“山の翁”
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キングハサン
- 真名:ハサン・サッバーハ
- 性別:男性
『Fate/Grand Order』に登場するキャラクター。大きな角の付いた髑髏の仮面と胸部に髑髏をあしらった装飾のある甲冑を身に纏った大男。
- 略歴
- 11~12世紀に活動していた人物で、イラン中西部のアラムート城砦を拠点に自らの教派を築いた暗殺教団「山の翁」の初代首領。その後も歴代のハサン・サッバーハ達の影にあり続けた存在。
- 命を保ったまま「アズライールの聖廟」という歴代のハサンしか知らない場所に住まい、彼らにハサンたる資格が無くなったときと判断した際に首を刎ねてきた。故に、歴代のハサンが生きて彼の霊廟を訪れることは「自身に翁の資格なし」と進言するようなものであり、また、生きてハサンの任を解かれた者は歴代で一人として存在しなかった。
- 『Fate/Grand Order』第六章で登場。獅子王率いる円卓に対抗する為の戦力を欲した主人公らに、当代のハサンである呪腕のハサンが引き合わせるという形で姿を現した。
- 自身が課した試練を潜り抜け、力を貸すにふさわしい相手であることを示した主人公に幾つかの助言を与えた上でアトラス院を訪れてこれまでの特異点にも繋がる人理崩壊の根本的な謎や聖槍の秘密などについての知識を直接手に入れに行くよう助言し、その課題の完遂を条件に決戦の先陣を切ることを約束する。
- 最終盤の聖都攻略戦では交わした約束通り先陣を切り、聖都軍で最も手強い存在であるガウェインの足止めを担う。円卓最強である彼を本気の欠片すら見せずに軽くあしらい、自分の手助けが必要な場面は過ぎ去ったと見ると戦いを中断。敵であるはずのガウェインへ悔いを残さない行動を取るよう忠告を与えつつその場から静かに立ち去る。
- その後、右腕を失い瀕死の呪腕のハサンの前に現れ、魔神と化したトリスタンを一刀の下に切り捨てた。
- そして、右腕が魔神の腕でないなら呪腕のハサンのはずがない、と言う建て前で任務を果たした彼を『生きながらも役目を果たした山の翁』として山の翁から解任。そして彼に生者として崩壊した時代を復興させる使命を与えた事を仄めかしつつ姿を消した。
- 人物
- 人を殺すことについては非常に強い理念を持ち、「天命によって討たれるべきか否か」で殺すかどうかを判断する。一方的にオジマンディアスの首を落とし、ギフトで強化された円卓の騎士を軽くあしらい、更には神霊と化した獅子王すら倒せてもおかしくないとされる程の途轍もない力を持ちながら人理が崩壊するのを黙って見ていたのは「まだ天命によって討たれる時ではない、または天命を下すのは自分ではない」からである。また、一度自身が手を掛けようとした相手が目の前にいても、その相手が身の潔白を示す等してその天命が過ぎ去ったと判断した場合、手を下す事無く立ち去ることも。
- なお、天命が下ったと判断して相手を討とうとする時にはどこからともなく晩鐘の音が鳴り響き、歴代ハサン達はこの音を「このハサンが現れて天命の下った者(特に自分達)を討とうとする兆候」として考えている。
- ハサン達に対しても同じような考え方であり、基本的に資格が無いと判断した者に対してはいかなる事情があろうとも容赦なく首を落としにかかる。その一方で、事前に資格無しと処断していた呪腕のハサンにも世界のその後を鑑みて殺さずに立ち去る等、周りを全く顧みない人物でもない。
- また殺す気のない相手に対しては基本的には寛大であり、多少失敬な事を言ったりしても怒らずに聞き流したりと器も大きい。
