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:身を隠し掩護に徹すると打ち合わせたはずの彼女が姿を現したことに驚き狼狽し恐怖した。アイリスフィールを案じてのことではない。
 
:身を隠し掩護に徹すると打ち合わせたはずの彼女が姿を現したことに驚き狼狽し恐怖した。アイリスフィールを案じてのことではない。
 
:今の切嗣が妻を喪うことになる事態は彼を護ると誓った身にとってはこれほど絶望的な危機はなかったから。故に己の絶体絶命より彼女の窮地の方が舞弥にとってはるかに問題だった。
 
:今の切嗣が妻を喪うことになる事態は彼を護ると誓った身にとってはこれほど絶望的な危機はなかったから。故に己の絶体絶命より彼女の窮地の方が舞弥にとってはるかに問題だった。
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;「私が、この命に代えてでも――アイリスフィール、最後まで貴女をお守りいたします。だからどうか、衛宮切嗣のために死んでください。あの人の<ruby><rb>理想</rb><rt>ユメ</rt></ruby>を叶えるために」
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:アイリスフィールが倒れてしまった理由が、聖杯として満ちていくためにその人間である部分が剥がれ落ちていっているからだと告白を受けて。
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:ヒトとして生まれながらも道具として生きた舞弥だからこそ、道具として造られながらヒトとして生きたアイリスフィールの末路を「良し」と認めた言葉。
    
;「やっと、戻りましたね。昔のあなたの顔に」
 
;「やっと、戻りましたね。昔のあなたの顔に」
 
:11年前に出会って戦場を共にしていた頃の彼女の知る衛宮切嗣の顔だった。アインツベルンでの暮らしで鈍っていく切嗣を舞弥は9年間どう思っていたのだろうか。
 
:11年前に出会って戦場を共にしていた頃の彼女の知る衛宮切嗣の顔だった。アインツベルンでの暮らしで鈍っていく切嗣を舞弥は9年間どう思っていたのだろうか。
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;「マダム、貴方は初めて見た世界を美しいと感じて、そこに生きる人々を幸せだと思ったのかもしれない。でも私に言わせれば、あの冬の城から一歩も出ないで暮らしていた貴方の方こそ羨ましかった。この世界の醜さも、おぞましさも、何ひとつ見ることもなく済んだなんて」
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:口に出した時点で、アイリスフィールの無垢さを咎める意味合いを持たざるを得なかった言葉だった。
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:けれど、世界の残酷さを幾度と体験し、その身に刻み生きてきた者からすれば当然の感情だろう。
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;「――生き残るなどと、考えてはいません。もし仮に命を繋いだとしても、もう私に生きる意味は無い。切嗣によって変革された世界というのは、きっとそういう場所でしょう」
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:戦火の中の生き方しか知らぬ者の居場所はない。彼女にすれば当然すぎる結論だった。しかしアイリにはその諦観があまりに哀しく悔しく思えた。
    
;「……だめだよ。ないたら……」
 
;「……だめだよ。ないたら……」
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