シロウ・コトミネ
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シロウ・コトミネ
- 誕生日:不明 / 血液型:不明
- イメージカラー:銀灰色
- 特技:洗礼詠唱
- 好きなもの:人類 / 苦手なもの:暴走する人間
- 天敵:ジャンヌ・ダルク、ジーク
小説版「Fate/Apocrypha」に登場する聖堂教会から派遣されてきた神父で、赤のアサシンのマスター。聖杯大戦の監督役も兼任する。
- 略歴
- 聖杯大戦を監督するという名目で聖遺物の管理・回収を生業とする第八秘蹟会から派遣された神父。自身も赤の陣営のマスターの一人として参加しており、アサシンを召喚している。聖堂教会に所属する神父の養子ということになっているが、それ以外の詳細な出自・経歴は一切不明。
- いかなる手段を用いたかは不明だが、獅子劫を除く「赤」の陣営のマスターを傀儡にしており、彼らのサーヴァントを事実上支配化に置いている。また、ルーラーを世界でただ一人の断固として排除すべき障害と見なしており、彼女を排除する為にあらゆる手段を講じている。大聖杯の奪取後、自らの目的を果たすため空中庭園と共に何処かを目指して移動を開始する。
- 人物
- 修道服と赤い外套を身に纏う褐色の青年。
- 一見するとまだあどけなさの残る面貌の好青年だが、その笑みからは年齢に見合わない超然的で達観した雰囲気を醸し出している。また彼の佇まいには戦場に似つかわしくない謀略の臭いが染み付いており、獅子劫や赤の陣営のサーヴァント達を程度の差はあれ警戒させている。
- セイバー以外の、事実上支配下に置いたサーヴァント達には彼らのマスターとの「仲介人」と名乗り、その真意を誰にも打ち明けない不気味な男。
その正体は第三次聖杯戦争にて召喚された裁定者のサーヴァント、真名は天草四郎時貞。
- アンリマユという神に近い存在を制御する自信の無かったアインツベルンは、他のサーヴァントに対する令呪の使用権を持つ「ルーラー」を悪用するため、「中立の審判」としてではなく「参加者」として彼を召喚した。だが不正に召喚された「ルーラー」であるため、その機能は十分ではなく、また彼は「ルーラー」が本来持っていてはならないはずの「聖杯への願い」を持っていた。
- 第三次聖杯戦争終盤、大聖杯に触れたことで受肉し、監督役であった言峰璃正の助力を得て偽の身分「シロウ・コトミネ」と大聖杯の行方を探るために聖堂教会での役職を手に入れ、半世紀以上も行動を起こす機会を伺っていた。
- 性格
- 聖杯大戦を利用して「万人が善性であり、万人が幸福である世界。あらゆる悪が駆逐された『この世全ての善』を手に入れる」という己の野望を成就させようとしている。その目的達成の為ならば多くの無辜の命を踏みにじっても、あらゆる必要な要素を躊躇なく奪い、敵対する者は逡巡なく駆逐するという鋼鉄の意思を持ち合わせている。
- 能力
- 謀略家としての手腕は随一。表では大戦の監督官としてバーサーカーの通過する進路上で起こりうる問題の対処に奔走し、その裏ではアサシンが使役する鳩を通じてルーマニア全域の動向を把握しつつ、戦況に応じて的確にサーヴァントを使いこなし、さらに次の段階へ進むための準備も怠らない。
- アサシンへの魔力供給は問題なく行える事から、魔術師としても高い特性を持つ事が伺える。
- 戦闘において、黒鍵と日本刀を武器とする。黒鍵は一度標的に弾かれても、再度標的に襲い掛かるよう術式が組み込まれており、刀身を伸ばし即席の壁を作り出すことが出来る。日本刀「三池典太」はかつてとある剣豪が愛用していた品で、キャスターの「エンチャント」によってCランク相当の宝具と化しており、これによって並の技量しか持たずとも他のサーヴァントと互角に撃ち合うことを可能としている。
ステータス・宝具
サーヴァントとしてのステータス、宝具は「天草四郎時貞」のページを参照のこと。
登場作品と役柄
- Fate/Apocrypha
- 「赤」陣営のマスター兼大戦の監督役として登場。
人間関係
- 赤のアサシン
- サーヴァント。
- 赤のキャスター
- 彼からは「マスター」と呼ばれており、戦闘において常に行動を共にしている。
- 赤のアーチャー、赤のライダー
- 彼らのマスターを傀儡にして、事実上の支配下に置いている。
- 赤のランサー
- ルーラーへの刺客として、彼を差し向ける。
- ルーラー
- 計画の最大の障壁として、排除を目論む。
- 獅子劫界離、赤のセイバー
- 共闘を提案するも、彼らに思惑をあっけなく見抜かれ、拒絶されてしまう。
- ジーク
- 全く予想していなかったイレギュラー。彼が脅威とはならないと頭では理解しているのに、言いようのな苛立ちを感じ始めている。
- ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア
