「ヴラド三世 (Apocrypha)」の版間の差分
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2015年6月18日 (木) 23:37時点における版
ランサー (Apocrypha・黒)
- 真名:ヴラド三世
- 身長:191cm/体重:86kg
- 属性:秩序・中庸
- 誕生日:11月10日
「槍兵」のクラスのサーヴァント。聖杯大戦において、ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアに召喚された。
闇に溶け込みそうなほどに黒い貴族服を着た王。
- 略歴
- 真名はヴラド三世。ワラキア公国の王であり、当時最強の軍事力を誇っていたオスマン帝国の侵攻を幾たびも退けた大英雄。
ユグドミレニアの頭首であるダーニックによって召喚され、黒の陣営の首領となる。魔術協会への宣戦布告として、ユグドミレニア討伐に派遣された熟練の魔術師50人を僅か30秒で全滅させる。
赤のバーサーカー襲撃の際も、圧倒的な力で叛逆の英雄を捻じ伏せ、幸先良く配下にすることに成功した。だが直後に起きた、セイバー脱落という予想外のハプニングによって大きな衝撃を受け、先行きに暗雲が漂い始める。
赤の陣営との決戦では先陣を切り、赤のランサーと対峙し、最大限の知名度補正と地の利を生かして戦うが、地力の差から押され気味となる。そして空中庭園に戦場が変わり、領土から得る補正を失った彼はもはや赤のランサーの敵ではなく、圧倒され死を覚悟するまでに追い込まれた。
だが、自ら使用を禁じていた宝具をダーニックの令呪により無理矢理解放させられ、忌み嫌ってきた己の汚名たる吸血鬼と化してしまった。更にはダーニックにより令呪を上乗せした禁術で魂にダーニックの人格・妄執を刻まれ(寄生され)、最終的にダーニックでもヴラドでもない妄執と本能に支配された吸血鬼と化し、赤の陣営はおろか味方だった黒の陣営の者たちまで敵に回る四面楚歌の中、無念の最後を遂げ「黒のサーヴァント」2人目の脱落者となる。
奇しくも、配下の貴族に裏切られ、汚名を着せられて処断されるという生前の悲劇を繰り返す結末となってしまった。
- 人物
- 信仰心に篤い人格者であり、一旦敵と見なした者には苛烈に対処するが、味方の見解や意見を尊重し、付き従うものには非常に寛大な態度で接する優秀な王。ダーニックからは「領王」(ロード)と呼ばれ、合流を果たしていないアサシンを除いて、黒のサーヴァント達も臣下のように従っている。
生前の結末から、『人』を重要視している。一軍を任せるに足る優秀な人材を欠いていたワラキア公国を守るために彼は串刺し刑などの苛烈な政策や戦術を取らざるを得ず、最終的に悲劇的な結末を辿ったため、この聖杯大戦における一騎当千の英雄達の参画に歓喜している。
世界的に知られる「吸血鬼ドラキュラ」とは程遠い人物で、召喚されたルーマニアでは絶大な知名度を誇り、国を守った英雄としての側面が強調されている。
基本的に公正な人物だが、特定の神への信仰心が強過ぎるせいか考え方や視野が狭く、己の配下ではない異教徒や人外の血を引いている者には非常に冷淡かつ侮蔑的な態度で接する。
聖杯への願いは「吸血鬼ドラキュラ」という、世界中に広まってしまった血に飢えた悪鬼の名を消し去ること。騎士王のように辿ってきた道のりを否定するつもりはなく、非業の死を遂げたことも人生と諦めている。
だが自分と全く何の関りも無いところで、自身の名や国を守るために戦った功績を穢されることだけはどうしても許せず、聖杯大戦にかける執念は聖杯大戦に参加しているサーヴァントの中でも随一。
- 能力
- 固有スキル『護国の鬼将』によって、あらかじめ地脈を確保しておくことで、特定の範囲を"自らの領土"とする事が出来る。この領土内の戦闘において、領主であるランサーは高い戦闘力のボーナスを獲得する。
聖杯大戦開催地であるルーマニアにおいて最大限の知名度補正を受けており、更にマスターの領地が戦場であるが故に、不自由無く固有スキルによる大幅な強化の恩恵に預かれる。そのため、聖杯大戦においては最強クラスのサーヴァントと同等の戦闘能力を誇る。
具体的には、ルーマニアでの知名度補正とこのスキルの影響がある状態の能力値を10とすれば、知名度補正皆無かつスキルの効果範囲外では能力値は6になる。
赤の陣営の総攻撃の際は、キャスターが造りだしたゴーレム、赤いルビーと蒼のサファイアの瞳を持つ青銅馬に騎乗する。
ステータス
クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考 ランサー ダーニック・プレストーン・
