アインツベルン
概要[編集 | ソースを編集]
「聖杯戦争」における御三家の一つ。
ドイツのとある川近くの山岳地帯に居を構える[出 1]。錬金術を修めており、中でもホムンクルス(人造生命体)の製造で名高い。貴金属の扱いにおいても無類の強さを発揮するが、その反面、得意分野である研究に特化しているため、魔術の戦闘への応用という点においてはやや見劣りする[出 2]。『Fate/stay night』でラインの黄金の伝承に長けていると言われており[出 3]、『Fate/Grand Order』にてジークフリートがアインツベルンが実物を持っていると発言した[出 4]。
もともとは第三魔法を実現した魔法使いの弟子たちによって西暦1年に作られた工房。彼ら弟子たちは人類の救済のため第三魔法を再現しようとするも彼ら自身の手では叶わず、代案として「師と同一の個体を作りその個体に魔法を再現させる」という方法を取った。900年近くの徒労の末、師と同等かそれ以上の性能を持つホムンクルス、ユスティーツァを鋳造することに成功する。しかしそれは彼ら自身の技術や努力とは関係のない全くの偶然から生まれたものであった。
それを耐え難く感じた彼らは自らの技術体系によってユスティーツァを超えるホムンクルスを作ろうと努力したものの挫折し、あるものは城を捨て、あるものは命を絶ち、アインツベルンにはホムンクルスのみが残された。その創造主に捨てられたホムンクルスたちが創造主の目指した理想と目的のために稼働させ続けている工房こそがアインツベルンである[出 5]。
このため彼らは自発的に自分達の行いをやめる事ができず、唯一あるとするなら「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」という自分達で至れる最高傑作にして到達点でも無理だった場合に「これ以上続ける意味がない」として停止することができる、というくらいである。
聖杯戦争のシステムを構築する際、小聖杯と大聖杯をともに創り出した。大聖杯を起動し、その力によって「根源」の孔を固定し、「向こう側」へと至る。そのための手段として使われるのが、アインツベルン家に伝わる「第三魔法」である[出 2]。
『Fate/Apocrypha』では、第三次聖杯戦争によって大聖杯が強奪されたことにもめげず、再び大聖杯を作るべく奮闘しており、奇跡の再現が行えないものかと腐心している。それに伴って、閉鎖的だった彼らもやむなくムジーク家をはじめとする別の魔術師たちと繋がりをを持つようになった[出 6]。また、衛宮切嗣と関わり合いにならないため、最高傑作であるイリヤスフィールは永遠に生まれることはない。幸か不幸か、彼女が生誕しない限り、アインツベルンは絶望しない[出 7]。
『Fate/strange Fake』では第五次聖杯戦争も終結して久しく、そちらの詳細は不明であるがアインツベルンは活動を停止してしまっており、本拠地のアインツベルン城ではユーブスタクハイトを筆頭に、唯一の例外を除いて全てのホムンクルス達が時間を止められたかのように機能停止してしまっている。
『Fate/Grand Order』でもオリジナルの聖杯戦争に関わり深く、冬木の大聖杯を造り出した稀代の魔術師ユスティーツァを輩出した由緒ある魔術師の家門の名前として、カルデアのデータベースにも載っている。
『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』ではアイリスフィール曰く「アインツベルンはもうない」と、ドイツの魔術師一族としては完全に断絶した事が示唆されている。また「他の魔術師とは一切の交流を断っていた一族」「十年程前に願望機降臨の儀式を起こそうとしていた(それ以前についてはまったく触れられておらず、また該当のケースも「第四次」とも言われていない)」など、『Fate/stay night』でのアインツベルンとはかなり異なった経歴に至っている。 後に、アイリスフィールとイリヤスフィールを守るために聖杯戦争に参加しないことを決めた切嗣によって跡形もなく滅ぼされたということが明かされた。
アインツベルン城[編集 | ソースを編集]
常冬の城で寒く、基本的に明かりが落とされる事のない不夜城。
