ジャック・ザ・リッパー (Fake)

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バーサーカー (strange Fake)

  • 真名:ジャック・ザ・リッパー

狂戦士」のサーヴァント
時計塔の若き魔術師フラット・エスカルドスをマスターとし、己でも解らぬ己の正体を知るため、戦いに臨む。

略歴
偽りの聖杯戦争において、フラットが師であるロード・エルメロイⅡ世より譲り受けた「ジャック・ザ・リッパーの銘入りナイフ」を触媒として召喚したサーヴァント。このナイフは日本製のとあるゲームにアンケート葉書を送ると抽選で100名にプレゼントされる景品であり、本当にジャック・ザ・リッパーと深い縁のある特別なものでは決してなかったため、本来であれば英霊召喚の触媒に使えるような聖遺物や魔術礼装の類ではなかった。そのためエルメロイⅡ世も欲しいと言われて問題なく譲ってしまったが、そのことによって「切り裂きジャックを題材にした伝説」が正体という奇妙なサーヴァントを召喚する触媒としての性質を持ちうる要因となり、そこにフラットが魔力の流れを操作した結果、偶然にも正規の触媒として機能してしまった。
本来ならば常に霊体化してフラットと行動を共にするはずだったが、自らの変身能力の幅広さとフラットの純然たる趣味により、腕時計の姿でマスターの腕に巻きついて過ごす羽目になった。
人物
本来ならば狂気と凶気しか存在せず、召喚した者の体を乗っ取り無差別に殺戮を行う存在として顕現する筈だったが、「狂気の象徴」としての出自がバーサーカー(狂戦士)のクラスと波長が合い、狂化と打ち消し合った結果(フラットの解釈では「マイナス×マイナス=プラス」という理屈らしい)、奇跡的にもバーサーカーとはとても思えないような正常な理性と知性を具えた状態に落ち着いた。
本来であれば凶暴極まりないものとなるはずだとされた性格も、この状態だと多少殺人行為などに忌避感が薄い所以外は至って常識人そのものである。そのため、マスターであるフラットの非常識なまでのユルさ、能天気さに振り回されながらも驚いたり絶句したりつっこんだりと、やけに人間くさいリアクションが多い。
犯人探しのミステリーから生まれた「誰でもない」ものであるがゆえに定まった姿形を持たず、基本的にはフラットの頭の中に気さくな紳士風の口調で語りかける声としてのみ存在する。その「声」にもはっきりとした特徴はなく、性別も、年の頃も、身分その他の素性も感じ取れず、あたかも顔のない怪物と会話しているような気分にさせられるという。最初に自らの能力をデモンストレーションするため警官や娼婦に変身した時も、その人物としての演技をしていない限り、口調は元々の紳士風のもののままだった。
聖杯にかける願いは本物のジャック・ザ・リッパーの正体を知ることである。
能力
「誰でもない」がために「誰にでもなれる」、つまり変身能力を持つ。本人の身体のみならず衣服や持ち物も自在で、実体化させている間は感触や質量までもリアルに再現できる。その変身できる範囲は一般的な「ジャック・ザ・リッパーの容疑者」モデルである警官や娼婦となってみせたのをはじめとして、人間から動植物、果ては無機物にまで及ぶ(『呪いのアイテムに操られた人々が切り裂きジャックの正体』という伝記小説のエピソードによる)。変身後の能力は変身した対象に依存するようで、一般人に変身した際は英霊としての基礎能力が大幅に低下した。
変身を行っている状態では倒されても影響がないのか、真アーチャーとの戦闘時には幾度も身体をねじ切られ、矢で貫かれながらもその度に同じ姿で復活し数分間戦闘を継続している。
また分身を行うことも可能で、作中では最大32人にまで分身した。
本人は自身について「吹けば飛ぶようなただの犯罪者」「ただの力持たぬ『殺人鬼』」と語っているが、神であることを捨てた真アーチャーに対しては「本質が人である限りただの力持たぬ『殺人鬼』に狩られる事となるだろう」と宣言している。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
バーサーカー フラット・エスカルドス - - - - - B 狂化:- 千貌:A 霧夜の散歩者:B 筋力~敏捷の値は千貌の変身対象に調律される。

宝具

悪霧は倫敦の暁と共に滅び逝きて(フロム・ヘル)
ランク:A+~E-
種別:対人宝具
レンジ:1~20
最大捕捉:-
「切り裂きジャックの正体は地獄から来た悪魔だった」という説に基づき、その姿を悪魔に変じさせるが、真性悪魔ではなく幻想種としての仮初の存在にすぎない。
この場でジャックが地上に顕現させた地獄に深い霧に未知の青黒い植物や人面の蝙蝠と小鬼達の姿をした炎が出現するが、これは『悪魔という絶対悪による人々の堕落』であり、すべての悲劇と悪意を『どうか悪魔のせいであってくれ』と想像の産物に押し付けるようという、歪んだ願いが生み出したモノである。

周囲の人々が持つ潜在的な恐怖と不安を基盤とするため、半径5kmの人口密度の高さによって威力が変動し、無人の荒野では大型の猛獣程度の強さにしかならないが、都市部では武闘派サーヴァントに匹敵する強さを持つ。

