スパルタクス

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赤のバーサーカー
真名 スパルタクス
外国語表記 Spartacus
性別 男性
身長 221cm
体重 165kg
特技 受け
好きな物 逆転
苦手な物 一切の反撃を許さない波状攻撃
天敵 圧制者
出典 史実
地域 ローマ
属性 中立・中庸
一人称
二人称 お前 
三人称 彼/彼女
声優 鶴岡聡
デザイン 近衛乙嗣
寺田克也(原案)
設定作成
Apocrypha
虚淵玄
Grand Order
東出祐一郎
虚淵玄
イメージカラー 濃い灰色
レア度 ☆1
初登場作品 Fate/Apocrypha
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概要

狂戦士」のサーヴァント

略歴
Fate/Apocrypha』では「赤」のサーヴァントとして召喚されたが、赤のキャスターに唆され、ミレニア要塞に単独で突撃し、多くのゴーレムやホムンクルスを葬る。
だが黒のライダーの宝具によって足を潰され、ゴーレムに拘束された状態で黒のランサーの攻撃を受け、満身創痍の状態で「黒」の陣営に捕獲されてしまう。
その後黒のキャスターにマスター権を移し替えられ、特に何の葛藤もなく「黒」のサーヴァントとして戦場の中心地に突撃、赤のアーチャーに襲い掛かる。そして、前回の戦いのダメージ分も含めた宝具「疵獣の咆吼」の効果が暴走し始め、異形の姿となって猛威を振るった後、最大出力で宝具を解放。一撃で戦場を更地に変えミレニア城塞を半壊させるも、既に肉体は限界を迎えていた。
痛みに耐え続け、圧制者達に生涯最高の一撃を打ち込んだ事への幸福を感じながら、笑って息を引き取り、「赤のサーヴァント」最初の脱落者となった。
Fate/Grand Order』第二特異点『永続狂気帝国 セプテム』ではマスターを持たないはぐれサーヴァントとして西暦60年のローマに召喚される。
圧制者(皇帝)が山のように居る連合ローマ帝国、彼の習性(?)を理解している相方の存在等の諸々の事象がかみ合った結果、ネロの軍の客将として行動している。
最終盤では王宮近くで呂布と共に大暴れを繰り広げたが、聖杯を取り込んだアルテラの宝具を食らって前線離脱を余儀なくされた。
終局特異点『冠位時間神殿 ソロモン』では冠位時間神殿に召喚され、他のサーヴァント達と共にⅡの座を統括する情報室フラウロスと交戦する。
Lostbelt No.3『人智統合真国シン』では中国異聞帯に召喚されるが、中盤で始皇帝の粛清を受けかけた村人達を守る為に主人公の令呪によって魔力のジェット噴射で重力に叛逆して上空に飛び上がり、隕石と化した万里の長城に対して体当たりし、自らの霊基が崩壊する程の大ダメージを出力に変換した宝具『極大逆境・疵獣咆吼』を発動し、落下してくる質量兵器と蒸発させ、モードレッドが「お前のどこを殴れって言うんだ」と言う程にボロボロの状態で落下し、村で叛逆について語り合った少年の瞳に宿った確かな決意を見て、笑いながら消滅した。このスパルタクスの叛逆は、この世界にこれまで存在しなかった「祈り」を始めて齎し、英霊の座に繋がるパスを切り開く事となった。
人物
青白い全身に数え切れないほどの傷跡を持つ、筋骨隆々とした戦士。
相手の攻撃を全て受けきってから反撃するプロレスラーのような精神構造の男。彼のスキル『狂化』はランクEXであるが極めて高度な言葉を流暢に喋り、一見して理性があるかのように見える。しかし、文章ごとに切り抜いて見れば意味の通る文章を喋っていても、会話の文脈と何の関係もなく「圧制者への叛逆」に関する事のみを喋るため、全体的に見ると会話は成立しない。
ただ会話が成立しないだけで理性が無い訳ではなく、慣れた者ならその支離滅裂な会話からある程度スパルタクスの感情や思考を読み取る事ができるらしい。
しかし、彼の考えを読み取る事ができたとして、彼は”常に最も困難な選択をする”という思考で固定されているために、マスターの命令や周囲の指示を全く聞かず、令呪ですら2画消費しないと効果を発揮しない。つまり、一回しか命令を出せない。
ただし、令呪はサーヴァントに強制的な命令を下すものであるが、「自らの意志による行動を後押しする」ためである場合に限り、スパルタクスは自ら令呪の効力を受け入れる事もあり、1画で十分な効果を発揮する[注 1]
また、信念のためならマスター殺しも辞さない上に、マスターが「高圧的」「居丈高」になったり、命令と称して強引な、彼にとって不満な行為を行ったのならば反逆をする事もある。
ただ、叛逆者を除けば、その態度は意外にも紳士的。戦闘に対する執着もなく、富や名誉にも一切に興味を持たない禁欲的な一面を持つ。
たとえ為政者の催しであったとしても、それを楽しむ人々がいるならば存在を否定しない。
虐げられる者たちのために戦い続けた紛れもない英雄だが、戦闘中もずっと微笑を絶やさないため、敵味方問わず不気味がられ、恐れられている。
聖杯を求める確かな動機はなく、ただ戦いの場に赴くことだけを悲願する。被虐者を救済し、加虐者に反逆することだけを志すに彼にとって、戦場こそ弱き者と強き者しかいない場所であり、常に求めてやまない苦痛と試練に満ちあふれた場所なのである。
『Grand Order』では「風呂の湯に浸けておけばおとなしくなる」という驚愕な一面が語られた。
Lostbelt No.3『人智統合真国シン』では担当ライターが元設定を担当した虚淵氏であったことからか非常に理知的かつヒロイックな描写がされている。
能力
武器は小剣(グラディウス)で、強烈な衝撃波を生み出すほどの重い斬撃を放つ。
また3メートル近いゴーレムを苦も無く放り投げ、素手で木っ端微塵に砕くほどの怪力を誇る。
だが彼の最大の武器はその驚異的なタフネスであり、斬られても、殴られても、相手の攻撃を必ず受けてから反撃に移る。
さらに複数の敵をまとめて抱え込み、スープレックスによって粉砕するなど、戦い方もプロレスラーそのものである。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
バーサーカー - A EX D E D C 狂化:EX 被虐の誉れ:B
主人公 (Grand Order) A EX D E D C 被虐の誉れ:B→B+
不屈の意志:A
剣の凱旋:B

