「ジャック・ザ・リッパー (Fake)」の版間の差分
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2016年11月21日 (月) 20:28時点における版
バーサーカー (strange Fake)
- 真名:ジャック・ザ・リッパー
「狂戦士」のサーヴァント。
時計塔の若き魔術師フラット・エスカルドスをマスターとし、己でも解らぬ己の正体を知るため、戦いに臨む。
- 略歴
- 偽りの聖杯戦争において、フラットが師であるロード・エルメロイII世より譲り受けた「ジャック・ザ・リッパーの銘入りナイフ」を触媒として召喚したサーヴァント。当然ジャックの銘が入ったナイフなど本物であるはずがなく、日本製のとあるゲームにアンケート葉書を送ると抽選で100名が当選するというただの景品であり、聖遺物や魔術礼装の類でもなんでもない。そのためエルメロイII世も欲しいと言われて二つ返事で譲ってしまった。しかしそのことがかえって「切り裂きジャックを題材にした伝説」が正体という奇妙なサーヴァントを召喚する触媒として成立したことになる。
本来ならば常に霊体化してフラットと行動を共にするはずが、自らの変身能力の幅広さとフラットの純然たる趣味により、腕時計の姿でマスターの腕に巻きついて過ごす羽目になった。
- 人物
- 本来ならば狂気と凶気しか存在せず、召喚した者の体を乗っ取り無差別に殺戮を行う存在として顕現する筈だったが、「狂気の象徴」としての出自がバーサーカー(狂戦士)のクラスと波長が合い、狂化と打ち消し合った結果(フラットの解釈では「マイナス×マイナス=プラス」という理屈)正常な理性と知性を具えた状態に落ち着いた。
むしろ、多少殺人行為などに忌避感が薄い程度で思考回路は至って常識人に近いため、マスターであるフラットの非常識なまでのユルさ、能天気さに驚いたり絶句したりつっこんだりと、やけに人間くさいリアクションを見せるようになっている。
犯人探しのミステリーから生まれた「誰でもない」ものであるがゆえに定まった姿形を持たず、基本的にはフラットの頭の中に気さくな紳士風の口調で語りかける声としてのみ存在する。その「声」にもはっきりとした特徴はなく、性別も、年の頃も、身分その他の素性も感じ取れず、あたかも顔のない怪物と会話しているような気分にさせられるという。
最初に自らの能力をデモンストレーションするため警官や娼婦に変身した時も、その人物としての演技をしていない限り、口調は元々の紳士風のもののままだった。
聖杯にかける願いは本物のジャック・ザ・リッパーの正体を知ることである。
- 能力
- 「誰でもない」がために「誰にでもなれる」、つまり変身能力を持つ。本人の身体のみならず衣服や持ち物も自在で、実体化させている間は感触や質量までもリアルに再現できる。その変身できる範囲は一般的な「ジャック・ザ・リッパーの容疑者」モデルである警官や娼婦となってみせたのをはじめとして、人間から動植物、果ては無機物にまで及ぶ(『呪いのアイテムに操られた人々が切り裂きジャックの正体』という伝記小説のエピソードによる)。変身後の能力は変身した対象に依存するようで、一般人に変身した際は英霊としての基礎能力が大幅に低下した。
変身を行っている状態では倒されても影響がないのか、真アーチャーとの戦闘時には幾度も身体をねじ切られ、矢で貫かれながらもその度に同じ姿で復活し数分間戦闘を継続している。
また分身を行うことも可能で、作中では最大32人にまで分身した。
本人は自身について「吹けば飛ぶようなただの犯罪者」「ただの力持たぬ『殺人鬼』」と語っているが、神であることを捨てた真アーチャーに対しては「本質が人である限りただの力持たぬ『殺人鬼』に狩られる事となるだろう」と宣言している。
ステータス
クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考 バーサーカー フラット・エスカルドス
宝具
- 悪霧は倫敦の暁と共に滅び逝きて(フロム・ヘル)
- 3巻時点では詳細は不明。描写からすると、攻撃系の宝具のようである。
真名:ジャック・ザ・リッパー
- ジャック・ザ・リッパー。ヴィクトリア朝に生きた連続猟奇殺人鬼。
- だがこの英霊は、ジャック・ザ・リッパー本人ではなく、ただ恐怖の象徴として、本当の顔も名前も知られぬままに人々から想像され、数多の物語に記された無数の『ジャック・ザ・リッパーの伝説』から形作られたのである。
ジャック・ザ・リッパーとして疑われた者全てであると同時にその「誰でもない」英霊に名前はなく、しかして確かにこの世界に存在した。
- ホワイトチャペルと呼ばれる倫敦の一角にある、五人の娼婦を惨殺した者こそが、「切り裂きジャック」であると。
登場作品と役柄
- Fate/strange Fake
- スノーフィールドで行われる偽りの聖杯戦争に、バーサーカーのクラスで召喚される。奇跡的な偶然によって正常な精神状態を獲得するも、破天荒なマスターに振り回され気苦労を覚えている。
- ちびちゅき!
