「久遠寺有珠」の版間の差分
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2016年9月7日 (水) 17:15時点における版
久遠寺有珠
- 読み:くおんじ ありす
- 誕生日:9月30日/血液型:型
- 身長:152cm/体重:42kg
- スリーサイズ:B/W/H
- 好きなもの:飾りのないひと/嫌いなもの:敬いのないひと
- 魔術系統:ユミナ
- 魔術回路・質:A+/魔術回路・量:A++/魔術回路・編成:異質
三咲市三咲町白犬塚に洋館を構える魔女。
- 略歴
- 日本人の父親と英国人の母親を持つハーフ。母親は既に亡くなっており、父親とは没交渉気味。実家は久遠寺グループと呼ばれる大財閥。幼少時はイギリスに住んでいたが、訳あって日本に移住した。現在は三咲市の大きな洋館で蒼崎青子と同居している。青子とは通う学校は違い、礼園女学院に在籍。2年生。
幼い頃から魔術に触れ親しんできた生粋の魔女であり、強大な魔力を持つ魔術師。青子と共に、三咲市一帯の土地を所有する権利を持った管理者(セカンドオーナー)。魔術協会には所属しないフリーの魔術師。完全に断絶しているわけではなく、協会とは交渉を持っているが、基本的には協会に縛られることはない。
青子とは、青子が中学を卒業した直後から一緒に暮らしており、もうすぐ二年の友人関係。青子に魔術の手ほどきもしている。物語開始の半年程前に、本気の殺し合いをしたことがあるらしい。
とある事情から、静希草十郎とも同居することになる。
- 人物
- 黒瞳。混じりけのない黒髪は肩口で切りそろえられている。肌は白く手足は細く、「人形のよう」と形容される美少女。飾り気はないが質素な印象はなく、気品を感じさせるたたずまい。
無口で愛想がなく、他人を寄せ付けない雰囲気をかもし出す。だが表に出さないだけで、実際はクールな印象に反して激情家。保守的で、「変わる」ことを嫌う。孤独を好み、他人と積極的な関わりを持とうとしない。固い殻にこもっているが、根本的な部分では子供っぽい。メルヘンチックな浪漫主義者。
戦いとなればためらいなく魔女として振る舞い、友人や最愛の家族であろうと容赦はしない。負けず嫌いで、魔術の優劣に関しては相手の技量を認める度量はあるが、ゲームの勝敗にはこだわる。プライドが高く、見苦しい真似・自らの品格を落とすような真似を好まないため、結果の出た勝負に不平を漏らすようなことはないが、内心では文句いっぱい。
「意味のない会話はしない」主義で、無口を装っているが、時々半端に「あ」とか「な」とか、意味の掴めない一言だけ漏らしてしまった後、黙る癖がある。
洋館に他人を近づけさせるのを好まず、父親ですら簡単には立ち入らせないほど。自分の所有物に対する執着心が強く、特に母親の形見であるプロイキッシャーを大事にしている。悪意のないミスで壊したなら一週間程度の無言の抗議、悪意で破壊したならどうあっても報復。
自分の育った英国での生活習慣にこだわりがあるらしく、特に紅茶と茶器にうるさい。所有している茶葉は豊富で、アンティークの茶器の収集が趣味。もともとコーヒー党だった青子を紅茶党に鞍替えさせてしまったほど。食事は、普段は手間隙を抑える作業、祝時のみ腕によりをかけるもの、と捕らえている。入浴時間は短くカラスの行水。