宝具

疵獣の咆吼(クライング・ウォーモンガー)
ランク:A
種別:対人(自身)宝具
レンジ:0
最大捕捉:1人
常時発動型の宝具。伝説が昇華されて宝具化したタイプ。バーサーカーのクラスで召喚された場合とセイバーのクラスで召喚された場合で宝具の使用法が異なる。
バーサーカーのクラスで召喚された場合は敵から負わされたダメージの一部を魔力に変換し、体内に蓄積して貯められた魔力はステータス強化と治癒能力の増幅などに転用され、傷つけられれば、傷つけられるほど強くなる。魔力への変換効率は彼の体力が減少するほどに上昇する。
『Fate/Apocrypha』で召喚された際は聖杯大戦という形態によって現世との繋がり、因果線が複雑だったためか変換効率が暴走している。
この場合、首を裂かれようが、全身を切り刻まれようが、即座に再生するので決して戦闘を止めず、痛みも全く意に介していない。もし瀕死まで傷めつけられたならば、眼前のすべてを破壊して余りあるほどの膨大な魔力を溜め込み、一撃で聖杯大戦に決着をつける可能性すら存在する。チャージが溜まってくると、巨大化し始め、傷ついた部分が腫瘍のように盛り上がるようになる。そして、最大まで高まると完全に異形化する。この状態となると三画も令呪を使用しても効果がなくなり、完全に制御不可能となる。
腕は8本に増え、内三本はまるで蛸足のように骨が無く、振るえば鞭のようにしなり岩盤を一撃で粉砕する。脚は自重が二本では最早支えきれないほどの重さとなっているので、昆虫のような副脚が大量に生え、重みを分散している。頭は首にめり込み、肩口からティラノサウルスの持つような上顎と下顎が突き出し、眼球も肩と首と腹部に存在し5つに増えている[注 2]
また凄まじい量の魔力を帯びているため、ただの物理攻撃によって砕けた大地の破片ですらサーヴァントへの殺傷力を帯びるレベルで魔力に侵され、回避が非常に困難となっている。チャージ量最大で力を解放した場合、地形を変えるほどの威力を持った光の奔流によって戦場を薙ぎ払い、一撃で周囲一帯が更地と化した。
セイバーのクラスで召喚された場合は、相手の攻撃に耐え抜くと体力や魔力を回復し、次以降の同じ攻撃を無効化するか、もしくは反射するというものになるらしい。
『Grand Order』では「敵全体に強力な防御力無視攻撃&自身のHPを大回復[注 3]」という効果のBuster宝具。
愛は爆発する(バレンタイン・トリーズナー)
『Grand Order』のバレンタインイベント『チョコレートレディの空騒ぎ』のストーリー中で敵として登場した際の宝具。
基本的な性能面は『疵獣の咆吼』と変わらない(どころか異様に威力が低い)のだが、この戦闘限定のスキル「フルチャージ」によって一ターン目からぶっ放してくる。
極大逆境・疵獣咆吼(ウォークライ・オーバーロード)
『Grand Order』の中国異聞帯で発動した宝具。
村を丸ごと消し飛ばす規模の始皇帝による質量爆撃に対して頭から突っ込み、発動によって跡形も無く消し飛ばした。
発動した本人も致命傷を受けたが即死したわけではなく、ある程度の会話も可能であった。
詳細は不明であるが、現在進行形で受けている大ダメージに耐えつつ魔力へと変換し、最終的に発生源もろとも相討ち気味に吹き飛ばす効果であろうか。

真名:スパルタクス

スパルタクス。トラキアの剣闘士にして、第三次奴隷戦争の実質的な指導者。紀元前二世紀~一世紀の人物。
仲間と共に剣闘士養成所から脱走した彼は叛乱軍を編成し、たちまち彼の下へ他の剣闘士や奴隷が集結し、大軍となった。
第三次奴隷戦争において彼は戦闘経験に乏しい奴隷や、子供と老人といった、ほぼ烏合の衆に過ぎない反乱軍を指揮し、強力なローマ軍に連戦連勝した。
その人望や戦争指揮能力は卓越したものであったが、それ以上に彼が人望を集めた要因は"必ず逆転によって勝利する"英雄だったこと。
反乱軍の兵士にとって戦況が絶望的であればあるほど、その先にある勝利は確かなものだったと信じていた。
その反乱もローマが大軍を編成したことで最終的に鎮圧され、スパルタクスも討たれてしまった。
だが、反乱が鎮圧された時も死ぬまで戦い続けた戦士の名は虐げられた人間の希望として歴史に刻まれた。
なお、彼の遺体が戦場のどこにも残らなかったのは、一説によると戦いの激しさのあまりズタズタに切り刻まれたことによるが、定かではない。

関連

第三次奴隷戦争
共和政ローマ期に起こったローマ軍と反乱軍による戦争。三度起きた奴隷戦争の中で最後にして最大規模のものであった。
首謀者がスパルタクスであることから「スパルタクスの反乱」とも言われる。