- かつての敵。最終的に引導を渡す。
- ロットウェル・ペルジンスキー、ジーン・ラム、ペンテル兄弟、フィーンド・ヴォル・センベルン
- 「赤」陣営のマスター達。何らかの手段により傀儡として、彼らのサーヴァント達を支配下に置く。
- 言峰璃正
- 第三次聖杯戦争で出会った神父。シロウが生前に辿った経緯から尊敬されている。受肉後、聖杯の追跡を(表向き)諦めたシロウが現世で第二の生を送るための身分と役職、それに私財を与えていた。シロウは彼の養子になるにあたり、「大聖杯の追跡を諦めていない」事のみを隠したまま璃正に接していた。
- 義弟
- 義理の兄弟にあたる人物。大した交流がないらしく、璃正の死後は何かを求めて何処かに去って行ったという。
名台詞
Fate/Apocrypha
- 「アッシリアの女帝よ。
一四騎のサーヴァントによって執り行われるこの聖杯大戦。
私は勝利や敗北とは違う場所を目指します。 協力して頂けますか?」 - 召喚した際、アサシンへの返答。
従えるにはあまりに危険な毒婦に対し、彼はただその意思を告げる。
- 「行こう、アサシン。あの悲劇は繰り返さない。
大聖杯は―――俺たちのものだ」 - 虚栄の空中庭園が完成した時の台詞。
少年の頃に抱いた思いを胸に秘め、決意を籠めた眼差しで高く透明な天を見上げる。
- 「もしも、私の計画が神に背くモノであれば。私はこの戦場で必ずや討ち果たされるでしょう。
不幸にもサーヴァントと戦って死ぬか、あるいは油断してゴーレムやホムンクルスに殺される。
ひょっとすると、味方の宝具に巻き込まれるかもしれない。
もし、そうなら粛々と死を受け入れましょう。神は私を許さなかった。
それはそれで、致し方のないことです。ですが、もし――
もし、何もかも上手くいったのであれば。それは神が俺の行いを赦されるということだ。
全ての人間を慈しみ……そして、癒すために、あの大聖杯を欲するという俺の願いが正しいということ。
それさえ分かれば、もう迷うことは無い。決して裏切ってはならぬモノまで裏切った甲斐があったというものだ」 - アサシンに語った、「自ら死地に赴く」事の理由。
静かだが、他者のは理解できない尋常ならぬ強迫観念に囚われており、迷わぬという意思を固めるための儀式でもあった。
- 「この時を待っていたのさ、ダーニック!冬木の聖杯は、俺のものだ!
魔術師、あるいは吸血鬼。
どちらでもないにせよ―――世界を破滅に追いやるしか能の無い貴様に、この大聖杯は断じて渡すものか!」 - 念願の聖杯を前にして立ち塞がる、有り得ない敵に絶句する吸血鬼を他所に、少年はますます声高らかに叫ぶ。
メモ
- Apocryphaの小説化にあたり、ラスボスを「Fate」の源流である「魔界転生」から抜擢するというアイデアと、本家「Fate/stay night」の主人公衛宮士郎と、下の名前や年齢が偶然一致していたという着想から発生したキャラクター。
- 日本人の彼が白髪となっているのは強引に受肉した際の代償、褐色の肌となっているのはセミラミスの触媒と「虚栄の空中庭園」の材料の収集に二十年近く中東に潜伏する必要があったため。しかしメタ的には間違いなくあっちのシロウへのミスリードを誘うためだろう。
- 「年若い日本人少年の姿をしたシロウという名前のカトリック教徒」「挿絵によっては大きな飾り襟に見えるフードが付いた赤いマント」「殉教を意味する赤い典礼色のストラ」等、彼の正体を知るヒントは1巻の時点で散りばめられていたが、それ以上にフルネームと容姿のインパクトが強い。
- カトリックの司祭が肩に掛けるストラは色によって意味が違い、シロウが身に着けた赤い典礼色のストラは主が受難を受けた時に流した血の色、殉教者の血の色、炎の色を象徴している。
- 赤い陣羽織(赤いマント)と大ぶりの飾り襟は天草四郎の肖像画などのモチーフとして頻繁に採用されるもの。(エリマキトカゲのように首の周囲を囲む蛇腹状の襞襟もモチーフとしてよく使用されるが、81年の映画「魔界転生」や奈須きのこがFateの原点として挙げる石川賢版の「魔界転生」では大ぶりの飾り襟が採用されている)
- 外套や陣羽織の胸元に使用されている房の付いた飾り紐が読者の目を惹くが、これは「
総角 結び」と呼ばれる装飾結びの一つ。
ご存知アーチャーの外套にも使われている総角結びだが、房の付いた総角結びは調度品や武具、勿論陣羽織の装飾としてもポピュラーな物。シロウの生まれた時代や出自から考えても衣服の装飾に総角結びが使用されるのは妥当だろう。
- Fate二次創作界隈では昔からあるIFネタで「もし衛宮士郎が冬木の大火災で衛宮切嗣ではなく言峰綺礼に拾われ養子になっていたら」という所謂「言峰士郎」ネタがそれなりの規模で存在した。並行世界という設定もありこの二次創作ネタの存在も読者から彼の正体を眩ます要因になったかもしれない。
