フラウロス

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フラウロス

時計塔十一科ロクスロートに巨大な屋敷か城のごとき研究棟を構える魔術師。

略歴
“私は既に命を断った。私は殺されるだろうから、後処理に来てほしい”
旧知の仲である魔術師フラウロスの死を知らせる手紙を受け取った青崎姉妹は、それぞれに時計塔のロクスロートを訪れる。だが、そこには平然と日々を過ごす生きた当人の姿があった。
しかしその冬、研究棟の館長室にて、彼は何者かに殺害された死体となって発見される。魔術師の世界ではとりたてて珍しい出来事ではなかったが、本人が生前から用意していたという墓標に三人分の墓碑が刻まれていたことだけが奇妙であった。
人物
考古学部である時計塔十一科ロクスロートで研究棟の館長を務める魔術師の男性。
年齢は四十代。ドイツ国籍のアーリア系。研究棟は二百坪ほどで、かなりの大きさを誇る。
西暦以前から続く古い家系の出身で、冠位指定(グランドオーダー)を授けられた名門の嫡子。かつては二十歳で魔術四階梯の祭位(フェス)に到達した神童と呼ばれていた。
能力
一つの事柄を見て同時に異なる処理をする完全な多重人格者。
「レフ・ウヴァル」、「ライノール・グシオン」、そして「三人目」の3つの人格を持つ。レフは「過去」、ライノールは「未来」、三人目は「現在」を重んじ、それぞれの探求を続けている。
はじめから多重人格だったのか、研究の過程でそうなったのかは不明。

レフ・ウヴァル

「過去」を重んじるフラウロス。ひょろりと高い背を猫のように丸めた忙しない男性。一人称は「ボク」。
考古学部である十一科ロクスロートは時計塔の十二の学部で最弱とされ、縄張り争いに興味を示さない純粋な研究者たちの集まり。レフもまた、そういった事柄には興味を持たず、引きこもっては研究に明け暮れている。
「魔術師の一生とは、過去に奉仕すること」との信条を掲げて、徹底した研究系魔術師として己が理論、己が魔術式だけに心血を注ぎ、それ以外の世俗的な事柄に時間を浪費する実践系の魔術師たちを毛嫌いしている。未来にも現在にも興味はなく、ただひたすらに過去の魔術書を解読し、その属する体系に沿って検討し、現代でも通用するよう再定義しリライトすることを己の唯一の使命にして責務と考えている。
後継者を育てる時間すら惜しい、子孫すら信頼できないと考え、自分の力のみでそれを成そうと日々奮闘しているが、それを果たすための時間が自分には絶対的に不足していることが苦悩の種。
ミス・アオザキの姉の方には唯一の理解者としての友情を、妹の方には一切分かり合えない相手としての嫌悪感を抱いている。

ライノール・グシオン

「未来」を重んじるフラウロス。細身で背が高く、荒っぽく野性的な男性。一人称は「オレ」。
好戦的で行動的な魔術師で、野性的な表情や言動から研究棟の用心棒と間違われることもある。
「未来があればそれでいい」がモットーで、金にがめつく、浪費も激しく、しかし自分自身にかけるコストはごくささやか。他の魔術師から力尽くかつ合法的に利権や研究成果を奪い取り、拝金魔術師だの利権マフィアだのと誹られる一方で、才能はあっても資金や環境に恵まれない若手の魔術師たちを見出しては課題と経費を与え、支援・育成する「足長おじさん(ダディ・ロング・レッグス)」の顔も持っている。
希少な虚数属性を持つ魔術師であり、虚数魔術の使い手のみが触れられる虚数空間を次元ポケットのように用いて、資源や礼装、理論など「文明により消費され失われる、未来において必要とされるだろうもの」を現在から隔離し、未来への一方的な送信をひたすらに続ける。
過去にも現在にも興味はなく、ただ未来の繁栄のみが目的で、やるべき事の多すぎる魔術師としての一生に倦怠感を覚えている。
ミス・アオザキの妹の方には「いい女」として性的な好意を、姉の方には反りの合わない相手としての苦手意識を抱いている。