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/Apocrypha
「赤」のサーヴァントとして登場。
Fate/Grand Order
低レアの☆1サーヴァントとして稼働初期から実装。スキル構成から、汎用的な全体宝具要員としてはコストパフォーマンス抜群の一騎。
第二部第三章の実装に際してモーションの改修がなされた。
ストーリーでは第一部の第二特異点で登場。ネロの軍の客将として、ローマ連合帝国と戦っている。
後に第二部の中国異聞帯にも登場した。

Fate関連作品

カプセルさーばんと
さーばんとの一匹。
体力が高いが、移動しない上に本人からは攻撃しない。攻撃されて初めて威力の高い攻撃を返す。

その他

TMitter2015
インペリアルローマプロダクション所属のプロデューサー。
皇帝(しゃちょう)に叛逆するため、彼女以上のアイドルを探して町を徘徊する。
ちびちゅき!
陸上部所属。マッスルトリオの一人。

人間関係

Fate/Apocrypha

赤のアーチャー
「笑うていたな。」
彼女の再三に渡る警告を無視し、敵地に突撃してしまう。見捨てずに説得しようとしていたが、戦闘中も微笑みを絶やさない彼にはドン引きしている。
赤のライダー
「……笑っていたな。」
戦うことだけを思考している生物、とアーチャーと違い彼に早々に見切りを付けている。やはり微笑み続ける彼に不気味さを感じている。
赤のセイバー
ジークと戦っていた彼女に対して嬉々として襲いかかる。直前の「騎士王に対する不敬だ」という言葉で王認定したのだろうか。
黒のランサー
「圧制者」と見なして戦いを挑む。彼の気高い叛逆の精神に敬意を表し、満身創痍の状態に追い込み捕獲する。
黒のキャスター
捕縛された後、新たなマスターとなる。
……だが、自分が現界し続けるための隷属であり、ギブアンドテイクの関係に近い。
ルーラー
聖杯大戦における最高権力の圧制者と見なし、自らを現世に留めるための魔力まで注ぎ込んだ生涯最高の一撃を叩き込まんとする。
デムライト・ペンテル
漫画版で正式決定した本来の赤のバーサーカーのマスター。

Fate/Grand Order

ブーディカ
第二特異点において、共にネロの軍の客将としてコンビを組んでいる。時代は違えど、ローマに逆らった者同士。
ブーディカは彼の発する支離滅裂な言葉から彼の感情や思いを読み取れるらしく、それなりに良好な関係だった模様。
なお、あくまでローマ出身であるためゲーム的には彼女のローマ特攻の対象になる。
荊軻
第二特異点において共闘した間柄。
後の第二部の中国異聞帯ではモードレッドともども「叛逆三銃士」として召喚され、共闘した。
ゴルドルフ・ムジーク
彼の本質を見抜いているのか、「圧政者のようで圧政経験のない人物」と好意的に評価している。
少年
第二部の中国異聞帯において、こっそり村を抜け出した経験のある彼の案内で魔獣討伐に赴く事になり、一緒に行動する。
自分が庇護するべき対象である為か普段の様子が信じられない程に終始理知的に会話し、叛逆の何たるかを教えていた。
後に彼らを庇って始皇帝の攻撃から彼らを守った事でその精神が受け継がれ、中国異聞帯に「祈り」が生まれる事になる。
虞美人
彼女の幕間の物語で共演。
マスターとしての彼女のあまりの残念な指揮に「圧政がどうとか以前の問題」と苦言を呈していた。

TMitter2015

ネロ・クラウディウス
所属するプロダクションの皇帝(社長)。彼女に叛逆すべく、対抗するアイドル候補を探している。
エリザベート=バートリー
街角で見かけたアイドル候補生。ネロに対抗できる逸材と見て勧誘するも、怪しさ大爆発な姿だった為にドン引きされた。

