概念武装
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概要
物理的な破壊力ではなく、「意味・概念への干渉」を起こす武装のこと。主に、儀式や積み重ねた歴史、語り継がれる伝承などにより付与された概念(すなわち魂魄の重み)に依って能力を発揮する。
歴史を重ねた品であることと、対吸血鬼(主に死徒)に有効な品であるため、名の知れている物は聖堂教会によって運用されている場合が多い。
普通の人間に対しても殺傷力はあるが、通常兵器で事足りる程度である[出 1]。概念武装は概念でしか倒せない相手にこそ真価を発揮する。例えば「不老」である存在に、「寿命」の概念を上書きして、不老性を無効にするといった具合である[出 2]。
吸血鬼は肉体が破損しても復元呪詛によって短時間で復元してしまうので、彼らを滅ぼすためには復元速度を上回るか、復元呪詛を無効化する外的要因が必要となる。対吸血鬼用の概念武装は後者のような神秘の類を引き起こす。
通常の吸血鬼が相手の場合、正式な「浄化」の手順としては、その吸血鬼が人間であった頃の経歴(宗派)にそって解呪する。概念武装を持ち出す必要があるのは、よほど相手が強力か、はじめから人でない吸血種の場合。いわば奥の手。
一覧
聖堂教会由来
- 黒鍵
- 所有者:シエル、言峰綺礼、シロウ・コトミネ、須方スナオ、ハンザ・セルバンテス、カラボー・フランプトン、ノエル
- 「浄化」に用いる「摂理の鍵」たる概念武装。代行者たちの正式武装とされる。
- 刃渡り80〜90cmの投擲剣。刀身は聖書のページを精製したもので作られている。その気になれば、柄だけを大量に持ち歩き、刃はその場で作ってしまうことも可能。
- シエルは刀身に刻印を刻んで魔術的効果を付与することもある。その効果は「火葬式典」、「土葬式典」、「風葬式典」、「鳥葬式典」など様々。[出 3]
- しかし、投擲に特化した形状ゆえに剣戟には向かず、扱いには熟練を要することから現在では敬遠される傾向にあるという。
- リメイク版での設定
- 死徒の肉体を聖言によって人間に戻す、聖典そのものを武器にした最初期の聖典武装。西暦300年頃に当時最高峰の剣士にして司祭と謳われた人物が考案した。
- 聖典の写本から切り抜いた頁を魔力によって柄の形に固定されており、戦闘時には柄に魔力を通す事によって刃の部分を形成、自動洗礼状態へと移行する。シエル曰く、この“洗礼”の部分がたまたま刃に似ているだけ。
- 9世紀頃に今のカタチに落ち着き、もっとも優れた聖典武装として広く愛用された。
- 主に投擲に用いられており、歴代の使い手によって影縫い、時飛び、鉄甲作用、火葬式典、土葬式典、コンクラーベなど多数の投擲法が編み出されている。
- 入手しやすいながらも、一人前の射手になるに10年の修業が必要なだけでなく、威力が使い手のスキルや魔力の量によって変わる上に、そもそもの構造が威力向上には難しいため、年月を増すごとに強力になっていく死徒相手には力不足とされる。
- 1450年、グーテンベルク印刷機の台頭で流行は少し持ち直したものの、銃器の量産化につれ、メイン武装からサブ武装、お守りがわりに転落した。以後、黒鍵は「敬虔な信徒のみが好んで使う」マニアックな武器となった。
- 正式外典「ガマリエル」
- 所有者:リーズバイフェ・ストリンドヴァリ
- 対吸血鬼用の「滅び」の概念武装。大型の弦楽器を模した盾でありパイルバンカー。
- パウロの黙示録とエジプト人による福音という二つの外典によって鍛えられた銃盾兼槍鍵。音律を以てあらゆる不浄を弾く正しい秩序の具現とされている。
- 第七聖典
- 所有者:シエル
- 教会所蔵「転生批判外典」たる概念武装。大型のパイルバンカー。
- もともとは祭礼用に使われていた一角獣の角。一角獣が臨終した際に、人身御供の少女と角に宿る動物霊を融合させた。融合して生まれたのが精霊「セブン」である。表面には「転生かっこ悪い」といった意味合いの転生批判の文句がびっしりと書き込まれていた、という儀礼用のアイテムが武器として使用されることとなり、槍やら杭となったが、近代化にあわせて銃剣に、現在はシエルの趣味でミサイルランチャー付き大型パイルバンカーに改造されている。
- リメイク版での設定
- 教会が主の威光を示す為に作りあげた、長く使い手不在だった門外不出の聖遺物。
- 千年前、地上に残っていた稀少な幻想種をおびき寄せ、呼び水となった少女ごと竈にくべる事で神鉄を錬成し、教典として組み上げた概念武装。
