新選組

概要

幕末の日本で江戸幕府の徴募により組織された、主に京都で活動していた治安維持組織。一種の特別警察としての側面があり、破壊活動を企む志士を取り締まっていた。

浅葱色のダンダラ羽織が特徴であり、坂本龍馬を始めとする志士たちからは「ダンダラ羽織に会ったら道を変えろ」と恐れられていた。

池田屋事件などで名を上げるものの、戊辰戦争の開始と共に幕府側で戦うべく甲府や江戸に向かい各地で戦うも、メンバーが戦死したり降伏したり抜けたりを繰り返し、戊辰戦争後半で組織としては自然消滅した。

人物

メンバー

近藤勇

二代目局長であり、作品内でも「局長」と言われているのは主に彼。

農民の出だが武術に優れ、28歳で天然理心流の宗家を継いだ。

戊辰戦争では奮戦したが捕えられ、斬首された。

自分のせいで他の仲間が英霊となって、新選組の呪いともいうべき縁に縛られていると悔やんでおり、その想いが『ぐだぐだ新選組・ジ・エンド』での行動に繋がった。

芹沢鴨

初代局長。ダンダラ模様の羽織や「誠」の旗も彼のデザインである。

辣腕だったが乱暴者で素行が悪く、土方らに暗殺された。

新選組に対しては「尽忠報国のための組織であり、国を改善する為に自分に率いられるべき」という思想を持っていた。

山南敬助

元総長。

芹沢の暗殺にも参加していたが、その事がずっと心残りだったようで、ついていけなくなって脱走して捕えられて切腹した。

新選組に対しては「どうあるべきか」でずっと悩み続けており、『ぐだぐだ邪馬台国2020』では「身内を殺すべきではなく、助け合うべきだった」という結論に至った。

土方歳三

副長。「鬼の副長」と呼ばれ、拷問などの後ろ暗い部分を引き受けていた。

戊辰戦争では最後まで戦い抜き、函館で戦死したとされているが、死体は確認されていない。

メンバーが次々と抜けていく中でも戦い続けたからか、「俺が新選組だ」という狂的な信念に至っている。

沖田総司

一番隊隊長。女性。

「猛者の剣」と呼ばれた剣の達人であったが、結核によって戊辰戦争に参戦することなく病没。

そのことを気に病んでおり、「新選組として最期まで戦い抜きたかった」と後悔を抱えている。

永倉新八

二番隊隊長。

「最強の剣」と呼ばれた剣の達人。

山南の切腹時には「その遠慮のない物言いが新選組には必要だ」と評価されていた。

次第に変質して追い詰められていく新選組と袂を分かち、天寿を全うした。

そのために「新選組にいた事自体が間違っていたのではないか」という想いから新選組にいた頃を自分の全盛期を思うことができず、召喚される際も晩年の老人の姿となっている。

斎藤一

三番隊隊長。

「無敵の剣」と呼ばれた剣の達人。

戊辰戦争では会津のあたりまでは戦ったが降伏し、後に警視庁で働いたりした後、天寿を全うした。

「自分は面白い方に行く」と新選組に対しては突き放した見方をしているが、土方曰く「彼は絶対に新選組を裏切らない」とのことで、実際に新選組の皆の行く末についても思いを馳せていた。