名台詞

Fate/Apocrypha

「―――さあ、圧制者よ。傲慢が潰え、強者の驕りが蹴散らされる刻が来たぞ!」
VS黒のライダーの際のセリフ。彼にとって「敵」とは、「圧制者」と同義らしい。
圧制者はおろか、執政者の要素が皆無なライダーにも言ってしまうあたり、やはり彼は狂っている。
「ははははは。これはいい、これは素晴らしい。
 雲霞の如き敵兵、そして我が身は満身創痍。
 ああ、これでこそ――勝利するときの凱歌はさぞや叫び甲斐があるだろう!」
足を潰され、全身をゴーレムが覆っていても彼は笑い続ける。
絶望的な戦況から逆転を繰り返してきた彼は如何なる苦痛を与えられても、勝利を信じて戦い続ける。
雄々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ———!!」
異形化し小山と同じ位の巨人となったスパルタクスが放つ、極大の咆哮。
「大丈夫。ほら傷口も笑ってる。」
『Apocrypha』がオンラインゲームとして企画されていた時に考えられていたサンプル台詞の一つ。
キャラクター設定を担当した虚淵氏の最もお気に入りの台詞であり、「どんな声優さんが言ってくれるのだろうか」と非常に楽しみにしていたそうだが、企画自体がお蔵入りとなったことで残念ながら声が付く事はなかった。
また、彼にボイスが付いた『Grand Order』でもこの台詞は採用されていない。
「時は満ちた。我が一撃はあらゆる圧政を破壊し、全ての権力を打ち砕く。これが! スパルタクスである!」
アニメ版での宝具発動シーンの口上。文字通り全てをかけた一撃は輝く光線として発射された。

Fate/Grand Order

戦闘

「さあ、愛を受け取り給え!」
「我が誇りを受けるがいい!」
「おお圧制者よ! 汝を抱擁せん!」
「ふはははは! 愛! 愛を!」
戦闘時の攻撃台詞。この他、自分の叛逆を圧制者への「愛」と表現している節があり『Apocrypha』時代よりも怪しさが数段上がっている。

マイルーム

「バーサーカー、スパルタクス。さっそくで悪いが、君は圧制者かな?」
召喚時にいきなり吐く台詞。彼の危険性が端的に表れている。
「許せぬものかぁ…? 圧制者とは永遠に相容れることはない。死ぬがよい。」
マイルーム会話「嫌いなもの」。当然の返答だが、最後に憎しみを込めて「死ね」のダメ出し。果たして誰に向けたものであろうか?