ユグドミレニアB B A A D A 対魔力:B 護国の鬼将:EX 舞台がルーマニアのため、企画段階の原案より強い。 ランサー ? C C B A D B 護国の鬼将:? complete material IV記載の原案時。
宝具
- 極刑王(カズィクル・ベイ)
- ランク:B
種別:対軍宝具
レンジ:1~99
最大捕捉:666人
由来:二万のオスマントルコ兵を串刺しにした伝説
スキル『護国の鬼将』によって作成した“領土”の空間に大量の杭を出現させ、敵を串刺しにする。攻撃範囲は半径1km、同時に出せる杭の数は最大2万本。杭は破壊されても、魔力供給源さえあれば再生しほぼ無限に生み出し続けることが出来る。3秒間発動させただけで500人以上の敵をまとめて捕捉し、粛清する。次第に数を増す杭は敵の退路を塞ぎ、時間が経つごとに回避を困難にする。杭の数が増すと呪的な心理効果が発生し、見る者に恐怖と精神的圧迫感を与える。攻撃だけでなく、防御に利用することも可能で、大よその飛び道具を無力化可能。
杭ではなく“突き立てられた杭”が宝具であり、ヴラドが手にした槍で一撃を与えた事実があれば“串刺しにした”という概念が生まれ、対象の心臓を起点として突き刺さった状態で杭を顕現させることが出来る。
しかし『護国の鬼将』によって作成した領土外では自らから杭を生み出すことしか出来なくなり、大幅に弱体化する。
- 鮮血の伝承(レジェンド・オブ・ドラキュリア)
- ランク:A+
種別:対人宝具
レンジ:−
最大捕捉:1人
後の口伝によるドラキュラ像を具現化させ、吸血鬼へ変貌する。
吸血鬼となった彼は通常のスキル・宝具を封印される代わりに、身体能力の大幅増幅、 動物や霧への形態変化、治癒能力、魅了の魔眼といった特殊能力を得て、遥かに強大化する。
だがその圧倒的な力の代償として陽光や聖印に弱いという弱点も得てしまう。
彼はこの吸血鬼の伝承を消去することを目的に戦っているのでこの宝具を忌み嫌っており、たとえ敗北と死を前にしても自らの意思で使うことは決してなく、召喚されてすぐにマスターであるダーニックに使用を強制すれば殺すと警告するほど。
登場作品
- Fate/Apocrypha
- 「黒」のサーヴァントとして登場。
人間関係
- ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア
- マスター。臣下のように振舞う彼を信用しているが、過度の追従を諌めている。ダーニックは一国を統治した王として敬意を払ってはいるのだが、それも「令呪」という絶対的な格差あってこその忠誠であり、本心ではサーヴァント達を因果線を断てば生きられない使い魔と見下している。
- アーチャー
- 「大賢者」と尊称で呼び、彼の意見もセイバーに劣らず信頼している。前線指揮・戦略決定に無くてはならない存在として重用している。
- キャスター
- 偏屈な男と呼んでいるが、彼が作り出すゴーレムをこの上ない戦力と褒め称えている。捕らえた赤のバーサーカーの管理を任せている。
- 赤のバーサーカー
- ゴーレムの半数を使い捨てることで彼の信念を見極める。
「初めて叛逆者という存在に敬意を表したくなった」とその気高い魂を称える。
だが、叛逆の英雄である彼がヴラドに心からの忠誠など誓うはずもなく、決戦の際は使い捨ての「兵器」として扱うことになった。 - 赤のランサー
- 決戦にて対峙するが、奮闘空しく圧倒されてしまう。
性格的にも、異教徒で全く相容れない宗教観を持つ上に、真実を突きつけ結果的に相手の心を暴いてしまう彼とは非常に相性が悪い。
- ルーラー
- 状況確認に訪れた彼女に「同じ神を信じる者」として、自分の側につくよう懐柔しようとするが、中立を順守し生前の未練がないと拒絶されてしまう。結局、神への考え方の違いから互いに相容れない存在と認める事となる。
- 吸血鬼ドラキュラ
- 貶められた我が名。彼はこの忌まわしき名を払拭すために戦っている。
名台詞
- 「―――ああ、口惜しいな。彼らがいれば、あの城に幽閉されることもなかったろうに」
- 一騎当千の英雄達を配下に加えた際のセリフ。
生前『人』に恵まれなかった彼は喜びを隠せず、かつての無念を交え、言葉を洩らしてしまう。
- 「あれは蛮族だ。
我が領土を穢し、傲岸不遜に下劣に高笑いする死ぬしかない愚者どもだ。
笑いながら連中を殺すがいい。
恐怖という知識が欠けている彼奴らには、牛革の鞭で徹底的に躾け直してやらねばならぬ」 - 赤の陣営との決戦の前、自陣のサーヴァント達へ。
『生かして帰すな』。「悪魔 」と恐れられ、「救国の英雄」として敬われた威厳と共に、侵略者達への殺意を込め開戦を告げる。
- 「さあ、我が国土を踏み荒す蛮族たちよ! 懲罰の時だ!