――だが青子が同居するようになってから、居間にテレビを置いたり、基本土足の洋館で青子がスリッパで歩いたり、食事に和食を持ち込んだりと、色々と生活習慣を壊されてきた。当初は不満だらけだったが、今はもう慣れている。さらに草十郎が同居すると、ティーカップで日本茶を飲もうとするのに憤り、屋敷の中では番茶・梅昆布茶を禁止にした。ちなみに今でも、和食であっても食事は基本的にフォークとスプーンを使う。
- 能力
- 数々の「プロイキッシャー」を使い魔として使役する典型的な人形師。有珠には青子の様に魔弾を飛ばしたりするような直接戦闘のスキルは無く、彼女の戦闘は専らプロイキッシャー達を用いて行われる。将棋で喩えるなら、有珠という王将には大した力はないが、飛車や角といった陣営全体の力は非常に優秀。その魔術系統は母から受け継いだ他に例のないものであり、「最後の魔女」と称される。
膨大な量の魔術刻印がその身に刻まれており、その範囲は全身はおろか骨格、内臓にいたるまでである。刻印がオートで治癒魔術を行使するため、仮に内臓がえぐられる様な大怪我を負っても再生することができる。
左目はプロイキッシャーも兼ねた「魅了」の魔眼。作中では対象の「行動」を禁じるのに用いられた(内臓の動きは妨げられなかったので、「運動」を禁じるほどの力はないとされる)。
運動音痴で、自転車には乗れない。水泳は犬掻きしかできず、鉄棒もダメ。体育の授業は隅で座っているだけだとか。
プロイキッシャー
「童話の怪物」とも称される有珠の使い魔。略称は「プロイ」。
純血の魔女マインスターの血統に伝わる秘儀。神秘を体現する魔術世界の中にあってもすこぶるつきの異端であり、破格の魔術系統。
童話をモチーフとしており、元となった伝承や童話に即した使用・発動条件があるものの、発動可能であるなら、あらゆる寓話、あらゆる不思議を許容する、「魔法以上に魔法に近い」と謳われる性能を発揮する。奈須きのこ曰く「魔法と魔術の関係とかほとんどブチ壊し」。
「伝承防御」と呼ばれる特性を有しており、近代兵器では傷つかず、生半可な魔術(神秘)でも傷つかない(例外はある)。対抗するには、元となった伝承・童話に即した欠点をつく必要がある。
文明圏では著しく威力を削がれるため、夜と霧、深い森の中などで用いるのが望ましい。
プロイキッシャーは一つではなく数多くの種類が存在している。有珠が作った物のみならず、代々の魔女から継承してきたものもあり、正確な総数は有珠も把握していない。先代から受け継いだプロイは20個ほど、有珠の作ったものは10個ほどらしい。
プロイには主にマザーグースを元にしたものと、ルイス・キャロルの創作童話を元にしたものの二系統がある。魔女は自分の代で、先代から遺されたプロイを自分用にチューンナップするとされており、後者の系統は、有珠の母がルイス・キャロルにはまったためにアレンジされたものらしい。
初代の魔女から伝わる三つの奇跡、特に強い三大プロイを「グレートスリー」と呼ぶ。
「第一(はじまり)より別たれた、この世で最も大きな虚構」
千年以上前に詠唱され、今も機能し続ける魔術。世界を探しても他に二つあるかないかという貴重品。グレートスリーの価格は「一つの王国より希少」と値付けられ、「至高の幻想(クラウン・ファンタズム)」と称される、魔術世界においての至宝である。
もっとも、グレートスリーに限らず有珠がプロイを売りに出すことは基本的にないし、そもそもマインスターの血に縛られた有珠にしか使えない魔術系統であるので、売りにだすことに意味はない(ただし、有珠が起動させたプロイを他人に預けて使わせることが可能であったり、使用条件次第では有珠の知らないところで勝手に作動するプロイもある)。
リデルが買い取ったとされるプロイがどうなっているのかは不明。
