天草四郎時貞

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ルーラー(Apocrypha・第三次聖杯戦争)

  • 真名:天草四郎時貞
  • 誕生日:不明 / 血液型:不明
  • 身長:169cm / 体重:59kg
  • 属性:秩序・善
  • イメージカラー:銀灰色
  • 特技:洗礼詠唱
  • 好きなもの:人類 / 苦手なもの:暴走する人間
  • 天敵:ジャンヌ・ダルク、ジーク

小説版「Fate/Aporypha」の平行世界における第三次聖杯戦争にて召喚された裁定者サーヴァント

略歴
真名は天草四郎時貞。
「Fate/Apocrypha」世界線において、アンリマユという神に近い存在を制御する自信の無かったアインツベルンは、他のサーヴァントに対する令呪の使用権を持つ「ルーラー」を悪用するため、「中立の審判」としてではなく「参加者」として彼を召喚した。だが不正に召喚された「ルーラー」であるため、その機能は十分ではなく、また彼は「ルーラー」が本来持っていてはならないはずの「聖杯への願い」を持っていた。
第三次聖杯戦争終盤、大聖杯に触れたことで受肉し、監督役であった言峰璃正の助力を得て偽の身分「シロウ・コトミネ」の名前と聖堂教会での役職を手に入れた四郎は、半世紀以上も行動を起こす機会を伺っていた。
人物
聖杯大戦を利用して「万人が善性であり、万人が幸福である世界。あらゆる悪が駆逐された『この世全ての善』を手に入れる」という己の野望を成就させようとしている。その目的達成の為ならば多くの無辜の命を踏みにじっても、あらゆる必要な要素を躊躇なく奪い、敵対する者は逡巡なく駆逐するという鋼鉄の意思を持ち合わせている。
能力
戦闘において、黒鍵と日本刀を武器とする。黒鍵は一度標的に弾かれても、再度標的に襲い掛かるよう術式が組み込まれており、刀身を伸ばし即席の壁を作り出すことが出来る。日本刀「三池典太」はかつてとある剣豪が愛用していた品。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
ルーラー なし C C B A B D 対魔力:A
真名看破:B
神明裁決:-
啓示:A
カリスマ:C-
洗礼詠唱:B+

宝具

Fate/Apocrypha

左腕・天恵基盤(レフトハンド・キサナドゥマトリクス)
ランク:D
種別:対人宝具
レンジ:1
最大捕捉:1
天草四郎が起こした数多の奇跡を再現する左手。
右腕同様、自身を対象とした対人宝具で、シロウの肉体に対する補強・強化を行う。
「あらゆる魔術基盤に接続する」能力の他、スキル『心眼(偽)』に類似した効果を与え、右腕と合わせて洗礼詠唱を強化する。
また、この宝具には対象者を「不老」にする効果があり、この効果によって彼は受肉しながらでも半世紀以上の時を耐えることが出来た。
右腕・悪逆捕食(ライトハンド・イヴィルイーター)
ランク:D
種別:対人宝具
レンジ:1
最大捕捉:1
天草四郎が起こした数多の奇跡を再現する右手。
本来、シロウが持っていなかった力だが、宝具が持つ「奇跡の再現」という形で彼の肉体に顕れている。
戦闘において自身の補助を行う対人宝具であり、シロウが保有する「未来視」などの特殊能力を強化・支援する。
「あらゆる魔術基盤に接続する」能力の他、スキル『心眼(真)』に類似した効果を与え、洗礼詠唱を強化する。
いずれも彼が生前に起こした「奇跡」が信仰によって宝具と化したもの。
「奇跡」の正体は単なる魔術であり、この宝具の効果も「あらゆる魔術基盤に接続し、どんな魔術でも使えるようになる」という程度である。汎用性こそ高いものの、聖杯戦争という場においては戦闘補助程度にしかならず、これらだけでは決め手に欠ける二流サーヴァントに過ぎない。
ただし「大聖杯」という物自体が一種の魔術であるため、この宝具を用いれば大聖杯に接続し、乗っ取り、その機能を書き換えてしまうことも可能である。これにより、大聖杯を第三魔法を行使しつづける物に改造して、全人類に第三魔法を適用するのがシロウの目指す「人類の救済」の正体である。

