玄霧皐月
玄霧皐月 | |
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読み | くろぎり さつき |
異名 | ゴドーワード・メイデイ |
性別 | 男性 |
声優 | 置鮎龍太郎 |
初登場作品 | 空の境界 |
概要
礼園女学院の教員。笑顔の絶えない、覚えやすいのに覚えにくい、という印象。
- 略歴
- ウェールズの片田舎の生まれ。神童扱いされるほど頭が良くて、非の打ち所のない子供だったが、10歳のとき妖精に攫われてその影響で物事の「再認」ができなくなる。その関係ではあるが別の理由で、10歳で養子に出される。「玄霧」は彼を養子にもらった日本人の姓で、皐月もその日本人がつけた名前。それ以前の名前は不明。
その後、もとの神童ぶりを取り戻し、14歳で大学に入学、言語学の博士号をもらう。
一教師としてあちこちの学校を転々として礼園女学院に赴任、生徒に刺され命を落とす。
- 人物
- 荒事は苦手だが、相手を説得することにかけては誰よりも長じる。
生徒達からは、「どこか抜けていて忘れっぽい人」と評されている。
明日(未来)がよく分からないので、昨日(過去)に一縷の希望を持った魔術師。だが同時に、稀有な才能を持っていたのに、結局、その才能故に能力を発揮できなかった人物でもある。
基本的に、何もしないひと。ただ彼は相手の望みを叶えるだけ。
- 能力
- 統一言語師(Master of Babel) 、偽神の書(ゴドーワード)、ゴドーワード・メイデイ。神話の時代を唯一再現できる、魔法使いに最も近い魔術師。
神話に伝わる『バベルの塔』で神が言語を乱す以前は、全てのモノが共通の言語によって意思疎通を行っていた。それが「統一言語」であり、現代で唯一それを話すことのできるモノが、玄霧皐月である。
彼には魔術の才能はなく、言語を口にすることしかできない。
すべてに通じる意思疎通とは根源の渦への門なのだが、彼自身に魔術師としての能力がない為、それをくぐる事はできないらしい。
かつてアトラス院に所属、ロンドンの時計塔では、その姿と能力だけが伝わっており、実在しない幽霊だと訝しまれていた。
起源は『望郷』。
統一言語
バビロニアの神話における「バベルの塔」において神によって「言葉を乱された」以前に使われていた言語。
神代において全てのモノが共通して話していた、カタチのない言語。『万物に共通する意味の説明』を可能とする。
人が人に話しかけるのではなく、世界そのものに話しかけて意味を決定させる言語。人々が分かれる前にあったとされる「真理」のようなもの。
玄霧皐月はこの言語一つを学ぶことで、現存する全ての人種、部族の言語の生まれた背景、信仰、原理から思想の全てを理解している。
神代では皆が統一言語を知っていたから会話が成立したが、現代では玄霧皐月のみしか話せない言語であるため、この言語による会話は彼が話しかけるだけの一方通行となる。
ただの言語ならば独り言にしかならないが、彼の言葉は世界そのものに話しかけ、自分の意思を言い聞かせる。
存在論的なヒエラルキーとして、モノが世界に存在する時には、「世界に存在するモノ」がモノの上に位置する。
世界に意味を伝える統一言語によって「世界に存在するモノ」に話しかけられ意思を伝えられると、「それに否定する」ということが「世界に存在することの拒否」になるため、抗うことができない。
故に「言語絶対」。玄霧皐月の言葉はそのまま真実となる。
要するに、ゴドーワードは万物に対する最高の催眠術といえる。
人間が記憶しているものとは別に、世界そのものが記録している過去を聞き出すことすら出来る。
作中では
【先を見失う】と語りかけることで両儀式の視界から自分の姿を消して見せたが、根源に通じている式の身体は統一言語と同じ階級であり、直死の魔眼ならば死の線を見ることが出来るため、
【ここ「では」見えない】の言葉によって、礼拝堂全体を彼本人や直死の魔眼を持ってさえ何もかも不可視の世界にしてみせた。
登場作品と役柄
- 空の境界
- 「忘却録音」における事態の黒幕。
人間関係
- 荒耶宗蓮
- 式の記憶を再生する事を依頼した人物。
- 黄路美沙夜
- 彼女の魔術の師匠。
- フランチェスカ・プレラーティ
- かつて「ギャフンと言わせた」相手。学園に在籍中に出会ったとか。
名台詞
- 「つまるところ、自分さえ生まれなければ、
世界 はこんなにも平和だった」 - 能力の高さゆえに不可能なことを追い続けた男の言葉。劇場版では描かれていない。
メモ
- 原作と劇場版とでかなり扱いに差異がある。
- 劇場版での彼の能力は原作と同じ統一言語ではないらしく、聴覚をイヤフォンで封鎖するだけで無効化できる。
- DVDの質問コーナーでは奈須きのこに劇場版ではワードオブバベルなんて単語は出てこないのです!そこは文字通り、目をつむり耳を塞いでおいてほしい。と応えられている。
- 劇場版では両儀式との戦闘で右腕を殺される。
- 原作では女生徒に刺殺されて最期を迎えたが、劇場版では行方を晦ますにとどまった。
- 劇場版で追加された新たな設定・シナリオ原案は奈須が担当しており、劇場版における玄霧の能力及び回避方法、物語の展開は奈須のアイデアによるもの。
- 劇場版での彼の能力は原作と同じ統一言語ではないらしく、聴覚をイヤフォンで封鎖するだけで無効化できる。
- 「再認」とは心理学用語であり、簡単に言うと「目の前のものを自分の記憶と比較し判別する」こと。
妖精に攫われてしまったためにこの部分は全く働いておらず、人間を判別する時も「背丈と髪型と立ち方から判断すると〇〇だろう」程度にしか認識できない。「忘れっぽい」という評価もここからである。
黒桐鮮花はそんな彼を「本来は人格を構成するべき記憶が、外界に反応する為の道具に成り下がっている」「ここには誰もいない。他人の記憶を収集する本があるだけ」と評している。 - 第五次のキャスターも高速神言で神代の言語を操るが、彼女のそれは神によって人間の共同体が複数に別たれた時代、つまり統一言語が消失した後のものになる。
- 鮮花や式曰く、「幹也に似た雰囲気を持つ人物」とされる。苗字の「
玄 霧 」も、「黒 桐 」で似ていると、作中で式が指摘している。 - 結局のところ、玄霧皐月が本当に黄路美沙夜の兄であるのかどうかは、誰にもわからない。
- 型月世界の中で最も古い時代の言葉を操れる人物。
- 「ゴドー」は東西の物語作品などで時々使われるフレーズ(スペルは様々)。
- 神と比せられるものやそのパロディの暗示として、また "(The) God" の回避策や「God そのものではない」ことの宣言として用いられる。
- 初出作品である戯曲『ゴドーを待ちながら』(仏 En attendant Godot; 1952 サミュエル・ベケット)では、正体不明の待ち人という以外に解釈の手がかりは与えられていない。
- 『空の境界』ではフレーズを借りただけで、内容上の影響や関係性は無いと思われる。
(辛うじて、「不条理」「永劫の暗示」「ベケットの黒セーター(Wikipedia) 幹也のと似てね?」くらい。)
- 『空の境界』ではフレーズを借りただけで、内容上の影響や関係性は無いと思われる。
- 鋼の大地にもゴドー(Godo)が居る。→ Notes.
- 現実世界では南欧に見られる家名・姓(Godó)である。
話題まとめ
ちなみに、中の人の置鮎氏はランスロットの役としても型月業界に参戦していたりする。
脚注
注釈
出典