- 持ってる情報量も非常に豊富で、獅子王の正体や目的を始め、第六特異点の砂漠地帯にアトラス院がある事や、そこで主人公らが協力者を得てやっと手に入れた情報も始めから知っていた。果てはホームズでさえまだ分かっていないロマンの謎や正体すらも分かっているようである。ただし、それらを安易に直接教えるような事はせず、あくまでも主人公達が直接出向いて自分達の目で確かめる事を重視して次にすべき事と場所だけを教えた。
- 基本的には他人に考えさせ、行動させ、体験させることで相手を導く様な形で他人を接している。それは情報や計画が不足なまま助力を乞いに来た主人公のみならず、決死の覚悟で頭を下げ、最後にはボロボロになりながらも使命を全うして首を差し出してきた呪腕のハサン、自分の罪や使命を周囲に隠していたベティヴィエール、果てはそれまで敵対して剣を交えていたガウェインに対してすら同じであった。
- 能力
- はっきり言って、『普通のサーヴァント』として考えるには何もかもが規格外過ぎる。歴代でも最強格の英霊とされ、実際の聖杯戦争でも猛威を振るっていたトップクラスのサーヴァント2人が手も足も出ない程の惨敗を喫し、さらに自分達がそのまま殺されていた可能性すら真剣に考える程であると言えば、その実力が如何にとんでも無いものかが分かるだろう。
- まず、「山の翁」の名に違わずアサシン特有の高い気配遮断能力や暗殺能力を持っている。が、この人物の持つ能力はいずれも他の同系サーヴァントとは比較にすらならない程高い。生身の身体では勿論の事、魔力を探知してサーヴァントの存在を割り出すことが出来るカルデアのモニターを用いても気配遮断をしている間はその姿や存在を捉えることは出来ず、自分の攻撃を防御されてもなお攻撃を加えるつもりだったターゲットを(一時的であるとは言え)殺す事が出来るなど、サーヴァントとして見ても規格外に過ぎる恐ろしい能力となっている。
- その気になれば、砂嵐やスフィンクスの群れによって守られたオジマンディアスの神殿に誰にも気取られる事なく侵入してそのまま神殿最奥部の玉座に座る彼の首を刎ねる事も可能であり、その暗殺能力の高さは、最強のサーヴァントの一角にして百戦錬磨の猛者である彼をして「首を刎ねられるまで気づかなかった」と言わしめるほど。その上、神殿内での彼は実質不死身であるにも関わらず落とされた首が繋がるまでに相当な日数を要すほどの深い傷を負わせた。
- 正面から堂々と戦う際にはセイバーのように剣を用いて戦いつつ、外套を使って攻撃を受け流す。円卓の騎士の中でも屈指の技量を持つガウェインは自身の「聖者の数字」が猛烈な砂嵐で無効化されている状態でこのハサンと正面から斬り合ったが、1時間経っても全く衰える事のないその太刀筋の前には全く付け入る隙が無く、何とか太刀筋に慣れるので精一杯という有様だった。その後ハサンが砂嵐を止めた事によって「聖者の数字」が再び発動し、そこから渾身の一撃を放ったがそれすらも簡単に受け流されてしまった。その上ここまで一方的な戦いぶりを示していながらもまだ全然本気を出していなかったという為、その実力は全く底が見えない。ガウェイン自身は最後に放った必殺の一撃が全く効かなかったのを見てようやく、このハサンが女神である獅子王に匹敵するような恐ろしく強大な存在である事を悟り、その気になれば今の自分を見逃さずにそのまま殺す事はおろか、聖都を築き上げる前に自分達に手を掛けたり獅子王を倒すことすら可能だったとさえ考えている。
- 他にも、聖都の城壁の弓兵を尽く無力化しつつガウェインの「辺りを強制的に快晴にする」ギフトを無効化するような大規模な砂嵐を魔力を使わずに発生させたり、静謐のハサンに取り憑いて試練として強制的に戦わせたりと、明らかにサーヴァントの範疇を越えている異能も使いこなす。
- なお、この砂嵐は彼の殺害対象を決める「天命」になにやら関係があるらしく、砂嵐が収まったことを指して「晩鐘が過ぎ去った」というなどまだまだ謎だらけである。
登場作品と役柄
