アキレウス

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ライダー (Apocrypha・赤)

  • 真名:アキレウス
  • 身長:185cm / 体重:97kg
  • 属性:秩序・中庸
  • 性別:男性
  • イメージカラー:白緑
  • 特技:英雄に必要なスキル全て
  • 好きなもの:勝利と美女の微笑み / 苦手なもの:運命
  • 天敵:ヘクトール、ペンテシレイア

騎兵」のクラスのサーヴァント聖杯大戦では赤の陣営に属する。
銀の軽鎧を纏った美丈夫。

略歴
真名は、英雄叙事詩『イリアス』で「駿足のアキレウス」と呼ばれる大英雄アキレウス。ギリシャ神話においてヘラクレスと比肩し得る大英雄であり、英雄ペレウスと女神テティスを両親に持つ、世界的規模の知名度を誇るトロイア戦争最強の戦士である。
聖杯大戦には赤のサーヴァントとして現界した。彼のマスターはシロウ達によって召喚される前から傀儡と化しており、以後、マスターとの「仲介人」を名乗るシロウの思惑で行動することになってしまった。
アーチャーの援護に向かった際、迎撃に現れた黒のセイバーバーサーカーと戦闘を行う。そこで自分の身体に傷をつけられる謎の弓兵による狙撃を受け、彼を最大の好敵手と見定め、一時撤退する。
黒と赤の決戦では先陣を切り、猛進するが再び弓兵の攻撃を受け、誘いに乗って向かった先で黒のアーチャーとして正体を現したかつての恩師と再会する事となる。大きな衝撃を受けるも彼の叱咤で戦意を取り戻し、歓喜と共に一進一退の死闘を繰り広げるが、バーサーカーの暴走によって戦闘は中断する。その後、吸血鬼と化した黒のランサー討伐のためルーラーの命によって黒の陣営と共闘、その末に自分たちのマスターがシロウに傀儡とされていたことを知る事となる。
憤慨し槍を突きつけたが、シロウの目的を聞かされ、また黒のアーチャーとの決着と自らの願いを叶える為、マスターとは認めぬまでも一旦は矛を収める。その後、暇潰しも兼ねてシロウが申し込んだ手合せで、自分に終始圧倒されながらも最後まで屈しなかった彼の意志と愚直さを見て、僅かながらも感銘を受け、「生前の未練」についての問答を通してシロウを正式にマスターとして認めた。
最後の決戦では黒のアーチャーとついに決着の時を迎える。宝具『宙駆ける星の穂先』によって互いの武器を捨てた素手による決闘を挑み、壮絶な死闘の末に勝利を収める。しかし、彼が消滅間際に放った宝具によって弱点である踵を射抜かれ、不死と敏捷性の7割を喪失する。それでもなお黒の陣営を相手取るには十分な力を有していたが、魔獣に変貌した赤のアーチャーの姿を目にしたことで、彼女の異変を察しつつも自分の都合を優先して止められなかった己の愚かさを悔い、黒の陣営との戦闘を放棄。師と交わした約束に従って自身の『盾』を黒のライダーに与え彼らを助けた後、暴走するアーチャーを止めるべく戦いに赴く。満身創痍の状態でありながらカリュドンの魔獣に成り果てた赤のアーチャーと渡り合い、捨て身で魔獣化を解除し、致命の一撃を与えた。今わの際、正気を取り戻した彼女を抱きながら、共に消滅していった。
人物
気に入らなければ王の命令であろうと公然と無視する奔放な青年。
だが義に厚く、卑怯な振る舞いを嫌い、討ち果たされた友のためなら万軍を敵に回しても見事敵将を討つほどの豪傑で、世界にただ一人の友と愛する女たちがいれば、ただそれだけで満足とし、散り様でさえ陽気を忘れない勇者。
