ジークフリート
2013年9月11日 (水) 03:17時点における180.11.173.181 (トーク)による版
セイバー (Apocrypha・黒)
- 真名:ジークフリート
- 身長:190cm/体重:80kg
- 属性:混沌・善
「剣士」のクラスのサーヴァント。聖杯大戦において、ゴルド・ムジーク・ユグドミレニアによって召喚された。
灰色長髪の端整な顔付きで胸もとと背中が大きく開いた鎧に身を包み、大剣を背にする長身の青年。
- 略歴
- 真名はニーベルンゲンの歌に登場する大英雄ジークフリート。ネーデルランドの王子であり、「竜殺し(ドラゴンスレイヤー)」の称号を冠するまでに至った勇者。数多の冒険を成し遂げ、悪竜ファヴニールを殺し、その血を浴びることで不死身の肉体を手に入れた英雄である。
トゥリファスのミレニア城塞の祭壇にて、血に染まった菩提樹の葉を触媒に召喚された。
真名と弱点の秘匿のため、召喚されて早々にゴルドに自分の許可なしに喋ることを禁じられ、それを承諾してしまったが故にゴルドと信頼関係を築けられなかった。そして、そのすれ違いが致命的な事態を招くことになってしまった。
後に、ゴルドの暴行によって死亡したジークに自らの心臓を与えて消滅した。だが……。
- 人物
- 性格は高潔な騎士そのもので強敵との死力を尽くした戦いを望み、戦場での嘲笑を良しとせず、義を重んじる英雄らしい性格。伝承から「頼まれ続けてきた人柄」と称され、利のある命令には素直に随従する。しかし、弱者への一方的な暴力を嫌い目の前で蹲る者がいれば、例え命令を無視してでも助けようとする高潔な精神を持つ。
かつて「求められればそれに応じる」という、善も悪も問わず叶える『願望機』のような生き方を過ごしていた。竜殺しを為した後はあらゆる攻撃が自分には通用しなくなり、ただ無造作に敵を屠るだけ、と『闘争』は何時の間にか『作業』となり、戦いに高揚を感じる感覚も失われていった。
だがある時、彼は「自らが何を望んでいるのかまるで分らない、希望も夢もなく、未来を思い描くことも出来ない」と自分が知らず知らずの内に行っていた欺瞞に気づいてしまう。人を、世界を愛しているのに、その空虚さを埋めることは出来なかった。
そしてクリームヒルトを巡る争いで、自分の命で事を収めるため友であったハーゲンに自分を殺すよう願いを告げる。友は彼の願いを叶えたが、それは彼の意に反した惨劇を引き起こし、「争いを止めたい」という彼自身の望みは叶えられなかった。だが彼は英雄として生き、死んだことに何ら後悔は無く、死の間際、ようやくやりたいことが明瞭に浮かび上がった。
誰に認められなくてもいい、誰に賞賛されなくても構わない、ただ自分が信じるものの側に立って生きていきたい。誰かのためでもなく、己のためでもなく、自らの信じるものの為に戦う者。
そう、彼の願いは『正義の味方』になることだった。
- 能力
- セイバーにふさわしい高い剣技を兼ね備え、不死身の肉体を活かし、攻撃を貰う事を前提とした捨て身の戦法をとる。
その近接能力は赤のランサーと互角に打ち合うほどで、頑強さなら彼をも凌ぐ。能力「悪竜の血鎧」の恩恵で優れた耐久力を誇り、作中では、赤のランサーやアーチャーからAランク級の通常攻撃が直撃しても大した負傷がなかった。
他のサーヴァントとの連携にも秀で、バーサーカーと呼吸を同一にして同時攻撃を行う。
竜の心臓を得たことで「竜種」としての属性も持ち、身体能力と回復力は桁外れに高い。
宝具
- 幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)
- 柄に青い宝玉が埋め込まれた黄金の大剣。聖剣のカテゴリーに属する。真名を解放することで、大剣を中心とした半円状に拡散する黄昏の波を放つ。
- 悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)