- Fate/Grand Order
- 第六章に登場。
- すさまじい力と存在感を示しストーリーパートで登場した。
人間関係
- 呪腕のハサン
- 自分の後輩にあたるハサンの一人。
- 『Fate/Grand Order』の第六章では彼の要請に応える形で主人公らに力を貸し、最後にはハサンとしての資格を失った彼に新たな使命を授けた。
- 百の貌のハサン
- 自分の後輩にあたるハサンの一人。
- 『Fate/Grand Order』のFate/Zeroコラボイベントでは断末魔に「鐘の音が聞こえる」と言っていたので、彼らの最期にも現れたのかもしれない。
- 静謐のハサン
- 自分の後輩にあたるハサンの一人。
- 彼女が言っていた、「あの御方」というのが彼のことと思われる。
- 煙酔のハサン、震管のハサン、影剥のハサン
- 自分の後輩にあたるハサンたち。
Fate/Grand Order
- ロマニ・アーキマン
- シャーロック・ホームズと同じく素性や過去の経歴などを隠している彼に対して強い警戒心を抱いているらしく、彼に会話を見聞きさせない為にカルデアからの通信を遮断した。ただ、彼の事を調べる事すら出来なかったホームズとは違い、彼の正体や謎について何か知っている事があるらしい。
- オジマンディアス
- 彼の神殿へ気づかれる事無く潜入し、首を刎ねた。神殿の力でオジマンディアスは死なずに済んだが、首が元に戻るまでは相当な日数がかかった。当の本人からもかなり警戒されていて、主人公一行にすぐに表立って支援しようとしなかった理由の一つにこの強大なハサンの存在がある程であり、既に向こうの協力を取り付けている事を知っていたら主人公一行の実力を試すまでもなくすぐにでも力を貸すつもりであったらしい。
- ガウェイン
- 主人公達の獅子王討伐に手を貸す約束をした際、先陣を切って彼と闘う事を宣言した。聖都軍の予想外の劣勢に立たされて出陣し、
転輪する勝利の剣 で連合軍を焼き尽くそうとした彼の前に立ちはだかり、正面から斬り合う。獅子王側に付いた円卓の騎士の中でも最強の存在とされる彼を相手に終始圧倒し続けるが、彼が自分の手で殺さねばならない存在でないと判断すると彼に自身との間にある途方も無い実力差を見せつけた上で攻撃を止め、彼に後悔しないよう王城へ向かうように忠告をして立ち去った。
名台詞
- 「———魔術の徒よ。
そして、人ならざる者たちよ。
汝らの声は届いている。時代を救わんとする意義を、我が剣は認めている。
だが———我が廟に踏み入る者は、悉く死なねばならない。
死者として戦い、生をもぎ取るべし。その儀を以て、我が姿を晒す魔を赦す」 - 姿を見せず、気配も晒さず…どころか存在さえ感知させずに主人公達へと語りかけられた台詞。この台詞の前に主人公は彼の攻撃によって(しかもその攻撃はマシュによって防がれたにもかかわらず)一瞬生体反応が消失、すなわち「死亡」したこととなっていた。
- このすぐ後に静謐のハサンの意識を乗っ取り、霊基を強化したうえで主人公達に試練として差し向ける。
- 「……生をもぎ取れ、とは言ったが。どちらも取るとは、気の多い男よ。
だが結果だけをみると言ったのはこちらだ。過程の善し悪しは問わぬ。———解なりや。」 - 意識を乗っ取られた静謐のハサンを殺す事なく無力化し、与えられた試練を達成した事に対する台詞。最初は試練に則って主人公か静謐のハサンのどちらかが死ぬまで戦わせるつもりであったが、自身の勝利と静謐の生命の両方を勝ち取った主人公に感心し、このような形での試練の達成を認めた。この台詞の後、ついにその姿を主人公達の前に姿をあらわすことになる。
- 「無粋な発言は控えよ、魔術師。
汝らの召喚者、その蛮勇の値を損なおう」 - 「貴方のクラスはグランドサーヴァントなのではないか」と問おうとしたロマンに対してカルデアとの通信を剣の一閃で文字通り「切断しながら」放った台詞。
