並行世界

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並行世界

パラレルワールドとも呼ばれており、ある世界から分岐し、それに並行して存在する別の世界。
SF、または物理学の世界、ひいてはフィクションの世界で良く用いられる。
並行世界への干渉は、魔術の域を超えた魔法として認知されている。
「平行世界」という異なる表記もよく見られる。

並行世界(Parallel World)

いわゆる「別の可能性を描いた世界」を指す。
世界はひとつではなく合わせ鏡のように無数に展開しており、だからこそ未来は一つきりではない。
つまり、あり得たかもしれない結末、切り捨ててしまった関係、気づく事さえなかった選択、といった“イフ”を意味しており、“変動する未来のある世界”を指している。

編纂事象と剪定事象

『TYPE-MOON』作品における並行世界の運営概念。
並行世界は「多少の差異はあっても未来は同じになる大幹の並行世界群」である編纂事象と、「完全に別世界になり、いずれ滅びる枝葉の並行世界」である剪定事象に振り分けられるというもの。
単純に例えると、編纂事象はメインルート、剪定事象はバッドエンドルートであるが、剪定事象は単に『メインルートから外れすぎて特化した結果、多くの分岐可能性を失った世界』であって、バッドというわけではない。
善し悪しに分けるとなると、善い流れとは「安定した、今後もより多くの派生を生む可能性に満ちた流れ」であり、悪い流れは「先鋭しすぎたため、もう道を変えられない一本道の流れ」を指す。
現在にいる個人の行いによって世界は変動するが、それは可能性が生きている事や、今ある世界が“正しい軸”にある事を示している。
逆に言うと、もう何を選ぼうが未来が変わらなくなった世界は、並行世界は存在せず、過去に逆行する事さえできなくなった孤独な単一の世界となる。
尤も、それは構造的に必ず生まれてしまう必要悪なモノ。人々に選ばれなかった選択が続いた世界は、今の世界と同じ姿を保つことは不可能である。
致命的な選択を続けたことで滅亡した世界もあれば、革新的な正解を続けて過剰とも言える文明レベルを築いてしまった世界もあるが、そうなった時点で世界の基盤がズレてしまい、他と同じ世界ではなく、別世界ないし異世界というほうが相応しい。
勘違いしやすいが剪定事象となることと世界が滅びることに相関があるわけではない。ただし剪定される事象に文明の荒廃や都市の滅亡といった光景が比較的多く見られはするらしい。
孤独な世界、今の世界と異なる姿、そういった間違ってしまった世界の端末を増やすために使うエネルギーは、この次元には存在しない。
並行世界は雪だるまのように増え続け、やがては次元の容量を超えてしまう。大雑把な目算であるが、地球の文明レベルであれば、それがこのまま百年も続ければこの太陽系は破裂してしまう。
それを防ぐために、世界がある程度進むと可能性の統計をとり、“次の世代の運営”に無理のない結末だけを存続させる。
要は百年単位で「ここまで」と集計を取り、“少なくとも、あと百年は続けられる”と保証された世界にだけ可能性を許し、不要と判断した世界の並行世界、その未来を閉ざす方法を行っている。
これによって人間は生存し、繁栄し、太陽系は情報量によって飽和する事なく、向こう一億年は今の方式で存続できる。
あまたに存在する並行世界に文明のズレはないが、いき過ぎた崩壊、いき過ぎた進化をとげた世界に並行世界は存在せず、もう結末が決定してしまった袋小路のようなものと化する。
大樹に置き換えるのならば、幹である中心部分は成長を続けられるが、枝葉は育ってもいずれ限界を迎えてしまい、大幹を保つために伐採されてしまうのである。
剪定事象の中には編纂事象にあるどんな世界よりも先に進み、希望と幸福に満ちた理想世界もあったが、「それだけでもう完成し、終わるもの」である為、その条件が確定した段階で「剪定」されてしまう。
まだ誰も知りえない未来のために宇宙が膨張する以上、分かりきった結末のためにエネルギーを使うことはない。

