ファルデウス・ディオランド

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ファルデウス・ディオランド

  • スペル:Faldeus

ランガルの弟子として魔術協会に潜り込んでいたアメリカ合衆国の魔術師
全ての準備が整ったと見るや、師であるランガルを裏切り殺害、その諜報手段を利用して魔術師たちへの警告と宣伝を送りつける。
正体を明かして以降は、おそらくアメリカ軍と見られる特殊部隊を率い、この聖杯戦争の監督役的な存在として立ち回る。

略歴
アメリカの一地方都市に聖杯戦争の起きる兆候ありとの情報を受け、師であるランガルに付き従う形でスノーフィールドへと派遣される。
だが、彼こそがこの地における聖杯戦争を仕組み、実現させたサイドの人間であり、聖杯の顕現が確実となったと見るや「魔術師の弟子」の仮面を脱ぎ捨てランガルを殺害。その肉体が諜報用の人形であることも見越した上で、偽りの聖杯戦争の開始と、魔術協会及び聖堂教会への警告を告げる宣伝媒体として利用した。
聖杯戦争の開始後はスノーフィールド郊外に位置する私立刑務所「コールズマン特殊矯正センター」地下に構えた工房で、魔術と科学を併用した監視網を駆使してスノーフィールド内に存在するマスターとサーヴァント、それ以外の魔術師らを見張り、計画の妨げになる者の排除なども行っている。
そして「呼び水」となる「偽り」の六柱のサーヴァント、そして始点となるセイバーの召喚を確認すると、「本当の聖杯戦争」を開始するべく自身もサーヴァントを召喚。真アサシンと契約を交わした。
人物
一見すると丁寧な物腰の青年。年齢は二十代半ば。
アメリカ合衆国に属する『組織』の一員であり、己が魔術師であることは単なる技能の一つと捉えているような物言いをする。実際、敵と渡り合う際にも話術や手品、サバイバルナイフや武装した兵士による銃撃など魔術以外の手段をまず選んでおり、全ては魔術を中心として世界が回っているように考えている魔術師たちを軽蔑している素振りも所々で見せている。
人形使いの魔術師の家系出身。冬木の第三次聖杯戦争に参加したアサシンのマスターの縁者でもあり、人形に刻んだ当時の聖杯戦争の『記憶』が一族に広く伝わっていた。その生々しい脅威に一族の誰もが二の足を踏んで行動に移せぬ中、ファルデウスの祖父は合衆国の政治家や軍部と組み、冬木の聖杯戦争の模倣を画策する。そしてファルデウスの父の代で、ある魔術師の協力により大聖杯のシステムの一部再現に成功。スノーフィールドでの聖杯戦争の開催へと至った。
能力
魔術師としての腕はそれほどのものではない、とランガルには認識されている。但し、諜報に長けた彼を欺くほどの技量を考慮すれば、その認識が完全に正しいとも言い切れない。
一方、銃などの近代兵器を忌避せず、常に率いている数十人単位の兵士で構成された『部隊』を運用し、的確に聖杯戦争の障害となる者を排除していく。自らもサバイバルナイフを用い、一瞬の内に標的の喉笛を掻き切る手腕を見せる。

登場作品と役柄

Fate/strange Fake
合衆国政府の走狗として「偽りの聖杯戦争」を引き起こす。軍や警察の力も用いてスノーフィールドの街と、そこに存在する魔術師たちを監視しており、ルール違反を犯した者は処断するなど監督役としての役割も負う。