Fate/GrandOrder

双腕・零次集束(ツインアーム・ビッグクランチ)
ランク:A+
種別:対軍宝具
レンジ:1~200
最大捕捉:500人

両腕を霊脈へと接続し、両腕の魔術回路へ過剰な魔力を加えて暴走。擬似的な暗黒物質を精製し、周囲のあらゆる存在を取り込む破滅型宝具。

元ネタはFate/Apocryphaで四郎が使用した最終手段『右腕・零次集束(ライトハンド・ビッグクランチ)』。右腕の魔術回路に限界まで魔力を注ぎこみ、腕を自ら切り離して擬似的なブラックホール化させることでジャンヌの宝具『紅蓮の聖女』を防いだもの。Apocryphaの時点ではあくまで宝具や大聖杯へ制御用の命令を送る際のコマンド名であり、宝具名ではなかった。

真名:天草四郎時貞

登場作品と役柄

Fate/Apocrypha
「赤」陣営のマスター兼大戦の監督役として登場。詳細はシロウ・コトミネの記事へ。
Fate/Grand Order
ルーラーのサーヴァントとして登場。レア度は最高位のSSR(☆5)。イラストレーターは近衛乙嗣氏。
現在は期間限定ガチャで入手可能。実装に伴い体験クエストも開催された。

人間関係

名台詞

Fate/Apocrypha

「知れたこと。
 全人類の救済だよ、ジャンヌ・ダルク」
ルーラーと同じく「奇跡」と謳われた少年が告げた自身の願い。その願いは狂気に近い。
「―――かつて、憎んだことはある」
「神も、人も、全てを憎んだことはある。それは認めようライダー。
 私はかつて、確かに人間が憎かった。自分を殺されたからでも、仲間を虐殺されたからでもない。
 それを歴史の構造システムとして受け入れる人類そのものが憎かった。
 強者と弱者があり、互いに喰らい合い、命を浪費することで成長し続けるという人類がただただ憎かった」
「だから、私は捨てたぞライダー。
 彼らを憎悪するという心を、人類救済のために切り捨てた。
 だから今は憎くなどない。この世界の誰であろうと、必ず救う。必ずだ」
ライダーから自分と自分に付き従った連中を殺した人間が憎くないのかと問われた際の返答。返答次第では即座に槍を使うつもりだったライダーに対し、向かい合い、目線は逸らさない。そこに狂気の片鱗はなく、強者の驕りもない。「奇跡」と謳われ挫折した少年の瞳は、ぞっとするほど、透明だった。言葉の後には、ただ沈黙が広がる。