各プロイキッシャーには元々名前がなく、かつての有珠は、強さ順や思い入れ順で順番をつけて呼んでいた。ただし、その日の気分で順番は変動する。
有珠の幼馴染のメイ・リデル・アーシェロットにより、それでは有珠はともかく自分が困る、ということで、それまで名前のなかったプロイに名前がつけられたという経緯がある。
プロイキッシャーリスト
- 夜の饗宴(ディドルディドル)
- ――Hey diddle diddle 猫弾き語る 牛の月越え
- 子犬大笑い、転げまわって スプーンは皿と逃げる――
- 本体:鈴
材料:猫目石
猫鈴。硝子細工の青猫。
基本となるプロイキッシャー。地面に沈めると、夜を助長させる鐘を鳴らす。他のプロイを使うための童話詠唱が成立される下地を作り、確かなものにする。既にある場合、効果を二倍にする。
夜に使用した場合、基本的にディドルディドルを防ぐ術はないが、文明の光には弱い。駅前では使用不可。
一回限りの使い捨てで、量産はできるがそれなりに貴重品。原価は草十郎の給料二ヶ月分だとか。
- おしゃべり双子
- ――トゥイードルダムとトゥイードルディー 戦うことになったとさ
- ダムが言うにはディーの野郎が おもちゃを壊したからだとさ――
- 本体:ダイス
材料:カスタネットとホチキス
本体である黒いダイスを振るい、出た目によって姿を変える。ダイスは二つで一セットであり、双子でそれぞれ「トゥイードルディー」「トゥイードルダム」という名がある。
出目によってとる姿はそれぞれ――
1.人間
2.計量用の重し
3.ペンギン
4.(振り直し)
5.鍋のふた・ラウンドシールド
6.ブタ
――ただし、有珠では六の目のブタしか出せない。双子は「六の目は出すな」と言いつつ、「ズルをしないと六の目以外は出ないが定め」とも言う。
ブタの姿は1メートル程のぬいぐるみで、口がホチキスになっている。噛み付くことで、「まるで本に書かれた文字になってしまったように」対象の自由を奪う。噛んだ状態だと双子も動けない。
人間社会に毒されているため、普通の魔術が効く。
時々、有珠が試運転・準備運動として館の雑事をさせているらしい。夜中に絨毯の手入れをしたり、森の中で落ち葉を拾ったりしている様が草十郎に目撃されている。
- 午睡の鏡(セカンドチケット)
- 本体:有珠の部屋の鏡/館のロビーの鏡
材料:古い鏡、魔女の滴
久遠寺邸にある鏡が本体で、有珠の部屋と、二階ロビーの直径1メートル程の鏡がある。霧として顕現して結界を作るプロイキッシャーであり、結界内の索敵と警備を担当。二つのモードがあり、三咲市全体をフォローするモードと、館限定のモードがある。
モチーフは「鏡の国のアリス」。結界内の物理法則を緩和、曲解する力があり、たまに暴走して洋館内にゲートを作って、通る人を鏡の中に招いたりする。鏡の中には城と多くの森、平原と川があるらしい。
もともとは内部に異世界を持つだけの魔術卵(エンブリオ)で、長らく壊れていたが、有珠の母と蒼崎橙子によって作り直された。
「三大にはなれなかったが、機能的に三大に負けていない」とされる強力なプロイ。
- 名無しの森
- 本体:チェスのコマ
材料:トリネコの芽
暗示による人払いの結界を敷く。「この先に用はない」と意識を誘導することで、結界に立ち入らぬよう人を遠ざける。「森」と呼称される結界内では、魔術的抵抗を持たない人間はそこで起きる出来事を童話の中であるかのように認識し、人物像の特定や声の確認ができないといった、あやふやな感覚におちいる。