慈悲と憤怒は灼熱の杭となって、貴様たちを刺し貫く!
そしてこの杭の群れに限度は無く、真実無限であると絶望し――
己の血で喉を潤すが良い! 『極刑王 』!」 - 宝具解放。
二万の異教徒を刺し貫き、尽く侵略者たちの血を吸い続けた粛清の槍衾。
- 「分かるとも、神とは穢れなき絶対だ。そうでなくては誰が信じる? 誰が縋れるというのだ?
人と交わり、人と媾 う神など、ただの醜悪な怪物 に過ぎん」 - 赤のランサーとの戦闘時。
彼の武練を称えるが、人と神が交わり子を為す東洋の宗教観は、敬虔なキリスト教徒である彼にとっては耐えがたいものらしく、彼らの神を紛い物の怪物と蔑む。
カルナにとっては父・スーリヤを侮辱されたに等しい暴言だが、激昂などせず、「信仰とは土地によって変わる物。自分達の神が怪物とするならば、お前の神も『絶対である事』を押し付けられた怪物に過ぎない」と冷静に反論されてしまう。
- 「貴様、何を言っている!? あの宝具は使わぬと言ったぞ、忘れたか!
余はここで死ぬ! 無念と共に死に、朽ち果てる!
だが、それが敗者の務めだ!
ダーニック! 余はあれを使って、無様な存在になろうなどとは考えておらん!
断じて、断じてだ!」 - ダーニックに禁じられた宝具の解放を求められて。
敗戦の将として、英雄としての最後の矜持を貫き、「吸血鬼」になることを拒絶する。
だが、ただ吸血鬼にさせられる事よりも、遥かに貶められる悲劇が彼を襲うことになる。
- 「――余は、吸血鬼では、ない……ない、のだ……!」
- 英霊ヴラド三世としての最後の言葉。
最後まで「吸血鬼ドラキュラ」という怪物に苛まれ続けた孤独な王は、魔術師の執念と吸血鬼の影へと沈み、消えていった。
メモ
- キャラクターデザイン原案は前田浩孝氏。設定制作を担当したのは虚淵玄氏。
- 気配り細やかで寛大な人格者だが、やはり自分を吸血鬼扱いする物は我慢なら無いらしく、そういった書籍や映像作品を目にすると、一応大人な態度でスルーしようとはするのだが、つい「うっかり」破壊してしまうらしい。
- サーヴァントには珍しく誕生日が明記されている。サーヴァントの誕生日・血液型に「不明」が多いのは伝承や史料に記載が無いためであって、彼のようにちゃんと記録が残っていれば史実通りの誕生日になるようだ。
- 最大の知名度補正とスキルによって、バカ高いと称される程のステータスを獲得している。シロウ・コトミネは最強クラスのサーヴァントである赤のランサーと赤のライダーに匹敵する戦力と推測していた。実際のステータスも幸運値以外はB以上とかなり高水準にまとまっている。
- 事実、作中で互いに宝具に制限を用いていたとはいえ最強クラスのサーヴァントである赤のランサーを相手に知名度とスキル補正が無くなるまでは拮抗した闘いを展開出来る程であった。
- 『鮮血の伝承』発動後は更に桁違いの力を発揮。その戦闘力は赤のランサー・ライダーを身体能力だけで吹き飛ばし、令呪によるバックアップを得た赤と黒の6騎のサーヴァントを纏めて相手取る程。最終的に押され気味ではあったものの、6騎のサーヴァントに余裕など欠片もなかったとされる程であった。
- ランサー (EXTRA・黒)と同一の真名だが全く別の存在。彼らの関係に関する公式のアナウンスは未だ無く、彼らを同一人物として扱うべきなのかが問題となっている。
- ただ、EXTRAのヴラド三世は固有スキル「無辜の怪物」や「信仰の加護」によって容姿や人格に異変が出ており、その上狂ったマスターに召喚されたために大きく変質している。同様のケースにキャスター (第四次)が存在し、サーヴァントが召喚者の性質や呼び出されたクラスで姿や人物像が大きく変化することを考えると、全くの無関係と断定するのもやはり早計である。
- 身も蓋もない話だが、EXTRAの開発とApocryphaのオンラインゲームの企画は同時期に進められていた。だが虚淵氏を始めとする設定制作担当者はEXTRA側のクリエイターとコミュニケーションをとっておらず、「ヴラド三世」という英雄を使う事をお互いに知らなかったという。それによってEXTRAとApocrypha双方に「ヴラド三世」という真名を持ったキャラクターが生まれてしまい、現在の状況になったとか。
