「ジャック・ザ・リッパー (Fake)」の版間の差分
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*伝奇小説のエピソードによって無機物にもなれると言う設定は、裏を返せば『件の伝奇小説が無ければ無機物にはなる事はできなかった』ともとれる。「誰にでもなれる」とは言うものの、さすがに既存の説とかすりもしない存在にはなれないという事だろう。 | *伝奇小説のエピソードによって無機物にもなれると言う設定は、裏を返せば『件の伝奇小説が無ければ無機物にはなる事はできなかった』ともとれる。「誰にでもなれる」とは言うものの、さすがに既存の説とかすりもしない存在にはなれないという事だろう。 | ||
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2015年6月19日 (金) 21:27時点における版
バーサーカー (strange Fake)
- 真名:ジャック・ザ・リッパー
- 身長/体重:取る姿により様々
- 属性:-
偽りの聖杯戦争において、「狂戦士」のクラスで召喚されたサーヴァント。
時計塔の若き魔術師フラット・エスカルドスをマスターとし、己でも解らぬ己の正体を知るため、戦いに臨む。
- 略歴
- フラットが師であるロード・エルメロイII世より譲り受けた「ジャック・ザ・リッパーの銘入りナイフ(但しレプリカ)」を触媒として召喚したサーヴァント。
真名はジャック・ザ・リッパーと言うことになるが、かつてヴィクトリア朝に生きた連続猟奇殺人鬼そのものではなく、ただ恐怖の象徴として、本当の顔も名前も知られぬままに人々から想像され、推理され、物語られた、無数の『ジャック・ザ・リッパーの伝説』から形作られし英霊である。
ジャック・ザ・リッパーとして疑われた者全てであると同時にその「誰でもない」がゆえに、スノーフィールドの聖杯戦争に招かれた「それ」は、『本物のジャック・ザ・リッパーの正体を知る』という願いを聖杯に託す。
本来ならば常に霊体化してフラットと行動を共にするはずが、自らの変身能力の幅広さとフラットの純然たる趣味により、腕時計の姿でマスターの腕に巻きついて過ごす羽目になった。 - バーサーカーではあるが狂化はしていないからか、地の文などでも基本的にクラス名ではなく「ジャック」と表記される。
- 人物
- 本来ならば狂気と凶気しか存在せず、召喚した者の体を乗っ取り無差別に殺戮を行う存在として顕現する筈だったが、「狂気の象徴」としての出自がバーサーカー(狂戦士)のクラスと波長が合い、狂化と打ち消し合った結果(フラットの解釈では「マイナス×マイナス=プラス」という理屈)正常な理性と知性を具えた状態に落ち着いた。
むしろ、多少殺人行為などに忌避感が薄い程度で思考回路は至って常識人に近いため、マスターであるフラットの非常識なまでのユルさ、能天気さに驚いたり絶句したりつっこんだりと、やけに人間くさいリアクションを見せるようになっている。
犯人探しのミステリーから生まれた「誰でもない」ものであるがゆえに定まった姿形を持たず、基本的にはフラットの頭の中に気さくな紳士風の口調で語りかける声としてのみ存在する。その「声」にもはっきりとした特徴はなく、性別も、年の頃も、身分その他の素性も感じ取れず、あたかも顔のない怪物と会話しているような気分にさせられるという。
最初に自らの能力をデモンストレーションするため警官や娼婦に変身した時も、その人物としての演技をしていない限り、口調は元々の紳士風のもののままだった。
- 能力