敵と認めた者は徹底的に打ちのめす苛烈な気性だが、一度味方、あるいは『良い奴』と認めた者には甘さを見せる、良い意味でも悪い意味でも『英雄らしい』人物。豪放磊落な一方、乱暴狼藉な英雄ではなく、父ペレウスに似て穏健を善しとする根の甘さを持った青年でもある。
強敵との力を尽くした戦いを好み、破格の不死性を誇るものの、彼にとってはそれすらも寧ろ破られる方が好ましく感じており、自らを傷付けられる好敵手と戦う事を熱望している。自身の願いの為に最終的にマスター換えを受けいれたものの、裏切り行為自体は嫌っているようで本来のマスターに対して、例え顔を会わせてなくても主であるマスターを裏切りなどご免と語るなど義理がたい一面を持っている。
聖杯への願いは生前と変わらず『英雄として振る舞う事』。過去の戦いや神に背き破滅した事など生前の出来事に対する未練はないが、現世でやってみたい事は山ほどあるので、「第二の生」にも興味がない訳ではない。だが彼にとって、母に誓った「英雄として生き、英雄として死ぬこと」が人生の大前提となっている。
能力
伝承通りヘラクレスと遜色ない実力者で、オリンポスの神々の加護によって、彼の身体は『神性』または神造兵装を持たない者の攻撃では疵の一つも付けられず、例えA+ランクの対軍宝具の直撃ですら、余裕で耐えることが出来る。また高ランクの『勇猛』スキルを持ち、精神干渉は一切通じない。
「騎兵」クラスにも関わらず、その戦士としての技量は数多の英雄の中でも最高峰に位置し、白兵戦においては「英雄殺しの槍」を主武装に、神速・神域の槍捌きと体術をもって敵を圧倒する。それ以外に、腰に差した剣を槍と併用することもある。騎馬を召喚していない状態でも、黒のセイバーとバーサーカーを同時に相手取る程の実力を持つ。また、伝承の通りに圧倒的な敏捷性を誇り、最速のサーヴァントとされるランサーやギリシャ屈指の俊敏さを誇る赤のアーチャーをも上回る、全英霊最速の駿足を有する。その速度は瞬間移動にも等しいレベルであり、有史以来の全人類、その頂点に位置するとされている。その凄まじい駿足ゆえに、視界に入る全ての光景は彼の間合いであり、距離など関係なく一瞬で間合いを詰め攻撃を繰り出せるとされる。攻撃速度や体捌きも最速であり、その攻撃はケイローンをしてすら捕捉不可能で、師としての経験や未来予知レベルの心眼を合わせた推測によりようやく渡り合えているほど。
優秀な師に師事し、幾多の戦場を駆け抜けたギリシャ神話でも一、二を争う戦士たる彼は、戦力の重点を宝具に置く他のライダーと異なり、『槍兵』として召喚されてもなんらおかしくない技量を誇る。
事実上、一定以上の『神性』または神造兵装を持たない者はほぼ勝ち目がなく、もし黒の陣営に『神性』を有するケイローンがいなければ、その時点で赤の陣営の勝利が確定していたとされている。また『神性』または神造兵装により不死を無効化したとしても、アキレウス自身が超一級の戦闘力を有する英霊である事は何も変わらないため、無論のこと打倒は極めて困難である。
上記の不死性とその圧倒的な力量から、ランサーに匹敵する赤の陣営最強の大英雄と評されている。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
ライダー シロウ・コトミネ B+ A A+ C D A+ 対魔力:C
騎乗:A+
戦闘続行:A
勇猛:A+
女神の寵愛:B
神性:C