Fate/GrandOrder

メモ

  • Apocryphaの小説化にあたり、ラスボスを「Fate」の源流である「魔界転生」から抜擢するというアイデアと、本家「Fate/stay night」の主人公衛宮士郎と、下の名前や年齢が偶然一致していたという着想から発生したキャラクター。
  • 「Fate/GrandOrder」での第一段階、第二段階の服装は「Fate/Apocrypha」登場時の姿。平行世界の第三次聖杯戦争で受肉した四郎が現世で第二の生を送るための身分と役職を得て「言峰四郎(シロウ・コトミネ)」と名乗っていた際の風貌になっている。
    この段階でも「大きな飾り襟に見えるフードが付いた赤いマント」「殉教を意味する赤い典礼色のストラ」等、彼の正体を知るヒントは散りばめられている。
    • カトリックの司祭が肩に掛けるストラは色によって意味が違い、シロウが身に着けた赤い典礼色のストラは主が受難を受けた時に流した血の色、殉教者の血の色、炎の色を象徴している。
    • 赤い陣羽織(赤いマント)と大ぶりの飾り襟は天草四郎の肖像画などのモチーフとして頻繁に採用されるもの。(エリマキトカゲのように首の周囲を囲む蛇腹状の襞襟もモチーフとしてよく使用されるが、81年の映画「魔界転生」や奈須きのこがFateの原点として挙げる石川賢版の「魔界転生」では大ぶりの飾り襟が採用されている)
  • 外套や陣羽織の胸元に使用されている房の付いた飾り紐が読者の目を惹くが、これは「総角あげまき結び」と呼ばれる装飾結びの一つ。
    ご存知アーチャーの外套にも使われている総角結びだが、房の付いた総角結びは調度品や武具、勿論陣羽織の装飾としてもポピュラーな物。シロウの生まれた時代や出自から考えても衣服の装飾に総角結びが使用されるのは妥当だろう。
  • 日本人の彼が白髪となっているのは「Fate/Apocrypha」作中で強引に受肉した際の代償、褐色の肌となっているのはセミラミスの触媒と「虚栄の空中庭園」の材料の収集に二十年近く中東に潜伏する必要があったため。しかしメタ的には間違いなくあっちのシロウへのミスリードを誘うためだろう。
  • 今でこそ美少年として扱われる天草四郎だが、これは島原の乱から70年以上経過した享保年間に流通した近世軍記「田丸具房物」の影響が強く、実際のところ島原の乱の収束前後数年以内に成立した史料で四郎の容貌に言及されたものは少ない。
    • 容姿どころか島原の乱に参加する前の経歴や出自についても謎が多く、様々な異説が存在する。特に極端なものは『大阪の陣で死なずに落ち延びた豊臣秀頼の息子』つまり豊臣秀吉の孫であるという説だろう。秀頼生存説自体が伝説の域を出ないため信憑性はお察しだが、後述の通り乱に豊臣家の残党が多数加わっていたのは事実であるため、このような説が生まれたものと思われる。
  • ルーラーとは同じ『キリスト教の信者』であり、『奇跡を起こしたと言われる神童』であり、『同志達のために戦った英雄』でもあった。
    • しかし死後に名誉回復されて聖人となったジャンヌ・ダルクとは異なり、彼は殉教者としてすら扱われていない(島原の乱には豊臣家残党の反乱という面もあったため)。