藤堂平助

八番隊隊長。

最年少で幹部となった俊才で、戦闘では常に先陣を切った事から「魁先生」の異名をとった。

後に御陵衛士に加わり、伊東ともども暗殺された。

山南の切腹時には「これは私の責任だから近藤を恨んではいけない」と諭されていた。

本人の精神性の幼さもあって新選組については明確な信念を持っていなかったようで、カルデアでは最終再臨で「これから自分の誠を見つけていく」という姿勢を見せている。

原田左之助

十番隊隊長。

芹沢鴨暗殺や池田屋事件の際にしばしば同行していた隊士。

槍の使い手であり、史実においての最期は上野戦争で戦死したとされているが、ぐだぐだでは異説として唱えられる「大陸に渡り馬賊になった」説を採用している。

その実態は元伊予松山藩の忍びであり、幕府の密偵だった。そのためか新選組全体に対して親近感はあるものの一歩引いた姿勢を見せている。

山南の切腹時には「その憎めない性格が皆の助けになる」と評価されていた。

武田観柳斎

五番隊隊長。

コハエースにおいて沖田の台詞から存在が示唆されている。

伊東甲子太郎

新選組で参謀兼文学師範を務め、後に脱退して御陵衛士を組織するも新選組に暗殺された。

山南の切腹時には「伊東先生」と呼ばれ、「皆に知恵を貸してほしい」と頼まれていた。

服部武雄

新選組の五番隊に所属していた隊士であり、心酔している伊東と共に御陵衛士に加わり、暗殺された。

上記の永倉が「新選組の最強は服部」と言及するような達人であった。

源三郎

山南の切腹時には「貴方のような人が大事なのです」と敬われていた。

明言されていないが、おそらくは六番隊隊長を務め、鳥羽・伏見の戦いで死没した「井上源三郎」。

市村

『Fate/Grand Order』の土方歳三の幕間の物語『あの人の事』にて、主人公が視点を借りて新選組の興亡を追体験した隊士。

一番最後の五稜郭まで同行するものの、土方の遺品と写真を日野の実家まで届けた。

明言されていないが、おそらくは土方歳三の小姓を務めていたとされる「市村鉄之助」。

大石

油小路の変で伊東の暗殺に向かったメンバーの代表。

明言されていないが、おそらくは一番隊に所属していた「大石鍬次郎」。

島田

永倉が脱退時に原田同様に声をかけていたメンバー。

「島田の汁粉は勘弁してほしい」という言葉も出ているため、明言されていないが、おそらくは二番隊に所属しており大の甘党としても知られていた「島田魁」。

関連人物

清河八郎

新選組の前身である浪士組結成のきっかけとなった人物。

尊王攘夷活動の手駒を集める目的の下、「上洛する将軍の警護」という名目で人員を集める名目で関東の厄介者たちを放逐する、というプランを幕府に提案した。

将軍警護の任が終わった後は彼と袂を分かち、京で引き続き治安維持活動を行うことになった。

松平容保

京都守護職に任じらていた会津藩藩主。

上記の後に芹沢鴨の取り成しで身元預かりを引き受けてくれて、新選組の後ろ盾となった。

その恩義もあって戊辰戦争では江戸陥落後も新選組の一部は彼の下で戦うことになった。

勝海舟

江戸城明け渡し時点での幕府の陸軍総裁。

近藤勇には同情的だったものの、新選組はその経歴から敵も多いため疎み気味で、実質江戸から追い出す意図で甲陽鎮撫隊として甲斐を任せていた。

関連用語

試衛館

江戸にあった天然理心流の剣術道場。

近藤勇の養父によって創立され、門弟にも沖田、土方、山南を抱え、食客としても永倉、原田、藤堂が所属しているなど新選組の中核メンバーの大半が在籍しており、浪士組結成の際にも中心となっていた。

その一方で新選組としての活動の中でメンバーでなかった芹沢や伊東を排斥したり、近藤のリーダーとしての祀り上げに対してメンバー間で反発があったりと後述する「サークル」としての悪い面も見え隠れしている。

池田屋事件

京への放火とクーデターを企んでいた勤王志士たちを、拠点にしていた池田屋を襲撃して一網打尽にした事件。

各メンバーの詳しい動向や負傷が細かく記録に残っている事もあり、創作のネタとしてもよく採用されている。

まだ今一つ民衆受けがよくなかった新選組が、一躍名を上げた事件としても知られている。

……なお、作中の回想シーンでは「本当にクーデター計画は存在したのか？」という疑問に土方が明確な返答をしておらず、新選組が暴走するきっかけの一つだったことも示唆されている。

