身が「魔術」という概念そのものに施した安全装置を起動する。
::伝承に曰く、ソロモン王は万能の指輪を持ちながら、それを使ったことは一度しかなく、ついにはその指輪を自らの意思で天に還した。「ここからは全能の神に運命を委ねるのではなく、人が人の意志で生きる時代だ」と告げるように。
:ゲーティアの9つとソロモンの残る1つ、計10の指輪を鍵とし、彼は指輪返還の逸話的再現である第一宝具を再演。神の代理人たるソロモン王の完全消滅という効果を以って、自身を起源とするゲーティアの存在に致命的な綻びを生み出し、そして世界から消え去った。
:──自身をここまで導いてくれた人類最後のマスターへ、人間“[[ロマニ・アーキマン]]”としての微笑みを最後の瞬間に残して。