攻撃手段は双眸から放つ熱線と爪であり、当然これらは武器による攻撃ではないため真アーチャーの『ネメアの獅子の毛皮』の力を無効化できる。
『Fake』ではスノーフィールドの病院と教会の間で発動した事で真アーチャーの『十二の栄光』で召喚された『ケルベロス』をいとも簡単に撃破し、真アーチャーを追い詰めたものの、第三宝具である『天つ風の簒奪者』によって奪われてしまう。
其は惨劇の終焉に値せず(ナチュラルボーンキラーズ)
ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:-
最大捕捉:-
「切り裂きジャックは一人ではなく、集団だった」という説に基づいた宝具。
マスターの魔力量によって、多数の分身を造ることが出来る。分身はどれもが本体であるとも言え、最後に残った一体が自動的に本体になる。
なお、最大数はマスターの魔力量によって依存し、強力な存在に変じるとその分だけ分身の数は減少する。また、『悪霧は倫敦の暁と共に滅び逝きて』と併用できる。
『Fake』におけるマスターであるフラットと組み合わせた場合、最大512人まで分身、『悪霧は倫敦の暁と共に滅び逝きて』と併用した場合でも軽く200体を超える。

真名:ジャック・ザ・リッパー

ジャック・ザ・リッパー。ヴィクトリア朝に生きた連続猟奇殺人鬼。
だがこの英霊は、ジャック・ザ・リッパー本人ではなく、ただ恐怖の象徴として、本当の顔も名前も知られぬままに人々から想像され、数多の物語に記された無数の『ジャック・ザ・リッパーの伝説』から形作られたのである。
ジャック・ザ・リッパーとして疑われた者全てであると同時にその「誰でもない」英霊に名前はなく、しかして確かにこの世界に存在した。
ホワイトチャペルと呼ばれる倫敦の一角にある、五人の娼婦を惨殺した者こそが、「切り裂きジャック」であると。
バーサーカーとして召喚されたジャック・ザ・リッパーは、マイナス同士の掛け合わせによって一周回って「精神に破綻を来たしていない、理知的な人格」となっている。

関連

From hell
ジャック自身が書いたと言われる手紙の一言から広まった説であり、都市部よりも、色濃く迷信が信じられた地方に広まった際に『切り裂きジャックは悪魔、あるいは悪魔憑き、悪魔崇拝者である』という逸話が根付いている。

変身体

警官・娼婦
フラットに自身の能力を解説する際に披露。
腕時計
フラットの趣味のため、平常時の姿としている。
魔術師
魔力の霧を霊視する際に変身。ある程度の魔術を行使できる。
露出度の高い黒い水着のような格好の女の子
病院への潜入の際に変身。本人曰く、普通の少女に変身するつもりだったが、なぜこの姿になったかわからないとのこと。
看護師
病院への潜入の際に変身。この際、IDカードのような変身対象の所持品も完璧にコピーできる能力を見せている。

登場作品と役柄

Fate/strange Fake
スノーフィールドで行われる偽りの聖杯戦争に、バーサーカーのクラスで召喚される。奇跡的な偶然によって正常な精神状態を獲得するも、破天荒なマスターに振り回され気苦労を覚えている。
ちびちゅき!
相変わらずフラットとコンビを組んでいる。探偵助手になりたい彼のために、ロード・エルメロイ二世に「なる」ハメに。

人間関係

フラット・エスカルドス
マスターである魔術師の青年。あまりにも破天荒かつ天然すぎてツッコミが追い付かないが、自己のアイデンティティーさえ不確かな、正体不明の殺人鬼に裏表のない好意を示してくれる得難い相棒である。
ロード・エルメロイⅡ世
フラットの魔術の師。彼が間違えて購入したゲームソフトについていたアンケート葉書を律儀に投函した事が巡り巡って、フラットとバーサーカーは運命的な出会いを果たす事になる。
電話越しに(フラットに対する)2時間以上のお説教を聞かされた結果、フラットの保護者的存在として深い共感を覚えたと同時に、もし直接対峙するような事があったら存在の奥底まで分析されて解体されてしまいそうだという恐れも抱いている。
ジャック・ザ・リッパー (Apocrypha)
同じ真名を持つが全くの別存在。
あらゆる噂と伝聞と推測がない交ぜとなったことで「ジャック・ザ・リッパー」は「誰でもあって、誰でもない」人間として無限の可能性を組み込まれており、彼女もジャックとして組み込まれた者の一人。
「ジャック・ザ・リッパー」という真名を持つサーヴァントは誰もが本物であるし、誰もが偽物と言える。
なお、バーサーカーのジャックが10歳の少女に変身しようとした際は、何故か必ず彼女と同じ「露出度の高い黒い水着のような格好」になってしまうらしい。