人間関係

真アサシン
サーヴァント。
ランガル
魔術協会へと潜入する際、彼への弟子入りという形で利用した。
権威と歴史にこだわり、古臭い価値観を振りかざす頑迷さには、些か辟易としていた様子。
オーランド・リーヴ、繰丘夫妻
ともに合衆国に属する『組織』の人間として、この偽りの聖杯戦争の裏側で共謀する関係にある。
もっとも、ファルデウス独自の監視網より得た情報の一部は即座に共有しようとせず、様子見という名目で秘匿することも。
フランチェスカ・プレラーティ
一応同士だが、彼女の事はオーランド同様、あまり信用していない模様。
セイバー
流石のファルデウスも、セイバーの「暴挙」には頭を抱えた。
『部隊』
ファルデウスに付き従う、迷彩服に目出し帽、自動小銃などで武装した数十人の兵士たち。
魔術的な知識はほとんど持っていない、ごく普通の人間ばかりで構成されている模様。
アルドラ
補佐役の秘書。
バズディロット・コーデリオン
あまりにも敵が多いこととスクラディオ・ファミリーの勢力拡充に対する脅威感から、聖杯戦争に引っぱりこむことに反対していた。

名台詞

「マキリとアインツベルンと遠坂、彼らの生み出したシステムはじつに素晴らしい。それゆえ、完璧にコピーすることはできなかった。
 完璧にコピーした状態で始めたかったのですが、何しろシステムを模倣するために参考にした第三次聖杯戦争はトラブル続きでしてね。
 本当に参りました」
20代半ばとしか見えない青年が、見てきたように70年以上前の出来事を淡々と語る。その異様さは、魔術協会で長く諜報に携わってきたランガルを警戒させるに十分だった。
「貴方は我が国を『若い』と仰いましたが、だからこそ覚えておくべきですよ、御老体」
「若い国を、あまり侮るべきではない、と」
飄々と会話を続けながら、表情を変え、「弟子」から「敵」へと変貌する。古きこそを「神秘」として重んじる、魔術師という存在そのものへの反攻の嚆矢。
「魔術師は、魔法使いではありません。そんな御伽噺や神話のようなものを想像する必要はなく……
 そうですねえ、せいぜい、日本産のアニメーションやハリウッド映画を想像していただければ結構です」
「殺されれば死にますし、物理攻撃も大抵は効きます。
 中には蠢く水銀の礼装で数千発の散弾を防ぐ実力者や、体に住まう蟲に意識を移して生きながらえる魔人もいますが――
 まあ、前者は対戦車ライフルは防げませんし、後者もミサイルが直撃すれば、ほぼ確実に死にます」
大抵の魔術師の力が及ぶ限界や、有力な魔術師の礼装や特性を熟知していることがよくわかる台詞。
こうやって「魔術」の枠の外からの視点で考えると、現行兵器を活用する魔術師殺しの脅威もなるほど納得がいく。
「いやあ、大した技術ですが、違和感は完全に拭えてませんでしたね。
 不自然な点を隠すためには老人の外観は都合がいいのでしょう。
 そうそう、彼よりも腕のいい魔術師の女性が作る人形は、本体と何一つ変わらず……DNA鑑定すら通ってのけるらしいですよ?」
またしても情報通ぶりを披露すると同時に師匠をdisる。
もし人形の聴覚同調がまだ生きていたとしたら、ランガルさん完全に涙目である。
「あ、そのままで聞いてください。質問に答える気はありませんし、生かしておくつもりもないので首を斬らせていただきました」
「いけませんよ、予想外の事態が起こったとはいえ、なんの魔術加護もないナイフに切り裂かれるようでは貴方の家系が泣きますよ」
「――とはいえ、貴方、なんて魔術師でしたっけ? まあ、答えられそうにありませんし、もう、どうでもいいのですが」
合成獣を街に解き放とうとした魔術師の喉元を、一瞬の内に切り裂いて。
セリフの上では散々に見下しているが、ファルデウスには油断の一つもなく、この直後、包囲していた部下による十字砲火でやりすぎなくらいにとどめを刺す。
「しかし、森の中で撮られた映像を見ましたが……
 まさか、彼、いや、彼女かもしれませんので『アレ』と呼びますが……まさか『アレ』が英霊として現れるとは。
 万が一バーサーカーのクラスで召喚されていたとしたら、それこそ貴方の望んだように『神』に手が届く力の顕現を許してしまうところでしたからねえ」
もはや、何をどこまで知っているのか不安になって来るレベルの機密ぶっちゃけトーク。死体相手になら安心して饒舌になれるとはいえ、ちょっと手持ちの情報を公開しすぎである。
さりげなく、スノーフィールドのあらゆる場所に政府組織の監視の目があることもバラしている。
「まったく、こうイレギュラーが多いと機械的に処理し辛くて参りますね」
グルになってくれる予定だった繰丘夫妻が訳の分からない状態になっていたり、マークしていた魔術師の工房が変死体の山となっていたり、時計塔から天才的なアホがバスに乗って正面からやってきたり、砂漠で英雄王と神造兵器が激突し合ってクレーターが出来たり、令呪っぽいものをあちこちくっつけた謎の女が現れたりと、早くも当初の計画通りに進まない予感がアリアリの聖杯戦争につい愚痴と溜息を吐き出して。
「やれやれ、想定外にも程があります」
「隠避もへったくれもない。召喚された時点で聖杯から魔術の秘匿に関する知識も得ているでしょうに……」
「協会と教会を敵に回す事は想定済みでしたし、魔術師達には喧伝しましたが……まさか、テレビに写って一般市民相手に賠償宣言する英霊がいるなど、誰が想像できますか?」
セイバーの大暴挙に頭を抱えながら、アルドラに愚痴をこぼす。オーランドとは別の意味で、苦労人フラグが立ちまくりである。
「呼び水、ねぇ」
「その『呼び水』が、街の南にガラスのクレーターを作ったとは、皮肉にも程がある」
偽りの聖杯戦争は本当の聖杯戦争を始める前段階にすぎないというのに、偽りの聖杯に招かれた英雄王とその朋友の所業にため息を吐く。
「なるほど……今更ながら実感しましたよ」
「これが……聖杯戦争か」
真アサシンを召喚し、彼の圧倒的な力と存在感に打ちのめされる。同時に、聖杯戦争の凄みを実感した。