本編

「圧制者と聞いて!」
Lostbelt No.3『人智統合真国 シン 紅の月下美人』より。
叛逆三銃士の一人としてダ・ヴィンチに紹介されての一言。いつも以上に前のめりな様子は、なんだか呼ばずとも向こうからやって来たのでは、と思わせるほど。
「まあまあ。圧制者に怒り募らす想いは我らとて同じ。どうか暗殺の英霊、荊軻どのにも共に戦っていただきたい!」
同じく叛逆三銃士として紹介された荊軻が、始皇帝暗殺というこの上なく自分に適した舞台にも関わらず三銃士とひとくくりにされていることに憤っているのを見ての発言。何も間違ったことは言っていないが、まさか彼がとりなされるのではなくとりなす側になるとは想像できなかったユーザーも多い。
『冠位時間神殿 ソロモン』では荊軻にいなされている場面もあるため、立場が逆転しているとも取れるやり取りであった。
「見過ごしていた美と善に気づき、看過しきれぬ醜悪さに気づく。それが成長というものだ。」
「なれるとも。スパルタクスには誰でもなれる。人生とは即ち、逆境への叛逆に他ならないのだから!」
村の外を知りたがった少年を肩に乗せて歩きながら、自分もスパルタクスのようだったら、とこぼす少年に対して。誰でもなれる、というあたり彼が自身の生前の偉業を英雄的なものとは捉えていないことがよくわかる。逆境に打ち勝とうという「ごく当たり前の気持ち」が叛逆への第一歩だという。
「踏み止まり見届けるというのもまた勇気ある行為である。少年よ、君は恥じる余地などなく強かったとも。」
魔獣との戦闘に恐怖して立ちすくみ、役に立てなかったと落ち込む少年に微笑みかけながら。上述のセリフと合わせ、戦う力だけが叛逆ではない、もっと精神的な部分にこそ叛逆の骨子があるという彼なりの叛逆理念が垣間見える。
「民には、自由が与えられるべきなのだ。」
「戦うための牙、未来への希望、そういったものを掴み取って初めて、競い合うことが許される。」
「無論、私はマスターのサーヴァントだ。」
「マスターの属する陣営、汎人類史の勝利を懸けて戦う。その意志に一片の曇りもない。」
「だがな、人の誇りを讃える者として敢えて言おう。」
「生き残るべきが汎人類史の側だと決めつけて進むべきではない・・・・・・・・・・・・・。」
汎人類史の英霊として戦うことに迷いはない、けれど相手が弱者のまま一方的に攻め滅ぼしてしまえばそれは圧制者と同じこと。人の誇りを讃える彼は、剪定された世界に生きる人々が決して「摘み取られて当然」の存在ではないと主張した。
「我が身と、そして我が同胞が流す血の果てに、いつか、或いはこんな笑顔を見る事が叶うのではないかと――」
「そう夢見た眺めが、ここにある。ここは、私には遠すぎた理想の世界なのだ。」