- 後にホームズの発言でキングハサンもまたロマンのことを信用しておらず、彼に情報を与えないために敢えてカルデアとの通信を切断したことが明らかとなったが、何故ロマンに対し「汝らの召喚者」と、まるでサーヴァントか何かであるかのような発言をしたのかはこの時点ではまだ不明である。
- 「———良い。」
- 「好きに呼ぶがよい。
我が名はもとより無名。拘りも、取り決めもない。」 - "骸骨の偉い人"だの"キングハサン"だのと珍妙な呼ばれ方をしたことに対してのコメント。あれこれあだ名をつけられても特に気にしていない様子で、本人の器の大きさが窺える。
- 「呪腕よ。
一時の同胞とはいえ、己が運命を明かさなかったのか。
やはり貴様は何も変わってはおらぬ。諦観も早すぎる。
……面を挙げよ、呪腕。既に恥を晒した貴様に、上積みは赦されぬ。
この者たちと共に責務を果たせ。
それが成った時、貴様の首を断ち切ってやろう。」 - 呪腕のハサンが主人公達に己が死ぬという事を告げずに来たことを知って放たれた台詞。仲間である主人公達が自分の命を惜しんで援助を頼みに行くのを躊躇うことを恐れる余り、わざと自分が殺される事を隠してやってきた呪腕のハサンの行いを咎めている。
- 本来呪腕のハサンは当代のハサンとしてキングハサンに首を刎ねられる筈であったが、結果的に主人公達と共にこの時代の修復を成し遂げるまで延期されることとなった。
- 「アトラス院に急ぐがよい。残された時間は少ない。
獅子王の槍が真の姿に戻る前に聖地を———聖なるものを、返還するのだ」 - 呪腕のハサンに主人公達の補佐を命じたのちに告げた台詞。ベディヴィエールが隠し通していた彼自身とその銀腕の真実、そして獅子王の聖槍の正体と真の目的を既に見抜いていることが分かる。
- 「ハサン・サッバーハ。幽谷の淵より生者を連れに参上した。
天を見よ、粛清を驕る騎士よ。
———その頭上に、日輪の陽はあるか」 - 外套の一振りでガウェインの斬撃を難なく防ぎ、何者かと問われての名乗り。
その鎧と髑髏を模した仮面もあって、さながら本物の死神の如き威容である。
- 「おかしな事を言う。呪腕のハサンめの首、たった今落としたところだ。
これなる骸の腕は呪腕のもの。であれば、それは呪腕の翁であろう。
貴様はすでに山の翁ではない。よって、我が剣にかかる道理もない。」 - 「……死をもって
免責 するのが我らの常。それを……
生きたまま任を終えるものがいようとはな。
誇るがいい。いたらぬ暗殺者なれど、我ら十九人の中でただひとり、翁の軛 から逃れたのだ。」 - 呪腕のハサンの決死の攻撃の結果受肉したシャイタンの首を一太刀で落とし、次に満身創痍の呪腕のハサンの首を落とすのか、と思いきや仕留めることなくこう宣告して姿を消した。
- 首を落とされることなく任を終えたという事実に呪腕のハサンは…。
メモ
- 「キングハサン」というのは話の中で主人公やマシュの呼ぶ渾名であり、テロップにおける名前の表記は終始「”山の翁”」になっている。他、ハサン達は「初代様」、玄奘三蔵は「骸骨の偉い人」と呼称している。
- 最も前述の通り本人は自身の呼び名に関しては頓着しておらず、どう呼ばれても大して気にはしてはいない。
- そのあまりにもデタラメな強さと「ずっと在り続けている」という点から、最高のサーヴァントである七騎「グランドサーヴァント」の一人であることがほぼ確実視されている。
- なお、その点を指摘されかかった際には台詞の項の通り、「無粋」と話を途中で遮った。さらにその際カルデアからの通信(それも映像+音声のみを選択して)を文字通り「斬った」。物理的に干渉しえないものを切断するという、サーヴァントとして見ても化け物じみたとんでもない所業である。