- 「誰でもない」がために「誰にでもなれる」、つまり変身能力を持つ。本人の身体のみならず衣服や持ち物も自在で、実体化させている間は感触や質量までもリアルに再現できる。その変身できる範囲は一般的な「ジャック・ザ・リッパーの容疑者」モデルである警官や娼婦となってみせたのをはじめとして、人間から動植物、果ては無機物にまで及ぶ(『呪いのアイテムに操られた人々が切り裂きジャックの正体』という伝記小説のエピソードによる)。
それ以外の戦闘行為に関する力量は不明だが、本人の口から「英雄たちほどの力も期待できない」と自己申告されており、時代的にもかなり新しめの神秘であるため、あまり強力なものではない可能性が高い。
ステータス
クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考 バーサーカー フラット・エスカルドス
宝具
現時点では不明
登場作品と役柄
- Fate/strange Fake
- スノーフィールドで行われる偽りの聖杯戦争に、バーサーカーのクラスで召喚される。奇跡的な偶然によって正常な精神状態を獲得するも、破天荒なマスターに振り回され気苦労を覚えている。
人間関係
- フラット・エスカルドス
- マスターである魔術師の青年。あまりにも破天荒かつ天然すぎてツッコミが追い付かないが、自己のアイデンティティーさえ不確かな、正体不明の殺人鬼に裏表のない好意を示してくれる得難い相棒である。
- ロード・エルメロイII世
- フラットの魔術の師。彼が間違えて購入したゲームソフトについていたアンケート葉書を律儀に投函したことにより、フラットとバーサーカーは運命的な出会いを果たした。
- アサシン (Apocrypha・黒)
- 同じ真名を持つが全くの別存在。
- あらゆる噂と伝聞と推測がない交ぜとなったことで「ジャック・ザ・リッパー」は「誰でもあって、誰でもない」人間として無限の可能性を組み込まれており、彼女もジャックとして組み込まれた者の一人。
- 「ジャック・ザ・リッパー」という真名を持つサーヴァントは誰もが本物であるし、誰もが偽物と言える。
名台詞
- 『正直な話、
私にもわからん 』 - 『我が真名は――』という勿体ぶった引きからのオチに、珍しくフラットがつっこむ側に。とはいえ、バーサーカーにとっては至って真剣な悩みである。
- 『君が優秀な魔術師なのか、途端に不安になってきたぞ』
- 警官に化けて職務質問するふりをしたとき、フラットが魔術師らしく催眠暗示などを用いて切り抜けようとしなかった理由を問いただして。時計塔では呼吸するように教授宛の荷物に透視魔術を使ったりするフラットだが、一般人相手にはまず話し合いでわかってもらおうという姿勢でいるあたり、全くもって魔術師らしくない。
- 『私は伝承に過ぎず、真実ではない。
だが、自分が何者かもわからぬまま、ただ人々の紡ぎ出す物語や考察で自分の形を変容させていくというのは、とてもとても恐ろしいことなのだ。
肉を持ち、名を持ち、過去を持つ君には理解できないことかもしれないが』 - 自らの願いの切実さを、神妙な声色で語るバーサーカー。
確かに、それなりの根拠がある推理ならまだしも、後世の人々が好き勝手に想像したフィクションまでもが自分の要素としてどんどん追加されてくるのはアイデンティティー上の恐怖かもしれない。
なにせ、下手をすると露出度の高い人外ロリにされてしまうかもしれないのだ。
- 『……君はよく、空気が読めないとか言われることはないか?』
- 自分のオリジンを知って、できればその真実に従いたいという本人的には痛切な願いを「それこそ、自分がないみたい」とばっさり片付けられ、そのあまりのエアブレイカーぶりに愕然とする。
- 『さて、マスターよ、まずはどう動く?
私の能力があれば、あらゆるところに侵入し、敵のマスターを直接潰すことも可能であろう!