御陵衛士

伊東甲子太郎が主導した組織であり「孝明天皇の御陵（墓）を護る」を名目上の目的とした事実上の新選組の別動隊。

結成にあたって局長である近藤勇の許可を取っていたが、後に潰された。

ぐだぐだ世界では新選組が分裂することを危惧した土方歳三の独断によるものとされているが諸説あり、後ろ盾の会津藩も含めた佐幕派と勤皇派の対立という説もある。

油小路の変

上記の御陵衛士が新選組によって壊滅させられた事件。

伊東甲子太郎を暗殺した後その遺体を野晒しにして、回収に来たメンバーを一網打尽に暗殺するという非道極まりない手段が実行された。

だが、実際には多くの生き残りを残してしまい、この事件が後を引く形で新選組の壊滅（特に近藤の死）に向かっていく事になる。

甲陽鎮撫隊

鳥羽・伏見の戦いで幕府軍が京都を失い、結果として目的を喪失した新選組を再編した組織。

江戸へと向かってくる維新軍を甲斐で幕府軍を率いて迎え撃つことを命じられ、成功の暁には甲斐の国と幕府軍司令官の座を約束されていた。

だが幕府軍は統制が取れておらず、維新軍に敗北し、近藤勇も敵に捕らえられて壊滅した。

死番

新選組において導入されていた、市中巡察の際に先頭へ立つ当番。

死番となった者は突入においても先頭となる。

日替わりで担当が変わるため、覚悟を決めた隊士が非常時にも怯む事無く突入できる……という利点があったとされる。

関連組織

徳川家

江戸幕府を開いた戦国武将一族。

将軍警護のために前身となる「浪士組」が結成され、やがて治安維持組織となった。

言及作品

• コハエース
• Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚
• Fate/Grand Order