宝具

疾風怒濤の不死戦車(トロイアス・トラゴーイディア)
ランク:A
種別:対軍宝具
レンジ:2~60
最大捕捉:50人
由来:アキレウスが戦場で駆ったと言われる三頭立ての戦車。
海神ポセイドンから賜った不死の二頭の神馬「クサントス」と「バリオス」、エーエティオーンの都市を襲撃した際に奪った名馬「ペーダソス」からなる戦車。
ただ疾駆するだけで戦場を蹂躙し、削岩機の如き勢いで敵陣を粉砕し、天を翔ける。
速度の向上に比例して相手に追加ダメージを与える。最高速度となると、大型ジャンボ機ですら瞬時に解体する。
魔力の消費量が多く、この宝具を使用した場合は下手をすればアキレウスの他にもう1体サーヴァントを召喚した場合と同程度の魔力を必要とする。
クサントス
さる女神から人語を理解し、喋る能力を与えられている不死の神馬。ただしさすがにサーヴァントの宝具として召喚されたこの状態でも不死というわけにはいかず、実際には「少なくともサーヴァントクラス」という程度の頑丈さでしかない。
ライダーの指示には忠実で戦闘中に意見もする。喋り方は丁寧だが性格は最悪で、主が不利な状況に追い込まれる可能性があるのを敢えて黙っていたり、追及されても「ブヒヒヒ」と非常に卑しい笑い方で対応する。
そんな性格なので、ライダーからは槍の石突で制裁を加えられている。
バリオス
もう一頭の神馬。こちらも実際には不死ではない。寡黙な性格で、制裁を加えられて無様な悲鳴を上げるクサントスを呆れた目で見ている。
ペーダソス
稀代の俊足を誇る名馬だが、神馬ではない。
決戦で黒のアーチャーの一撃を脳天に受け、霊核を破壊されたことで消滅した。
彗星走法(ドロメウス・コメーテース)
ランク:A+
種別:対人(自身)宝具
レンジ:0
最大捕捉:1人
由来:「あらゆる時代の、あらゆる英雄の中で、最も迅い」というアキレウスの伝説。
『疾風怒濤の不死戦車』から降り立つことで起動する常時発動型の宝具。広大な戦場を一呼吸で駆け抜け、フィールド上に障害物があっても速度は鈍らない。弱点であるアキレス腱が露出してしまうが、アキレウスの速度を捕捉できる英霊は数少ない。
アキレウスの急所である踵を貫かれた場合、この宝具は消滅する。
勇者の不凋花(アンドレアス・アマラントス)
ランク:B
種別:対人(自身)宝具
レンジ:0
最大捕捉:1人
由来:アキレウスの母である女神テティスが彼に与えた不死の肉体。
踵を除く全身に不死の祝福がかかっており、如何なる攻撃を受けても無効化する。だが一定ランク以上の『神性』を持つ相手には、この効果が無効化されてしまう。『神性』がアキレウスと同等以上のCランク以上であれば無効化でき、それ以下の『神性』ではダメージが削減される(Dランクでは75%まで、Eランクならば50%までダメージ削減)。その他、神造兵装による攻撃ならば『神性』を持たない者でも通じる。その際のダメージ数値は神造兵装のランクによって変動する。
また伝承に伝わる通り、急所である「踵」には効果がなく、踵を破壊されると不死自体が消失する。さらに悪意や敵意を含む攻撃には有効だが、吸血行為のような、攻撃ではなく『友愛』を示す行動には作用しないという弱点も存在する。
宙駆ける星の穂先(ディアトレコーン・アステール・ロンケーイ)
ランク:B+
種別:対人宝具
レンジ:2~10
最大捕捉:1人
由来:師のケイローンが作ったアキレウス愛用の槍。
ケイローンが作った青銅とトネリコの槍。だが、アキレウスはこの槍を用いてケイローンすらも知らない独自の能力を編み出した。その能力は「闘技場」。突き立てた槍を基点として空間そのものを切り取る形で、闇の壁に包まれた特殊な空間を作り出す、固有結界と似て非なる大魔術である。
この空間の効果は「一対一で敵と公平に戦うこと」、ただそれだけ。この空間内では神の加護は働かず、第三者は無論、幸運すらも介入させず、時間も静止している。「まぐれ」すらも起こり得ない、究極の実力勝負。また、この闘技場を塗り潰せるようなものでなければ宝具の使用も制約される模様(武器の使用は可能)。空間内では通常と異なり負傷は治らず、蘇生系のスキルや宝具も効果を発揮せず、敗者は現実に戻っても死亡する。
この効果はアキレウス自身にも適用され、ここでは『勇者の不凋花』の不死は働かなくなる。あくまで相手と「公平」に戦うための領域であり、必ずしもアキレウスにとって有利になるとは限らない。
つまるところ、この闘技場の効果とは、ただ己の実力のみで相手を打ち斃す「公平無私の一騎打ち」の強制である。
極めて単純でそれゆえに堅牢な空間であり、アキレウスはこの空間が破られないことに絶対の自信を持っている。
しかし制約も存在し、アマゾネスの女王・ペンテシレイアをこの槍で殺害したことがトラウマとなっており、女性相手には使用不可能。また、アキレウスの性格上、彼にとって一対一で戦うに値しない程度の相手にはそもそも使おうとはせず、相手が決闘を望まなかった場合にも無理に使用はしないという。
元々はトロイア戦争の宿敵・大英雄ヘクトールが、女神の加護を受けたアキレウスと戦うことを避けて逃げ回っていたため、彼と公平に決着をつけるために作り出したものである。ここでの決闘によって、ヘクトールを打ち破っている。
また、上記の特殊能力の他に、本来この槍は『必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)』と酷似した治癒不可能の不治の呪いの効果を有している。ライダーとして召喚されたために失われているが、ランサーとして召喚された際にはこの不治の呪いが槍に付与される。
蒼天囲みし小世界(アキレウス・コスモス)
ランク:A+
種別:結界宝具
レンジ:0
最大捕捉:1人
由来:アキレウスの母である女神テティスが息子のために作らせた鍛冶神ヘパイストス製の盾。
鍛冶神ヘパイストスによって造られた神造兵装。アキレウスの切り札であり、彼が生きた世界の全てを表した大盾。全面に渡って凄まじいまでの精緻な意匠が施されている。
真名解放することで盾に刻み込まれた極小の世界が展開され、一つの“世界そのもの”で攻撃を防ぐ結界宝具。
この盾に挑むということは、即ち世界を相手取るということであり、発動させれば対人・対軍・対城・対国・対神宝具にすら至るまで、ほぼ全ての攻撃を防ぎ切る。ただし、その性質上、対界宝具だけは苦手とする。
双方の同意と契約の上でアキレウスから黒のライダーへと託され、彼の手によって赤のランサーが放った『日輪よ、死に随え』を防ぐために使用された。神すら滅ぼす赤のランサーの槍も、“世界”そのものは殺すことができず、槍を完全に阻んで防ぎ切り、アストルフォとジークを守り抜いた。その後の決着の際には既に砕け、消えていた。
またアキレウス自身が使用した場合のみ、この盾を「攻撃」に転用できる。宝具を展開した後、突撃することによってその極小世界で相手を押し潰すというものである(ヘパイストスも想定外の使用法であるとか)。