人理定礎

またの名を事象固定帯。人類史を固定する多くの出来事。余計な可能性を摘み取り、観測によって変動しがちな歴史を不動にする座標。
とりわけフランスやローマといった人類史に大きな影響を及ぼした事象は「無かったことになる」と土台が崩れてしまう。
これはムーンセルの中では量子記録固定帯(クォンタム・タイムロック)と呼ばれている。その本質は一定の間隔で宇宙の中における事象の平均化のタイミングのことで、つまりは宇宙の中のセーブポイントである。前述の編纂事象と剪定事象のように逸脱しすぎた特例の並行世界を伐採し、量子記録固定帯によって固定された「幹」だけを残す作業が行われることで宇宙は安定している。固定帯となった歴史は過去・未来からの干渉を受けても決して変わることは無い。
例の一つとしては「ある一国が滅ぶ」という『結果』があるとする。その『結果』に対して過去や未来からの介入によって結末を変えようとしたとしても、「介入によって繁栄はした。だが滅ぶ」というように過程を僅かにしか変えれず、大筋の『結果』は変わらない。ひと握りの人間の人生を救えることはできるが、人類史という大きなうねりを変えることは決して出来ない。それこそが量子記録固定帯によるものである。
逆に言えば大偉業によって量子記録固定帯を破壊することができれば人類史を根底から否定することは可能だが、この方法でも破壊した固定帯から先の人類史のみ否定するのが限界である。
次に訪れる量子記録固定帯の決定ができるのはその時代を生きた者のみであり、過去・未来からの介入では手が出せない。
前述の剪定事象と編纂事象のタイミングは100年単位の統計だが、量子記録固定帯がかかるタイミングはもっと短く最短で1ヶ月プラスαであることが確認されている。『EXTELLA』においては主人公が分裂したのが量子記録固定帯Aで、次の量子記録固定帯Bに差し掛かるまでにアルキメデスセファールを利用してムーンセルを破壊することで量子記録固定帯B以降の歴史をムーンセルの破壊という前提の歴史で確定させようとしたが、その前に主人公が「平均的かつ、今後の可能性が最も広がる世界」のルートを証明したことにより『EXTELLA』の量子記録固定帯Bが決定された。

TYPE-MOON作品での世界観

Fate世界

『人類史を肯定するモノ』を下地とする世界。英霊をサーヴァントとして召喚・使役可能。

月姫世界

『人類史を■■するモノ』を下地とする世界。英霊という強大な概念を“自律した使い魔”という術式に落とし込めなかった。

その他

Fate/strange Fake
『同じ条件、同じ結末を迎えていながら、なぜか完全に違う世界』
『stay night』本編から数年後にアメリカで聖杯戦争を執り行っている。
本作では英霊召喚と死徒二十七祖が同時に存在しているのは、『どっちもアリな世界』であるため。
Fate/Grand Order
『stay night』と異なり、2004年での冬木市で聖杯戦争が最初の開催となっている他、「アメリカで聖杯戦争を執り行われた」という公式記録はないことが明言されている。
Fateの名を冠しているが、『どっちともいえない世界』である。
Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
「イリヤの世界」と「美遊の世界」が存在する。
「イリヤの世界」は『stay night』と世界観が似ているが、設定の根幹からして別物。
「美遊の世界」は惑星規模の気候変動が起こっている他、世界に満ちるマナが枯れ始めており、すでに枯渇した地域ではそれに代わって全生物に有毒な未知の物質が充満している等、『Notes.』を彷彿させる荒廃した世界感となっている。
後に、パンドラが箱を開けなかった世界であり、イリヤ達のいた世界とは遥か神代の時点で分岐している異世界であることが明らかになった。

メモ

  • 現存する魔法使いの一人キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグは第二魔法『並行世界の運営』に至った。ゼルレッチが製作した魔術礼装「宝石剣ゼルレッチ」「カレイドステッキ」は第二魔法に関連するモノである。
  • Fate/Grand Order』ではソロモンが引き起こした人理焼却により、人理が曖昧な状態となり、カルデアスにおける観測は様々な可能性が入り乱れている状態となった。
    今のところ、『Fate/Zero』と極めて近い「Fate/Accel Zero Order」の世界と、「聖剣エクスカリバーが返還されなかった」世界が確認されている。また、『Grand Order』に登場した宮本武蔵も「剪定事象の世界」からやってきた放浪者である事も語られている。
  • 『Grand Order』に登場するロード・エルメロイⅡ世も英霊「諸葛孔明」と一体になったことで編纂事象と剪定事象に関する知識を得ている。
  • フェイト/タイガーころしあむ アッパーイリヤルートでは「第四次聖杯戦争でセイバーを失って脱落し、その後は家族三人で幸せに過ごした」可能性の世界からアイリスフィールが虎聖杯によってこちらの世界に送り飛ばされてきた。
  • 第二魔法の関係者ではない存在ながら、並行世界を彷徨う者も稀に存在する。宮本武蔵と『Grand Order』時でのアーサー・ペンドラゴンが該当する。
  • 格闘ゲームMELTY BLOODで例えると、タタリルートが編纂事象、遠野家琥珀ルートが剪定事象である。
  • 多くの者が第六魔法を成そうとしながら、悉くが失敗に終わっているが、魔術についてはほとんど知ることのない者は第六魔法を「皆が幸せになること」と仮定している。仮にこの仮定が正しいものだとすれば、第六魔法を成してしまえば過剰な幸福で剪定事象の対象となってしまうために失敗、あるいは抑止力に阻まれるのではないのかと思われる。

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