- ルーラーとは同じ『キリスト教の信者』であり、『奇跡を起こしたと言われる神童』であり、『同志達のために戦った英雄』でもあった。
- しかし死後に名誉回復されて聖人となったジャンヌ・ダルクとは異なり、彼は殉教者としてすら扱われていない(島原の乱には豊臣家残党の反乱という面もあったため)。
- 傀儡とした赤のマスター達に対し、まるで下僕のように振舞っている。彼らの自由意志を完全に奪わずに、そのように振舞っているのは、赤のランサーの真偽感知を誤魔化すためであった。
- 冬木の聖杯は、その魔術基盤がアインツベルン由来のものであるため、基本的に「西洋圏由来の英霊」しか喚べないはずである。
日本由来の英霊である彼が喚ばれるのは本来あり得ないことだが、アインツべルン自らルール違反を行ったことでこの問題は解決した。
だがアインツベルンとしては聖人モドキの東洋の英霊を使う事など本意ではなかったらしく、本来のルーラーを切望していたという。この「本来のルーラー」という表現から分かるように、この世全ての悪に汚染されていない冬木の聖杯では特殊クラスでも東洋の英霊は召喚されない事がはっきりした。
……それにしても、自分たちで呼びつけおいて酷い話である。- とはいえ、サーヴァントの選択を誤って三度に渡り失敗したアインツベルンとしては珍しく(と言うか、判明している限り初めての)成功した選択。残念ながらナチス軍の介入によって聖杯戦争が崩壊してしまったものの、シロウが受肉に成功するなど、本来の聖杯戦争自体には勝利している。また、この選択のためApocrypha世界の聖杯は汚染されていないなど、良い事づくめである。
- 小説版『Apocrypha』においてゲオルギウスがリストラされた原因の一つが彼の存在。ジャンヌ・ダルクと彼の思想対立が小説版の柱であり、それ以外に聖人のサーヴァントがいると話が煩雑になるためだとされている。
話題まとめ
- 「ミスリード」の真偽
- あっちのシロウへのミスリードを誘う造形で登場したシロウだが、幾つかのソース不明の言説で『シロウ・コトミネ=平行世界の衛宮士郎という誤った推測にファンを誘導するため、奈須きのこや東出祐一郎が衛宮士郎・アーチャーファンの期待を煽る恣意的な発言を行った』と主張される事があり、2巻発売直後は炎上の様相を見せる程であった。
だが実際の所、Apocryphaの第一報が発表された2012年7月~シロウの正体が発覚する2巻が刊行された2013年8月までに発表された関係者の発言で、あっちのシロウとシロウ・コトミネの繋がりを直裁的に示す物があったとは言い難い。- (例)『「正体はアイツだよね」と察してもらえるだろう』『いつもの赤マント(いつもの赤いの)が出張する』――2011年発行のFate/EXTRAビジュアルファンブックで無銘に寄せられた奈須きのこの発言『「真名はないけれど、アーチャーの正体はアイツだよね」と察してもらえるだろうと。』が取り違えられたもの。後者も竹箒日記2010/7/23でEXTRAの無銘に宛てられた『いつもの赤マント』発言が取り違えられている。
- 『星を追う少年』――2012年12月10日のひびちからじお第63回で公開された東出祐一郎書き下ろし音声広告の『少年は変わる。届かぬ星に手を伸ばすために。』が誤解釈されたもの。このフレーズはシロウではなく、Apocryphaの主人公ジークに宛てられている。
- 2012年7月に発表された「TYPE-MOON10周年記念オールキャラクター人気投票結果発表」で奈須きのこから衛宮士郎に寄せられたコメント『主人公の宿命か、凛やセイバーのように派生作品においそれとお邪魔できませんが、彼は今も星を追いかけているのです。』と混同されたと推測される。
- 正体発覚前のシロウに言及された公式関係者の発言の内、唯一ソースが確定しているものに、第一巻発売を控えた2012年末のTYPE-MOONエース8での対談があるが、
――個人的には聖堂教会の監督官の姿がどこかで見た感じの方で、非常に気になります。 東出「色黒の人ですね(笑) 。プレビュー版にも名前だけは出てきます。」
- という非常に簡素な物。取材者も東出氏も「対談相手はシロウの容姿を”どこで見た誰に似ている”と思ったのか」に言及していない事に注目されたい。…要するに「突っ込まれたら困るからはぐらかした」のだろうか。
- 実際、「TYPE-MOONエースVol.8」でシロウの名前と聖堂教会の神父という前情報が公開された第1巻発売の2週間前には『シロウはシロウでも漢字違いの別人ではないか』という予想から速攻で天草四郎の名前が導き出されてしまうほど(リンク先247-248)天草四郎の名は”シロウ”繋がりで連想しやすい人物名だった。
事前にアルトリアと別人だとアナウンスが為された赤セイバーのケースと異なり、もし事前情報で衛宮士郎と無関係だと明言されていたら、16騎目のサーヴァント=天草四郎の存在を伏せるギミックが成立し得なかっただろう。