登場作品と役柄

Fate/Apocrypha
「赤」のサーヴァントとして登場。
ちびちゅき!
所属不明。期末試験のクイズ対決にて師匠と激闘を繰り広げる。

人間関係

アーチャー
「姐さん」と呼び、非常に親しい関係。
同郷という事もあり、隙あらば口説いているが、いつも素っ気無く扱われている。先にどちらが先陣を切るか揉める事もあるが、互いに人柄と実力を信頼し合っている。
ランサー
彼をインド神話屈指の大英雄と評し、その実力と品格から敬意を払っている。如何なる嘘をも見抜く見識を非常に高く評価しており、手を抜いて相手をすると大英雄である彼への侮辱になってしまうという考えから、軽い手合わせをしようとも思わず斬り合う時は殺し合う時と定めている。
アサシン
傲慢かつ不遜で信用ならない上に、元々王族を毛嫌いしている彼との相性は最悪で、チーム戦の「聖杯大戦」ではなく、バトルロワイヤルである「聖杯戦争」ならば真っ先に彼女を殺そうとするだろうと言われるほど。
後にシロウをマスターと認めたことでお互いに態度を多少は軟化させるが、今度は彼女がシロウにご執心である事を弄るようになる。
シロウ・コトミネ
一応協力してはいるが、不穏な気配を感じ取っており、全く信用していない。
後に試合と問答を通して彼の覚悟の程を認め、マスターと正式に認める。
黒のアーチャー
「先生」と呼ぶ(明確に敵と認識できている場合のみ「黒のアーチャー」と呼ぶ)。
かつての恩師であり、9年もの間、それも多感な少年時代を共に過ごした父であり、兄であり、親友でもあるような存在。
正体を知った時、戦意を喪失しかけるほどの衝撃に襲われるが、当の相手から叱咤されたことで気を取り直す。
決戦を控えて幾度と無く脳内で彼との戦闘をシミュレートするも、何回やっても「負ける」もしくは「勝つのに時間がかかりすぎる」という結論に至り、『宙駆ける星の穂先』の異空間内での殴り合いを提案した。
アーチャーの側でもかつての弟子を赤のサーヴァントとして召喚するという運命の悪戯を苦々しく思っていたが、自陣営のサーヴァントで彼を倒せるのは自分だけと悟り、己とマスターの願いを叶えるためにも手加減などはせず、正体を明かした後は全力で戦いに応じている。また、せめて倒すならば自分の手でという心からか、乱戦中にも助言を与え、吸血鬼化した黒のランサーに眷属とされそうな所を助けるなど、度々手を貸している。
一方で決戦の時は『宙駆ける星の穂先』の決闘に応じる代わりに『蒼天囲みし小世界』の譲渡に関する何らかの頼みを行う、死の間際に警戒を解いたアキレウスを宝具で不意打ちする、など黒のアーチャーとしての役割を重視する側面も見せる。
パトロクロス
かつての戦友。
出陣をボイコットした自分の代わりに戦場に出た彼が、トロイア軍の総大将ヘクトールに討たれたことを深く嘆く。彼の敵討ちを決意し、倒したヘクトールの死骸を戦車で引きずり回し辱めただけでは飽き足らず、逃げ崩れるトロイア軍を殺戮した。この愚かで不寛容な振る舞いは神々の不興を買うこととなり、その後のアキレウスの運命は破滅に突き進んでいくこととなる。
パリス
トロイアの王子であり、女神エリスの策略によりヘラ、アフロディテ、アテナの三女神のいずれが最も美しいかという所謂「パリスの審判」の裁定を下したことで結果として故郷のトロイアを滅亡に導いた。
アキレウスが愚挙により神々の怒りを買った際、太陽神アポロンから賜わされた弓矢で唯一の弱点である踵を射抜き、次いで心臓を射て不死身の英雄を倒したが、後に自分もヘラクレスの弓を受け継いだ英雄ピロクテーテスに射られて命を落とす。
へクトール
トロイアの王子で総大将、パリスの兄である。高潔な武人であり、トロイアを戦乱に巻き込んだパリスを叱責するが、見捨てる事はしなかった。
トロイア城門の眼前で行われたアキレウスとの一騎討ちは、ギリシャ一の勇者を決める戦いとして神々からも注目された。
作中の回想によると、飄々とした印象を与える中年男性。自分のことを『オジサン』と呼ぶ。

