ヘンリー・ジキル&ハイド
バーサーカー (フラグメンツ)
- 真名:ヘンリー・ジキル&ハイド
- 性別:男性
- サーヴァント階位:第二位
- CV:宮野真守
『Prototype』の世界で行われた、八年前の聖杯戦争に登場する、「狂戦士」のクラスのサーヴァント。赫色の輝く瞳を持つ、漆黒の獣人。
- 略歴
- 怪奇小説『ジキル博士とハイド氏』の主人公である狂心を宿した紳士、或いは良心に縛られた悪鬼。正確にはその小説のモデルとなった人間。
- ごく普通の高校生の少年、來野巽によって偶然召喚された。マスターの意向から、聖杯戦争開始から玲瓏館陣営を最優先で狙っており、キャスター召喚前に屋敷に侵入しようとしていた。玲瓏館邸が神殿と化して正面から侵入する事ができなくなっても毎夜周辺を徘徊し、キャスターが侵入者を誘い込むために意図的に弛めた結界の綻びから侵入を試みる。そこで幼さゆえの功名心から独断で結界の弛みを直そうと出向いた美沙夜に襲いかかるが、居合わせたセイバーに阻まれ撤退した。
- 退けられた翌晩に再度の突撃を掛けるも、そこで待ち受けていたセイバー、乱入してきたアーチャー・ランサー・ライダーの攻撃を受け、更に愛歌の密命で動いていたアサシンによってマスターをも暗殺されてしまう。霊核を破壊され魔力供給も途絶、満身創痍の状態となりながらもマスターの願いを叶えるため、そして誇りも武勇もない狂獣である自分に「英雄」として接してくれたセイバーに応えるため、最後の一撃を繰り出そうとするが、ライダーの太陽の船から放たれる光の奔流に呑まれて消滅、サーヴァントで最初の脱落者となった。
- 彼のマスターは神秘の存在も魔術の知識も一切持ちえない一般人で、聖杯戦争の存在を知ったことで「東京に君臨し何かしらの邪悪な儀式を行っている魔術師を倒さなければならない」という使命感と正義感に駆られて行動していた。執拗に玲瓏館陣営への襲撃を行っていたのも、マスターが玲瓏館家こそ諸悪の根源であると信じていたためであった。
- 人物
- 整った顔立ちと翠色の瞳を持つ落ち着いた風貌の青年。外見は小説におけるジキル博士よりは若く、高校生の巽よりはいくらか上といった程度。「バーサーカー」という呼称が似合わない穏やかな雰囲気を漂わせるが、宝具の霊薬によって文字通りの狂戦士へと変貌する。
- 「ハイド」に変わると、狼を思わせる外見、背中を丸めた前傾姿勢、殺意に染まった赫い瞳など、魔獣にも見える異形となり、圧倒的な破壊衝動と殺戮衝動に従って動く。だが完全な獣でもないらしく、セイバーの見立てでは「自ら意図して正気を失っている」との事。また理性を失ってはいるが、マスターやセイバーの気持ちに応えようとするだけの意志は残っている。
- 生前の自分が悪心に流され、悲劇を引き起こしたことを悔いており、今度こそは「正義の味方」でありたい、という願いを胸に召喚された。しかし、悪の想念の一端として召喚されている自分では正義のために戦うことなど出来ないのだという諦念のようなものも抱いている。
- 能力
- ジキルの状態ではサーヴァントとしての気配を他者に感知されないが、一般人と大差ない程度の身体能力しか持たず、スキルも発動していない。
- 宝具である霊薬を使用することで反英雄ハイドへと切り替わり、バーサーカーとしての戦闘力を発揮できるようになる。ハイドの状態では狼に似た強靭な顎と鋭い牙、黒い鉤爪を武器とする。何れもただ振るわれるだけで、近代銃火器の一斉射撃でも為しえない程の破壊力を有する。
- 咆哮には凄まじい音響に加えて、殺意・悪意など他者への負の感情が凝縮されているため精神干渉効果があり、至近距離でこれを叩きつけられると、英霊でない限り精神も肉体も麻痺してしまう。
- また自らの正体を隠蔽し、敵対者に対して自分の姿を正確に認識させない、何らかの特殊能力を持つ。美沙夜の見解ではキャスターが使う認識阻害の魔術などと似ているが、違和感や疑念を感じさせない性質を有するため、それらとは異なるらしい。
- サーヴァントとしての気配を遮断できるためか、暗殺者としての適性も有している。
アサシン (Grand Order)
- 身長:175cm / 体重:60kg
- 属性:秩序・善(変身前) / 混沌・悪(変身後)
『Fate/Grand Order』では「暗殺者」のサーヴァントとして登場。
ステータス
クラス | マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 | クラス別能力 | 保有スキル | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
バーサーカー | 來野巽 | B+ | B+ | C | D | D | C | 狂化:? | 変化:? 自己改造:? 怪力:? 無力の殻:? |
|