為政者から与えられた食事と娯楽を喜んで享受する民衆を見て「為政者に踊らされる民衆なんていつもなら怒るところだろ?」とモードレッドに問われて。スパルタクスが生前知り得た為政者とは圧制者と同義であり民衆は飢えて苦しんでいた。けれどこの異聞帯では人々は為政者の恵みを喜んで受け入れ幸福に暮らしている。自由を摘み取られた彼らの姿は確かに圧制の犠牲者であったが、同時にその光景は生前の彼が願ってやまず、ついに道半ばで果たせなかった夢の先でもあった。
〇〇よ。未だ圧制者ならざる者よ。」
「今こそ、その権能をスパルタクスに示す時が来た。」
我に令呪を課すのだ・・・・・・・・・。」
「そしてただ一言、命じるだけで良い。跳べ・・と。」
Lostbelt No.3『人智統合真国 シン 紅の月下美人』第9節「叛逆の暁星」にて、儒によって蒙を啓かれた民を滅するため、衛星軌道上の万里の長城の1パーツをパージして落下させるという大質量攻撃に対して。
カルデア一行は直前の足止め戦闘にて始皇帝側の思惑ほどにはダメージを受けなかったため「自分たちだけなら」離脱はできなくはないが、第一目標である村人は助けられないという状況に追い込まれ、叛逆の体現たるスパルタクスが水を得た魚のごとく奮起する。
マスターとして命令される事そのものを圧制と見なしかねないスパルタクスが、自らに対する令呪の使用を願い、ただ一度きりの宝具開放に賭ける。それをマスターとつながる絆の力であると認めて。
「おおッ、今まさにッ! 我が両脚は引力に叛逆せり!」
「人よ、刮目して仰ぎ見よ! この飛翔こそ解放の極致! 大逆境を覆す大理不尽! 自由なる翼ッ!」
「ヌハハハハッ! 快ッ! 快なるぞッ! この痛みこそ我が誉れ! 我が生命! 我が愛はここに爆裂する!」
「『極大逆境・疵獣咆哮ウォークライ・オーバーロード』ッ!!」
重力に叛逆して上空に飛び上がり、隕石と化した万里の長城に対して体当たり、自らの霊基が崩壊する程の大ダメージをそのまま宝具出力に変換。「圧制の星」に対する「叛逆の暁星」は『極大逆境・疵獣咆哮ウォークライ・オーバーロード』にて大質量を跡形も無く蒸発させ、見事に圧制に叛逆を成した。
「ハハ、さすがに檄が重い。それでこそキャメロット円卓随一の益荒男よ。」
星となって圧制を撃ち落とした後、モードレッドに受け止められたうえで「落ちるのではなく降りろ」と檄を入れられて。益荒男には「武人」を指す意味合いもあるが、つわものなどの語を用いず明確にモードレッドを男性として評した人物はなにげに少ない。同じ叛逆の英霊としてか、はたまた彼自身の人間性か、モードレッドの複雑なパーソナルをある程度見抜いたうえでの発言と思われる。
「ハハハ。死なぬよ。スパルタクスは滅びはせぬ。」
「その小さき胸に不屈の闘志が、尽きせぬ叛逆の灯が宿るなら……」
「それこそが我が命なのだ、友よ。」
モードレッドが「お前のどこを殴れって言うんだ」と言う程にボロボロの状態で落下したスパルタクスだが、村で叛逆について語り合った少年の瞳に宿った確かな決意を見て、笑って消滅した。
始皇帝による粛清とスパルタクスの叛逆は、この世界にこれまで存在しなかった「祈り」を始めて齎し、英霊の座に繋がるパスを切り開く事となった。