名台詞

「――来い。
 真の英雄、真の戦士というものをその身に刻んでやろう。」
黒のセイバーバーサーカーとの対峙。彼の不遜な挑発に二騎は殺意を露わにするが、微風のように受け流し、更なる挑発を口にする。
「ハハ、ハハハハハ! 素晴らしい! 素晴らしいぞ、黒のアーチャー!
 お前は俺を傷つけ、殺すことができるのか!
 ならば、俺とお前の戦いは宿命であるッ!
 おお、オリンポスの神々よ。この戦いに栄光と名誉を与え給え!
謎の弓兵の攻撃を受けて。
傷つけられたことに対する屈辱などなく、自身に匹敵する好敵手の存在に抑えきれない喜びを表す。
だがこの時、彼は神々の悪辣さを忘却していた……。
「応、是非頼む。」
キャスターが先陣を共に切る彼とアーチャーに出した、「初めての共同作業として、愛の詩を送ろうか」という提案に対して。
喜びに顔を輝かせる彼に対してアーチャーの方はというと……。結果、失恋する男の切ない詩が生み出された。
「あ――――――なた、は」
追い詰めた先で知った、好敵手の衝撃的な正体。
愕然とする彼に対し師は厳しい言葉で撥ね付け、ただ「戦え」と言外に告げる。
「あのな。 ランサーと軽く打ち合えってのが無理なんだよ。
 一度打ち合ったが最後、俺達は勝って殺すまでやり合うぞ」
「インド屈指の英雄に、五分の力なんてのが失礼千万だ。
 アイツと打ち合う時は、殺し合う時と決めている」
シロウが提案した「ランサーとの試合」について。「施しの英雄」に戦場で殺し、殺される戦士として最大の敬意を払う。
会話したこともなく性格も正反対な両者だが、言葉を交わさずとも生粋の戦士として互いに通じる物を感じていた。
「俺が駆け抜けた俺の人生だ。手前が勝手に解釈すりゃいいさ。ただまぁ―――」
「喜劇にしてくれ。読んだ人間が、馬鹿馬鹿しいと笑ってくれるような。実際、踵だけが人間のままでそこを射抜かれて死んだなんて、馬鹿馬鹿しいにも程がある!」
キャスターから「いつかあなたの物語を書くとしたら、喜劇か悲劇か」と問われて。この答えに稀代の劇作家は、いつもの笑みを消して真摯な態度で「畏まりました」と頷く。
余談だが、彼が著作した劇でアキレウスが登場する『トロイラスとクレシダ』は悲劇に属する。