三人目

「現在」を重んじるフラウロス。一人称は「私」。
折り合いの悪いレフとライノールの仲介役を担当していたが、極端なまでに過去と未来の一方しか見ていないレフとライノールの研究が世界に災いをもたらすことを危惧し、彼らを自滅させて止めるべく人格の“自殺”を選んだ。青崎姉妹に送られた手紙はこの「現在」のフラウロスの人格の死を伝えるものであった。
仲介役を失ったレフとライノールはお互いの人格に対する憎悪を深め、自分すら死ぬとわかっていながらも相手人格に対して致死性のトラップを仕掛けてしまう。その結果、フラウロスは胴体を切断され死亡した。
三人目は自らの消滅をもって「現在」の世界を守ったのであった。

登場作品と役柄

月姫

MELTY BLOOD 路地裏ナイトメア
ラニの手によって死を迎えつつあるレフ・ライノールの最期に現れた。

その他

2015年の時計塔
物語の鍵となる人物。

人間関係

蒼崎青子
同胞であり宿敵。未来を重んじる青子をレフは嫌い、ライノールは好いている。
蒼崎橙子
同胞であり宿敵。過去を重んじる橙子をライノールは嫌い、レフは好いている。
レフ・ライノール
同一人物。魔神柱の誘惑を受け入れて自殺を選ばなかった結果、『Grand Order』世界へと分岐した。
ノーリッジ
時計塔十一科ロクスロートの研究棟館長秘書。たいそう有能だが、口の減らない不遜かつちゃっかりした性格の女性。
ノーリッジとは現代魔術科の創設者であり、才能はあっても家柄や資金などの面で恵まれない学生に対し手厚い援助・育成を行った。その恩を受けた学生らもノーリッジを名乗るようになり、時計塔には同姓の魔術師が幾人も存在する。

名台詞

路地裏ナイトメア

「……それは獣の夢だ 起こしてはいけない事業だ
 巻き込んだことは済まないと思う だが私は せめて人間として…」
何故か自分の研究室に戻ってきてしまったレフ・ライノールが横に真っ二つになってしまい、「人理焼却を始められない」と狼狽える彼に対して。
『2015年の時計塔』と設定を共有しているのなら、これは世界の危機を救う為に行ったフラウロスにとっての自殺であるはずである。
『Fate/Grand Order』で語られた人理焼却がそれであり、それを夢見た「獣」とは七つの人類悪のひとつ、『憐憫』の理を持つビーストⅠである。

メモ

  • フラウロス、ウヴァル、グシオンはいずれも『ゲーティア』に記されている悪魔、いわゆる『ソロモン72柱』の悪魔の名前である。三者ともが、過去・現在・未来について語る力を持つとされる。
  • どうかき集め洗練しても時間と共に過ぎ去り擦り減っていくものに全てを捧げ現在を細めていく「レフ」の研究と、どうなるかも現状確定せず未だ来てもいない時間へ繋げなければならない筈の現在を削り取って送る「ライノール」の研究。これらは多かれ少なかれ他の魔術師キャラクターも抱えている歪さだが、フラウロスの二人格はそれらを二極化して突き詰めたものといえる。
  • 「三人目」は研究の方針や成果について特に具体的には描かれていない。
  • 竹箒日記にて、「あの世界では「現代を守ために●●」した人物がいるため、FGOは発生しません。その成果を誰も知ることはなかったけど、彼は過去も未来も守ったわけである。」としており、Grand Orderの世界では彼が別の選択をしたことが示唆されている。
  • その理由は即ち、ゲーティアの計画における人理焼却において2016年から焼却を過去は渡って行わなければならず、その最後のスイッチ役こそがレフであった。最後のスイッチ役であるレフが実行する前に死亡すれば人理焼却は頓挫するということになる。
    • 本来、魔神柱の担い手が覚醒しなかった場合、別の候補者が魔神柱の役割を継承することがアマデウスの口から語られているが、フラウロスに限り別の魔神柱候補への引継ぎが行われなかった理由は不明。
  • 対面する誰かに合わせて、人格を切り替えるという特性は七十二柱の魔神の集合体であるゲーティアに酷似している。レフ・ライノール・フラウロスはGrand Order本編においては魔神たちの総意としていう「我々」以外では常に一人称は「私」であった。一人称が「僕」であるレフ・ウヴァルと「オレ」であるライノール・グシオンがどうなったのかは現状では不明。

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