- ランサークラスである以上対魔力スキルや、他のスキルもまだ保有していると思われるが、言明はされていない。青銅馬を乗りこなした事から「騎乗」スキルも持つ物と思われたが、公開されたステータス情報には騎乗スキルの表記は存在しなかった。
- 所有する宝具の一つである『極刑王』は、似た性質を持つランサー (EXTRA・黒)の『串刺城塞』と比べてランク・レンジ・最大補足数で上回っている。特にレンジと最大補足数には2倍近い差が存在する。しかし何の因果か、最大補足数がサタンや反キリストを意味する「666」になってしまっている。敬虔な信仰者であるヴラドにとってはあまりに嫌な数字であろう。
- ウロブチ製ランサーで、どう見ても令呪で強制的に使わされそうな宝具を持つなど彼の未来を不安視するファンは多かったが、事実は予想よりも遥かに酷かった。ディルムッドと違い心の内を正直に話し、味方には公正な振る舞いで接し、一番能力を発揮できるクラスで、魂の色が似ているマスターに召喚されてさえ、報われない最期を遂げてしまった。
おまけに、信頼していたアーチャーやキャスターも、ルーラーの命令とは言え迷うことなく積極的に集団リンチに参加している。踏んだり蹴ったりである。- アーチャーとキャスターの対応は薄情な物に見えてしまうが、これは仕方のない事である。何しろルーラーの令呪を用いた命令で、正当な英霊である2人には吸血鬼の大量発生を見逃す理由もない。
また彼自身、吸血鬼化させられた時点で既に自我が消滅しており、乗っ取ったダーニックもほとんど人格が崩壊しており、彼らに配慮する必要も従う義務ももうない。むしろ、「赤の陣営との戦いに決着をつけ、その後改めて聖杯の所有権を巡る」という聖杯大戦の暗黙の了解を破り、勝手に聖杯を使おうとしたヴラドとダーニックの方が彼らにとっては裏切り者である。
それでも、一切の躊躇なくゴーレムで殴りつけられ、全身を射られる彼の姿は哀しいものである……。 - EXTRAのヴラド三世は相性の良いマスターと巡り会い、まともな最期を迎えているのでなおさらこっちのヴラド三世が悲惨。吸血鬼ドラキュラの方が恵まれているとか、Apocryphaのヴラド三世は泣いても良い。
- アーチャーとキャスターの対応は薄情な物に見えてしまうが、これは仕方のない事である。何しろルーラーの令呪を用いた命令で、正当な英霊である2人には吸血鬼の大量発生を見逃す理由もない。
- ダーニックからは「扱いにくい」と評されているが、実際は凄く良い王様。何しろ他の王様は、
「マスターの意向を無視して、敵陣に突撃して返り討ちに遭う。」
「気に入らないことがあればすぐにマスターを切り捨て、陣地の守りを放棄して漫遊に明け暮れ、その上慢心して敗れることも少なくない。」
「破天荒な行動で始終マスターを悩ませ、自身の真名も迷いなく言い晒す。」
「無駄使いの権化であり、ジャイアンリサイタルを開いてご満悦。」
「夫の仇を討つ為に王を毒殺して王位を簒奪し、1人の男の為に戦争を起した暴君。」
と、余りに酷い。しかし、こんな王様達に仕える位なら彼の方が遥かにましだと、ダーニックが気付く時は永遠に来なかった。- ただし彼も理由が理由とはいえ戦いにおいて強力無比な切り札となるであろう『鮮血の伝承』の使用を拒絶し、強引に使わせられればマスターを殺害したりと問題がない訳ではない。ライダーからは「ボクは君(アーチャー)が王になるべきだったんじゃないかと思う」とコメントされるなど、彼が上記のサーヴァントたちより扱いやすいという保証はない。
- 上記のサーヴァントにも問題行動があるのも事実だが、青セイバーの独断専行はマスターが戦いに対して余りにも積極的でなかったが故の行動であるし、赤セイバーも生前は浪費家であるがマスターからの指示には服従している。真名を名乗らずにいたり序盤の段階で宝具を発動しないのも、あくまでマスターを勝たせるための戦術の一貫である。
- とはいえ選択肢一つであっさりマスターを殺害する金ピカや、真名暴露は朝飯前のはいてないと比べれば確実に扱いやすいだろう。