ケイローン

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アーチャー(Apocrypha・黒)

  • 真名:ケイローン
  • 身長:179cm/体重:81kg
  • 属性:秩序・善
  • イメージカラー:草色
  • 特技:分かりやすくてたちまち力がつく授業
  • 好きなもの:人を教える/苦手なもの:酔った者同士の争い
  • 天敵:ヒュドラ

弓兵」のクラスのサーヴァント聖杯大戦において、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアに召喚された。
広大な森のような清冽な気配を持った青年。

略歴
真名はケイローン。多くの大英雄達を育て上げ大成させてきた、ケンタウロス族の「大賢者」。
聖杯大戦において、先端に青黒い血が付いた古びた矢を触媒に召喚された。
大地と農耕の神クロノスを父に、女神ピリュラーを母に持つ完全な『神霊』であり、本来『英霊』のカテゴリーに収まる存在ではないが、ヘラクレスから誤ってヒュドラの毒矢を受け、その痛みから不死性を捨てたことで完全な『神性』を失い、『英霊』に格が落ちたため聖杯戦争に召喚し得る存在となった。
半人半馬の姿でもサーヴァントとして召喚されることに問題は無いのだが、視認されただけで真名が露呈してしまうため、自らの意思で一部ステータスの低下を代償に人の姿で現界した。
黒の陣営では参謀役を務め、マスターだけでなく、サーヴァント達からの信頼も厚い。
黒と赤の対立構造が崩壊した後はルーラーと合流し、シロウの側についたキャスターを倒す。キャスターが繰り出した「王冠・叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト)」との戦いではその弱点を見抜き、ジークライダー赤のセイバーに的確な指示を下して撃破に貢献し、以降も同盟側のブレーンとして活躍する。
空中庭園へ向かう機上では、ついに愛弟子である赤のライダーとの決戦を迎える。己の肉体のみを頼りにした決闘を繰り広げるも、赤のライダーに敗北。しかし戦闘後の隙を突く形で宝具を発動させ、彼の最大の弱点を撃ち抜き、黒陣営のアーチャーとしての役目を全うして消滅した。
人物
誰に対しても礼儀を持って接する好青年で、常に柔らかな物腰を崩さない。高潔な人格者であり、周囲からは魔術師として当然の事と見なされたフィオレの努力を正当に評価している。
大英雄達の師であるため、面倒見がよく、相手に合わせた的確な助言を行い、ライダーやホムンクルスに度々忠告と助言をする。
聖杯への願いはかつてプロメテウスに預けた「不死」の返還。その理由は「不死」を惜しむからではなく、「不死」であることを両親からの贈り物であり、確かな繋がりだと信じているから。
元より彼の父クロノスは妻の目を欺くために馬に化け、母ピリュラーと交わり、母はケイローンを産み落とした時、彼が半人半馬の姿で生まれたことを嘆き、菩提樹に姿を変えたという。彼の両親は最初から彼に愛情など注いでおらず、彼自身それを理解していた。
だが「不死」という両親との繋がりを失ってしまった自分は最早、「ケイローンであってケイローンではない」と断言し、我欲に塗れた願いであると恥じながらも、彼にとっての父母とのささやかな絆の証を求めている。
能力
夜空に燦然と輝く射手座(サジタリウス)の原型である彼は、世界で最も有名な「弓兵」であり、「弓の使い手」として最高位の能力を持つ。
その技量は闇夜の森で赤のアーチャーバーサーカーに放った黒く塗られた音速を超える矢を、遠く離れた城壁の上から正確に捉え、寸分の狂いもなく射抜き撃ち落すほど。矢も魔力を込める事で威力・速度の上昇、突き刺さると大爆発するなど様々な効果を付加することができる。
神々から様々な智慧を授かり、医神と謳われたアスクレピオスを育て上げた彼もまた熟練した医術の知識を心得ており、専門外であるはずのホムンクルスの状態を正確に把握し、彼の余命まで診断する。
『英霊』にまで格が落ちたといっても『神性』は健在で、倒すのに『神性』を必要とする赤のライダーの守りを貫くことが出来る。
ステータスも非常に高く、セイバーランサーにも引けを取らない。また剣術・槍術に加えて、拳闘と組技を複合させた世界最古の総合格闘技『パンクラチオン(全ての力)』の使い手でもあり、魔力放出による爆発的な加速と高所からの落下による運動エネルギーを加わった赤のセイバーの斬撃を受け流し、逆にその力を利用して投げ技で地面に叩き付けカウンターを行うほどの実力者。
戦術眼も極めて高く、ランサーから前線の指揮を任されており、その優れた戦略判断と弓技によってセイバーとバーサーカーの窮地を救っている。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
アーチャー フィオレ・フォルヴェッジ・
ユグドミレニア
B B A+ B C A 対魔力:B
単独行動:A
千里眼:B+
心眼(真):A
神性:C
神授の智慧:A+