話題まとめ

キリシタン弾圧
いわゆる、バテレン追放令などのキリシタン弾圧を初めて行ったのが豊臣秀吉であり、その政策は徳川家康に引き継がれることになる。秀吉や家康がキリシタン弾圧を推し進めたのは、織田信長の元で一向一揆の脅威に晒された事がその根底にある。『宗教』のもと団結した民衆の恐ろしさ、西欧諸国による海外の植民地政策(商人(交流)→宣教師(調査)→軍隊(侵略))を知っていた2人は、政権を握ると信長が段階的に行ってきた政教分離政策を更に加速させていく事となる。
しかし、イエズス会によって日本にもたらされたキリスト教はこの政策に中々従おうとせず(当時の欧州ではバチカンの法王の権威は、各国の国王より上位だった)、しかもキリスト教に帰依した大名達も秀吉に反発する有様であった。
秀吉は、この原因はキリスト教にあると判断し、バテレン追放令に代表されるキリシタン弾圧を開始する。一方、日本にいた宣教師達はこの事件に驚愕し、当時、欧州最強国であったイスパニアの国王フェリペ2世に無敵艦隊の出動を手紙で要請した程である。
もっとも、その内容といえば「5万の兵力もあれば九州ぐらいは簡単に制圧できる」というご都合主義満載の代物(秀吉がバテレン追放令を出した当時、肝心の無敵艦隊はフランシス・ドレイクにフルボッコにされた後だった上に、九州には朝鮮出兵の為に30万を超える兵力が集結しており、5万程度の兵力では瞬殺されるのがオチである)であり、宣教師達がいかに国王というものを軽視していたかが伺える。
弾圧の内容は過酷を極めたものだったが、この政策が結果として日本の植民地化を防ぐ事となる。
  • 近年の史料では、フェリペ2世は本気で無敵艦隊の派遣を検討していたらしい事が判明している。もっとも実現していた場合、5万人の輸送コストだけで国家財政が破綻しただろう(現在でも5万人の人間を船舶のみで輸送するには、莫大な費用が掛かる)。
島原の乱
三代将軍・徳川家光の治世の時に発生した、大阪の陣以降では初の大規模騒乱。一般には天草・島原藩によるキリシタン弾圧に反発した人々の騒乱という認識が広まっているが、実際は過重な年貢の取りたてが根本原因であり、キリシタンの反攻は2の次だった。
当時、島原藩を統治していた松倉勝家の治世は残虐を極め、多くの農民が暴政に苦しんでいた。
『黒田長興一世之記』という記録によれば、1637年10月(旧暦)、年貢が支払えない庄屋の身重の妻が役人に捕らわれ、裸で水牢に入れられた。庄屋では年貢の支払いに知恵を絞るも払えるものはもう何もなく、6日後、妻は出産した子供と共に命を落とした。
こういった暴虐に耐えかねた人々は同年10月25日に代官を殺害して蜂起、これが島原の乱の始まりである。
一揆軍は当初こそ優勢であったものの、九州諸藩の討伐軍が島原に進軍してくるに従って追い詰められていき、島原半島南部にあった原城に立て篭もる。その数は3万7千人にも及び、更に各地から奪った鉄砲などで武装するなど原城の防備を固めた。
幕府はまず九州諸藩の討伐軍のみで対処しようとするも、総大将に任じられた板倉重昌に討伐軍を統率するだけの力量が無く、攻撃は全て失敗。遂には重昌が戦死する事態となってしまう(実際は後述の援軍派遣決定を受けた焦りから自ら突撃するも戦死)。驚愕した幕府は「知恵伊豆」と呼ばれた老中・松平信綱を総大将として派遣。援軍を得た討伐軍は12万を数えたという。
信綱は無理な攻城は行わず、情報収集や矢文で投降を呼びかけるなどの心理戦を展開。更に一揆軍の食料が残り少ないと見て取ると、兵糧攻めにして一揆軍の弱体化を計った。篭城戦が始まった3ヵ月後の1638年2月27日(旧暦)、遂に総攻撃を開始、兵糧攻めで武器・食料を失っていた一揆軍は総崩れとなり、乱は鎮圧された。
なお、立て篭もった3万7千人全員が討ち取られたとされているが、最近の史料では1万人ほどが投降・脱出するなどして命を失わなかったと言われている。
乱の鎮圧後、松倉勝家は暴政によって騒乱を招いた責任を問われて改易された上に江戸に罪人として送られ、1638年8月(旧暦)、斬首刑となった。大名が切腹ではなく斬首となったのは後にも先にもこの時だけであり、さすがの幕府も勝家の暴政を重罪と見なした事が伺える。
魔界転生
ご存知、山田風太郎の伝奇アクション小説であり、Fateシリーズの原点ともなった作品である。発表当初は「おぼろ忍法帖」というタイトルだったが、1981年の映画化の際に現在のタイトルに変更された。「氷室の天地」で語られているように原作では森宗意軒が黒幕となっているが、81年の映画化以降に製作された作品群では、天草四郎が魔界衆の頭目となっている。
映画で天草四郎が頭目となった理由は単純で、原作のままでは2時間という尺に収まらないので森(と由比正雪)の役割を四郎に集約させたのである。
81年の映画では天草四郎を沢田研二、対する柳生十兵衛は千葉真一が演じ、観客動員数200万人を超える大ヒット作となった。
この映画での天草四郎の人物像は非常に強烈なもので、特にラストシーンで十兵衛に斬り飛ばされた生首を小脇に抱えて哄笑するシーンは、沢田研二のイケメン顔と相まって大変印象深いシーンとなっている。
  • ちなみに、奈須きのこがFateシリーズの原点として挙げたのは映画版ではなく石川賢版の「魔界転生」。
  • また、本作には上述した柳生十兵衛、宮本武蔵のように、多くの剣豪が登場する。キャスターに強化された「とある剣豪が使っていた日本刀」は、この「魔界転生」に登場した剣豪の一人、柳生十兵衛の愛刀と同じ「三池典太」だった。
旗の宝具
十字軍の旗、ジャンヌ・ダルクの旗、天草四郎の陣中旗が俗に「世界三大聖旗」と呼ばれている。
アイディアを考えていた東出氏はこれを知ってジャンヌの宝具と対になるものとして使えると喜んだが、探しても出典が分からない。そこで日本カトリック中央協議会にメールで問い合わせてみたところ、「そういうものを認定したことはない」と物凄く丁寧な返事をもらい、結局シロウが旗の宝具を使うネタは没になったという。

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