幕間の物語

「マスター! 圧制者ではないが、いずれ圧制者となるべき宿命を持つ者よ!」
幕間の物語「グラディエーター・サーカス」にて。他の台詞においても、倒すべき圧制者がいる限りは運命共同体として従うが、最終的にはマスターにも反逆する事を窺わせる。

イベント

「チョコレートは圧制。」
『チョコレートレディの空騒ぎ』より。黒髭に召喚されて主人公達の前に立ち塞がる。バレンタインの起源はむしろ圧制への抵抗だったのだが、チョコは商業戦略の産物であるが故の圧制認定と考えられる。また、チョコレートの原料であるカカオは児童労働が問題となっており、そちらに憤った可能性もなくはない。彼にそんな理屈を求めるだけ無駄かもしれないが。
「この手枷は圧政の象徴。されど圧政はいつか叛逆されるもの。即ち、この手枷を破壊することこそ、反逆への第一歩。私が共に叛逆しよう。さあその手枷を打ち壊し、共に叛逆を!」
スパルタクスからのチョコのお返しの際の台詞。マスターに手枷を付けながら叛逆を促してくる。なんとか手枷を壊した後はいつもの笑顔で足枷のおかわりを持ってくるのだった……。
「叛逆(おやすみ)」
「叛逆(おはよう)」
『Apocrypha/Inheritance of Glory』より。スパルタクスの仲間たちへの挨拶。「おはようからおやすみまで、叛逆に夢をひろげる」スパルタクスらしい挨拶といえよう。
「庭園に向かうべく、私は鳥となろう。」
「そう、空羽ばたく優雅な小鳥に…」
同上。空中要塞へ乗り込む手段として、飛行手段を持つ仲間との同道を圧政認定して拒否。ならばどうするのかと問われて。
鳥になるという点もあれだが、何故によりによって『優雅な小鳥』か。あまりの違和感にケイローンさえたじろいだ。
この後、アタランテからのオブラートに包んだ「鳥類なめんな(意訳)」という説得により庭園からロープを垂らし、それを登るという提案を受け入れる。
鋼気煌々!コケッコッコー!
同上。ニワトリは飛ばないし、字面が雄々しすぎて優雅とは程遠い。
しかしまさか後に、本当に重力に反逆して空を飛ぶとはマスターたちも思いもしなかっただろう…。
「登って参った!」
そして見事ロープ伝いに庭園まで登ってきた。先着のジャックから無邪気に「ロープがすごいよね!」となかなか辛辣なコメントを貰うも全く気にした様子はなく「叛逆に相応しいロープである。」と戦友(?)を讃えた。
「?」
「圧制は滅ぼすべし。」
同イベントの黒幕から聖杯による受肉を条件に帰参を促されて。
無論彼だけでなく参戦したサーヴァント全員が誘いを蹴ったのだが、「自分が勧誘に応じると思う神経が理解できない」とでも言いたげな疑問符はかなり辛辣である。