本体であるチェスのコマだけでは意味がなく、土台となる地図が必要。有珠は「午睡の鏡」の表面を地図にして使用している。
自然物・天然素材に効果がない。
- スクラッチ・ダンプティ
- ――ハンプティ・ダンプティ 塀に登ったら ハンプティ・ダンプティ 落っこちた
- ハンプティ・ダンプティ 戻そうとしても ハンプティ・ダンプティ 戻らない――
- 本体:手製のイースターエッグ
材料:オークの木と真鍮細工
割れる卵。囁く卵。爆弾卵。
モチーフはマザーグースの「ハンプティダンプティ」。大威力は持たないが、対個人戦においてトップランクに性質が悪いプロイキッシャー。特に乱戦時に嫌がらせをするのに最適。
鈍色をした装飾卵(イースターエッグ)で、表面には「女王アリスを讃える唄」の詩篇と扉の絵が描かれており、中からは時計の針の音がする。起動すると十倍〜三十倍に巨大化。作中では直径1メートル程の大きさになった。
効果は二つあり、一つは卵にとっての観察対象の近くに浮遊し、観察対象が卵から目を離すと落下して、呪いのカケラを振りまく。見ている限りは落ちないが、常に視界に卵を収めていなければ落下を防げない。落下した後に振りまく呪いは対象の五感を奪うものであり、感覚を奪われた対象は生きた石膏像のようになる。卵はもとから壊れるのが仕事なので、呪いは解呪されない限り解けない。
もう一つの効果は、観察対象を卵の中に閉じこめる。時限式であり、所有者を讃える唄を歌い続け、歌が終わると卵の表面に描かれた扉が開いて、中から手が出てきて対象を捕縛する。撃退するには、扉から手が出てきた時に目を逸らせばよい。
発声するための機能は持たないが、知性を有しており、「最後まで吟わせろ、こんな褒め殺したい間抜けはまたとない」と、ロビンが意思疎通をして有珠に伝えている描写がある。
- シックス・スィング・チョコレイト(6ペンスの歌)
- ――6ペンス、ポッケのライ麦 24羽の黒鶫
- パイの中で合唱会だ 王様びっくり仰天だ――
- 本体:収納箱
材料:カカオマス、ココアパウダー、粉骨。
偵察を得意とする、二十四羽の椋鳥。三咲町を監視する鳥たちのネットワーク。不貞を働こうとするものを見つけ出す。ただし、昼は完璧だが夜目が利かないので夜中の活動は不向き。
普通の使い魔レベルのプロイキッシャーで、戦闘能力は皆無。実は鉄砲でも倒せる。一日に十羽は電柱にぶつかって墜落死している。
収納箱を本体とするチョコレイトのお菓子。使えば使うだけ減るので、有珠はいつもこのチョコレイトを作り置きしている。箱を閉じると、行動中の椋鳥はすべてチョコレイトに戻る。魔力で練成されたチョコレイトであるため、負傷者の傷に溶け込んで応急処置をするという使い方もある。
同じ鳥のロビンに比べ、有珠から「地味だが役に立つ」という評価をいただいている。
- スクリプス・ハンプティ
- 本体:なし
材料:魔女の歴史
月目のプロイキッシャー。有珠の左目の魔眼であり、プロイキッシャーでもある。
重複詠唱、アクロスティックを行う。アクロスティックとは、ルイス・キャロルの「鞄語」など、一つの言葉にたくさんの意味を持たせる事。異なる二つの意味を新しい「言葉」として生み出すルール変更。
多大な魔力を必要とするため、ディドルディドルが働いていないと使用できない。
- スノウホワイト
- 本体:ブローチの形をした砂糖細工・キャンディ
材料:最初の過ち
数分だけ粉雪が降る。有珠の作った最初のプロイキッシャー。失敗作で使い道はないが、記念にとってある。
- 橋の巨人(テムズトロル)