- 相変わらずフラットとコンビを組んでいる。探偵助手になりたい彼のために、ロード・エルメロイ二世に「なる」ハメに。
人間関係
- フラット・エスカルドス
- マスターである魔術師の青年。あまりにも破天荒かつ天然すぎてツッコミが追い付かないが、自己のアイデンティティーさえ不確かな、正体不明の殺人鬼に裏表のない好意を示してくれる得難い相棒である。
- ロード・エルメロイII世
- フラットの魔術の師。彼が間違えて購入したゲームソフトについていたアンケート葉書を律儀に投函したことにより、フラットとバーサーカーは運命的な出会いを果たした。
- 電話越しに(フラットに対する)2時間以上のお説教を聞かされた結果、フラットの保護者的存在としての深い共感を覚えたと同時に、もし直接の対峙をしたならば存在の奥底まで分析され解体されてしまいそうだという恐れも抱いている。
- ジャック・ザ・リッパー (Apocrypha)
- 同じ真名を持つが全くの別存在。
- あらゆる噂と伝聞と推測がない交ぜとなったことで「ジャック・ザ・リッパー」は「誰でもあって、誰でもない」人間として無限の可能性を組み込まれており、彼女もジャックとして組み込まれた者の一人。
- 「ジャック・ザ・リッパー」という真名を持つサーヴァントは誰もが本物であるし、誰もが偽物と言える。
- なお、ジャックが10歳の少女に変身しようとした際はなぜか「露出度の高い黒い水着のような格好」になったらしい。
名台詞
- 『正直な話、
私にもわからん 』 - 『我が真名は――』という勿体ぶった引きからのオチに、珍しくフラットがつっこむ側に。とはいえ、バーサーカーにとっては至って真剣な悩みである。
- 『君が優秀な魔術師なのか、途端に不安になってきたぞ』
- 警官に化けて職務質問するふりをしたとき、フラットが魔術師らしく催眠暗示などを用いて切り抜けようとしなかった理由を問いただして。時計塔では呼吸するように教授宛の荷物に透視魔術を使ったりするフラットだが、一般人相手にはまず話し合いでわかってもらおうという姿勢でいるあたり、全くもって魔術師らしくない。
- 『私は伝承に過ぎず、真実ではない。
だが、自分が何者かもわからぬまま、ただ人々の紡ぎ出す物語や考察で自分の形を変容させていくというのは、とてもとても恐ろしいことなのだ。
肉を持ち、名を持ち、過去を持つ君には理解できないことかもしれないが』 - 自らの願いの切実さを、神妙な声色で語るバーサーカー。
確かに、それなりの根拠がある推理ならまだしも、後世の人々が好き勝手に想像したフィクションまでもが自分の要素としてどんどん追加されてくるのはアイデンティティー上の恐怖かもしれない。
なにせ、下手をすると露出度の高い人外ロリにされてしまうかもしれないのだ。
- 『……君はよく、空気が読めないとか言われることはないか?』
- 自分のオリジンを知って、できればその真実に従いたいという本人的には痛切な願いを「それこそ、自分がないみたい」とばっさり片付けられ、そのあまりのエアブレイカーぶりに愕然とする。
- 『さて、マスターよ、まずはどう動く?