宝具

天蠍一射(アンタレス・スナイプ)
ランク:A
種別:対人宝具
レンジ:5~99
最大捕捉:1人
由来:蠍座のα星アンタレスと、それを狙う射手座
天空の射手座から放たれる矢によって相手を射抜く。威力と精密性においては彼の持つ攻撃手段の中でも随一。
さらに特筆すべきは、空にある射手座は「既に矢を番えて引き絞っている」ため、使用の際の予備動作が必要ないことにある。この宝具の発動には自身が弓を構える必要も、魔力を溜める必要も、真名を叫ぶ必要もなく、ただ標的を定めるだけでよい。本来は弓という武具には必ず存在するはずのタイムラグをゼロにした射撃が可能。また、ケイローンが死亡した際も、1ターン後に自動発動する。
なお、一日に一度しか使用できず、一度発動させると次の夜になるまで再使用不能となる。
由来となったのは「射手座は蠍座が天空で暴れないよう、その心臓(の位置にあるアンタレス)に向けて矢を番えている」という逸話だが、ケイローンはギリシャ神話の中では英雄オーリオーンとも、その命を奪った蠍とも係わりがない。「後の時代に追加された有名な逸話が、サーヴァントになったことで顕現した」タイプの宝具であり、その特性も相まって、彼の生前を良く知るアキレウスでも対処のしようがなかった。

登場作品と役柄

Fate/Apocrypha
「黒」のサーヴァントとして登場。
ちびちゅき!
当然のように教師役。星座について講義していた。

人間関係

Fate/Apocrypha

フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア
マスター。彼女との関係はユグドミレニアの他の組と比較しても、抜きん出て良好で、彼女はアーチャーに全幅の信頼を置いていて、睡眠時などを除いたほとんどの時間を彼と過ごしている。主従や恋人というより、教師と教え子のような関係
カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニア
マスターの弟。自分がいなくなった後の事を考え、フィオレが抱えている弱さについて語って後事を託し、またカウレスがバーサーカーの死に対する自責の念に駆られている事を見抜き助言を送る。
ライダー
召喚されたときからの付き合い。彼の英雄としての本分に忠実で、高潔な在り方を信頼しており、ライダーもアーチャーの人柄を信頼している。たまにホムンクルスとの会話で、真名をぽろっと洩らされたりしているが、それも彼なりの信頼の証と言える。
バーサーカー
驚くべきことに彼は、普通は唸り声にしか聞こえない彼女の言葉が分かるらしく、戦闘中コミュニケーションを取り、的確な指示を下す。彼女も自分の言葉が分かってもらえるためか、彼の判断を信頼しており、一見無謀に見える指示でも忠実に実行する。
ランサー
『大賢者』と尊称で呼び、セイバーと同等の信頼を置いている。
キャスター
アーチャーは彼が自分自身もマスターも聖杯戦争も眼中になく、ゴーレムの完成にしか関心を払っていないことには薄々感づいていたため、その真意にいち早く気づき、滅多に見せない怒りを込めて粛清する。
ジーク
ライダーの求めに応じ、自室を提供して、彼を匿うのに協力する。彼に敢えて余命を告げ、生きることへの助言を与える。
ルーラー
同盟の代表者。空中庭園脱出から、という短い付き合いだが同じ「秩序・善」属性であるためかお互い相性は良い。たまに、彼女とライダーがジークを奪い合っている所を面白そうに眺めている事も。
赤のセイバー
アサシンを巡る戦いで戦闘を行ったサーヴァント。後の同盟相手。
セイバーの方は前回の戦いは互いに痛み分けで終わったため、本音は決着をつけたかったが、状況が状況なので共同戦線を張る事に。
アーチャーの方は初対面から、「紛れもない英傑の相が有る」「素晴らしい英霊だ」と高評価。
赤のライダー
生前深い関りがあり、彼の真名を知っている。彼を打倒するのに必要な『神性』を持つ者が黒の陣営では自分しかいないため、苦悩を感じながらも自らの手で倒すことを決心している。

生前

カリクロー
妻。神霊に限りなく近い精霊「ニュンペー」であり、何人も娘を産んだ。またアキレウスに一心に愛情を注ぐことの大切さを教える。
ヘラクレス
弟子の一人。師から弓技を初めとする多くのことを学び、ギリシャ神話最強の大英雄と称えられるほどの活躍を見せた。
イアソン
弟子の一人。大英雄達の探検船、アルゴー船の中心人物であり、メディアのかつての恋人。
カストール
弟子の一人。師から学んだ馬術と格闘術の達人であり、弟のポリデュークスと共に多くの功績を上げ、ふたご座となった大英雄。
アスクレピオス
弟子の一人。師を凌ぐ医学の叡智を極め、死後『医神』として神の座についたとされる。