- ――ロンドン橋落ちた 落ちた 落ちた
- ロンドン橋落ちて 川の底――
- 本体:淑女のフィギュア
材料:ver.によって異なる
グレートスリーの一つ。フォーリンダウン。グレートブリッジ。マザーグースの「ロンドン橋」。
千年クラスの神秘を重ねた、世界屈指のゴーレム。額にはところどころ間違ったお約束の「emeth」の文字が記されている。特別な異能は持たないが、ただ巨大である、というだけで十分な脅威である。顕現時のサイズや制圧力は召喚地域によって異なり、作中では森の中で数キロ離れて逃走していた口裂け男を叩き潰したほど。
「橋」の擬人化であるため、自然に流れる川がないと召喚できない。いかに巨大なゴーレムになろうと、本体を壊せば停止する。
その奇跡は原典である「ロンドン橋」の詩に準じて、素材によって四つの形態をとる。第一段階は木、第二段階は石。有珠では第二段階までしかテムズの行使はできない。これは技量的な問題もあるが、文明に興味の無い有珠の心象世界では、橋は木と石でしかないため、具現化できないとされる。
もし最終段階のテムズを行使できる術者がいるなら、煤煙都市ロンドンを上回る都市の巨人として顕現し、奥の手を出し切った青子にも踏破は不可能であるという。
- 月の油(フラットスナーク)
- ――ベイカー、スナーク見つけたよ ベイカー、皆を集めたよ
- でもでもベイカーぼけちゃった そう、そのスナークの正体とは――
- 本体:油
材料:神代にいたとされる、遊牧神のお腹の贅肉(脂肪分)をしぼったもの、というふれこみ。
グレートスリーの一つ。触れられぬもの。不可解の島。五次元平面。ルイス・キャロルの「スナーク狩り」。
数あるプロイキッシャーの中でも特に正体不明とされ、不敗を誇る。
濃密な魔力を含んだ緑の霧を吐き出し、結界内にて、棄てられたモノ、忘れられたモノを童話的に蘇らせる「童話世界の再生」を行う。結界内ではありとあらゆるものがクリーチャーと化し、敵に襲い掛かる。魔力の霧はゆっくりと吐き出されていくため、スナークの起動直後のクリーチャーは比較的強くない。時間経過に従って霧の濃度が上がると、クリーチャーはより巨大なものが動き出し、より強力になっていく。結界自体も捩じれ、広がっていく。
本来は文明と相性が悪く、「遊び」がないとスナーク化できないのだが、作中で使用された「遊園地」はもともと童話の世界に近いので、相性は抜群だった。もしも展開されたのがオフィス街であったのなら、あそこまでの威力にはならなかったとされる。せいぜい、ビルの窓に恐竜の影絵を写す程度。
正体不明とされる本体は緑色の油であり、有珠は小瓶状のフラスコに入れている。顕現時は夜を皮膜にして空に浮かび、月に擬態している。月を眼窩に収めた、緑の霧の逆さま髑髏。月の顔。普段は霧と雲で姿を隠しているが、作中では有珠の意向で隠れていなかった。スナークは童話の「主題」であるがゆえに、常にページの中に、視界の中に入っていなければならない。
性格が悪く、最悪低俗な道化の王様。己の欲望を止められずに、敗者には死と惨劇を、と有珠の命令を無視して「氷の城」を降らせることで、遊園地ごと青子たちを殺そうとした。
もとが油なだけに、火が弱点。この時代で精製することは不可能な、代えのきかない貴重品。
- 薔薇の猟犬(ワンダースナッチ)
- グレートスリーの一つ。濃霧の怪物。
詳細不明。地下鉄で三十体を越える人形を貪り喰らった。また、本編半年前の青子との殺し合いに使用されたらしい。青子いわく「十回中百回殺された」。他に、「なぜなにプロイ」ではロビンのお仕置きに使用されている。