- 竜の血を浴びることで得た常時発動型の宝具。Bランク以下の攻撃を完全に無効化し、更にAランクの攻撃でもその威力を減少させ、竜種由来の肉体強度と治癒能力が合わさり、赤のランサーの槍撃を受けても微傷程度で済む頑強な肉体を誇る。
但し、伝承の通り背中にある、葉の様な形の跡が残っている部分のみその効力は発揮しない。
登場作品
- Fate/Apocrypha
- 「黒」のサーヴァントとして登場。
人間関係
- ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア
- マスター。望みの為、服従することを選ぶ。
- ジーク
- 彼をすぐに救わず、見捨てようとした事を恥じ、贖罪のために自らの心臓を与える。この行為によってホムンクルスの少年は蘇生したが、彼の肉体は変化を遂げ、永い錬金術の歴史上にも例を見ない存在が生まれた。
- ランサー
- 彼から絶大な信頼と評価を受けており、「考え得る限り、もっとも素晴らしい勇者」と絶賛されていた。
……それだけにセイバーが消滅した際は大きな衝撃を受ける。
- ライダー
- 彼に糾され、「英雄」としての誇りを取り戻す。
- 赤のランサー
- 鎬を削りあう好敵手。
生前でも経験のない程の実力に、心から敬服する。 - 赤のライダー
- 互いに相性の悪い相手。
両者共に攻撃しても傷つけられず、千日手に陥る。性格的にも、戦場で笑うことは「相手を侮蔑してしまう危険性が高い」と考える彼と「散り様位は陽気に行きたい」と考えるライダーは相容れない。
名台詞
- 「願わくば、次こそは貴公と心ゆくまで戦いたいものだ」
- 赤のランサーと夜明けまで打ち合い、互いに引き分けとして、別れた際のセリフ。マスターの命令を頑なに守り、一言も喋ろうとしなかった彼はランサーの武練に感じ入り、禁を破ってでも好敵手への賛辞と再戦の願いを口にする。そこには、華やかな英雄譚の裏に存在した彼の苦悩も含まれていた。
- 「———ああ、これで良かったのだ———」
- 心の底から確信している思い。二度目の死。無念の中でも満足げな顔で消滅しながらの一言。
メモ
- キャラクターデザイン原案はKN。設定制作を担当したのはTYPE MOON。
- 北欧神話の大英雄シグルズが彼のモデルという説と、同一人物という説がある。
シグルズの持つ魔剣グラムはギルガメッシュの宝具解説でバルムンクというの別名という設定があることと、『CCC』のブリュンヒルデの説明にて「シグルズ(ジークフリート)」と表記され同一視されている。また、作中における彼の経歴はジークフリートとシグルズの伝承がごちゃ混ぜであり、混乱の元となっていた。最新刊にて『ニーベルンゲンの歌』の設定が彼の人物設定であることが判明した。
が、「ハーゲンが彼を殺したのは彼に頼まれたから」という設定など色々変えられている感は否定できない。
またグラムは「魔剣」とされているのに対し、「バルムンク」は聖剣とされているなど、辻褄があわないところもあり、設定変更でシグルズとは全くの別人として扱われている可能性もある。 - マスターであるゴルドは、彼の真名に関して、過剰に警戒しすぎていたと言わざるを得ない。確かに聖杯戦争において真名の秘匿は基本中の基本であり、セイバーの背中の弱点には十分に留意する必要が有った。
だが無防備な背後から攻撃を受けるのは、特殊な防御能力を持たない限り、どのような大英雄でも敗北必至の危機的状況であり、彼の弱点も所詮は「当たり前の事」に過ぎなかった。
真名の秘匿のみを重視し、サーヴァントとまともにコミュニケーションを取ろうともしなかったゴルドの失点は余りに大きい。- 尤もそれはその関係を良しとしたセイバー自身にも非があると言える事でもある。互いにコミュニケーションを取っていれば、あの結末を回避出来た可能性がある事が示唆されている。