私の能力があれば、あらゆるところに侵入し、敵のマスターを直接潰すことも可能であろう!
私は貴方の指示通り動かせてもらうつもりだが?』 - 「英雄たちほどの力も、人間としての倫理観も望めない自分みたいなサーヴァントをよく呼び出す気になったな」と自虐混じりの皮肉を言ったらベタ褒めで返されてちょっぴり前向きになったバーサーカーさん。気合を入れて自分のセールスポイントをアピールするが、マスターから返ってきた答えは……
それはともかくとしてこのサーヴァント、別世界のルーマニアで派手に大暴れしているロリっ子とクラスを交換するべきではないだろうか。
- 「まあ、英国紳士は時間に正確なのだ、という事にしておこう。私の正体が紳士であればの話だがね」
- フラットの提案で彼の腕時計となっている現状、本物の時計と比べて時間が全然ずれてないと褒められて。
このあと、全く悪気のないツッコミでグサッと心を抉られる。
- 「君は……人を殺した時にも同じ事を言いそうで怖いな」
- 「使い魔へのハッキングがもしバレたら誠心誠意謝る」などと正気の沙汰ではない事を言いながら無邪気に笑うフラットに、殺人鬼ながらどこか少しうすら寒いものを覚えてのコメント。完全な正解ではないものの、フラットというマスターの本質を突いている。
メモ
- 『TYPE-MOONエース9』掲載のFateシリーズ作品作家鼎談において、成田良悟氏と東出祐一郎氏の間ですり合わせが行われた結果「バーサーカーのクラスで召喚すると『Fake』の方のジャックが出てきて、アサシンで召喚すると『Apocrypha』のジャックが出てくる」ということになったと語られている。
- 後に「ジャック・ザ・リッパー」とは、無限の可能性を組み込まれた存在であることが明らかになった。
- 無限に等しい可能性を持つジャック・ザ・リッパーの概念らしく「誰でもない」故に様々な人間に変身する「誰にでもなれる」変身能力の他、「誰でもある」が故に生者の身体を乗っ取り「誰でも殺人鬼に出来る」憑依能力を持っているらしいことが示唆されている。
但し、後者は「バーサーカークラスの逆狂化補正を受けていない場合」の仮定の話であり、作中の時点でバーサーカーのクラスを得ている彼がその能力を行使しうるかどうかは不明である。 - 伝奇小説のエピソードによって無機物にもなれると言う設定は、裏を返せば『件の伝奇小説が無ければ無機物にはなる事はできなかった』ともとれる。「誰にでもなれる」とは言うものの、さすがに既存の説とかすりもしない存在にはなれないという事だろう。
- スノーフィールド中央病院の医療関係者など、実在の、ジャック・ザ・リッパーとは全く関係ない一般人に変身することも可能だが、これは「切り裂きジャックの霊に取り憑かれた人間」枠で変身しているのか、作中で特に明言されてはいないため原理は不明。
- 殺人鬼として「人であれば殺せる」といった概念補正を持っているのではないかと目されてはいたが、初期に公開されていたプロローグ時点では他陣営のサーヴァント・マスター共に「死病という概念」「神々の宝具として作られた泥人形」「3分の2が神」ほか死徒や獣など人でないものが半数近くを占めていたため、キャスター陣営を除けば勝率が薄そうだとも考えられていた。しかし偽りの聖杯戦争が本番を迎え、真サーヴァントの陣営が加わってくると人間率はぐっと上昇。中でも最強の一角である大英雄が神性を捨て「人である」ことに固執していることもあって、にわかに大物喰いの可能性も出てきたといえる。