名台詞

『正直な話、私にもわからん・・・・・・・
『我が真名は――』という勿体ぶった引きからのオチに、珍しくフラットがつっこむ側に。とはいえ、バーサーカーにとっては至って真剣な悩みである。
『君が優秀な魔術師なのか、途端に不安になってきたぞ』
警官に化けて職務質問するふりをしたとき、フラットが魔術師らしく催眠暗示などを用いて切り抜けようとしなかった理由を問いただして。時計塔では教授宛の荷物ですら当たり前のように透視魔術を使って中身を覗いたりするような失礼さを見せるフラットだが、一般人相手にはまず話し合いで分かってもらおうという姿勢でいるあたり、全くもって魔術師らしくない。
『私は伝承に過ぎず、真実ではない。
 だが、自分が何者かもわからぬまま、ただ人々の紡ぎ出す物語や考察で自分の形を変容させていくというのは、とてもとても恐ろしいことなのだ。
 肉を持ち、名を持ち、過去を持つ君には理解できないことかもしれないが』
自らの願いの切実さを、神妙な声色で語るバーサーカー。
確かに、それなりの根拠がある推理ならまだしも、後世の人々が好き勝手に想像したフィクションまでもが自分の要素としてどんどん追加されてくるのは自分を理解する上でそこまで気分の良いものではないのだろう。
なにせ、今は下手をすると露出度の高い人外ロリにされてしまうかもしれないのだ。ある意味では、これもまた無辜の怪物の悲劇というべきか…。
『……君はよく、空気が読めないとか言われることはないか?』
自分のオリジンを知り、できればその真実に従いたいという本人的には痛切な願いを「それこそ、自分がないみたい」とばっさり片付けられ、そのあまりのエアブレイカーぶりに愕然とする。
『さて、マスターよ、まずはどう動く?
 私の能力があれば、あらゆるところに侵入し、敵のマスターを直接潰すことも可能であろう!
 私は貴方の指示通り動かせてもらうつもりだが?』
「英雄たちほどの力も、人間としての倫理観も望めない自分みたいなサーヴァントをよく呼び出す気になったな」と自虐混じりの皮肉を言ったらベタ褒めで返されてちょっぴり前向きになったバーサーカー。気合を入れて自分のセールスポイントをアピールするが、まさかこの後腕時計に変身させられる事になるとはこの時は想像もつかなかっただろう。
それはともかくとしてこのサーヴァント、別世界のルーマニアで派手に大暴れしているロリっ子とクラスを交換すべきだった。
「まあ、英国紳士は時間に正確なのだ、という事にしておこう。私の正体が紳士であればの話だがね」
フラットの提案で彼の腕時計となっている現状、本物の時計と比べて時間が全然ずれてないと褒められて。
このあと、全く悪気のないツッコミでグサッと心を抉られる。
「君は……人を殺した時にも同じ事を言いそうで怖いな」
「使い魔へのハッキングがもしバレたら誠心誠意謝って許して貰うつもりだった」とあまりにも呑気で大胆すぎる事を言いながら無邪気に笑うフラットに、どこか少しうすら寒いものを覚えてのコメント。完全な正解ではないものの、フラットというマスターの本質を突いたツッコミ。

メモ

  • TYPE-MOONエース9』掲載のFateシリーズ作品作家鼎談において、成田良悟氏と東出祐一郎氏の間ですり合わせが行われた結果「バーサーカーのクラスで召喚すると『Fake』の方のジャックが出てきて、アサシンで召喚すると『Apocrypha』のジャックが出てくる」ということになったと語られている。
    • 後に「ジャック・ザ・リッパー」とは、無限の可能性を組み込まれた存在であることが明らかになった。
  • 無限に等しい可能性を持つジャック・ザ・リッパーの概念らしく「誰でもない」故に様々な人間に変身する「誰にでもなれる」変身能力の他、「誰でもある」が故に生者の身体を乗っ取り「誰でも殺人鬼に出来る」憑依能力を持っているらしいことが示唆されている。
    但し、後者は「バーサーカークラスの逆狂化補正を受けていない場合」の仮定の話であり、作中の時点でバーサーカーのクラスを得ている彼がその能力を行使しうるかどうかは不明である。
  • 伝奇小説のエピソードによって無機物にもなれると言う設定は、裏を返せば『件の伝奇小説が無ければ無機物にはなる事はできなかった』ともとれる。「誰にでもなれる」とは言うものの、さすがに既存の説とかすりもしない存在にはなれないという事だろう。
  • スノーフィールド中央病院の医療関係者など、実在の、ジャック・ザ・リッパーとは全く関係ない一般人に変身することも可能だが、これは「切り裂きジャックの霊に取り憑かれた人間」枠で変身しているのか、作中で特に明言されてはいないため原理は不明。
  • 殺人鬼として「人であれば殺せる」といった概念補正を持っているのではないかと目されてはいたが、初期に公開されていたプロローグ時点では他陣営のサーヴァント・マスター共に「死病という概念」「神々の宝具として作られた泥人形」「3分の2が神」ほか死徒や獣など人でないものが半数近くを占めていたため、キャスター陣営を除けば勝率が薄そうだとも考えられていた。しかし偽りの聖杯戦争が本番を迎え、真サーヴァントの陣営が加わってくると人間率はぐっと上昇。中でも最強の一角である大英雄が神性を捨て「人である」ことに固執していることもあって、にわかに大物喰いの可能性も出てきたといえる。

話題まとめ

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