- 生前に何かしらの後悔を抱いたようで、彼が命令に忠実だったのはその在り方もあるが、生前の無念、叶えたい願いの為だった模様。しかし、内容が明かされる事がないまま脱落した。
- 伝承通り、背中が最大の弱点にも関わらず、肩や腕回りには鎧があるのに何故か肝心の背中には鎧を纏っていない。何らかの制約があるのかもしれないが、その理由は不明である。
- カルナのようにどうやら「肉体と一体となった鎧としての宝具」として表現されているらしい表記からして、背中が弱点であるということを示唆する外見とも推測出来る。
- 彼の愛馬「グラニ」は、オーディンの持つ駿馬スレイプニルの血を引いているとされ、これを駆って活躍したこともあるため、ライダーとしての適性も持っている。
企画段階でのステータス
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 | 備考 |
不定 | B+ | A | B | C | E | A | 企画段階 |
話題まとめ
- バルムンク
- 彼の愛剣「バルムンク」は作中で『聖剣』と呼ばれているが、その来歴は血塗られている。
バルムンクは元々ニーベルンゲン族のシルブンクとニベルンクが、彼に財宝の分配を依頼した際に贈る品だった。だが分配に不平を漏らすものがおり、彼はその依頼を果たすことは出来なかった。怒った二人の王とニーベルンゲン族の勇者たちに襲われたために反撃(ジークフリートが怒って勇者達を斬り殺したと言われることもあるが、古くからある写本にはそのように書かれていないため、近代の創作である)、結果としてバルムンクを初めとする彼らの宝を手に入れることになった。
要するに持ち主を殺して奪い取った宝具である。
尤も、これはニーベルンゲンの財宝の呪いのようなものでもあり、この後に財宝を狙うハーゲンによって彼は暗殺され、バルムンクも奪われる。
そして「彼がくれた贈り物」として財宝を奪い返そうとするクリームヒルトによって財宝と復讐の争いがおき、最後にはクリームヒルトが動けないハーゲンを奪い返したバルムンクで斬首。そして彼女もハーゲンの旧友ヒルデブラントに切り殺された。
しかし、そのような呪いを孕んだ剣を、果たして『聖剣』と称してよいものだろうか。
- 英雄ジークフリートの性格
- 上記のような経緯に限らず、彼には英雄と呼ぶには相応しくない粗暴な振る舞いも多いが、その大半は作中初期(彼がまだ年若い頃)の時代の話であり、精神的成長を果たしている中盤以降の彼は誠実で落ち着いた人物である。
『ニーベルングの指環』においてブリュンヒルデを娶る際に「眠っている彼女の鎧や服を引っぺがしたことで、ブリュンヒルデが羞恥の余り泣き崩れてしまう」という逸話があるが、実はブリュンヒルデは自分がジークフリートによって目覚めさせられるよう彼が生まれる前から定めており、彼女からすれば願ったりな展開なのである(泣き崩れたのは、あくまで初めて女性として扱われたことに戸惑っただけとされる)。また、ジークフリート自身、鎧を剥がすまで相手が女性であることに気が付かなかった。
また、『ニーベルンゲンの歌』においては、彼は徹頭徹尾クリームヒルトに一途な愛を誓っており、ブリュンヒルトとは面識があった程度で、むしろ彼は高慢なブリュンヒルトから見下されていた節もある。
このように彼の伝承は時代・地域ごとに様々な作品が存在し、性格に統一性が見られない(これは、ジークフリートの伝説は5・6世紀頃に成立し、その後各地域に拡散して1,000年以上に渡って様々な作品が作られている上に、著作権が無いので現代の編者が自己解釈で改変を加えることがあるのが原因)ため、あながち作中の高潔な性格は伝承と相違ないとも言える。
このような「粗暴な振る舞いが多いにも関わらず、Fate作品内では紳士的な人物として描かれた英雄」は彼の他に(虎聖杯の影響を受けている可能性もあるが)ヘラクレスが挙げられる。