ヤガ

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概要

ロシアの異聞帯Lostbelt No.1『永久凍土帝国 アナスタシア』に存在する人種。魔獣と人間の合成体。
スラブ圏の伝承にある妖婆、人を食い殺す魔女「バーバ・ヤガー」が由来である[1]

考え方
“強食”を理としており、強い者だけが食べて良いと考え、弱者は肉にすらならないと学んでいる。
故に弱肉強食の内、「弱肉」が抜けている。
基本的に未知のもの、わからないものに関しては不安に思う。
生態
獣人とヤガは外見は同じでも、進化基盤から異なる。
獣人であるウェアウルフ、ライカンスロープなどは、有り体に言って血の覚醒を伴う魔獣。
一方、ヤガは魔獣と人間の合成体。どちらかといえばキメラのような合成された幻想種に近いため、源流が異なる。
能力
不死身にほど近い頑強な肉体を持ち、零下100度の気温でも活動することができる。
動脈が切れたら死ぬ旧種とちがい、動脈を切断されてもすぐに血管が繋がり、外部に血が放出され続けるなら血管が自動的に生成される。
首を完全に折られない限り死なない。旧種がよく殺された感染症にもならない。
嗅覚が良く、アルコールにも強い。聴力も良く、音の反射でミノタウロスの迷宮の構造を把握できるほど。
魔銃との合成体であるため、生まれつき魔術に対する抵抗力も強く、通信機越しの暗示では効果が危ぶまれるほど。
その代償として消費カロリーが極めて高く、普通の人間の10倍は食べなければ死んでしまう。極寒での生存に特化したあまり、燃費が悪くなった。
食べて熱量カロリーを得なければ、たちまち氷漬けになってしまう。
装備
ヤガの装備品は現代の最新技術ではなく、50年は前のものだが、現代に程近いもの。[2]
ボルトアクション式で、スコープが付いた猟銃。しかも現代にはない特性として撃った際に魔術が発動する。
火薬を増量するのではなく、魔力を注入することで爆発力や貫通力を高めている。
ヤガが扱う事を前提とした、魔獣を殺すための銃。このような魔銃をヤガたちは当然のように持ち歩いている。
猟銃の他にも弓や鉈も使用する。
大半のヤガは魔術は存在こそ知っているが身近な存在ではない。中には魔術師として魔獣を飼いならすヤガもいるらしい。
食文化
ヤガたちが飲む酒は火酒、ほぼストレートのウォッカで、風味フレーバーもほとんどない物が大半で。
美味を追求するところは人間と変わらず、コーヒーに似た豆の煮汁に果糖を入れたもの等が存在している。
ビリー・ザ・キッドが作らせた強い酒をパツシィが飲んだところ、美味いが酒精が足りないという感想が出た。
一応、ヤガの先祖だからか、旧種に対しては食欲が湧かないらしい。
歴史
450年前に隕石の落下による氷河期だと言われる大寒波が発生し、地球上は何処だろうと分け隔てなく極寒の世界となった。
最早“人間”という旧い種では生き残る事のできない環境となった。
寒さに慣れていなかった国は、呆気なく滅び、元々常に寒さに対する備えがあり、わずかに余裕があったロシアでも、人口の九割近くが失われ、国そのものが消えてなくなる一歩手前までいった。
当時ロシアを治めていたイヴァン雷帝は魔術師と一緒に対策を練り、ロシアの人間に魔獣と人間の合成術を施し、“ヤガ”を生み出した。
第2部1章の時点でイヴァン雷帝は世界最初のヤガにして最古のヤガであり、450年もの間存命していた。
魔獣を仕留める獣がなかった時代には、弱者は肉になるという時代が存在した。
勝利者と敗北者を分析し、強者のみを尊んだ。魔獣の力に溺れた者、耐え切れなかった者、絶望した者を糧とした。その次には病気に罹る者、その子供を糧とした。更に次には純粋な弱者を糧とした。そこまでやって、ようやく魔獣と人間の合成体から“ヤガ”となった。
弱者である旧種ヒトと決別した強き者として、ヤガを名乗った。
或いは、「人を食い殺す魔女」という部分が重要だったのかもしれない。自分たちがやったことを絶対に忘れないため。誰かが名付けた。
この事はヤガたちにとって、禁忌とされている。
人間の姿では最早生きていけない過酷な環境だったため、生き残った全ての人間はヤガとなったが、それは人間とは異なる生物を世界に産み落としたも同然であり、その過程で彼らは人間であったときに得た大切なものを失った。
動物と人間を翔けあわせた結果、動物の無垢さも人間の豊かさも失われ、互いの良いところを打ち消し合ってしまった。
精神も変容してしまった彼らは行き詰まりの人類史―――「剪定されるべき世界」と認識されてしまった。
長く生きたヤガは記憶が曖昧になり、思い出だけに縋り付き、子供の顔すら分からなくなり、幻想の中で生きるようになる事が良くある。
これまで登場したのは以下2人。
名前
パツシィ
イヴァン雷帝

メモ

脚注

  1. 『永久凍土帝国 アナスタシア』第9節「ヤガの生誕」より。
  2. イヴァン雷帝の時代では先込め式の銃が登場した頃。

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