「魔法使いの基礎音律」に掲載されているイラストによると、白い霧に浮かぶ牙・歯型、ジャバウォックフォーム、毒爪トカゲフォームといったデザイン原案がある。
- 願掛け卵(スイーツハーツ)
- 卵形のプティング。王冠をさかさまにして、ゆで卵をのせたような形をしている。呪いと確率変動、二心同体、願掛けによる魔力強化のプロイキッシャー。
一定範囲を舞台に「ゲーム」を執り行う。使用者が定めた条件が満たされたら発動し、一日の間稼動する。ゲーム中は新しいルールが一つ追加される。ゲームをクリアして生き延びたパーティの魔力を向上させる、戦闘前の運試しみたいなもの。大抵は全滅するデスゲーム。ゲームの区域からの脱出は困難。ゲームをクリアすれば、仮に中で何人死んでいようとも、内容は無効扱いになる。また、ゲーム中の記憶は失う。
ゲームをクリアする条件は、使用者を暴くことと、ゲーム終了時間まで誰かが生き残ること。使用者がプティングを食すと、スイーツハーツは自身を食べた相手そっくりに擬態する。使用者は卵の中に閉じこめられ、本物と偽物は入れ替わる。つまり使用者を暴くということは、誰が入れ替わったスイーツハーツであるかを突き止めることを意味する。
ただし、擬態している間はスイーツハーツ自身も自分がプロイキッシャーであることは忘れている。「ルール実行可能」な条件になると自動的に切り替わり、スイーツハーツとして活動する。再び擬態状態に戻れば、スイーツハーツであった時の記憶は失われる。完全潜行型で、魔力の感知で正体を暴くことはできない。
不正解を指摘したり、証拠不十分だとゲーム失格となるため、あてずっぽうで片端から試してみるという方法はとれない。
思春期限定、女の子限定。食べたときに願っていたことが報酬として叶う。使用条件は、片思――
- ゴブリンフロン
- 香水。かけると一日、悪口とスラングしか言えなくなる。
- 収納の小瓶
- 正式名称不明。
名前を呼ばれて返事をした人間を、小さなガラス瓶の中に閉じ込める。内部は絵本の中に入ったかのようで、「空気が文字になったよう」に感じられる。中から外の声は聞こえるが、中の声は術者にしか聞こえない。
きちんとしたものとは別に、片手間に作った劣化品もある。抵抗する意思が残っていると割れるシロモノで、眠っているか、衰弱しているかしないと効果がない。また、相手に薬や魔術を使って意思を奪っている場合も、その余分な「重み」で割れてしまう。
- ロスト・ロビン・ロンド
- ――誰が駒鳥殺したか 誰が駒鳥殺したか――
- でっぷりとした青い駒鳥。マザーグースの「クックロビン(誰が駒鳥を殺したか?)」が由来。原典に準じて、探偵役と被害者役の能力を持つ。二十四羽の椋鳥のように広範囲をカバーすることはできないが、夜目が利き、特定対象の監視・追跡に長じている。本領は敵からの攻撃を身代わりに受ける「空蝉」の能力。ただし連続使用はできない。
知性を有しているが、基本的に頭は悪い。有珠からは「駄鳥」と呼ばれ、役立たずとして散々な扱いを受けている。
登場作品と役柄
人間関係
魔法使いの夜
- 蒼崎青子
- 同居している友人であり、魔術を彼女に教える立場でもある。協力したり、殺しあったり。
- 静希草十郎
- ひょんなことから同居することになる。最初は同居を嫌がり、場合によっては殺そうともしたが……。
- 文柄詠梨
- 蛇蝎の如く嫌う。
- 土桔由里彦
- ペンフレンド。
- メイ・リデル・アーシェロット
- 幼馴染。ついつい苛めたくなるらしい。
ちびちゅき!