メモ

  • 魔術師でありながら魔術のみに頼らず、近代兵器による物理的攻撃を決め手としている部分は衛宮切嗣を、魔術の師を不意打ちで殺害し(本体は生きているが)聖杯戦争の監督役(めいたポジション)に収まるあたりは言峰綺礼を連想させるキャラ立てである。
  • 一方、第三次聖杯戦争の時期に冬木の聖杯のシステムを掠め取り、自分たちのホームグラウンドで聖杯戦争を起こす…というところは、このプロローグが書かれた時期よりも後発ではあるがダーニック・プレストーン・ユグドミレニアとも共通している。
  • 第三次聖杯戦争を見てきたように語っている事、実際の実力はどうあれ人形師であるランガルの弟子としての立場を取っている事から、1巻の時点では「『Fate/hollow ataraxia』でバゼット視点で登場した、第三次聖杯戦争にアサシンのマスターとして参加した人形使いではないか?」と推測されていた。
    • 2巻において、第三次聖杯戦争には自身で参加こそしていないものの、当時のアサシンのマスターはファルデウスの縁者であり、その魔術師が使役していた人形を通して第三次の情報を得ていることが明かされた。
  • 成田氏はFate作家座談会で、ファルデウスの登場の背景として、
    「こんな凄い聖杯なんだからアメリカ政府が注目しない訳はないんじゃないかとも思いましたし。『Fate/Zero』でもイスカンダルがクリントン大統領を難敵って言ってましたから、あの世界のアメリカ軍って超スゲェんだろうなと思うじゃないですか(笑)。なので魔術師達の戦いに政治的軍事的な立場から参入してくる勢力が居れば面白そうだと考えたんです」と語っている。
  • 登場当初は大物感アリアリだったのに、想定外の事態に対応が後手後手に回っており、急速に苦労人フラグが立ちまくっている。

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