- 魂砕き、すなわち断罪死をはじめとした、人間が背負うであろう死の要因があまねく記され、神鉄はその固有震動でこれを戒める洗礼を詠唱し続ける。
- もともとは持ち運べないサイズの祭壇のような装置ですが、今はシエルに解体され、一角馬の角を基本骨子に作られた「対吸血鬼武装車両」になっている。
- 双銃、銃剣、大剣、甲冑、コア、という六つの武装へと換装可能。更にそれらを組み上げて展開する事によって破城弩弓形態へと変形可能。
- 武器工場とも喩えられ、シエルのオーダーに応じて弩弓の使用弾頭などを変更できる。
- 燃費がすごく悪く、普通の人間が使ったらすぐに衰弱死する。
- 焼死(ブレイズ)
- 第一死因。7.62mm口径のアサルトライフル。十年クラスの死徒なら根こそぎ挽肉にする銃弾の雨を繰り出せる。
- 病死(シック)
- 詳細不明。
- 出血死(ブレイド)
- 第三死因。2メートルを超える大剣。刃を分解してワイヤーで繋いだ蛇腹剣として運用が可能で、最大限に伸ばしたら有効範囲は30メートル。
- 衝突死(ブレイク)
- 第四死因。詳細不明。杭打ち機(銃剣)は第三死因・第四死因の複合装備であると描写されている。
- 精神死(ロスト)
- 詳細不明。
- 拷問死(ペイン)
- 拷問具・純潔証明(ヴァージンペイン)。鉛と鉄で組み上げられた甲冑。
- 鉄の処女(アイアンメイデン)と呼ばれた“死して魔女と証明されないかぎり自由になれない”拷問具に起因する概念武装。
- “使用者が死ぬまで外す事はできない”特性を持つが、それも転じて“使用者が死ぬまでは壊れない”特性を意味するため、シエルはそれを良しとして利用する。
- 外部からの暴力や劣悪な環境の影響を防ぎ、内部での責め苦による衰弱死のみで破壊する。使用者の魔力が尽きないかぎり、最低限の生命活動を保証する。
- ある意味で、甲冑が剥がれた後のインナーこそ本体であって、耐刃、耐火、耐毒、耐衝撃、耐神秘の性能を持ち、戦車の砲弾やアルクェイドの爪の直撃でさえ耐えられる。
- 断罪死(パニッシュ)
- 第七死因。第七聖典の本質。転生批判の聖典。杭打ち機または破城弩弓による魂砕き。
- 杭打ち機は本来油圧式だったが、特殊環境下で故障する危険性が高いため、メイン動力が魔力による外部圧力に作り直されている。
- 破城弩弓の最大射程は5キロメートル。
- 灰錠
- 所有者:シスター・イルミア、アンジェロ・プラーガ
- 聖堂教会の代行者達が使う標準装備。黒鍵に比べればずっと扱いやすいとされ、多くの代行者に選ばれてきた装備だとされる。
- 手と足につけられる灰色の鎧甲。普段はただの手袋やブーツに擬態しつつ、設定された紙片を滑らせただけで本来の姿を取り戻す概念武装。
- シスター・イルミアが用いた際には、鎧甲の表面から幾条もの紫電を発しており、尋常な打撃ではものともしないという骸骨兵を、鎧甲で打撃する事で復活さえできなくさせた。これは仕込まれた呪体である古い紙片の効果らしい。
- マルティーンの聖骸布
- 詳細不明。
- その一部を教会時代の言峰綺礼が隠匿していたことが示唆されている[出 4]。
- 衛宮士郎がアーチャーの腕を移植された折、その封印に使用された、「魔力殺し」の聖骸布。但し「英霊の腕」を恒久的に封じるだけの強度は持ち合わせていない。
- 魔力を殺せるのは概念武装だからかとの質問に、ある事柄を封じる、正常に戻す効果によるものとのみ答えられている[出 1]。
- 聖釘(サクリ・キオディ)
- 所有者:真鶴チトセ
- 明言はされていないが、おそらくは聖堂教会由来と思われる。
- かつて救世主を磔刑にした際に用いられた「聖釘」を模した概念武装であり、その名の通り釘のような形をしていて「拘束」の概念を有している。
魔術協会由来
- 黒い銃身(ブラックバレル)
- 所有者:シエル、ゴドー(アトラス院における七大兵器の一つ)
- 『Notes.』では英名をLonginusといい、ジンに相克する鉱物から作られた兵器とされている。ジンを微量でも含んでいるものには天敵で、多く含んでいればいる程その攻撃力は高まる。ジンの影響下にあるなら銃身に触れることもできない神殺しの銃。逆にいえばジンの影響を受けていなければ扱えるジョーカー[出 5]。
- 『Character material』では六人姉妹から「天寿」の概念武装と呼ばれ、第五架空要素を自壊させる第五真説要素でできた兵器とされる。この銃から放たれた弾丸は、真エーテルで活動しているものを問答無用で傷付ける。ゴドーは封印区アトラシアからオリジナルとレプリカの2丁を発掘してオリジナルを愛用した[出 6]・