建造物その物は俯瞰すれば凹字型になっており、中央のへっこみ部分が中庭に当たる。対霊加工は完璧で、半端な幽霊では進入出来ない。出来るとしたらそれは霊格の高い、名のあるモノのみ。中庭は一番寒い所で、管理担当はセラ。無断で入ると彼女に怒られるが、イリヤと一緒であればその限りではない。元々アインツベルンは冬山の城なだけに花を育てる伝統は無いのだが、それでもイリヤの希望をセラが汲み取って花壇が作られた。セラの手による花壇作成の記念碑があり、イリヤ曰く「ガラじゃなーい」。
イリヤたちがこの城にやって来たばかりの頃は荒れていたが、その段階でも咲いていた花は残っていたらしく、士郎は十年前はかなりの数の花が咲いていたのではないかと予想している。後にその荒れた中庭はセラとリズの働きにより整えられる。『Fate/hollow ataraxia』においてイリヤは他人に誇れるほど雅ではないと自信なさげであったが、少なくとも一般人の視点から見れば充分美しい庭園になっていたと思う。二年後くらいには今以上に花いっぱいの庭園になるのを目指してセラが頑張っているようだ。その外観とは裏腹に防犯用に作られた地下牢直通の落とし穴があったりもする。『Fate/hollow ataraxia』では三階はイリヤ曰く凛が散らかしたままの面白い状態、士郎及び一般人の感性で述べるなら危険な状態で放置されているらしい。
地下にワインセラー、蒸留所があるが利用していない。本国の城の方にも醸造所はある。ただし、飲む為の酒ではなくて魔術的な用途を目的とした物であり、詰まる所魔術の実験材料の工房である。一口飲むだけで魔力や体力がぐんと回復する霊薬、一種の幻覚作用を持つ感覚の一部を憑依や催眠状態にしやすくする実験試料などが登場している[注 1]。
人物[編集 | ソースを編集]
- ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン
- 9世紀末、偶然鋳造されたホムンクルス。後に大聖杯となった。後継機であるイリヤの中にも彼女の記憶が息づいている。
- ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルン
- 第三魔法の魔法使いの弟子によって作られたアインツベルン城の中枢制御用人工知能「ゴーレム・ユーブスタクハイト」。
- 彼本人に人格は存在しないが、人間性を植え付けた人型端末筐体を鋳造しアインツベルンの管理を行っている。
- アイリスフィール・フォン・アインツベルン
- イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの母。第四次聖杯戦争の9年前、聖杯の器として鋳造されたホムンクルス。
- 「冬の聖女」ユスティーツァの後継機にあたり、また究極のホムンクルスの母胎となるべく設計されたプロトタイプ。
- 『Fate/Grand Order』のコラボイベント「Fate/Accel Zero Order」ではアインツベルンの研究が一世代早く進んだことで、彼女が究極のホムンクルスとなっている[出 8]。
- イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
- アインツベルンの最高傑作と謳われるホムンクルス。第五次聖杯戦争におけるバーサーカーのマスター。
- 彼女でも聖杯戦争に勝利できなかった場合、アインツベルンは「自身の設計思想では第三魔法に辿り着けない」として自殺するのだという。
- セラ
- イリヤの従者。『Fate/hollow ataraxia』の2年前に鋳造された。聖杯の失敗作であるが、士郎への説明ではイリヤに魔術教育と身の回りの世話を施す為だったとしている。
- リーゼリット
- イリヤの従者。『Fate/hollow ataraxia』の2年前に聖杯となるべくして鋳造されたが、失敗作として廃棄されかける。
関連組織[編集 | ソースを編集]
- 遠坂家
- 「聖杯戦争」における御三家の一つ。聖杯戦争を行う教会の管理下ではない霊地、世界に孔をうがつ秘術、サーヴァントを象るシステムを提供した。
- 間桐家
- 「聖杯戦争」における御三家の一つ。サーヴァントというシステムの考案、素材安定のための呪い、第二次から令呪を考案し編み出した。
- ムジーク家
- 『Fate/Apocrypha』で交流がある一族。同様に錬金術を修めており、ホムンクルスの技術の一部提供をしているが、アインツベルンからしてみれば、せいぜい子供に持たせる玩具程度の技術しか教えていない。