私は貴方の指示通り動かせてもらうつもりだが?』 - 「英雄たちほどの力も、人間としての倫理観も望めない自分みたいなサーヴァントをよく呼び出す気になったな」と自虐混じりの皮肉を言ったらベタ褒めで返されてちょっぴり前向きになったバーサーカーさん。気合を入れて自分のセールスポイントをアピールするが、マスターから返ってきた答えは……
それはともかくとしてこのサーヴァント、別世界のルーマニアで派手に大暴れしているロリっ子とクラスを交換するべきではないだろうか。
- 「まあ、英国紳士は時間に正確なのだ、という事にしておこう。私の正体が紳士であればの話だがね」
- フラットの提案で彼の腕時計となっている現状、本物の時計と比べて時間が全然ずれてないと褒められて。
このあと、全く悪気のないツッコミでグサッと心を抉られる。
- 「君は……人を殺した時にも同じ事を言いそうで怖いな」
- 「使い魔へのハッキングがもしバレたら誠心誠意謝る」などと正気の沙汰ではない事を言いながら無邪気に笑うフラットに、殺人鬼ながらどこか少しうすら寒いものを覚えてのコメント。完全な正解ではないものの、フラットというマスターの本質を突いている。
メモ
- フラットの簡単過ぎる説明のせいで、彼が正気を保っていられるのがご都合にも見えるが、ファンタジー界隈では突飛な設定というわけでもない。代表的なものとしてはアストルフォやオルランドが月から理性を持ち帰り正気になる逸話がある。これは西洋で月は狂気の象徴(Luna + -cy = Lunacy)であり、狂人が狂気の力で元に戻るというのは正に『マイナス × マイナス = プラス』理論(というか洒落)である。
- 「人々の語る恐怖の噂から生まれ」、「その恐怖を再演する」、という在り方はどことなくタタリを髣髴とさせもする。
- 比較的新しい時代の神秘であること、元々の狂気と打ち消し合って狂化補正が働いていない可能性があること、その他諸々の理由から考えてサーヴァントとしての火力は高いものとは言えなさそうだが、上記の台詞にもあるように使い方によってはアサシン (第四次)並の反則級戦力にも充分なり得る。
まあ、こちらもマスターの性格上、そういった「有効な使い方」はされないに違いないが。 - 地の文では「悲劇しか生み出さぬ悪霊」と言われているが、プロローグの時点で既にお笑い属性に侵食されかかっている。というか、パラメーターをLUCに全振りされてる人が懸賞で当てた触媒で呼ばれた時点で、なんとなく良運に恵まれていそうですらある。
- 『TYPE-MOONエース9』掲載のFateシリーズ作品作家鼎談において、成田良悟氏と東出祐一郎氏の間ですり合わせが行われた結果「バーサーカーのクラスで召喚すると『Fake』の方のジャックが出てきて、アサシンで召喚すると『Apocrypha』のジャックが出てくる」ということになったと語られている。
- 後に「ジャック・ザ・リッパー」とは、無限の可能性を組み込まれた存在であることが明らかになった。
- 無限に等しい可能性を持つジャック・ザ・リッパーの概念らしく「誰でもない」故に様々な人間に変身する「誰にでもなれる」変身能力の他、「誰でもある」が故に生者の身体を乗っ取り「誰でも殺人鬼に出来る」憑依能力を持っているらしいことが示唆されている。
但し、後者は「バーサーカークラスの逆狂化補正を受けていない場合」の仮定の話であり、作中の時点でバーサーカーのクラスを得ている彼がその能力を行使しうるかどうかは不明である。 - 伝奇小説のエピソードによって無機物にもなれると言う設定は、裏を返せば『件の伝奇小説が無ければ無機物にはなる事はできなかった』ともとれる。「誰にでもなれる」とは言うものの、さすがに既存の説とかすりもしない存在にはなれないという事だろう。
話題まとめ
- 『ジャック・ザ・リッパー』
- ヴィクトリア朝時代のロンドン、イースト・エンドとホワイト・チャペルで、判明している範囲では5人の娼婦を惨殺した「だけ」の犯人がこれ程に後世まで名を残し、人々の興味を掻き立てているのはこれが劇場型犯罪の元祖であること、そして犯人が逮捕もされず、今日に至るまで正体すら判明していないがためである。
夜道とはいえ、ほぼ公共の場である路上で次々と女性を殺害、その死体を無残に解体しディスプレイしてのけるという大胆にして残忍な犯行、そして新聞社に署名入り犯行声明を送りつけると言う自己顕示的行為があってさえ、警察は謎の犯罪者の有力な手がかりすら掴むことが出来なかった。
このことはロンドン市民の間に恐怖と、疑惑と、好奇心と、ある種の狂騒を植え付け、人々はこぞって『ジャック・ザ・リッパー』の正体を推理し、想像し、時には怪しいと睨んだ人物を警察に告発し、ありとあらゆる可能性を検討・考察するようになる。
当時、真犯人と目された者は医者・弁護士・教師・娼婦・警察官・軍人・王侯貴族・肉屋・靴職人・外国人船員など、社会的階層や男女を問わず多数に上り、更に後世の研究や再調査、ジャックを題材にした創作やパロディなども加わって、その人物像は悪魔や亡霊、吸血鬼など「人でないもの」にまで拡がった。
なお、『ジャック』とは英語圏で呼び名の定まらぬ男性を指す代名詞的に用いられる名であり、犯人を女性として仮定する場合には『ジル・ザ・リッパー』と呼ぶ。