名台詞

「……確かに、私は父にも母にも愛されなかった。それでもやはり、血の繋がりの証とも言えるものを取り戻したい。
我欲に塗れていると言っても否定はできません。そもそも、今更不死になったところで何か変わる訳でもない。
ただ、それでも―――」
フィオレに語った自らの願い。父と母とのささやかな繋がりを求めて。
「ええ、教師ですよ」
ライダーにホムンクルスへの接し方についてアドバイスした際、「まるで教師みたいな言い方だなぁ」と言われた事への反応。彼が正論や合理的な思考に囚われた堅物ではなく、柔軟な対応ができる人物であることが良く分かる。また大英雄達の後見人であった自負も垣間見える。
「なるほど。仮にもこれが聖杯戦争であるならば、こういう可能性もまた有り得なくは無かったか。
………運命というものは、時に死者である我々にまで牙を剥く」
赤のライダーとの戦いを終えた際のセリフ。生前に知己を得た者と殺し合うという、運命の悪戯を苦々しく思いながらも、主に勝利を捧げるため、そして自らの願いを叶える為彼を倒すことを決意する。
「愚問ですよ。此度の聖杯大戦において、私は“黒”のアーチャーとして顕現した。そして君は“赤”のライダーとして顕現した。
互いに懸ける望みがあり、未練があった。だから此処に居るのでしょう。私も、そして君も」
「どうして、貴方が」と問う嘗ての弟子に返した至極当然の返答。愕然とする弟子を厳しい言葉で撥ね付け、ただ「戦え」と言外に告げる。
「キャスター、君はまさか―――」
この時、彼の声は凍るように冷たい。キャスターがシロウの誘いに乗る条件として「元のマスターであるロシェに危害を加えるな」と提示した際に、その真意を悟ったが故の激怒。
「当然でしょう。迷う者を導くことが教師の務めです。
 英霊になったからといって、生前からの務めをおろそかにはしませんよ」
カウレスにフィオレがユグドミレニアの長になった場合、人間的な精神を持った彼女は耐えきれなくなる可能性が高い事を語って。最終的に座に還る英霊にとっては、例え自分のマスターであってもその後の事は無関係といっても良いのだが、数多の英雄を教導した大賢者は最後までマスターの事を考えていた。
「では最後に。
 私は、バーサーカーフランケンシュタインのマスターが貴方で良かったと思います。恐らくは、彼女自身もそうでしょう」
カウレスとの問答の終わり。カウレスがバーサーカーを無駄死にさせてしまった、と気に病み続けていた事を見抜き、別れ際に言い放つ。明確な保証のない言葉だったが、カウレスの心に慰めをもたらし、彼が張り続けていた虚勢は脆くも崩れ去った。
マスターだけでなく自分にまで教えを授けて去っていく彼の姿にカウレスは「どこまでも教師なんだな、アイツは」と密かな感謝の念を込めて呟いていた。
「おや。修羅場ですか?」
ルーラーライダージークを巡って論争していた場面に対して。彼にしては珍しく口を押さえてくつくつと笑っていた。

メモ

  • 小説版で新規に追加されたサーヴァントの一人。
  • 元は『神霊』という点は、彼女と同じ。
  • 宝具を一切使用せずサーヴァント二騎を軽々と退ける弓兵として最強の技量、最高クラスのサーヴァントに引けを取らない高ステータスと格闘戦の実力、作戦立案から前線部隊の指揮まで全てこなす戦略眼、マスターや味方のサーヴァント達に的確なアドバイスを与えられる人間としての器の大きさ、神秘や医術に関する極めて高度な見識、とサーヴァントとして余りにパーフェクトな人物。
    その上、高潔なだけでなく、隙を見せた相手には不意打ちを行うなど実戦的な判断能力も備え、生前英雄たちの教師をやっていたことからファンの間では称賛の意味も込めて「ケイローン先生」と呼ばれている。
    そもそも前述のパーフェクトな能力から欠点をあげる事自体難しいサーヴァントであるため最優のサーヴァントとの呼び声も高い。
  • スキル「神授の智慧」は「特定の英雄が独自に所有するものを除いたほぼ全てのスキルを、B~Aランクの習熟度で発揮し、マスターの同意があるならば他サーヴァントにスキルを授ける」と恐ろしく強力な効果であるものの、英雄として成立しているサーヴァントが教えを乞うことはほとんどないため、実際にスキルを授けられる可能性は通常の聖杯戦争はもちろん聖杯大戦ですらなかなか存在しないだろう。
  • 野蛮で粗暴なケンタウロス族の中で、彼は例外的な存在であり、アポローンから音楽、医学、予言の技を学び、ペーリオン山の洞穴で薬草を栽培しながら病人を助けて暮らしていたという。
  • 弟子のアスクレピオスは、アテナから授かったメドゥーサの右側の血管から流れた血を使い、死者を生き返らせることができるようになったという。
    また同じく弟子のカストールも、伝令神ヘルメスからメドゥーサの子、天馬ペガサスの弟である「ケレリス」を与えられている。面識は互いに無いにも関らず、弟子達を通じて、彼女と不思議な縁がある。
  • 『Apocrypha』3巻の口絵のステータスでは、宝具の真名や説明がぼやけていて隠蔽された状態となっている。

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