アヴィケブロン

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キャスター(Apocrypha・黒)

  • 真名:アヴィケブロン
  • 身長:161cm/体重:52kg
  • 属性:・

魔術師」のクラスのサーヴァント聖杯大戦において、ロシェ・フレイン・ユグドミレニアによって召喚された。
青いマントとボディスーツ、無貌の仮面で身を隠した男。

略歴
真名はアヴィケブロン。またの名をソロモン・イブン・ガビーロール。十一世紀、中世ヨーロッパのルネッサンスの起点となった哲学者の一人であり、「ゴーレム」を極めた魔術師。彼はヘブライ語の『受け取る』という単語から「カバラ」という魔術基盤を生み出し、魔術師の世界にも大きな影響を与えた人物。
聖杯大戦開始二ヶ月前、ランサーとほぼ同時期に召喚された。
マスターであるロシェから、尊敬の念を込めて「先生」と呼ばれている。その後彼と共に城内の工房で、聖杯大戦の兵士として使うゴーレムの生産と宝具の設計・開発に明け暮れる。
後に無様な失敗を続けた事でダーニックに見限られたゴルドから令呪を回収し、捕縛した赤のバーサーカーのマスターとなる。
決戦においては、アーチャーを援護して赤のライダーを戦場から引き離し、ランサーの危機に赤のバーサーカーを向かわせるなど他のサーヴァントの支援に徹する。だが激戦によって手持ちのゴーレムの大半が破壊されたため、空中庭園での戦いでは自ら戦場に赴き、ルーラーの命令で暴走したダーニックを相手に赤のサーヴァント達と共闘する事となった。
人物
顔も姿も隠しているため、その雰囲気から一見老練な魔術師や気位の高い知識人を思わせるが、予想に反して喋り方は若々しく、一人称は「僕」。
極度の厭世家で、必要以上の言葉は一切喋らない。ただ伝承ほど病的な人間嫌いではなく、マスターであるロシェやスポンサーのダーニックとは普通に会話する。
とはいえ生前、病のせいで引き籠りがちな生活を送っていたので人付き合いはやはり苦手。中でも子供とはまるで縁がなく、懐かれることなど想像もできなかったので、実はマスターであるロシェが少し苦手だったりする。
彼の聖杯への願いは少し複雑で、「己の宝具である『王冠・叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト)』の完成」。ただ宝具として完成させたのでは「未完成」であり、これにはカバラの考えが大きく影響している。
そもそもゴーレムとはカバラの術の一つであり、名は“胎児”や“形作られざるもの”などを意味する。即ち、神が原初の人間の創造した際の秘術を再現するための魔術であり、単に強力な兵器として力を振るうだけの物は決して彼が求める「完成された存在」ではない。
『苦難に満ちた我々を、再びエデンの園へと導く偉大なる王』――それこそがアヴィケブロンが究極のゴーレムに求める役割である。その深遠な目的から、常に「より良い宝具(モノ)を作りたい」と願う職人気質の持ち主で、宝具の炉心に使える生贄が現状ゴルドしか居ないことを残念に思っている。
能力
スキル『陣地作成』によってミレニア城塞内に形成された工房は、ゴーレムの製造に最適化されており、「魔術師の工房」と言うより、一種の「製造工場(ファクトリー)」。
防衛という点では並以下だが、一日三十体のペースで、現代の魔術師が一年かけても作り上げられない程の高性能なゴーレムを生産する。聖杯大戦開始の時点で既に彼が製造したゴーレムは千体を超えており、ミレニア城塞近辺にひしめく様に配置されている。
大きく分類すると小型・中型・大型に分かれ、さらに人型だけでなく、蜻蛉のような飛行型や蜘蛛のような多脚型が存在する。彼のゴーレムは八百年級以上の宝石と羊皮紙が使われており、その性能は熟練の魔術師はおろか、低級のサーヴァントに匹敵し、高性能な白兵戦型は赤のセイバーと三合も打ち合った。
城塞近辺で侵入者を待ち構えているゴーレムは、高度な魔術的迷彩効果が施されており、周囲の建築物などに擬態している。その他にも流体化し対象の全身に絡みつき石牢となる捕縛用のゴーレムやランサー用に造られた巨大な銅鉄馬などゴーレムの種類は多岐に渡る。
ゴーレムは全て自立稼働する機能を備えているが、彼が直接操作した場合、動作の精密さが比べ物にならないほど上昇する。操作できるのは一本の指につき一体で、最大10体のゴーレムを直接操作することが出来る。
彼が操る魔術はすべてゴーレムに関るもので、七枝の燭台(メノラー)と呼ばれる特殊な魔道具を用いて、広大な範囲を索敵・監視することができる。この魔術は飛行型のゴーレムを中継地点として使っており、その限界距離は一般的な遠見の魔術を遥かに凌駕し、その索敵網はトゥリファス近辺に留まらず、ルーラーがブカレストの空港に辿り着いたのを即座に発見した。