- ユグドミレニア一族であることを伏せていたが、当然のようにアインツベルンは承知している。だが、大聖杯は唯一成功したユスティーツァモデルを分解したものであり、それが起動するのであればと協力した[出 6]。
- 『Fate/Grand Order』でも例外的に繋がりが存在し、ホムンクルスの技術を提供された模様。
言及作品[編集 | ソースを編集]
- Fate/stay night
- Fate/hollow ataraxia
- Fate/Zero
- Fate/Apocrypha
- Fate/strange Fake
- Fate/Grand Order
- Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
- Fate/Samurai Remnant
メモ[編集 | ソースを編集]
- 上述の錬金術を応用しているのかとんでもないお金持ちで、冬木の聖杯戦争で損失が出た場合の金銭補償はアインツベルンが行っている[出 9]。財源はどうやらラインの黄金らしい。シャーロック・ホームズからも「アインツベルンの莫大な財源は、ラインの黄金によるもの」だと改めて明言されている[出 10]。
- 元々、上記のように言峰綺礼の台詞や『トラぶる花札道中記』でのブルマの宝具「ラインの黄金(グラス・オリジン)」に名前が登場してはいたが、現物を所有していると予想していたプレイヤーは少なかったため多いに驚かれた。……同時に、ラインの黄金は「莫大な富と破滅を齎す呪われた財宝」として有名であるので、「聖杯戦争がうまくいかない理由」は黄金の呪いのせいかと納得された。
- また、アインツベルンの礼装である「天のドレス」は黄金製であり、万物を支配する指輪が7つ嵌め込まれている[出 11]ので、天のドレスはラインの黄金そのものか、その複製ではないかとも噂されている。
- 余談だが、上記の情報はジークフリートの口から語られるが、彼も「召喚されてから聞いた」と誰かからの伝聞であることを明かしている。アインツベルンにとっても秘中の秘の情報のはずだが、聖杯戦争に縁のあるロマニ・アーキマンか、召喚されたアイリスフィールから話を聞いたのだろうか。
- アインツベルン城の外観のモデルとなったのは、フランスのロワール渓谷沿いに作られたブリサック城と言われており、特に表玄関側の姿は瓜二つとなっている。
- 城があるロワール渓谷は世界遺産に指定されて観光地になっており、城には見学コースがある他、宿泊することも可能である。
- 『Fate/Samurai Remnant』世界のアインツベルンは、森宗意軒にホムンクルス作成の秘奥を盗まれている。
- 後に宗意軒は盗んだ技術を使って由井正雪を作り出すが、母体が人間であったために彼女は疑似的なホムンクルス、或いはホムンクルスの亜種に分類される。
脚注[編集 | ソースを編集]
注釈[編集 | ソースを編集]
出典[編集 | ソースを編集]
- ↑ 「奈須きのこ一問一答-キャラクター関係の質問」『Fate/complete material Ⅲ World material.』p.135
- ↑ 2.0 2.1 「聖杯戦争の成り立ち」『Fate/complete material Ⅲ World material.』p.6
- ↑ 『Fate/stay night』Fateルート十三日目「Youre My Only Star」
- ↑ 『Fate/Grand Order』マイルーム会話
- ↑ 「#15 神話の対決」『Fate/stay night[UBW] Animation Elements』pp.19-20
- ↑ 6.0 6.1 「Fate/Apocrypha用語辞典-アインツベルン」『Fate/Apocrypha material』p.148
- ↑ 「Fate/Apocrypha用語辞典-御三家」『Fate/Apocrypha material』p.166
- ↑ 「Fate/Accel Zero Order」ACT-14「アイリスフィールを狙う影」
- ↑ 「奈須きのこ一問一答-聖杯戦争関係」『Fate/complete material Ⅲ World material.』p.131
- ↑ 『Fate/Grand Order』イベント「神秘の国ONILAND!!」第11話
- ↑ 「Fate用語辞典-天のドレス」『Fate/side material』p.67