メモ

  • 虚淵氏曰く「ほがらか抱擁系マゾヒスト」。
  • 高潔な彼は圧制者からの略奪品を反乱軍に平等に分配し、金銀の個人的な所有を禁じていた。また市民への無用な暴行や略奪といった逸脱行為を禁じ、彼の軍は、反乱軍でありながら非常に規律正しかったという。
    • 財産を平等に分配した行為は、18世紀頃に拡大した啓蒙運動や社会主義運動の中で神格化され、とりわけカール・マルクスはスパルタクスを「古代社会主義運動の真の代表者」と評して絶賛している。
  • バーサーカーとして召喚された彼の思考は「叛逆」にのみ割かれており、なおかつ狂化によってマスターとの意思疎通も不可能。そのためマスター殺しも辞さないサーヴァントとなっており、『Fate/Apocrypha』の世界では「召喚したら敗北確定」のサーヴァントと呼ばれている。
    • 実際には、叛逆すべきマスターとは弱者を糧にする者であって、彼は積極的にマスターに反乱する訳ではない。マスターとの意思疎通こそ不可能なものの、マスターが圧制者かどうかの判断はできるため、犠牲をよしとするような『まっとうな魔術師』ではない、たまたま巻き込まれてしまったマスターであれば敗北するまで共に戦うことも十分可能。弱者として他のサーヴァントに挑む者や、何処ぞの赤毛の少年などとは常に格上との、そして自己との戦いを行う点で相性が良いらしい。
    • もちろん、叛逆されないからといって聖杯戦争を勝ち抜けるかどうかはまた別の話なのだが。なお、わずかでもマスターが「マスターらしい」態度を見せれば、途端に彼は喜び勇んで叛逆を企てるので、油断ならないことに変わりない。
  • 可能性は低いがセイバーとして召喚される場合もある。しかし、その場合はマスターに叛逆する可能性がバーサーカー時よりも更に高い。いっそこのこと、何も知らない子供がマスターに選ばれたほうがまだ勝ちの目が見えてくるかもしれないとまで言われる。
  • オンラインゲーム版でのキャラ設定を行った虚淵玄は、
    「虐げられないと燃えない→窮地に陥らないと反撃しない→ゆえに勝ち目のある戦略を受け付けない→マスターの言う事を聞かない→故にバーサーカー、といった大変困ったサーヴァントとして彼を選んだプレイヤーを悪戦苦闘させる腹積もりだった」
    と発言している。だがその一方で、専守防衛&不殺を旨とする善玉主人公ライクな方針のマスターならば意外と相性が良いかもしれないとも分析している。
  • 「大帝国にほんの十数名で叛乱を引き起こし戦力を瓦解させること無く奮戦した指揮官」「闘技場と戦場で闘い抜いた熟練の剣士」「ぎりぎり神代にならないくらい古い史実の英霊」である為、経歴だけ見ると戦力や燃費等もそう悪くないように見える辺り、余計に質が悪いとも言える。
    • とはいえ、奴隷解放の先駆者である彼をサーヴァント(奴隷)として喚ぶと言うのが……。

脚注

注釈

  1. 『Grand Order』Lostbelt No.3 第9節「叛逆の暁星」。この時主人公は「令呪を持って命ずる」とは言ったが「重ねて命ずる」とは言っていないため、令呪は1画しか消費していないと思われる。
  2. 完全に人間としての外見からは逸脱しており、アニメ版の次回予告でもアストルフォに「TとかGとか付くウイルス案件」とツッコまれていた。
  3. オーバーチャージで効果UP

出典


リンク