アサシン | 主人公 (Grand Order) | C+ | E | A+ | E | C | C | 気配遮断:A | ? |
宝具
- 密やかなる罪の遊戯(デンジャラス・ゲーム)
- ジキルから反英雄ハイドへと変化する霊薬。
- 幾つかのスキルを付与し、獣化とも言える変貌を遂げさせる。特に高い耐久力をもたらす高ランクの「狂化」と、自分の肉体を状況に応じて最適な形態に変化させる「自己改造」によって、驚異的な生命力を発揮することが可能となる。この宝具を使用しないとサーヴァントとしては無力に近い。服用には何らかの副作用(リスク)が存在する模様。
- 名前の由来は、ミュージカル版『ジキル博士とハイド氏』で演奏される曲名の一つ。
登場作品と役柄
- Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ
- バーサーカーのサーヴァントとして登場。
- Fate/Grand Order
- アサシンのサーヴァントとして参戦。レア度はR(☆3)。イラストは中原氏。
人間関係
- 來野巽
- マスター。バーサーカーとは主従というよりは友情めいた関係を築いている。
- 玲瓏館美沙夜
- 彼女を喰おうと襲い掛かるが、セイバーに阻まれる。
- セイバー
- 戦闘を行うが終始圧倒され、劣勢に喘ぎ、憎々しい雄叫びを上げながら撤退を余儀なくされる。
再戦で敗れるが、狂った獣でしかない自分に対して最後まで「英雄」として向き合ってくれた事に感謝する。
名台詞
蒼銀のフラグメンツ
- 「そう、聖杯戦争は、魔術師たちの性質によって暗闘として定められてはいるけれど、しかし英霊の力は甚大だ。
荒ぶる神話、伝説の再現として振るわれる彼らの力は、きみのお祖父さんが目にした大戦のそれにも等しいかもしれない。
激化すれば、東京は文字通りの戦場と化し、多くの人々が犠牲となるだろう。だから、僕は」
「今度こそ、始めから正義の味方 で在りたい」 - かつて、己の心から分離した悪性と対決し、己の命もろともその凶行を止めはしたが既に多くの犠牲を出した後だった、という生前に対する悔恨が言わせた言葉。
サーヴァントとしてこの世に再び降り立ったことで過去の悔いを晴らす機会を得、その志を快く肯定してくれるマスターもいる。もはや聖杯に願わずとも望みは叶っている──そう、思えていたのだが。
- (きみの教科書を読ませて貰ったからね。いや、すまない)
(そうだね。ただ、宇宙空間でさえも人は宇宙服という叡智で生命を繋ぐことを可能としている。
同じように、とはいかないけれど、僕はサーヴァントという性質によって死の森を進むことができる。
対魔力スキルこそ所有していないが) - 狂化していない状態では並の人間以上の知性を持ち合わせ、聖杯に与えられた以上の現代社会に関する知識を多々吸収している。
それはそうとして、そのスキルのあるなしが聖杯戦争においてはわりと即ちデッドオアアライブ。
Fate/Grand Order
- 「──「僕」は、善と誠実を信じる。けれど「俺」は……悪逆をこそ愛する」
- TVCM第三弾にて。ジキルとハイド、同一の身体に存在する二つの人格の違いを表す台詞。
メモ
- 「姿を隠す能力を持つ狂戦士」という、ランスロットとの共通点を持つ。過去の聖杯戦争に参加したサーヴァント、という点も同じである。またマスターの意向で戦術も状況も完全に無視して、セカンドオーナーの陣営に対し執拗に襲撃を行う展開も共通する。
- 第三部で語られた召喚と契約の経緯や、第二部での「他の陣営全てを敵に回して袋叩きにされ」「サーヴァントはセイバーの剣に倒れ、マスターはセイバーのマスターに暗殺される」という退場の仕方はZeroのキャスター陣営に近いものがある。
- 普段は穏やかな性格で理性を保ち、かつ近代のロンドンを出身地とするバーサーカーと、サーヴァントを友として遇する善性の青少年マスター、という組み合わせはstrange Fakeのバーサーカー組を彷彿とさせるものではあるが、fakeの彼らにはあった安心感──チートな魔術性能や師匠譲りのLUCの高さなど──が皆無な点で実にお先は真っ暗だった。
- フランケンシュタインに続く創作小説のキャラクターが英霊化したサーヴァントである。またその性質上真名が二つある珍しい英霊。
- 「もしくはそのモデルとなった人物」という本人の言葉を額面通りに捉えるならば、さらに「第三の」かつ「真の」真名が存在する事になる。18世紀半ばのスコットランドに実在した実業家ウィリアム・ブロディーがその人。石工ギルドの組合長を経てエジンバラの市議会議員も務めた地元の名士であったが、その正体は実に18年間に渡って多数の犯行を重ねた盗賊であった。最終的には税務局襲撃の計画が露見、逮捕され処刑されるに至るのだが、この事件をモチーフに舞台劇として戯曲化したロバート・ルイス・スティーヴンソンが初演の2年後に小説としてリライトしたのが『ジキル博士とハイド氏』である。