メモ

• 元々『新選組』は最初から名乗っていた訳ではなく、結成当時は幕末志士・清河八郎が将軍・徳川慶喜の京都上洛の際の、身辺警護をする為の隊士や武士を募集し結成した「浪士組」名義だった。
  その後、清河と意見の相違により袂を分かった芹沢と土方達を含む試衛館の仲間は京に留まり、壬生村に屯所を置いた「壬生浪士組」と改める。さらにそこから会津藩主・松平容保御預かりとなって功績が認められた事により、正式に京都の治安警備隊として「新選組」の名称を拝命する。
  • なお、岡田以蔵がたまに使用したり、新選組メンバーが描かれた概念礼装にも使われている「壬生狼（みぶろう／ミブロ）」の名称も、元はこの壬生浪士組が由来なのだが、当時は敬称や異名よりも、無法者や野蛮な武人の集団という蔑称の側面が強かった。事実、芹沢や斎藤などメンバーの中には殺人を犯している無法者もいた。
• 読者からの通称は「弱小人斬りサークル」。コハエースでのノッブの発言が由来だが、あんまりである。
  • 実際の所、創作では非常に人気が高い一方で歴史上に果たした役割は小さく、「弱小」の呼び名も間違いとは言えない。「ぐだぐだ」はFate本編とは異なるパラレルワールドとされているが、Fate本編でも彼らが英霊となっているかは微妙なラインかもしれない。
    • そうした弱小組織なので、当時史料も決して多いとは言えない。そのため現在の新選組についての研究は、子母沢寛の小説『新選組始末記』や、永倉の老後の思い出話を編纂した『新選組顛末記』など、やや頼りない史料に多くを頼る事になってしまっている。さらに司馬遼太郎の小説『燃えよ剣』の影響も非常に強く、一般に敷衍しているイメージが実際の史実とは異なる（もしくはそもそも史実が分かっていない）事も多い。
  • さらにぐだぐだにおいては、「近藤勇のカリスマ性に惹かれて集まっただけだが、統制が取れている訳でもない」「明白な思想性や展望がない」「組織構造も曖昧で厳格なルールがないと纏まれない」と言う、まさに「サークル」活動の延長線のような集団として描かれている。
• アルトリア・ペンドラゴンに対して拗らせたメンバーが多い円卓の騎士や、織田信長に対して拗らせたメンバーが多い織田家と比較すると、「新選組という組織そのもの」に対して拗らせたメンバーが多い印象が強い。
• 「新撰組」と記載されることも多いが、史実では隊の公式印が押された資料では「新選組」とされており、それに倣って「新選組」が公称として扱われている向きが強い。型月では「新選組」表記で統一されている。
• 新選組は京都の治安維持を任されていたが、市民からの評判はあまり良くなかった。これは芹沢鴨が局長であった時代に商家や遊郭などで乱暴を働いたことが原因とされる。
  • また、薩摩の岡田以蔵や長州の高杉晋作など、西日本出身者の方が京都では贔屓される傾向にあり、東国出身者が多かった新選組はあまり愛着を持たれなかったともされている。
• 新選組のイメージとして有名で、サーヴァントとなった一部の新選組メンバーも着ている浅葱色のダンダラ羽織だが、現存しているものはない。当時の隊士たちからも不評だったと伝わっている。
  • 実際にメインの隊服として使われていたのは、第三再臨の土方歳三が着ているような「黒衣・黒袴」であったとされる。
• 剣客集団というイメージが強い新選組だが、実は日本の「暗殺教団」とも言えるほど、多くの暗殺事件を起こしている。また、その成功率も非常に高かった。幹部たちも数多く暗殺に参加しており、彼らがアサシンとして召喚されたとしても、なんら不思議ではない。……のだが、今のところアサシン適性が明言されているのは沖田くらいである。
  • その一方で別作品ネタでもあるが「暗殺した敵の数よりも粛清した味方の数の方が多い」等と言われてしまっている。一応弁護しておくと、上記のように特高警察的な側面がある新選組にとっては取り締まるべき過激な勤王志士は殺害よりも捕縛を優先するべきであり、暗殺する必要性はあまりない。
  • 一対一の強さに拘る、と言うよりは（もちろんそれも鍛えてはいただろうが）集団で取り囲んで斬る、と言う、より安全で効率的な戦術を重視していた。そのための連携技もいくつか現代に伝わっており、「双竜剣（前後から交互に斬りつけてスタミナと対応力を削って斬る）」、「草攻剣（複数名による波状攻撃を仕掛ける）」、「山攻撃破剣（死番が最初に突撃し、そのまま後ろに回り込んで相手の退路を塞いだ上で、残りの隊士と共に囲んで斬る）」、「向請反撃剣（多人数と戦闘になった際、敢えて逃げる振りをし、そのまま他の隊士が見回りをしている箇所まで誘い込む。狭い路地に逃げ込んで敵が伸び切ったところを一人一人斬っていくパターンもあった模様）」などがある。
• 『Grand Order』では『ぐだぐだ邪馬台国』や『ぐだぐだ新邪馬台国』で、二度も邪馬台国と関わりあったため、FGOユーザー達からは「新選組と言えば邪馬台国」と言われている。
  • その後の『ぐだぐだ新選組ジ・エンド』の「超近代新選組列伝」でも、壱与と自分を助けに来た新選組を見た卑弥呼がこのように発言していた。
• 『Fate/Grand Order 幕間の物語Ⅰ』に沖田総司の幕間の物語「ここに」が収録されており、あとがきに著者の平野稜二氏による「その時点で」登場している新選組全員の浅葱色の羽織姿が描かれているが、発売日が2025年9月26日で、サインによるとこれが描かれたのは2025年8月だった模様。結果、タッチの差で『ぐだぐだ新選組・ジ・エンド』が初登場だった藤堂平助と原田左之助、そして近藤勇は絵に含まれない結果となってしまった。

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