- アヴィケブロン
- 同じ人形師の立場から勝負を繰り広げる。
- 衛宮士郎
- エミヤともども、彼の淹れる紅茶に対してダメ出しを繰り返す。
- アリス
- 「不思議の国のアリス」のような雰囲気の彼女を気に入り、お茶会に誘おうとする。
名台詞
- 「さあ――ごっこ遊びをしましょう」
- 戦闘開始時の決め台詞。
- 「これ、わたしのだから」
- 草十郎が初めて有珠に焼きうどんの「まかない」を作り、食べずに躊躇っているところを、いらないなら欲しい、と言われて返した台詞。
また後に、草十郎が試供品として持ち帰ったパチモンのインスタントラーメンを、出前をとるなら食べさせない、と回収しようとした際にも、同じ言葉で拒否している。
- 「角よ。角をつけるべきだったのよ」
- 土桔由里彦の「ボクのキッツィーちゃんは何がいけなかったんだ?」という疑問に答えて。うなだれる老人に魔女は囁く。
- 「……優しい顔をしているのに、傷だらけね」
- 水族館にて、マンボウを見てつぶやいた独り言。
メモ
- 有珠の在り方である「魔女」には、単なる女性魔術師という意味以外の特別な意味があるらしいが、詳細は不明。
- 実家は久遠寺グループと呼ばれる大財閥であり、貿易業が盛ん。国外がホームグラウンドで、先代の頃は英国びいきで沈みかけたが、現在の当主によって持ち直された。三咲市の名士であり、全国チェーンの喫茶店のブランドを持つなど、市ではそこかしこで名前を見かける。三咲高校の校舎建て直しの予算も、半分が久遠寺から出ている。
- 両親との関係性はあまり多く語られていない。
- 亡くなった母親に関しては「先代の魔女」としての部分は度々触れられているが、「母親として有珠とどんな生活をしていたのか」にはほぼ触れられていない。有珠の名前がルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」から取られたもので、ミーハーだった、というのが僅かに語られている程度。亡くなった経緯に関しても詳細は不明。
- 『Fate/strange Fake』にてフランチェスカ・プレラーティが「自分をギャフンと言わせた人物の一人」として「悠久を生きる御伽の魔女、いや『生きた』かな?」と挙げているのが彼女のことと思われる。
- 父親は母親と違って存命中だが、少なくとも現在は、有珠の方は父親を避けているらしい。久遠寺邸にも中々入れたがらないとされている。また、父親と明言はされていないが、水族館に出かけた際に、近くに建設中のコンサートホールの出資者に久遠寺の名前を見つけた際、「懲りない人」と有珠が呟いている様が描写されている(それを聞いた青子も、有珠に対して出してはいけない話題だったとしている)。
- 亡くなった母親に関しては「先代の魔女」としての部分は度々触れられているが、「母親として有珠とどんな生活をしていたのか」にはほぼ触れられていない。有珠の名前がルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」から取られたもので、ミーハーだった、というのが僅かに語られている程度。亡くなった経緯に関しても詳細は不明。
- 実家からは金銭面ではあまり多くの援助は受けていないらしく、魔術のための資金ぐりに四苦八苦している様が見られる。守銭奴っぽい一面もあり、草十郎の家賃の取り分に関して青子と真面目に争ったり、草十郎が預かっていた札束に目を輝かせたりしているシーンもある。
- ただし、ディドルディドルが「草十郎の給料二ヶ月分」とされているように、魔術には多額の資金が必要であるらしいので、有珠にとって十分ではなくとも、実際には多くの援助は受けているのかも知れない。
- こういった事情があるわりに、有珠の金銭感覚は大雑把で、草十郎が来るまでの食事では節約が頭になく、月末は常に悲惨なことになっていたらしい。
- 有珠は「お金持ち」と呼ばれるのを嫌っている。
- 有珠が詠梨神父を嫌う詳しい経緯は不明だが、リデルは有珠との会話の中で、詠梨を指して「親の仇」と呼んでいる。
- 今は青子も紅茶党だが、まだ青子が紅茶に詳しくなかった頃、美味しい水と称してペットボトルの天然水を買ってきた時、ひどい口論になったとか。魔術以外のことで二人が初めてマジにやりあったエピソードらしい。
- 実際、紅茶を淹れるにはミネラルウォーターよりも水道水の方が向いているとされる。これは、水道水の方が多く空気を含んでいるため、沸かしてティーポッドに注ぐ時に葉をジャンピングさせやすいからである。
- 有珠は魔術協会に所属していないので、協会の縛りである封印指定にはならない。また、封印指定の条件は「一代限り」であるので、ちゃんと次代に譲り渡せるプロイキッシャーは条件に当てはまらない。
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