- 『月姫』ではシエルルートでシエルが持ち出しているが、使うことは無かった。
- バレルレプリカ
- 所有者:シオン・エルトナム・アトラシア、シオン・エルトナム・ソカリス (Grand Order)、マシュ・キリエライト
- ブラックバレルの模造品であり、「天寿」の概念武装。魔術礼装ともされる。対象の寿命に比例した毒素(攻撃力)を発揮する[出 7]。
- 『Fate/Grand Order』ではシオンとダ・ヴィンチの改造により、オルテナウスのバンカーボルトに接続する形で展開し、マスターからの令呪を弾丸として撃ち出す。なお、この令呪使用には魔力・体力・運命力を総動員させた「マスターの全身全霊」を消費することになる。
- なお、このバレルレプリカを異聞帯のハベトロットが大切な友のために自身の身を削りながら保管・運搬していた経緯から、カルデアで召喚された汎人類史のハベトロットはこれにそっくりな宝具「きみに紡ぐ刻の車輪」を所持している。ただしこちらは概念武装ではなくレールガンのような物理兵器である。
その他
- アーチャーの外套(赤原礼装)
- 所有者:アーチャー
- 一級品の概念武装。とある聖人の聖骸布から作られたマントで、外敵ではなく外界からの守り。[出 8]
- 『Fate/EXTRA』では魔力増幅機能の付いた魔術礼装とも述べられている。
- アーチャーが20代を過ぎた頃に、カレー好きな聖職者から譲られたとすればロマンだと語られている[出 9]。
- ヴォーパルの剣
- 制作者:ラニ=Ⅷ
- 所有者:主人公 (EXTRA)
- 理性のない怪物に有効な概念武装。所有して近づくだけで効力を発揮し、アーチャーが驚くほど即効性が高い。
- キャスターが召喚した怪物ジャバウォックを倒すため、ラニがマラカイトから錬成した。だが彼女の腕でも1回限りの使い捨て。
- 遠坂凛はヴォーパルの剣を概念武装と呼び、ラニは特定対象に作用する魔術礼装と説明している。
- 宝石剣ゼルレッチ
- Heavens feelルートにて概念武装であるとされた。詳しくはリンク先を参照。
- アイギス
- 所有者:マシュ・キリエライト
- マシュが女神アテナの「勝利の権能(ニケ・ソフィア)」を摂取したことにより「概念武装アイギス」がその盾に宿した。オデュッセウスが持つ、オリュンポスの神々による概念防御を有した本物の神器アイギスとの関係は不明。
メモ
- 『Fate/EXTRA』にて、「概念武装」に対して「ロジックカンサー(恐らくは、Logic cancer=論理の悪性腫瘍)」というルビが振られた。これが同作独自のものなのか、他の作品にも共通するものなのかは不明。
話題まとめ
- サークル「07th Expansion」のゲーム『うみねこのなく頃に散』において「赤鍵(セキケン)」と「青鍵(セイケン)」という物が登場。ネタではなくストーリーに絡み、おまけにしっかりと概念武装と明言されている。以前のシエルのように許可をとってのオマージュかどうかは不明。
脚注
注釈
出典
- ↑ 1.0 1.1 「奈須きのこ一問一答-魔術&魔術師関係」『Fate/complete material』p.135
- ↑ 「月姫用語辞典-概念武装」PS2版『MELTY BLOOD Act Cadenza』付属冊子
- ↑ 「月姫用語辞典-火葬式典」『月姫読本』
- ↑ 「聖骸布」『Fate/side material』p.63
- ↑ 「3/Roman-ブラック・バレル」『Notes.』
- ↑ 「ゴドー-ブラックバレル」『Character material』p.29
- ↑ 「月姫用語辞典-バレルレプリカ」PS2版『MELTY BLOOD Act Cadenza』付属冊子
- ↑ 「Fate用語辞典-赤い外套」『Fate/side material』pp.-
- ↑ 「奈須きのこ一問一答-サーヴァント関係」『Fate/complete material Ⅲ World material.』p.133
- ↑ 「『Fate/Zero』ACT1 -282:14:58」
- ↑ 『Fate/Zero』ACT7 -130:32:31
- ↑ 「Fate用語辞典-ロー・アイアス」『Fate/side material』pp.78-79
- ↑ 『Fate/Apocrypha』 Vol.3 「聖人の凱旋」 第一章
- ↑ 『Fate/Apocrypha』 Vol.5 「邪竜と聖女」 第四章
- ↑ 『Fate/Apocrypha』 Vol.5 「邪竜と聖女」 第三章