宝具

王冠・叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト)
彼が工房内部で設計・鋳造している宝具。一度宝具として召喚してしまうと、無尽蔵に魔力を求め続ける生粋の大喰らいであるため、完成には内部で直接魔力供給を行う『炉心』が必要とされる。
『炉心』以外の鋳造は進んでおり、即時投入が可能なよう調整が進められている。
宝具は通常、既に完成したものであり、発動する際に必要とされる条件を除けば、宝具そのものに必要な素材など存在しない。だが例外として『単体の英霊が所有するには、余りに巨大な物』、『未完成であるが故に、伝説に刻まれた代物』が存在する。このゴーレムも赤のアサシンの空中庭園と同様にかなり巨大な物体らしく、彼の場合、両方の条件に一致する。

登場作品と役柄

Fate/Apocrypha
「黒」のサーヴァントとして登場。

人間関係

ロシェ・フレイン・ユグドミレニア
マスター。主というより、助手として扱っており、ゴーレムの製造の補佐をさせている。
ランサー
彼からは「偏屈な男」と評されているが、ゴーレムを生み出す技術を高く評価されている。また、お互いに城塞に篭っていて、召喚された時からの付き合いであることから、共に行動することが多い。
ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア
ゴーレム製造に必要な宝石や羊皮紙を提供しているスポンサー。
彼とはゴーレムの生産や宝具の進捗状況について話す機会が多いため、割と気心が知れていて、共に茶を酌み交す。
赤のバーサーカー
捕縛した後、マスターとなる。
ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア
彼が残していた最後の一画の令呪を譲渡させ、赤のバーサーカーを使役する為に利用した。
ジーク
宝具に必要な『炉心』に使うため、彼を追っている。
ただ作業の手を止めるほど重要視していないため、ダーニックに連絡し、彼の捕獲は他の者に任せている。

名台詞

「――そのゴーレムは、決して無敵という訳ではない。
 ――むしろ、如何なる方法で死すのかを刻み込まなければならない。
 ――僕が作るゴーレムは生を獲得する。だからこそ、死ぬ。
 ――ゴーレムとは、ただ単に土人形を動かすだけの術式ではない。
 ゴーレムとは、生命の創造……即ち、原初の人間アダムの模倣である。」
ロシェに語った、目指すべき目標。ただ有能なゴーレムを造ればいいと思っていたロシェはこの言葉に感銘を受け、更に彼に心酔することとなる。
「僕は弱いからな……あれなら、一撃だ」
どこまでも筋肉マッスルな赤のバーサーカーと自分を比べて言った、自嘲的なセリフ。
病弱な自分の体に若干コンプレックスがあるのかもしれない。

メモ

  • 小説版で新規に追加されたサーヴァントの一人。……なのだが、他のサーヴァントとは少し事情が異なる。
    実は彼の設定は企画段階から検討されていたらしく、担当したのはゲオルギウスを制作した三輪清宗氏。設定こそ作られたものの、企画段階で没になったため「マテリアル」にも記載されなかった。
    だが小説化の際、、魔術師ですらない赤のキャスターの対比にもなる真っ当な魔術師の英霊を欲した東出氏によって、復活した。
  • アヴィケブロンは詩の才能もあり、「ケテル・マルクト」なる詩集も書いた。この名前は宝具に使われている。
  • 彼は生涯病弱な人物であったとされる。全身を隠した衣装は、人間嫌いな厭世家ということだけではなく、そういった事情を示しているのだと思われる。
  • 生産工場として使える設備の整った工房に、ゴーレムの生産のために一定以上の規模の組織的な投資を必要とする大喰らいのサーヴァント。
    どちらも持たないマスターからは弱小サーヴァントとして扱われるが、十分な資材があれば無尽蔵に戦力を生産できるため、組織戦において無類の強さを誇る。
    そのため「聖杯大戦のためのサ−ヴァント」と呼べる。ダーニックが彼の特性を理解した上でロシェに召喚させたのならば、流石と言うしかない。

話題まとめ

逸話
  • アヴィケブロンは世にも珍しい女性型のゴーレムを召使いとして作成したという伝説があり、 この話を聞いた王が彼を罰しようと呼びつけた時、 王の目の前でこれを分解し、再び組み立てたという。
    Fateでもこの逸話は採用されており、家事をさせるために実際に造ったらしい。どんなゴーレムだったのだろうか……。
    • ロード・エルメロイII世も月霊髄液を使った自立型メイドゴーレムという趣味全開の物を制作している。……もしかしたら気が合うかもしれない
  • 彼の著書「生命の泉」は、教師と弟子の対話形式で語られ、全体的に厭世的なニュアンスが強いといわれる。5つの論文から成り立っており、質料と形相に関する形而上的な哲学体系を描き出したことで、「質料と形相」という別名で呼ばれることすらある。
    アラビヤ語で書かれた著作であるが、原典は失われ、現存する最古の本はヨハネス・ヒスバヌスによるラテン語版で、後にそうそうたる神学者達から引用されることになる。
    他に、「アナク」なるヘブライ語文法の著書もあり、その一部が現存している。

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