メモ

  • 小説版で新規に追加されたサーヴァントの一人で、東出氏原案のキャラクター。
  • 彼の父ペレウスはアタランテと「アルゴナウタイ」と「カリュドーンの猪狩り」に共に参加した旧知の仲で、彼が彼女の事を「姐さん」と呼ぶのは親しみの他に、父と共に冒険をした人物に対する敬意も含まれていると思われる。
  • 母ティティスは海の神ネレウスの眷属・ネレイデスの乙女で、その美貌から主神ゼウスも彼女を狙っていたが「必ず父より優れた子を産む」という予言を知ってあっさり諦めた。ある意味遠坂葵の原典である。
  • 母ティティスが彼を不死の体にした方法は、作品中では「神聖の炎で炙り、人間としての血を蒸発させる」というものであったが、一般的に知られる伝説では「冥府に流れる忘却の川(レテ)の水に浸す」パターンであることが多い。
    この場合、赤子の足首を掴んで川に突っ込んだために踵の一部が不死性を得ず残ってしまったという、いわばうっかりミスの結果があの弱点であり、作中で語られる「父ベレウスがアキレウスの人間の部分を全て失くすことを惜しんだため」という理由に比べると微妙に格好悪い。
  • かの大英雄カルナと同等の戦力評価は伊達でなく「神性」または神造兵装を保有してないサーヴァントでは実質彼に勝つ事は限りなく不可能に近いとされる程で、ライダーの真名を聞いたカウレスも弱点の踵があるにも関わらず黒のサーヴァントでケイローンが居なかったら黒陣営の敗北は確定していたと評している。
    • 尤も好敵手との戦いを求める彼にとって神性を持たない者との戦いにはあまり執着はしておらず、自らを傷つけられる者との戦いを優先している。自身を傷つけられるアーチャーの存在を知った際は歓喜で身を震わせて再戦を宣言したり、赤陣営と黒陣営との全面戦争の際にも積極的にアーチャーと戦おうとしている。態々、ダメージを与えうる存在と戦おうとしているので戦略的には不死性を活かしているとは言い難かったりする。
    • なお、神性または神造兵装を持つ(あるいは神性をスキルで取得できる)サーヴァント、つまりアキレウスに傷を負わせることができるサーヴァントは、現在約110人ほど存在するサーヴァントのうち約30人程度。
  • 伝承の中には、メディアの4人目の夫だったという説も存在する。
  • イスカンダルは彼が主人公である『イリアス』の大ファンである。
    史実では元々、イスカンダルの母方にあたるエペイロスのモロッソイ王家はアキレウスの子ネオプトレモスとトロイの王女の末裔を自称しており、幼い頃から英雄譚に憧れて育った彼は師アリストテレスから贈られた『イリアス』を片時も手放さず、東方出征の折には往路で立ち寄ったトロイ遺跡でアキレウスの墓に詣でたり、親友ヘファイスティオンをパトロクロス、自らをアキレウスとしてロールプレイに興じたりしたという。
    虚淵氏曰く、「人類史最初のオタクセレブ」。
  • 東出氏によると、伝承から宝具に使える逸話を真面目に拾うと膨大な数になってしまうので、不死性と俊足をスキルに回して宝具を3つに絞る予定だったらしい。奈須氏に宝具候補のリストを見せて相談したところ、「彼くらいの英雄ならばいっそ5つ位持たせてしまおう」と意見を貰い、今の形になったとの事。それでも宝具候補にあった黄金聖衣みたいな鎧は出せなかったらしい。
    • ギリシャにて召喚された場合、この黄金聖衣みたいな鎧が宝具として追加されるとのこと。オミットされた槍の不治の呪いを含めれば、合計7つ分という異常に豊富な宝具を所有することになる。その様は奈須・東出両氏から「宝具山盛りの超強力サーヴァント」「ウルトラハイスペックサーヴァント」と評される程だが、当然ながら魔力消費も尋常でないほど激しく、本来の聖杯戦争なら即魔力切れで、彼を真っ当に扱えるならば間違いなく超一流のマスターであるという。聖杯大戦という舞台であったからこそ、彼の実力が発揮できたと言える。

話題まとめ

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